白部屋のフィジカルモンスター   作:うぇいぱー

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投稿者はよう実のアニメと二次創作の知識しかないので何か至らない点があれば指摘してください。


1.

物心ついたころから、俺、西園寺廻那(さいおんじかいな)は、何もかもが白い部屋にこの身を置いていた。

 

日々浴びせられる罵詈雑言、明らかにこの時期に解くべきではない難易度の課題、齢4才程度の幼子には厳しすぎる身体訓練に耐えかね、白い部屋から脱落してゆく同期の姿は、この施設の異常性を知らしめさせるには十分だった。

 

…ただこの施設の方では俺は、そこそこ優秀だったと思う。

 

綾小路とかいう目の中に虚空を飼ってるような奴にはさすがに劣るが、少なくともここのカリキュラムをこなすことに対しての不安や、自身の能力不足を恨むことはなかった。

 

しかし、そんな自負も一年という年月で枯れ果ててしまった。

 

より専門性を帯びてきた数学や、抽象的な題ばかり取り上げる哲学、人心掌握術など、具体性を帯びた問いの答えを導くような学問を得意としていた俺は、日々進化してゆくカリキュラムについていくことが難しくなっていった。

 

苛立ち、焦りによるストレスで俺が、一年前に見てきた脱落者と遜色ないやつれ方をしてきたことを自覚した時には、乾いた笑みを浮かべるしかならなかった。

 

もうやめたい、でもあいつらのような失敗作にはなりたくない。かつて優秀だったころに築き上げた塵のようなプライドで、俺はその日まで持ちこたえていた。

 

何故だろうか。ふと目の前の課題から目を背け、何もないこの部屋を見まわしていた時間があった。おそらく、ストレスか何かで集中力に欠陥が生じたのだろう。

 

「これはいけない」と考え課題の用紙に手を添えるが、瞳は、眼前の白い壁をまっすぐとらえていた。

 

その壁には、本当に何もなかった。老朽化を示すようなヒビも、手の油によるテカりもない。

 

次に床を見た、黒ずみも、脱落した者の吐瀉物も、きれいな白に抹消されていた。

 

次に天井、次に机、次に服、次に人――――白、白、白、白、白、白……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白、腹立つな?

 

 

今考えてもめちゃくちゃ浅い感想だったが、ともかく、この施設に対する憤りが芽生えたのは確かであった。怒りという感情に頭を任せて課題を放棄し、これから先の俺自身を考えることにした。

 

この施設にいる以上、感情に行動を任せるのは愚かであることを学習している。だが、俺はこの時に初めて「自分」を見つけられた。そんな気がする。

 

思考の途中、課題を放棄した俺に詰め寄り、説教を垂らす職員が目に入ったが、そんなことはどうでもいい。

こいつきっしょいなぁぐらいにしか思わなかった。

唾きも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや待て。こいつ、というかここにいる大人、みんな気色悪くないか?

 

更に与えられた環境は白すぎてあり得ないぐらい腹立ってくるし…?

 

…俺おそらくこのままだと精神すり減らして廃人ルートじゃない…???

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…最優先事項は自己防衛、白部屋脱出だよね、おぉん。

 

 

 

 

本当に人工的に天才を育成する施設で育ったのか不思議なぐらいボンクラな思考で、生まれて初めて望みを得た俺の行動は、驚くほど速かった。

 

まずはどうやって脱出するかだが、フィジカル一択だろう。

 

俺レベルの知性や心理操作力で、この施設の大人を誑かして脱出するなんて不可能だ。研究員には東大首席の訳わかんないエリートとかいるし、そもそも俺自身人を道具のように扱うの下手だと自覚してる。

 

まぁ、そんなことするより、目の前にある真っ白なコンクリの壁を粉砕する方が簡単だと思います…多分。

 

頭脳より肉体の方が自信があるし、鍛えれば強くなるという方程式は崩れようがないはずだ。

 

体術を教えている自衛官によると、努力と筋肉は裏切らないらしい、とりあえず限界までやってみよう。

 

折角生まれた本望なのだから。

 

 

 

その結果、自主トレ5日目で泡を吹いて倒れました。

何してんだ。

 

救護に携わった大人共によると、5日目の晩、腕立て伏せの体勢のまま白目を剥いてらしい。

 

もう少し発見が遅かったら両腕の筋繊維がはち切れて使いものにならなくなっていたようだ。

 

基礎的な訓練や、カリキュラムに組み込まれた戦闘演習などに加え、傍から見れば異常とも言える執着でこの年齢でやるべきではないトレーニングをしていたのだ。当然の結果とも言えよう。

 

今度からは少し強度を落とすか…と考え、無機質なベッドのフレームを両手で掴んで起き上がろうとする。

 

メギィィ…という音が左右から聞こえてきた気がする。

あらやだ、フレームが内側に歪んでるじゃない。あネジ取れそうやばい。

 

さすがにここまで鍛えたつもりないんだけど??

 

明らかにおかしい、本当に自分が5歳の子供なのかと疑ってしまうほどにその力は異質だった。

 

…そういえばこんな話を聞いたことがあったはずだ。運動選手、アスリート達は、脳が筋肉にかけるリミッターを外すことで爆発的な身体能力を得ている、と。

 

死線、今際の際のようなものを1度さまよったからか、どうやら俺も外れてしまった…のかな?

 

いやでも、これ続けたらマジでコンクリの壁もぶち壊せるんじゃないか??

