光の華   作:獄華

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 渡辺凛果は推しのバンドグループ『ヴァダー』の動画を見た際、とある異変に気づく。


幻覚か現実か

 

 「この世の全ての始まりは闇じゃ……。儂らが住む銀河は元々何もなかったのだからなぁ」

 

 軽トラを運転しながら老人は一人呟く。

 助手席には大王がグッタリした様子で気を失っていた。

 誰の心にも闇が存在する。

 闇は色んな属性に姿を変える。

 

 闇そのままの素体である闇属性。

 

 闇が世界を構築する中で生まれし真反対の光属性。

 

 光により生まれし草木が生い茂る自然属性。

 

 そして自然から生まれた水属性と光から生まれし火属性。

 

 更には土属性に風属性、氷属性と様々な属性がある。

 

 

 「ふむ」と老人は大王の額に手を当てた。

 強力な憎悪が渦巻いている。

 彼の属性は間違いなく闇だ。

 

 「単純明快じゃな」

 

 

 笑いながら老人は帰路を急いだ。

 才能を無碍にする等人生における無駄その物……。

 この世には知らなくても良いこともあるが、知らなければ存(・・・・・・・)なこともある。

 壊滅的思考が少し気になるがこの少年ならゲーム(遊戯)を勝ち抜けるかもしれない。

 

 「ちょうど今百大会目…全く何の因果やら」

 

 

 

 

 老人の家が見えてきた。

 何はともあれまずは大望を休ませることだ。

 

 

 

 

 

 —————

 

 

 

 

 

 

 「はぁ……もう私宿キャン界隈(※宿題キャンセル界隈)の住人になりそう」

 

 

 渡辺凛果はスマホ片手に本日出された宿題に挑んでいた。

 正直面倒くさい、凄く面倒くさい。

 なんで宿題なんてものがあるのか学生への嫌がらせとしか思えない。

 時刻は午後10時。

 シャワーの時間も考えればそろそろ終わらせないといけない。

 

 ……いけないのだが。

 

 「面倒くさいよ〜」

 

 机に突っ伏し手と足をバタバタと動かした。

 『宿題キャンセル界隈女子の生態』なるタイトルでショート動画を出したくなったが、いっときの承認欲求により人生を棒に振りたくないのですんでで堪えた。

 明日陽向との話の種にすればいい。

 

 そんな邪念と格闘しながらようやく凛果は宿題を終わらせた。

 

 「はぁ……。終わった」

 

 その後彼女は三十分程お風呂に入り、パジャマに着替えベッドの上でスマホを触りながらYerTueBの動画を漁る。

 動画を見ながら寝落ちこれが彼女のルーティンだ。

 中でも彼女が見るのは……今日学校で陽向と話したバンドグループ『ヴァダー』の動画だ。 

 特にリーダーの倉田大樹が彼女の推しで大樹が出る場面なら再生速度を遅くしたり静止したりしてじっくり見る。

 ガチハマりしてるのだ。

 

 「はぁぁ……今日も大樹カッコいい♡」

 

 いつかお金が貯まったら是非とも推し活したいところである。

 

 「あ、新着動画上がってる!」

 

 ショートの動画で内容は、大樹がスマホを指差し「今日も皆に笑顔を送るよ」とウィンクしながらファンに呼び掛ける物だった。

 

 「あれ……?」

 

 イケメンでかっこいいしイケボなのはいつも通りなのだが、一瞬彼の差し出した腕が赤く染まった気がしたのだ。

 ……まるで炎が揺らめいたような。

 何度か再生して見て気のせいで無いことに気付いた。

 明らかに炎で赤く染まっている……。

 だが特に動画のコメント欄にその場面を指摘した物は皆無だ。

 

 「編集かな……?。にしてはリアル過ぎるけど……」

 

 明日、陽向にも話してみようと考えてる内に凛果は寝落ちした。

 

 

 

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