あの日をいつか   作:SGMY

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ただただこじらせたい


プロローグ

ほら、君はどうして産まれたの?

 

 

 

 

 

ほら、君はどうしてここにいるの?

 

 

 

 

 

ほら、君はどうしてその目をしているの?

 

 

 

 

ほら、君は―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

敵なの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日の朝、いつかの朝。僕は目覚めた。珍しく幼馴染みよりも先に。

 

「僕が早起きなんて珍しい…今日は雨でも降りそうだ」

 

そんな事を言いながら幼馴染みに会いに家を出る。幼馴染みは家近、というか隣同士なのだ。

 

「よっちゃーん!遊びましょー!」

 

幼馴染みを呼ぶ。するとドアから幼馴染みがすぐに顔を出した。

 

「その名で呼ぶのはやめてください。あと今何時だと思ってるんですか」

「8時!」

「4時ですよ!もう少しは寝させてください!」

「ちぇ〜っ」

 

朝4時とは初めて知ったよ、教えてくれてありがとうよっちゃん…

 

だけど今の時間でも話し相手になってくれる人はまだいる!

 

僕はこの都市の真ん中にあるタワーまで向かう。年がら年中見張りをしている人達に軽く挨拶をし、中に入る。

 

「あら珍しい、貴方がこの時間に起きているなんて」

「おはようえーりん。僕だってたまには早起きするよ」

「あら、ここで産まれて十数年、貴方は一度足りとも早起きしたことはないはずよ」

「なんで知ってるの?怖いよ…」

「そ、そこまで怖がることないじゃない…赤子の頃から一緒にいるじゃない…」

 

この人は八意XX、通称えーりん。僕のもう一人の親のような存在だ。実際の親は別だけど、面倒を良く見てくれている。

 

「それで今日はどうしたの?」

「うん、僕の能力についてだけど…」

「ツクヨミ曰く《幻想と未来と現実と過去を司る能力》らしいけど、それがどうかしたの?」

「うん。これを使うたびに僕から穢が出てる気がするんだ…」

 

そう言うとえーりんは血相を変えて僕をすぐに医務室に連れて行く。

 

「確かに…穢があるわ。すぐに処置の準備をするわ」

「うん、でも待ってえーりん。これはね、僕の能力の代償なんじゃないかって考えててね」

「何を言って…いえ、その可能性は…」

「うん、だからさ。僕を独房かなにかに入れてくれないかな」

 

それにはえーりんがビックリしていた。

 

「僕はすぐに能力を使おうとする。だから僕を何処かに閉じ込めてほしいんだ」

「無理よ。貴方はわたし達の大事な家族のような存在。そう安々と独房なんかに…」

「でもそうしないと穢が…」

 

そう言うとえーりんはこう言った。

 

「穢はまだ未知数だけど、必ずわたしがなんとかしてみせる。だから待ってなさい。それまで能力は使わないこと、良いわね?」

「………うん」

 

それから僕は穢の研究のためにえーりんに協力していった。

 

「あれ、今日は八意様のところは行かないのかい?」

「うん、今日は外に行ってみようかなって」

「あぁ、だったら気を付けるんだよ?最近妖怪共の活動が活発になって来ているからね」

「はーい!」

 

門から外に出て暫く森の中を歩いているとちょうど良さそうな石を見つけた。

 

「いつか、この能力が自由に使えたらなぁ〜」

 

そう考えていた。すると僕の体から物凄い量の穢が生み出された。

 

「え、え?え?!」

 

穢はいつしか僕を包み込み、何かに姿を変えた。何がどうなっているのか、わからなくなった。

 

「フヒヒヒ…実験成功だぁ」

『だ、誰だ!?』

 

そこには一人のお爺さんがいた。だけど何かが可怪しかった。

 

「おぉ…これはこれは…また立派な物が出来上がったのぉ〜。ほら、これが今の貴様の姿じゃ」

 

そう言って鏡を見せてくる。そこには()は居なかった。龍がいた。長いヒゲを持つ龍にだ。

 

『こ、これが…僕?!』

「どうだ、素晴らしいだろう!」

 

嫌だ!こんな姿嫌だ!僕は、もう僕は!!帰れない、家に帰れない…!!僕は…よっちゃんに…!!

