光の華   作:獄華

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黒幕

 

 保健室に無事、遥輝と玲奈を送り届けた陽向達はなんとか朝のHRに間に合い1時限目の現代国語の授業を受けていた。

 担任の教師にいじめがあったと言いたかったが奴等は証拠を残していない。

 しかもクラスと言う大衆の前でいきなりそんな事を言われたら最悪教師に「はいはい」と一蹴される可能性がある。

 ないしは一蹴にされた挙句いじめグループの報復が陽向にだけ向かうならいいが親友の凛香やいじめを受けている遥輝と玲奈がこれ以上に苛烈ないじめを受ける可能性すらあるのだ。

 ………それらを考えれば半端な申告は却って陽向が守りたいと思う者たちへのダメージが大きくなってしまう。

 負けない戦い方をする上でこんな悪手は打ってはいけない。

 

 

 (守るってこんなに難しいんだ……でも私は逃げるわけにはいかない)

 

 

 考え込んでいると陽向の肩をポンポンと後ろの席の凛香が叩いた。

 振り返ると彼女は軽くガッツポーズを作りながらウィンクして見せる。

 親友のエールを受け陽向も声を出さず口を「ありがとう」と動かしウィンクし返した。

 凛香が親友で良かったと心から思う。

 普段はふざけたりおちゃらけたりする彼女だが今は非常に心強い。

 

 

 (本当にありがとう凛香)

 

 

 

 陽向は授業を聞きながら先ずは自分に何が出来るのかをノートにリストアップしていった。

 

 

 

 

 

 ―――――

 

 

 

 

 

 

 

 (月影陽向は馬鹿に違いないですね)

 

 少女は授業中ふと心の中でぼやくと後ろをちらりと見る。

 総勢25名のこのクラスは現在二人分の席が空席と化してるが誰も気にしていないだろう。

 否、月影陽向は別かもしれないが。

 

 いじめ………大なり小なり様々な種類が存在し重ければ人の命まで奪いかねない愚行である。

 ニュースやネット記事で見れば「なんて愚かな事を」、「最低だ。信じられない」等と簡単に批判出来るが………当事者達は別なのだ。

 それはいじめグループの一員である戸山祢々自身が物凄く身に染みていた。

 他所のいじめは批判し、自分達のいじめは正当化している。

 

 最初は祢々もこの認識が怖かったが園田玲奈と川名遥輝をいじめてる内に罪悪感も薄れていった……。

 しまいにはこれが理性と知性を得た人間社会の弱肉強食なのではとさえ思い込んでいる。

 ……結局は人間も動物なのだと。

 

 恐らくクラスの大半がその考えだろう。

 現に今日に至るまで祢々達のグループに反旗を翻したのは月影陽向ただ一名。

 渡辺凛香(あの人)は親友の行動に付き合わされただけだ。

 

 (それにしても凛香さんもタチが悪い。いつまで陽向さんに黙っておくんですか…………貴女がこちら側の人間だと言う事を。月影陽向が貴女と言う船から落ちたらすぐ鮫に喰い殺さわれる軟な存在だと言う事実を……)

 

 

 

 祢々と目があった凛香は笑っていた、普段彼女が陽向には見せない邪悪な笑みを浮かべて……。

 

 

 

 

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