あれから数百年、僕はずっと外の世界で暮らした。ちょくちょく定期報告のような物を紫がしてくれて幻想郷で何が起こっているのか教えてくれた。
幻想郷の住人はどんどん増えていき、博麗の巫女と呼ばれる存在を紫は作り上げた。幻想郷は変わらず平和な日々を過ごしていた。だが外の世界は違った。人が争い、人が死んでいく。それを繰り返していた。
争いは次第に山を超え、海を超えた。
「……もう駄目なのか」
あの美しかった景色は今では微塵も見えず、家が立ち、世界はどんどん発展して行った。
「ねぇ、もう妖怪はみんなから忘れ去られようとしているわ。これは一刻も早く妖怪達を幻想郷に取り込むしか…」
「あぁ、そうだな」
「それでもやっぱり人間が少ないわ。妖怪は人間の恐怖を糧にしているのが多いの。だからどうにかして妖怪を怖がる人間を探さないと…」
「それは僕がやっておくよ」
そういう僕は国を歩き回った。やはり妖怪はもう架空の存在として扱われている。神もだ。一部の者は神を信仰し、崇めているがその風習もほとんど忘れ去られようとしている。
「ここは…守矢神社?」
気が付くと一つの神社の前にまで来ていた。ここから微量ながら感じられる力は何処かで感じたことがあるものだった。
「……入ってみるか」
この微量しか感じられない神力からもう崇拝されていない。もしくは崇拝しているものが少ない。このどちらかではないだろうか。
「…珍しい参拝客ですね」
ぶらぶらと歩いていると緑髪の巫女が現れた。その後ろには二柱の神がいた。
あぁ、なるほど。どうりで感じたことがあるわだ…
俺は人の姿から龍の姿を変え、彼女らの前に現れた。
「これは…」
『んんー?………ああああ!!この龍!覚えてるよ!コイツだよ神奈子!』
『ん?何の話だ?』
『惚けないでよ!わたし、あんたと戦う前にコイツの襲撃を受けたの!』
『……………あああ!!思い出した。あの時の話の龍か!』
すると身長が小さい神が僕を睨む。それに対抗するように僕も睨む。最近目が少し悪くてはっきりと顔が見えない…
「神奈子様、諏訪子様、この龍は…」
『早苗は下がってて。このっここで会ったが百年目!!あの時の借りを返してやろう!!』
『いや、先に攻撃したのそっちだろ』
『へ?』
「『え?』」
『ん?』
僕は固まった三人に事細かく説明した。飛んでいたら撃たれたことや龍となってしまった理由などを。
『そうだったんだ…ごめんね』
『いいや、こちらこそすまなかった。まさかその翌日にそんな大切な戦いがあったなんて…』
『それであんた、なにしにここにきたわけ?』
『そうだった。君達三人を忘れられた者達の楽園へと招待しようかと。君達、このままだと消滅してしまうのではないか?』
『『うぐっ…』』
「あ、あの!そこなら信仰を集められるのですか?!」
緑髪の巫女、早苗はそう聞く。幻想郷に神は少ないと聞く。里の人間が信仰するかもしれないこと。外の世界では神は忘れ去られようとしていることを話した。
「なぜ、わたしもなのでしょうか」
『神社に巫女は必要だ。なにより幻想入りすればこの世界の人間から忘れ去られてしまう。例外がいるかはわからないが』
「忘れ去れてしまう?!」
『そうだ。例え神とはいえゆいつ話ができた者からも忘れられるのは嫌だろう。だからだ。もちろん、他の方法で解決できたら一番幸せなんだがな』
「か、家族から…もですか?」
『そうだ。家族からも忘れられる』
『そんな…!』
『忘れずに済む方法は?!』
あればいい。だが突然消えた者を探し、二次被害が起きたら大変だ。と説明した。
「わか…りました。行きます。幻想郷に」
『………そうか。ならこのスキマを通れ。そしたら紫が説明してくれるだろう』
スキマを開き三人が通ったのを見て俺も幻想郷に戻る。だがその時だった。
「妖力を暴走させるこの能力をくらえ…!」
何かを打ち込まれた。俺はすぐに周囲を見渡し、なんの反応もなかったので気の所為だと思い幻想郷に戻り、そしてすぐに意識を失った。