 

「フヒヒヒ…さぁ、あの都をその手で壊し『いやだああああああ!!!』な、なにを?!」

 

僕は暴れ狂った。僕をこんな姿にしたお爺さんをこの手で。

 

僕は姿を変えて咆哮を挙げ、近くの洞穴へと逃げ込んだ。それがきっかけとなったのか、近々妖怪達が都に強襲をかけるという噂を耳にした。

 

僕はそれを聞きたくなかった。聞き逃がせなかった。

 

余りにも帰るのが遅かったからか、えーりんがこの近くまでやってきていた。護衛は一人も居なかった。僕は洞穴から飛び出し、えーりんの前に姿を表す。弓を構えるえーりんに僕は涙する。

僕が変な行動を取ったからか、えーりんは弓を引く力を弱めてくれた。

僕は人の姿に戻り、えーりんに会う。

 

「っ?!ど、どうして…!」

「ごめん、えーりん…僕はもう人じゃないみたいだ…」

「そんなの…まだ都市の技術でなんとか!」

「よっちゃんに伝えてほしいことがあるんだ。僕はもう…よっちゃんに会えないから、元気でねって。それから近々妖怪達が都を強襲するってさ。急いで月に移住して!」

「なぜそれを…!?それによ依姫に会えないってどういう?!」

「気をつけて!この先僕はもう…会えないと思うから」

 

そう言って僕は飛び去る。僕はもう都の近くには居られないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数週間後。ある地域の妖怪達が大移動を始めた。都への強襲だ。僕はそれを近くから見る。もしものときは僕が都を護らないと。

そうだ、僕はもう()()()()()()んだ。

 

そして妖怪達の強襲が始まった。門を破壊しようと数多くの妖怪が前に出る。妖怪は人間の恐怖がなければ生きていけない。だからこそ人間が必要なのだ。

 

「このまま見過ごしたくない…でも…僕はもうみんなの敵なんだ…」

 

そして1つ目のロケットが発射される。それと同時に門が()()()()()()()()()。それは僕にとって驚きの事だった。破壊したのは都の兵器の一つだった。一直線にビームを発射し妖怪達を蹴散らす。そんな兵器だ。そしてその下に何人もの人間がいた。都の軍だ。その中一際目立つ存在がいた。いや、二人いたのだが僕には片方しか見えていなかった。

 

「よ…ちゃん……」

 

よっちゃんがいた。よっちゃんはロケットの時間を稼ごうと前線に出ていた。

 

「………挨拶ぐらいは…ちゃんとしたいな。お別れも…」

 

僕は森から飛び出し妖怪の群れへと突っ込む。そして姿を変化させドラゴンへと姿を変える。

 

『グオオオオオ!!』

 

妖怪達は突然の僕の登場に驚き、少し硬直する。そのすき僕は妖怪達を蹴散らしながらよっちゃんの方へと向かう。それまでに3つもロケットが打ち上げられた。残りは軍の生き残りが乗るロケットだろう。

 

「はぁっ!」

 

よっちゃんは妖怪をその刀で斬り伏せながら僕の方へと向かう。僕が今この場にいる誰よりも脅威と見做したのだろう。なら好都合だ。

 

「そこの巨大な妖怪、覚悟っ!!」

 

僕はドラゴンから人の姿に戻し、ソレを受け入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ぇ」

 

 

 

 

 

よっちゃんは僕の顔を見て戸惑っていた。

 

 

 

 

「久しぶりにみ…るよっちゃんの顔はやーっぱり…いいなぁ」

「どうし…ぇあ…」

 

 

 

 

僕に突き刺さった刀がカタカタと震えていた。震えが収まったかと思うとよっちゃんは僕に触れた。

 

 

 

 

「あ、ああぁ…どう、どうして…」

「あぁ…ダメだよ…よっちゃん、穢が着くよ…」

「なんで…死んだんじゃ…わた、わたしが…ころ…し…」

 

 

 

 

僕はそこで後ろからよっちゃんを呼ぶ声と見知った顔が見えた。僕はすぐにその剣を引き抜き、よっちゃんの鞘に戻す。

 

 

 

 

「ま、待って行かな―――」

 

 

 

 

最後に何かが聞こえた気がするけど僕にはそんな余裕がなかった。

 

 

 

僕から後ろにはもう妖怪がいない。軍の人達もロケットに乗り、もう打ち上がっていた。

 

 

 

「さぁ幻想よ!今この場にいる妖怪共を蹴散らす力を!未来よ!我が都に絶対の安堵を!現代よ!我々に奇跡を!過去よ!過ちを枷に変えよ!我が身朽ち果てようと我が愛する者には指一本触れさせん!!」

 

 

 

 

穢が産まれ、そして俺の力へと変わってゆく。

 

 

 

 

「ここに!新たな時代が降臨する!全てを無に帰し、新たな有を現出せよ!ノヴァ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ありがとう、そしてさようなら綿月依姫

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________

〜綿月依姫〜

「あぁ…うぁ…」

 

言葉にならない声が出た。箱船の窓から見えたソレは変えられようのない過去、そして変えられない事実だ。

 

わたしはこの手で…彼を…最愛の彼を…

 

「依姫…少しいい?」

「お姉様……どうなされましたか?」

「えっと、彼のこと覚えてる?」

「彼?彼とはいったい…誰のことを………え?」

 

あれ、わたしさっきまで何を…

 

 

 

 

 

またね!よっちゃん!

 

 

 

わからない、わたしは誰を…この手で!!

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