白部屋のフィジカルモンスター   作:うぇいぱー

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熱出してました。
投稿遅れてほんとごめんなさい。


7.

 

俺は、理事長との会話を終えたあと、清隆と飯に行くために連絡を…と思ったが、そういえば学生証端末だったなコレ。俺の携帯には、生徒会長と葛城という異色の連絡先しかなかった。

 

仕方なくぶらぶらと歩いて近くのコンビニへと向かったところ、何やら上級生3人と、赤髪の同級生が言い争っていた。赤髪はDクラスかな?素行悪いし。

 

そんなことを考えていると上級生側が、Dクラスはやはり不良品だ、との言葉を赤髪に投げかけていた。結構確信的なヒント与えちゃっていいのかよ。

 

そのまま傍観を続けていると、なにやら殴り合いになりそうな雰囲気を感じ取ったので、俺は、足に力を込めて踏ん切り、轟速で彼らの間に立った。

 

「!?」

 

「なんだお前!?」

 

風圧により、上級生のうち1人が転んでた。おもろ。

 

「落ち着けあんたら。監視カメラが見えないのか?…最悪停学になるところだったぞ。」

 

「うっ…チッ、お前らずらかるぞ。」

 

「おい待て!逃げんな!」

 

赤髪が上級生に対し、怒号を浴びせるものの、上級生達は、自分たちの評価が下がるのを危惧し、その場から去っていった。

 

「赤髪、怪我とかないか。」

 

「赤髪じゃねぇ、須藤だ。お前何なんだよ…いきなり意味わかんねぇ速度でこっち来やがって…。」

 

「ちょっと走っただけだ。俺は西園寺廻那、よろしくな!須藤!」

 

須藤に自己紹介をすると、恨みがましいかのような目で俺を見てきた。

 

「はぁ…お前は突然やってくるし、絡まれてムカつくしで調子狂うぜ…。もういい俺は帰る、じゃあな。」

 

あ、行っちゃった。せっかく同級生同士仲良くしようと思ったのに。

 

須藤は、そう言って頭を少し傾け舌打ちをしながら、学生寮の方向へと足を向けて歩いていった。

 

あいつも中々いい体してるな…持久力、瞬発力共に有りそうだ。スポーツマンなんだろうな。

 

徐々に遠くなってゆく須藤の背中を見ていると、コンビニの自動ドアが開く音が聞こえた。

 

「あ。」

 

「え、清隆じゃん。偶然だな。」

 

出てきた人物はまさかの清隆だった。飯でも行こうぜ、と言おうとしたが、清隆の片手には、ごつ盛りが堂々見参していた。

 

「お前…初日から飯がカップ麺って…。回転寿司とか行けよ。」

 

「…ポイントはなるべく節約しといた方が、良いと思ってだな。」

 

「友達ができなかったから、とかではなく?」

 

「黙れ廻那。」

 

図星なのかよ…。自己紹介で失敗しちゃったのかな。

 

「まぁいいや。折角だし、部屋で一緒に飯食おうぜ!俺も爆速で買ってくるから。」

 

「あぁ、オレはここで待っている。」

 

俺はコンビニ飯を買うために中へと入った。

 

入店と同じタイミングで、俺の横を黒髪の女の子が素通りしていき、清隆の横も素通りしてゆく…

 

と思ったら清隆と話し始めた。

 

おい、死ねよ清隆。

 

清隆にこのことを問い詰めるべく、俺は話した通り爆速でペヤングを片手にレジへと向かい、購入をしてコンビニを出た。

 

店員は引き攣った顔をしていた。

 

「清隆…!友達は出来ない癖に、美少女とのフラグはなんで立てられんだよ…!」

 

黒髪の少女は、少し目を丸めて俺の事を見てきた。

 

「清隆…?…ああ、綾小路君の名前のことね。すっかり忘れていたわ。」

 

「オレ、自己紹介の時にフルネームを言ったはずなんだが…。」

 

「記憶にないわ。無駄なものは、覚えていても仕方ないもの。」

 

え、性格キッツ。…美少女とはいえこれはナシですね、俺的に。

 

それに自己紹介云々を聞いたところ、清隆と同じクラスか。よく見れば、確かに新入生の一員だ。

 

「清隆…毒牙に引っかかっちゃだめだぞ。」

 

青春を謳歌したいなら、ツンケン女よりも櫛田のような…いや、あれもダメか…。まともな女いねぇのかDクラスは…。

 

