ここは月の都のすぐ前。世界の境界が開かれ、一人の妖怪が現れた。
その妖怪が現れたことに月の都は大騒ぎ。すぐに綿月姉妹とその部下達が戦場に駆り出された。
「あれは確か妖怪の賢者の…」
「八雲紫…!懲りずにまた月の都へと攻めてきますか!!」
綿月豊姫と綿月依姫はまた戦争をしに来たのかと妖怪の賢者を睨んだ。だが前とは明らかに何かが違う。
「綿月姉妹が出てきてくれたのはありがたいわね…」
そういう紫に二人は首を傾げた。そこで豊姫は何かに気付き依姫に耳打ちする。
「依姫見て。八雲紫のあの傷を…」
「傷…?っ!?」
確かによく見れば八雲紫はボロボロだった。それを見て玉兎達は今の八雲紫ならと全員が武器を構える。だけど依姫は武器を降ろさせた。
「妖怪の賢者、八雲紫よ。なにようで月の都へと近付く」
依姫は八雲紫へと問いた。何が目的なのか、その怪我でなにをしようとしているのか。
「単刀直入に言うわ。綿月姉妹、貴方達にお願いがあるのよ」
「我々に?」
「えぇ、貴方達…いえ正確には綿月依姫、貴方よ」
そう言われて依姫は少し警戒する。
「私を月の都から遠ざける作戦か?そんなもので月の都が「月の都とかそういうのもうどうでもいいのよ!!」!?」
八雲紫が声を荒げた。
「あの子を…あの子を止められるのは貴方だけ。そう言われたのよ!八意永琳に!」
突然自分らの師の名前を出され、戸惑う綿月姉妹。
「……何か証拠はあるかしら?八意様が言った証拠は」
「証拠…生憎証拠を持ってこれるほど時間がないものでね、何も出せないわ。これはわたしの失態ね」
「………」
あの子、という言葉と止められるのは依姫のみ。その言葉に何かしら引っかかりを感じた依姫は何かを決意する。
「姉様!」
「行ってはダメよ依姫。本当に八意様が言ったのか確証がない以上、あの女を信用できないわ」
「ですが、もし事実なら…あの人が生きていることになるのではないですか?!」
「そうだけど…!」
「なら…!」
そこへ八雲紫の後ろから一人の妖怪が現れた。彼女は八雲紫の式神、八雲籃だ。
「紫様、八意様だから文が届いております。戦況は一刻を争う事態とのこと…!」
「「っ?!」」
八雲籃が持っていた文を見て、二人に渡す。
「これでダメかしら」
「………いいえ、これの通りなら依姫、今すぐに幻想郷に行くわよ!」
「はい!玉兎達は都内で待機!!」
そうして紫のスキマを通り、四人は幻想郷へと向かった。
スキマを通った先には八意永琳が数名の患者を見ていた。
「ダメね、余りにも数が多い!多すぎる…!」
「「八意様!!」」
「豊姫!依姫!!来てくれたのね…早速で悪いけど姫様達ではもう保たないわ。すぐに行って!!」
「「はっ!」」
「酷だけど…これでいいのよね…」
かの龍は空を悠々と飛んでいた。その巨体では考えられないスピードで飛ぶ龍に攻撃する2つの影があった。
「はぁああ!!」
「これでっ!!」
不死鳥の如く燃え上がる鳥は龍へとぶつかる。だがダメージはないように見える。すれ違うように綺麗な弾幕を振らせる姫がいた。だが龍には弾幕も効いていなかった。
そこへ八雲紫が現れ、二人を下がらせる
「二人とも退きなさい!」
すると龍が雲海から顔を出し、炎を吐いた。
「四重結界!」
八雲紫の結界により炎は防がれたが防ぎれなかった炎が幻想郷へと落ちる。
「くっ…やはり暴走…!?」
そこへ綿月姉妹がやってくる。ありとあらゆる物を原子レベルに分解するその扇子と八百万の神々をその身に降ろす二人はすぐに攻撃を開始する。
「この龍はなんというデカさなの…」
その扇子で雲海ごと分解しようとしたが、龍はその身では考えられないほどのスピードでそれを避けた。
「こうも簡単に避けるなんて…!」
「はああっ!!」
