「ねぇ!見て陽向!」
「もぅなにぃ?」
休み時間ポケット参考本を読んでた陽向は制服の袖を掴み引っ張られた。
呆れた顔で親友、渡辺凜果が見せるスマホの画面を見る。
そこには自分と同い年ぐらいのバンドグループが歌ってる動画があった。
「ね!めっちゃいいでしょ!。リーダーの大樹推し何だけど箱推しになりそう♡」
「全く興味ないんだけど‥‥凜果そう言うの好きだよね~」
「イケメンに目がないの!」
「面食いか‥‥」
興味なさげにする陽向に凜果は「むぅ」と頬を膨らませた。
「もぅ!つまんない大人みたいな会話しちゃって〜!。陽向は好きな男とかいないの?」
親友の言葉にビクリッと身体を震わす。
「おぉ、その反応は好きな殿方がいるんだね〜♪」
「い、いないわよ!」
記憶の脳裏に浮かぶ幼稚園から中学まで一緒だった幼なじみ‥‥‥今ではもう遠い存在だ。
―――――
俺も含めて皆死ねば良い。
それが闇御大望(くらみおう)の望みだった。
物心付いた時から親が憎たらしく齢6歳にして実の母の左目をカッターナイフで突き刺し、興奮を覚えたものである。
母が気絶したのを確認したのち大望は近所に住む飼い猫や野良猫を殺しまくり警察に保護された。
翌日、『狂気。6歳の少年の奇行』と言う記事が新聞の全面記事を飾る。
数日後、病室で恐怖に震える妻を夫は必死で宥めていた。
「あ、あの子は化け物よ‥‥‥もう私達の手に負えないわ!」
「大丈夫だ!すぐにあいつを隔離する!あいつの事は俺達の為にも忘れよう!」
事態を重く見た両親は大望の矯正施設への隔離を決意。
大望はここでくだらない11年半を過ごした。
だが身体を鍛えるのはやめなかった‥‥‥‥‥。
人を痛めつける為に。
殴って泣かせる為に。
蹴って苦しむ様をみたい為に。
彼は自分が大衆の一般とされる常識から外れてると言う感覚はあったし、自分が異質な存在だって事は施設でも否が応にも思い知らされた。
それでも、この衝動を抑え切れぬのだ。
「手初めに‥‥あの施設の奴等だな」
土曜日の夕刻薄ら笑いを浮かべポキポキと関節を鳴らした。
「そこの若いの。お主には素質がある」
「‥‥あァ?」
施設に帰ろうとした時、変な帽子を被った老人に声を掛けられた。
どこかで見たかと思えば、平安時代だかの昔の日本人が被ってたような帽子だ。
「随分古典的な勧誘だな。じーさんよ」
黒装束を纏い、古びてガタが来てそうな机とその椅子に座っている。
蹴れば老人もろとも吹き飛びそうだ。
「物売りならもうちょいマシな場所でやれや。大衆の迷惑だぜ?」
「若いの。お前は一々大衆に合わせねば生きていけぬのか?。ハッハッハッハ。まだまだ尻が青いガキじゃの」
「舐め腐ってんじゃねぇぞ!クソジジイ!」
気づいたら蹴りを老人に放っていた。
ダァン!と轟音が鳴り響き老人は横に倒れる。
胸ぐらを掴みながら殺意を込めた目付きを老人に向ける。
だが以前老人は笑みを崩さない。
「ほう。中々力だけはあるな。まぁ、作法と礼儀は後から覚えればよいだろう。オツムの弱さもその時克服していけばいい」
「おいジジイ。おめぇよ‥‥。何上から目線で語ってんだ。あぁ!?」
「熱り立つでないわ。小僧」
「テメェェェェェェェェェッ!」
殴りかかろうとした瞬間、大望は気を失った‥‥‥。
「血気盛ん結構、後はお主がそれを使いこなせるか。それだけよ」
『お主に伝授してやろう。全てを絶望に染め世を破滅し新たな世界を創る闇の力をな』
老人は影の中に大望を沈めていき、自身もその中へ入っていった。