車椅子生活の先生(Pixivでも連載中)   作:Re:ミカゼミ

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誰も悪くなかった。そう、ただ運が悪かった。


運が悪かったから、仕方ないな

「これで終わりかな〜」

ホシノがつぶやく。

ビナー戦の最前線で先生を護衛しながら指揮の手伝いと、攻撃の誘導をしている少女は汗を額に浮かばせていた。

 

『先生たちは、ビナーの光線発射まで休憩に入ってください!アタッカー部隊突撃!』

 

耳から聞こえる、司令塔の声でビナーからのヘイト稼ぎをやめ岩陰に二人で走り込む。

 

それと同時に爆音と、マシンガンの連射音が聞こえてきた。

 

二人で一時の休憩を堪能する。

「ごめんね、ホシノ...こんなにきつい仕事をしてもらって。私の護衛も....」

そう言いながら、水を渡してくれる。

「いいよ〜、先生のお願いだからね。」

戦場では一秒の通信のノイズによる誤差が命に関わる。

そのため、先生は後方で指示するのではなく前線で指揮をしなければならなかった。

しかし、キヴォトスの人間ではない先生は私達にとっては豆鉄砲か輪ゴム銃ぐらいの驚異でしかない拳銃の弾丸一発で重症となってしまう。

ホシノはそれらからの驚異から守るために先生と行動をともにしていた。

「と言っても、私が特にすることはないんだけどね〜。ホント便利だねえ〜、そのシッテムの箱。銃弾を弾けるんだから。本当におじさんびっくりだよ〜」

「そうだね、アロナとプラナにはほんとに助けてもらってるよ」

 

シッテムの箱。

 

特殊な演算により、ありえないはずの机上の空論を現実に映し出す、奇跡を起こす大昔の遺産。

殆どの銃弾はこれにより、全て弾道をねじられ先生に到達することはない。

 

時間が少しかかるが....-といっても30秒ほどの時間だが-、大気圏突入時の熱もぎりぎり行けるほどのとんでもない防壁を展開もできるらしい。

「でも、それをするとオーバーヒートしちゃって、10分間シッテムの箱がシャットダウンするから...ビナーの光線は防げないかな」

「そのために、私がいるんでしょ!安心しなよっ先生、タイタニック号に乗ったような気分でさ〜!」

「沈んじゃうじゃん!」

楽しい時間には終わりがつきものだ。

『光線の予兆を確認しました!ホシノ先輩と先生はアタッカー部隊から光線をそらしてください!アタッカー部隊は退避を!』

 

「さて。と、ホシノ最後の仕事と行くよ!」

「うへぇ〜腰が痛いなぁ」

 

キュリィィいいいいいい!!!!!!!!!っとだ。

 

ビナーが光線の準備をする金属をドリルで削るよう不快な高音が響く。

「こっちだよー!蛇さーん!」

「先生〜グレネードを投げないとだめだよっと」

先生の挑発が失敗するのを横目で見ながら、EMPグレネードを投げる。

聞いた話によると、ミレニアムのエンジニア部が精魂込めた代物らしく一つでアパートの一年分の家賃に匹敵するらしい。

それは、金額と威力でイコールを結べるほど良い出来だった。

 

「先生!こっち向いた!おじさんの後ろに来て!」

「わかった!」

音を消し去るほどのエネルギーが

「よそ見してんじゃんぇぞごラア!!!」

赤い髪の毛の少女が

その一瞬で、突撃し張り付き

「こんなもんかおらああああああああああ!!!」

装甲と装甲の間に銃をねじ込みトリガーを引いた。

 

『っ!!!!!!!?????!?!?』

光線の光が霧散し、その代わりにビナーが叫びにならない咆哮を上げる。

止めだった。

開始からやく、3時間。

とうとうビナーが倒された。

 

「お疲れホシノ」

「お疲れ、先生」

 

そう言い....

