あの日をいつか   作:SGMY

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八意えーりん

あの日から何一つとして変わっていなかった。えーりんはあの日、あの場所で最後に会ったときと何も変わっていなかった。

 

「どうして…」

「……ごめんなさい。えーりんやみんなが僕の名前を思い出せないのは僕の能力のせいなんだ」

「…知っているわ。貴方の能力ならこういった未来にも変えれるものね」

 

バレてたんだ…流石えーりんだ

 

「一度消してしまった記憶は貴方以外思い出せない…だったわよね」

「うん、確かそういう結果になってた」

「…貴方は貴方自身の名前をちゃんと覚えてるの?」

「………」

 

覚えてないといえば嘘になる。だけど僕自身うる覚えなんだ。

 

「覚えてるよ。だから大丈夫」

「そう…」

 

何処か悲しい目をするえーりんに輝夜はスッと手を伸ばした。

 

「…貴方がいれば月も簡単なんじゃないの?」

「もう一度言えばいいか八雲紫。月に手を出すな。月の都、そして月の民に手を出せば妖怪が大勢死ぬことになるぞ。もちろん僕もだ」

「あらあら、幻想郷を守護する龍がそんな弱腰で「わからないのか」…なにがよ」

「月の兵を見て妖怪が勝てると思えるのか」

 

僕はそういった。結論から言おう。無理だ。昔の都ならば落とすことは可能だったかもしれない。だがよっちゃんやその姉、豊姫がまだ生きてるならば不可能だ。

 

「依姫は…元気よ。昔よりかは静かだけれど。今は軍の時期最高司令官なんて呼ばれているわ」

「強くなったんだな」

「えぇ…ホントに…強くなったわ」

 

そういえばと僕はえーりんに聞きたいことがあると歩みを止めた。

 

「えーりん、どうして僕がこの地上にまだいるって知ってたの?」

「え?…ツクヨミが教えてくれたのよ。ある国の神が青い龍に負かされたって話をね」

「ちなみにそれよっちゃんに話したりした?」

「するわけないじゃない。今のあの子は不安定なのよ?そんな時に貴方が生きてるなんてこと言ったら一人で地上に行ってたかも」

 

ええぇ…よっちゃんが不安定ってなにがあったのさ…

 

「………貴方をこの手で殺してしまったと嘆いているのよ。あの日、船を打ち上げた日にね」

「あれは俺が望んだことだ。死ぬなら最愛の人の手で死にたい。ただそれだけだ」

「そのせいで依姫がどれだけ引きずってると思ってるのよ」

「はーい。話し合いはそこまで。取り敢えず貴方達にはこの竹林で過ごしてもらうわ。永琳は聞けば医者なんですってね。もしもの時は幻想郷の病を治してね」

「いや、わたしは医者というか科学者…まぁいいわ」

「それじゃ、ば〜い。あ、月の都について根掘り葉掘り聞かせてもらうわね」

 

そう言われて都がどんな物なのか、僕が生きていた時代はどんな感じだったのかを全て話すことになった。全て話しきる頃には夜明けが来ていた……

 

______________________

 

「八意様が行方を眩ませた?!」

「えぇ、情報部によると八意様と輝夜姫を乗せた船が()()()()()()()()()()消息を絶ったらしいわ」

「その何者かについて何か知らされてますか?」

「何もわからないわ。ただ奇妙な声が録音されていたと」

「奇妙な声…ですか」

 

「上層部は妖怪の類だとして鈴仙達を地上に向かわせる予定らしいわ」

「鈴仙…大丈夫でしょうか」

「大丈夫、きっと大丈夫よ。なんたってわたし達が訓練を着けたんですもの」

「………」

 

「浮かない顔ね。何かあるの?」

「……あの人のように消えてしまわないか心配で…わたしがいない場でわたしの大切な人達が消えていく…」

「依姫…」

 

「もう怖いんです。あの人のように消えてしまわないか…」

「大丈夫、お姉ちゃんはずっと一緒よ」

「………はい…」

 

 

「大切な妹を泣かせるなんて!許せないわ!わたし、黄泉の国に行けないか聞いてみる!」

「だ、駄目ですよお姉様!周りの皆様に迷惑がかかりますし、なによりあの人に迷惑をかけてしまいます!」

 

「あぁ〜もう!よっちゃんは会いたいの?会いたくないの?!」

「それは…会いたいですが…まだ死んでると確証を得たわけじゃないですし…」

「あれから何年経ったと思ってるの?例え妖怪だったとしてもあの日、船から見えた大爆発。あれで生きれるわけないわ」

「そう…ですね。そうですよね…」

 

 

「それでも遺品があれば持ち帰りたかったですが…」

「あの人が使ってた物は全て置いて行っちゃったもんね…」

 

「あ、でも一つだけあるわよ」

「本当ですか?」

「彼がずっとベッドの下に隠してた本が…えっとどれだっけ…」

「大丈夫ですかそれ。薄い本とかじゃないですか?!」

「薄くないわよ〜?ほら、これよ」

 

「これは……?!!わたしの写真?!」

「それもいっぱいね。寝顔特集とかあるけど」

「待ってください。なんでお姉様がそれを知ってるんですか。お姉様と彼が一緒にいることなんてほぼほぼなかったはずです」

「たまたま見つけたのを見つかっちゃってね。ほら、これ見て。可愛い寝顔」

 

「やめてください!恥ずかしいです!!」

 

 

「でもこれでわかっちゃったね」

「そう…ですね。こんなにわたしのことを見ていてくれたなんて…」

「もっと早くにその心に潜めていた想いを伝えていれば未来は変わったのかな」

「この気持ちを伝えていれば変わったんですかね。今のこの場に彼がいたかもしれない…」

「その時は子供がいたかもね!」

「こ、子供?!どうして子供がいるんですか?!」

 

「あれ、依姫は彼のこと嫌いなの?」

「嫌いなわけ…!……ないじゃないですか」

「ふふふ、似た者同士だもんね」

「な、何の話ですか?」

「ふっふーん、依姫が起こすついでにって彼の寝顔を撮ってたことは知っているのよ!さぁ、白状しなさい!」

 

「うぐっ…」

「まぁいいわ。依姫、貴方だけでも彼の事を忘れちゃ駄目よ」

「……わかっていますよ」

 

 

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