前回のオチを修正した結果、綾小路父が禿げました。
高頻度で編集してしまい、誠に申し訳ございません…。
ホワイトルームから抜け出してからの半年間。
俺たちは、俗世をこれでもかと満喫していった。
何故か回る寿司屋、何故かペッパーミルを目の前でジャグリングし、肉を焼く鉄板焼き屋、好きな物がなんでも食い放題のバイキング、など単調な飯しか出てこない施設の影響もあり、食ってばっかりだった。
──5キロ増えた、筋肉量が。
また、ありとあらゆる娯楽にも手を染めた。
漫画、ゲーム、アニメ、ホビーなどのサブカルチャーは、俺たちに世界の自由さを教えてくれた。俺はこの半年間、ずっと口角が上がりっぱなしだった。
特に漫画は、俺の戦闘技術力に、大きな影響を及ぼした。出来そうなものが割とあったからな。
爆砕点穴や流水岩砕拳などを、見様見真似で習得した。
ただ、俺よりも清隆の気分の上がり具合が、相当なものだった。
ドラ○ンボールを見ていた時のあいつが、かめはめ波こっそり練習していたの、俺覚えてるからな。
俺も、練習しました。ちょっと出た気がする。
またアニメで清隆は、頭脳を使って無双する、暗躍者ポジションのキャラクターばかり気に入っていた。おかげで、遅めの厨二病期間が、あいつにやってきてしまったらしい。
俺が、「イタいよ…」と口をこぼすと、ちょっと傷付いたような表情で、「そ、そうか…」と返答していた。ごめんて。
──そんな日々を過ごしつつ、先々月辺りに行われた入学試験を、俺たちは無事に突破し、高度育成高等学校への入学が、始まろうとしていた。
「松雄さん…本当にこの半年間ありがとうございました。」
脱走計画の中核となったことは勿論のこと、住処の契約、慈善活動への参加手続き、金銭管理など、一般的な身辺整理はほとんど、松雄さんに任せていた。
俺と清隆もある程度、手伝おうとはしたものの、結論よく分からんものが多かったため、松雄さんに頼りっきりだった。
「ホワイトルームの教育データ、しっかり理事長にも渡しときますから。」
俺たちが高育を学び舎とする3年間、恐らく松雄さんは1人だ。
関係者からの圧力により、命を脅かされる可能性も無くはない。
そのため、松雄さんは、これまでのツテで関わってきた政界の人間達に、あの非人道的な教育映像を垂れ流すことにより、自身の周りに味方を作るべきだ、と考えた。清隆が。
1コミュニティ内での情報の伝播速度は、計り知れない。
情報を揉み消される心配もあるため、俺と清隆にそれぞれ1つずつ、録画データを渡してもらった。大人からの外部接触が難しい坂柳理事長に1つ、卒業後に事の被害者である俺たちが情報を促すことで、再熱を巻き起こすために1つ、という寸法である。
「松雄、オレたちにとってお前は、もう1人の父親のような存在だった。感謝する。」
清隆のそんな言葉に、松雄さんは涙していた。
俺は、鼻水垂らしながら泣いた。
清隆も…目尻に雫を浮かべていたような気がする。
それを見て俺はもっと泣いた。大号泣だ。
「まづおざん”…!俺、おれ卒業したら真っ先に、連絡じまズビッ…!」
「ははっ!……泣きすぎですよ、廻那君。君に鍛えてもらったおかげで、大分、身の保証が着くようになりましたから、感謝しますよ。」
おぉ、ヴぉあ(大泣き)
「廻那…顔とんでもない事になってるぞ…。」
そんなこんなで、俺たちは制服に身を包み、松雄さんと清隆と写真を撮って、バス停へと向かうのであった。
「…そんなに気に入ったのか、その写真。」
西砂二丁目のバス停にて、バスを待っている間に清隆はそんなことを問いてきた。
ここへと向かう途中のコンビニで、先の写真を現像しておいたのだ。
「当たり前だろ!もうこれ家族写真じゃん!大事にするよ。」
「…なるほどな。」
「あ、今欲しいって思っただろ?…ほら、ちゃんとお前の分も現像してあるから!」
清隆は、口の端を少し上げながらその写真を受けとった。
少し甲高いバスの扉が開く音で、俺たちの会話は1度絶たれた。
バスに乗り、席が並んで空いているところを見つけて、俺たちは座った。
バスに揺られながら景色を見ていると、突如、清隆に話しかけられた。
「…なぁ廻那。人は平等だと…いや、なんでもない。」
「え、何?哲学?急にどうした。」
清隆は、唐突に平等についての意見を問うてきた。バス内での話題として、平等について論を交えるやつがいたら、それはそれは奇特な者だろう。
悩みでもあるの?話聞こか。
「いや、人は平等か否かを考えていたんだが、お前を見た瞬間に、否、という文字が浮かんできてしまってな。」
「??あぁ、そう。」
…なんだろう。このなんとも言えない苦い感じは。
まるで「お前を人とはカテゴライズしてないよ」と、言われた気分だ。酷い話だな、品性方向で、ちょっと強い人間ですよ、俺は、うん。
一端の高校生らしい、くだらない言葉のやり取りを交わした後、バス内で優先席に座っている金髪の新入生と、これまた同じ新入生の女の子が、何やら言い合っていた。
曰く、社会貢献にもなるからばぁちゃんに席譲って、とのこと。
「…廻那、どうする。」
清隆、お前マジで成長したな…。
「あー、俺が譲るかなぁ。清隆はそのまま座ってな。…すみませぇん!ここ、ここ!空きましたよ!」