 

1歩タイミングを間違えれば死にかねない危険な考えだが、精神に異常をきたして廃人になるよりかは、己の望に向かって死ぬ方がよほどいい。

 

未来に希望を持ってワクワクしてる俺に、不可能はない。

 

俺はまた懲りもせず、その日からただひたすら我武者羅に限界を超えるためにトレーニングを積んだ。

 

だいたい半年くらい経った頃、自重で鍛えることに限界を感じてきた俺は、トレーニングを続けていく上で本格的な器具や、ぶっ壊しても大丈夫そうな岩などを確保するため、施設の代表である綾小路篤臣に俺の有用性を証明するべく、将来的に綾小路清隆の使える駒として生涯を全うすることを誓ったりもした。

 

絶対そんなことしないけどね、死んでも嫌です。

 

有用性を示すための試験として、暴行罪で豚箱入りした犯罪者を半殺しにした時のあいつの愕然とした顔を忘れることはないだろう。てか、子供と犯罪者のマッチメイクとかするなよ。

 

綾小路篤臣(カス)から与えられた器具や破壊物を駆使して俺は、メキメキと望みに向けて実力と筋力をつけていった。

 

都度、血反吐吐いたり意識飛んだりしていたが、やはり、その時その時の限界を超えてゆく度に俺の身体はどんどん人間離れしていった。

 

白部屋脱出を決断してから1年経った。

 

ここで単調なトレーニング(?)を続けてきた俺の中で、別の欲求も出てきた。

 

「ワンチャン綾小路に勝てるんじゃね??」と。

 

望みをすぐ叶えたくなる癖でもあるのだろうか。その日の身体訓練中に、俺は気づいたら綾小路に喧嘩をふっかけていた。

 

クソボコボコにされて負けた。

 

結構ショックだった。割と殺す気で綾小路に殴打や蹴りを入れていたし、俺の力も、今では丸太を一撃で貫通させることができる程のものに仕上がっていたはずだ。

 

結局傲りだったのかなぁ…と落ち込んでいると、綾小路くんが驚きを隠せないような目で俺を見てきた。それどころか話しかけてきてくれた。

 

彼曰く、力を使うための技術、動きを見切るための目などが俺はてんでなってないらしい。

 

確かに、パワーを極端に鍛えてきた自覚はあった。ただ、別に脱出するためならそれだけで良くない?とも考えていたのだ…が、頭に電流奔る―追っ手をどうするのか問題だ。

 

以前、犯罪者と格闘した際は相手も俺も単純なパワーやスピード勝負だったし、大人共との本格的な戦闘訓練はまだカリキュラムに組み込まれていない。(もしからしたら気絶してる間に行っていたかもしれないが)

 

それ故に、力はあっても操作が出来ず、脱走しても自衛官や格闘技選手に捕まれば1発で逆戻りな訳だ。

 

どうしてこんなことに気づくことができなかったのだろうか、環境のせいかそうだ、うん。

 

これからはちゃんと頭を柔らかくして計画を練り上げるとしよう。

 

というわけで綾小路くん!格闘技術の指導よろしく!なんなら俺と一緒にここから出ない???

 

なんやかんやあって俺は、綾小路と都合のいい関係になれた。向こうはパパの小路のこともあって俺の事を駒として認識しているかもしれないが、俺からも一応トレーニング方法を享受してやっているので、都合のいい関係という形容がピッタリだろう。

 

7歳になる頃には、力の伝え方を極めて心技体を一貫させるとかいう独自理論を肉体に組み込むことで、大岩をワンインチパンチでぶち壊せるようになった。

俺って戦闘IQだけは高いのかな??

 

力を扱う方法を学ぶと共に、俺は五感を研ぎ澄ますことにも注力した。

 

肉体の限界のみならず、視覚や聴覚すらも何かしらの変化が起きているのではないか、と考えたからである。

 

おかげで、おそらくマジックミラー越しにこちらを覗いているであろう人間の姿も認識できるようになったから手を振っておいた。

 

ここまで自身を鍛えあげれたのは、紛れもなく清隆の存在が大きい。

 

俺は最初、綾小路清隆のことを得体の知れない化け物かと思っていたが、存外そんなことはなかった。

 

この環境で教わった人を道具のように見る冷徹な思考などが、根強く彼に影響を及ぼしてはいるものの、まだ出会った時には齢6歳のガキンチョだ。物語の中に出てくる友人や戦友という概念に些か興味が湧いていたらしい。

 

俺は、この施設の中でも異質だと自覚できるほど目が輝いている。そんな俺に絆されたのか知らんが、彼は俺の事を友人として扱ってくれているのだ。俺のことを友達のように考えてくれるやつがいるなんて、思ってもいなかった。

 

そもそも、孤独に戦う事を前提として考えていたから友達作りなんて度外視だった、嬉しい誤算だ。

 

俺としても友人ができることは密かな憧れだったため、今では清隆と彼のことを呼んでいる。友達っぽいだろ?

 

友達として俺の望みを打ち明けたことで、今では清隆もホワイトルーム脱走グループの一員(総団員数2名)として準備を進めてくれている。俺の頭じゃどうにもできないことをやってのけてくれる清隆は、神か何かだ、そうに違いない。

 

物心ついた頃の俺とは違う、望みを持ち、力を持ち、そして友を持った。

 

このクソッタレな部屋から出る日は案外そう遠くないのかもしれない。

 




小説書くのムズすぎるだろうが!

坂柳と西園寺の関係性をどうするか。

  • 付き合え。
  • このままで。
  • 作者の自由でも良し。
  • 最早別キャラと付き合え。
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