依姫の刃をも簡単に避けるその龍は依姫を凝視していた。
「?!」
「え?!」
龍は依姫を見ると泣いた。泣き叫び、頭を強く地面に打ち付ける。まるで何かに抗うように。だけど龍はすぐに元の目に戻り、依姫に攻撃を始める。
「八百万の神々よ…お力をおかしください!!《飛雷神》!!」
雲が荒れはじめ雷雨となる。雷は龍を襲い、また龍は雷を喰らう。
「姉様!あの龍の動きを止めます!」
「わかったわ!」
すると龍の周りに剣のような物が無数に現れ、龍を閉じ込める。そこへ豊姫が扇子を撫でるように振るい、すべてを原子へと変える。
『!!!!』
龍の体の一部が分解された。だがすぐに元通りになり、二人を睨む。
「くっ…強すぎる…!!」
「なんていう再生速度なの?!」
「ですが効いているはずです!このまま分解し続ければ…」
「……ねぇ依姫、貴方をあの龍の背後へ転送するわ。一撃でもいいから龍に入れることは可能かしら」
「………やりましょう」
豊姫は依姫を龍の背後へと瞬時に移動させた。龍は依姫がいなくなったことに戸惑い、当たりを見渡す。
「気配を察知しているわけではなく、その目で見ているのですね…」
依姫は龍の頭部に乗り、その刀を龍へと突き刺した。
『!?!?!?!?!?』
龍は力無く地面へと落ちた。
「これでよかったのでしょうか…」
「えぇ…でも結局《あの子》ってのは…」
そう豊姫が考えていると依姫が武器を落とす音が聞こえた。
「依姫…?」
「ぇ…ぁ……あぁ…そんな……」
依姫は信じられないという目で何かを見つめていた。豊姫は依姫の目線の先へと向いた。
「え…?」
先ほどまで龍がいた場所に一人の少年が倒れていた。それが誰なのか二人は考えたくなかった。
「よ…依姫…」
依姫はすぐに駆け出し、少年の元へ向かう。
「生きて…!なぜ…!どうして…!」
そこへ八雲紫と八意永琳がやってきた。
「八意様…!どうして彼が…!」
「…あの子は妖怪となり、あの日からずっと生きていたわ」
「あの日って…まさかあの日から!?」
八意永琳は少年に近づき振れた。
「……やはりもう長くないわ」
「そんな!!」
「暴走する中で彼は妖力を全て使い切った。それでも暴れるその体は等々彼の寿命を削り始めた…」
「寿命を…」
「そんな…!」
すると少年は少しだけ目を開けた。
〜少年〜
あぁ、懐かしい声がする。懐かしい匂いがする。懐かしい顔が見える。
「よ…りひめ…」
「っ!はい!ここにいますよ!」
あぁ、やっぱり依姫は可愛いな…
「ようやく、ようやく再会できたんです!このまま…!あの日のように!一緒に、一緒に帰りましょう!?」
あぁ、もう温かさも感じないや…
手を伸ばし、依姫の顔に触れる。
「いつまでも…こう…ふれていたかったな…」
「こ、これから!何度でも!いつまでも触れていいですから!!だから…!!」
もう眠い…
「よりひめ…だいすきだよ…」
柔らかい何かが唇に触れる
あぁ、もう瞼が落ちてしまう…最後に感じた唇の柔らかさを…もっと感じていたかったな___
「姉様、そろそろお時間なので私はこれで…」
「あら、もうそんな時間?彼によろしくね」
「はい!もちろんです!」
姉様の能力を使い、私は幻想郷のとある場所に訪れる。
「っと、お久しぶりですね。博麗の巫女」
「げっ月の巫女…今度はなんのようよ…」
「別に危害を加えに来たわけじゃありませんよ。裏のお墓に用があるんです」
「裏のお墓?あぁ、名前が書かれてなかったあれね。あんた、あれが誰のお墓か知ってるの?紫も教えてくれなくてずっと気になってたのよ」
妖怪の賢者はわざと教えていないのか、忘れているのか…まぁ、どちらでもいいですが…
「誰のお墓なのか、ですか……そうですね…幻想郷にいた一匹の龍のお墓です」
もっとこう…あるだろ!!