「ちょっと、毒牙って何?貴方初対面なのに失礼ね。」

 

「あーすいません。俺は西園寺廻那って言います。そこの清隆の唯一無二の友達です、今のところ。」

 

「綾小路くんに友達がいたなんて…意外だわ。」

 

それな。

 

「オレ、友達いるって言ったはずなんだが…。」

 

「記憶にないわ。」

 

アンタも大概、友達居なさそうだな…。

 

「…そういえば名前は?」

 

「貴方に名乗る必要はないわ。」

 

「こいつは堀北。堀北鈴音だ。」

 

「ちょっと、勝手に言わないで。」

 

堀北鈴音…?既視感しかない苗字だな…。

 

「堀北…?…まさか、生徒会長の妹とか?」

 

「っ!…どうしてそれを…。」

 

堀北は俺が”生徒会長”という単語を述べると、驚愕の表情と、何やら複雑そうな面持ちで俺を見てきた。家族仲悪いんかな。

 

「まぁ、よく見れば顔立ちが似てるし、もしかしたらと思って。」

 

俺がそう言うと、堀北は間の悪そうな顔をしながら目を背けた。

 

「そう…。…私は帰るわ、ここで時間を無駄にするのは得策とは言えないし。」

 

「そっか。じゃあな、堀北〜。」

 

「…。」

 

む、無視?えぇ…そう考えれば坂柳は良い奴だな…。

 

「…フラグが立っていたように見えたか?」

 

「前言撤回、全く兆しもクソもない。」

 

「だろう。…堀北はああいうヤツなんだ。気を悪くしないでくれ。」

 

「保護者かよ。まぁいいや、部屋行ってこいつら食おうぜ。」

 

俺たちも須藤や堀北同様、学生寮へと足を進めていった。管理人さんからそれぞれの部屋の鍵を貰い、1度各々の部屋で荷物などを確認してから、清隆が俺の部屋に来るようだ。

 

殺風景だなぁ…この部屋。けどまぁ、文句はないな、普通に過ごしやすそう。

 

ピンポーンというインターホンの軽快な音が鳴り、清隆がやってきた。

 

「お邪魔します。」

 

「うぃ〜邪魔されまーす。」

 

「なんだそれ。」

 

「おもんない?」

 

「あぁ。ギリうざい。」

 

ひでぇ。

 

そんなことを言い合いつつ、お湯を沸かして飯の準備をする。3分から5分程度で出来上がるカップ麺はやはり、至高だな。

 

…いや違う、こんなことのために飯を清隆と食おうとしたんじゃない。このバカの動機、その核心をつかなくては。

 

「清隆。そういえばてめぇ、なんでDクラスなんだよ?気づいてんだろ?この学校のルールに。」

 

清隆の目が泳ぐ。

 

「あぁ、ホワイトルームよりかは少ないが、監視カメラの数の多さやオレ達Dクラスの人間の素行や人間性が、あまり良いとは言えたものじゃないことから、ある程度は推測していた。」

 

「…もう一度聞こうか、なんでDクラスなんだよ?」

 

「…黙秘権を行使する。」

 

お前本気で殴るぞ?

 

いや、それだと死ぬか…。ならば精神攻撃といこう。

 

「…暗○教室。」

 

「…っ。」

 

1hit

 

「魔○科。」

 

「…!」

 

2hit

 

「…俺ガ○ル。」

 

「……。」

 

3hit

 

「…陰の実r」

 

「もういい、わかった。オレの負けだ。お前の思っている通りだ…許してくれ…。」

 

KOです、綾小路清隆に勝ちました。ホワイトルームも大したことないね。

 

「清隆…お前がマジで馬鹿なのか天才なのか、分かんなくなってくるよ…。」

 

「ご、ごもっともだ…廻那。」

 

厨二病野郎が、いや俺ガ○ルに反応してたってことは、高二病も有り得るのか…数え役満かよこいつ。

 

どうせ普通の定義履き違えて、入試でアホみたいなことしてきたんだろうな。

 

「いやまぁ、別にお前のやりたいこと自体を否定する訳じゃないけど…青春謳歌の方法が本当にお前それでいいのか?」

 

俺がそう言うと、清隆は真面目な面持ちで俺を見てきた。どうやらちゃんとした理由もあるようだ。

 

「問題ない。半年間俗世を見てきたが、やはり年相応の人間のことは分からなかった故、オレは一般的な15歳を学んでみたいと思うんだ。それに、親父の切り捨てた俗世を、オレは偏見で見捨てたくはないんだ。」

 

「清隆…。」

 

こいつもこいつなりに色々考えてたんだな…。親父の否定、それが今の清隆の望みかな。正直何言われても言い訳にしか聞こえないかと思ったが、侮ったな、俺は清隆を。

 

「だが…」

 

…だが?