そう言って俺は席を立つ。窓側の席だったので、清隆もばぁちゃんの道を空けるために立つ。
ばぁちゃんから感謝の言葉を貰いました。
マジで人からの感謝ってアツい。他者から、嫌悪の目しか今まで向けられてこなかったから、より一層。
さて、席を譲ったため俺の座る場所が無くなってしまった。
──が、場所が無いなら作ればいいじゃない。
清隆が、元いた席に座ると同時に、俺も清隆の隣の、「空」に座った。
恐らく、このバスの中にいた全員が、各々の思惑や行動を停止した、否、停止させられただろう。
彼が、俗に言う空気椅子をしている間、その身には一切のブレがなかったことを、真隣の黒髪の女子は記憶していることだろう。
俺の大腿四頭筋が、椅子に圧迫されて窮屈だったらしいので、空気椅子できて一石二鳥ですね。あっ、着いたわ。
俺たちは下車し、高度育成高等学校の門の前へと立つ。
「うし、行くか清隆。」
「あぁ、今日からここに通うのか。」
そう言って、門へと足を潜らせる。
──これで晴れて、3年間は自由の身だ。
「あの〜!さっき席を譲ってくれた人〜!」
「ん?あ、俺?」
いきなり、後ろからさっき口論していた女の子に声をかけられ、俺は若干戸惑っていた。俺も清隆も、対女への処世術が無さすぎる。
清隆は、帝王学や心理学的な知識で、武装することが可能だろうが、俺にはそんな器用な真似は出来ない。
「そうそう!私、櫛田桔梗って言います!…さっき、お婆さんに席を譲ってくれて、ありがとう!助かったよ!」
「まぁ、人助けって気持ちいいからな。俺は西園寺廻那、よろしく櫛田!」
「…一応、綾小路清隆だ。」
「西園寺君に、綾小路君だね!よろしく!2人とも新入生、で合ってるよね?あっちの方で、クラス分けの表があるみたいなんだけど、良かったら一緒に見に行かない?」
こ、こいつ俺に気があるのか…!?
なんてね、ある訳ねぇだろ…いやあってもいいんだよ?
多分、持ち前の愛嬌で男女問わず誑かして、表向きの権力も、裏向きの情報も握ってきたタイプなんだろうな。
あざとい!
でも、可愛ければ、それでいいじゃない。
「俺はいいけど…清隆は?」
「大丈夫だ。問題ない。」
「ほんと?!ありがとう!!」
そんな会話を挟みつつ、俺たちは櫛田と共にクラス分けの表を見に行った。
それを見に行くまでの道中、櫛田桔梗の人間性がおおよそ推測された。
櫛田自身を褒めれば、大袈裟とも言える反応で、嬉しそうに謙遜の意を示す。
自身以外を焦点に当てれば、僅かだが、その仮面に亀裂が走る。
…しょ、承認欲求モンスターだ。それも超重度の。
あんま関わらんとこ…多分無理だけど、と考えながら、いつの間にか俺たちは、人がごった返している場所の奥にある、クラス表の張り紙が目に入っていたことに気づいた。
「清隆と櫛田はD、俺の名前は…Aか。なんだよ、一緒じゃねぇのかよ。」
『A』だけに、『え〜』ってね。ははは、殺せ。
「す、すごい…よくここから見えたね、西園寺君。」
「ふふん。目はいいのでね。」
だが、俺が間違えている可能性もあるため、一応、人波に溺れそうになりながらも、クラス表の至近距離まで、近づくことにした。
「どれどれ…なるほど、本当に廻那の言う通りみたいだ。」
本当に俺は清隆と別クラスなのかよ…!!クソ!!
「あ〜あ〜、寂しくなるなぁ。清隆ぁ。」
「クラスが違うだけだ。暇なら何時でも話に来ればいいだろ。」
「お前、友達出来なさそうだもんな。いつも通りになりそう。」
鼻で笑ってやった。
すると、ガッと脇腹に衝撃が走る。何すんだよ。
手大丈夫?ちょっと赤いよ?
「友達になっちゃえば、クラスの問題なんて大した問題じゃないよ!」
…櫛田さん、横に同じクラスの奴がいる前でその発言。
中々どうして、腹黒いかもしれんな。
「まぁそうだよなぁ。っと、結構時間食ってたみたいだな、Aクラスはあっちの方が近そうだし、俺こっちから行くよ。またな!」
「お、おい廻那。」
1人にしないでくれってか?俺以外にも、友達作らなきゃダメだぞー清隆。
こいつ全然櫛田と話してなかったし、善意だよ善意、ヒヒィ…。
そんな俺も、清隆以外友達出来たことないから、めちゃくちゃ心配なんだけどね。自己紹介とかあるのかな…失敗したら、どうなるんだ、怖い。
…てか、意外と普通に高校生出来てんだな、俺。
あの部屋の中で望んでいた普通の生活が、今、現実となっていることに俺は微笑みを隠せなかった。
…ほな、Aクラス、おじゃましまーす!
廻那はAクラスでした。理由は銀髪ロリがいるから。
テンポがおっそいので何とかしたいです。
坂柳と西園寺の関係性をどうするか。
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付き合え。
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このままで。
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作者の自由でも良し。
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最早別キャラと付き合え。