 

『っ!?エネルギー反応!?規定値の200倍!?!?ホシノ先輩!!!!先生!!!逃げt』

 

運が悪かった。

最悪だった。

煙を上げ、火花を散らすビナーはまだ生きていた。

ただそれだけだった。

 

そして、ロウソクの火は消える瞬間が最も大きく燃えるものだ。

 

光がすべてを塗りつぶした。

このために、作ってもらったはずの私の体より大きいミレニアム製の盾は数秒も持たずに融解し始めていた。

 

でも、数秒があった。

「アロナアアアアアアアア!!!!!」

障壁が、すべての驚異をその奇跡で持ってねじり潰す。圧倒的な守りが展開される。

しかし、

「私じゃない!!!」

先生は叫んだ。

シッテムの箱の主は、奇跡の行使者は理解した、その意味を。

 

「え?」

理解できなかったのは私だけだった。

 

「ホシノを頼む!!」

 

盾が融解しきるのと、身を焦がす熱線の熱が消えたのは同時だった。

 

数秒だった。

 

ねっとりとした液体が私の背中を伝っていく。汗だろうか....

「先生....大丈夫?」

背中で立っているはずの、先生がこちらに軽く寄りかかる。

先生の右手が置かれた、左肩から重みが伝わってくる。

 

「いやー、危なかったね〜まさかあんな最後に必殺技みたいのがでてくるなんて...さ...ぁ?え?」

振り返らなければ良かった。

 

先生は、左腕が炭になって崩れた。

腕がなくなった。

片足が、形だけ、質量の殆どが焼けたが残っていた。

それだけしか、残っていなかった。

左目からは、熱によるものか...湯気が出ていた。

唯一、幸運だったのは、外傷がそれだけだったことだ。

全身が炭になったわけではない。至るところ火傷はあるが、焼ききれたわけではない

顔も左目だけが外傷を負っていた。すべてが燃え、骸骨にはなっていないし、皮だけ焼けて肉がむき出しになってるわけでもない。

 

しかし、これが幸運だと呼べるものなのかは断言できなかった。

 

気づくべきだった

汗があんなにねっとりしているか?

あれは血だとなぜ気づかない。

軽く寄りかかる?重くない?

左腕がまるごと、足が炭に近い状態になるほど焼けて、質量がなくなったのだから当たり前だ。

 

絶望と恐怖が私の頭を満たしていく。

 

でも先生は....

「良かった、ホシノが無事で....」

一言、そう言った。

 

痛いも、苦しいも言わず

私が生きていることへの安堵を呟いた。

それは、一人の先輩の姿を思い出させた。

 

そしてその結末も。

「ゃ、めて」

声がかすれる

 

耐えきれなくなったのか、先生が崩れ落ちる。

電池がなくなった、おもちゃのように

「ァアアああ!!だめぇえええええええ!!!!!」

明確な死が、先生を奪おうとしているようだった。

涙が目をぼやかす

あの日の記憶が頭を巡る。

 

あれを繰り返してたまるものか

もう一度、見殺しにしてしまうなんて耐えられない。

抱き抱える。触れた先生の体は冷たく。

 

心臓は止まっていた。

「嫌だ!嫌だぁあ!!!先生!先生ぃ!!ごめんなさいごめんなさい!!もう私から奪わないでよお!嫌だイヤダイヤダやめてやめてなんでぇえええ!!!!!!」

 

涙が先生の頬を濡らした。

桃色の髪の毛はまるで覆い打ちのように顔を覆った。

 

ただ、髪が血と絡み合うだけだった。

 

to be continued




初めての方は、はじめまして。
知っている方は、なぜ知っている!?

どうも、Re:ミカゼミです

Pixivで投稿していたのですが、いかんせん人に聞いてみれば、二次創作ってこっちのほうが人口が多いと聞いたので、こちらでも投稿してみようと思った次第でございます。

感想が来ると私の頭が、快楽で弾けます。

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