 

「正直、フィクションのような暗躍者ムーブをするのが最大の目的だ、廻那。」

 

キメ顔で俺の目を真っ直ぐ見ながら、清隆はそう言いきった。

 

俺は清隆にデコピンした。バカデカいたんこぶが出来た。

 

それと同時に、俺たちの会話をコケにするようにタイマーが鳴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

入学から早くも1ヶ月が過ぎようとしていた。

 

入学当初は何してたっけ…。あ、そうだ、生徒会長から大金貰ったり、理事長に煽られたり、清隆の愚行を明らかにさせてたな…。濃ゆいな…。

 

俺はこの日までの約3週間、坂柳有栖との仲良し大作戦や、葛城との敷地内でのジムトレーニングを中心に行っていた。

 

ついでに職員室に押しかけて、真嶋先生にこの学校のルールを大方ペラペラ説明して、大金をまたGETしていたりもした。学校のルールに気づくだけで金貰えるとか、どうなってんだこの学校。

 

まさかの口外禁止、破れば退学のヤバすぎる契約書まで書かされるとは思ってなかったが…。

 

所持ポイントはおかげで、196万ほど。賭け麻雀とか出来ないのかな。

 

真嶋先生は俺が説明し始めた途端に、宇宙を理解してしまった猫のような顔をしていた。とても面白かったです。

 

その日から先生がちょっとやつれてたのは気のせい、うん。

 

これまでの日に思いを馳せていると、やつれ顔の真嶋先生が教室に入っていった。

 

「急遽ではあるが、本日は小テストを行う。成績評価には加算も減算もされないので、気楽に受けてくれ。」

 

おぉ抜き打ちテストだ。学生っぽい。

 

真嶋先生は列の前の人へ、それぞれ用紙を配ってゆく。

 

「始め。」

 

真嶋先生の号令により、一斉に紙をめくる音が教室を支配する。

 

…問題を一通り眺めたが、最後の3問目以外はめちゃくちゃ簡単だな。

 

何か意図でもあるのだろうか、そんなことを考えながら俺は問題を解き進めていった。

 

少しは苦戦するかな、と思っていたが、ホワイトルームのカリキュラムに含まれていた頭のおかしい証明よりかは簡単だったため、意外とすんなり解けた。

 

「やめ!…皆ご苦労だった。先程も言った通り、成績評価には関係ないため安心してくれ。」

 

だいたい20分ほど経った頃に、真嶋先生は合図を出した。

 

「…西園寺君、どうでしたか?」

 

少し口角を吊り上げてニヤニヤしている坂柳が、期待を込めた視線で俺に話しかけてきた。

 

ここ3週間程度で坂柳は、目を見てくれるようになった。まだ若干ぎこちないところはあるが、及第点だろう。

 

「最後の3問目はちょっと難しかったよな。それ以外は余程のことがない限り、間違えないだろ。」

 

「やはりそのように感じましたか…。しかし私は正直、満点も狙えるかと思います。」

 

腕組んで無い胸を張るな。

 

「まぁ、坂柳は頭良いもんなぁ。」

 

「…嫌味にしか聞こえませんよ…。」

 

ジト目の坂柳は小声でそう言ってきた。

 

昔は頭良かったんだけどね、俺も。慢心で詰みかけた人間なので、あまり知性に関しては豪語したくないんだよ…本当に。

 

…ていうか、坂柳って俺と話す時だけちょっと知性下がってないか。

 

神室や橋本と話す時は、いかにも下僕と荘厳な姫のように話すのに。まだちょっと俺の事、怖いのかな。頑張ろ。

 

着実ではあるが不安定、そんな矛盾を孕んだ高校生活も悪くは無い。全部青春のせいにしとこう。

 

そうして小テストも無事終わりを迎え、俺たちにとって本当の学園生活が始まる5月1日が幕を開けようとしていた。

 





次回は坂柳視点で進めようかな、と思っております。
また誤字報告など、ありがとうございます!

坂柳と西園寺の関係性をどうするか。

  • 付き合え。
  • このままで。
  • 作者の自由でも良し。
  • 最早別キャラと付き合え。
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