Palworld(パルワールド) とある冒険者の歪んだ手記《イレギュラー・ノート》   作:ナ月(なつき)

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「マーカス自警団?」

「そう。愛護団体と繋がってるの。ここからだと北東にある、砂漠に住んでる人たちよ」

「まぁ、パルを愛護したいやつらと、人とパルを守りたいやつらなら、結託するのも頷ける」

「違うわよ。パル愛護団体はパルの保護を目的としているけど、自警団が守っているのは秩序なの。そして秩序の管理には金がかかる。愛護団体は、金でやつらを雇っているだけよ」

「宗教って儲かるの?」

「裏でどうせ、人を買ったり売ったりしてんでしょ」

「パル愛護団体じゃなくて、人間嫌悪団体じゃん」

「意味は同じよ」

 

 同じなのか。

 複雑な事情だ。

 

「あ」

「ん?」

 

 双騎士の大橋に、緑色のローブを着たパル愛護団体が待ち伏せていた。

 思わずパルをしまって木陰に隠れて、様子を見る。

 

「うげー、めっちゃ張られてんじゃん。あれって見つかったらどーなる?」

「そりゃ戦闘になるに決まってるでしょ。話し合って分かるようなやつらじゃないわよ」

「密漁団の幹部がそれ言う?」

「うっさいわね」

 

 しかし困った、これじゃ進めないぞ……。

 などと困りあぐねていると、すぐ後ろで人の足音がして、振り返る。

 

「え……」

 

 両手で持つような巨大なガトリング銃を手にした密漁団クラッシャーとその配下らしいゴロツキたちが数人、俺たちの真横を通り抜けて橋のほうに歩いていく。

 あいつら、何を……?

 

 するかと思えば、まぁ、ですよねー。

 銃火器をぶっぱなし、派手な銃撃戦が始まった。

 

「なんだなんだ!?」

「あっ、今チャンスじゃない!? 行こう、ノーフェ!」

「そりゃ行くけどさ!」

 

 パルを出し、強行突破をしかける俺たち。

 密漁団のやつらが、にかっと笑ったように見えた。

 

「あれ、あいつらってもしかして、いいやつら?」

「たまたまでしょ、たまたま!」

 

 たまたまなワケあるかい。

 見境なく攻撃すんなら俺たちも後ろから撃ってたはずだ。

 それをそうしなかったということは、愛護団体の脅威を分かっているのか、それを抑えようとしている俺たちの動きを察しているのか、ゾーイを単純に慕っているやつもいたのか。

 いずれにせよ、なんだ、いいやつらじゃん。

 

「橋を抜けるわよ!」

「気ぃつけろ。橋の中央にもいる」

「危なかったわねー。あのまま無理に渡ってたら挟み撃ちだったわよ」

 

 なるほどこれなら、正面突破だけで済む。

 パル愛護団体は猟銃を俺たちに向けるが、スマイルもアロニウムも、鉛玉ていどで怯むような柔な生き物ではない。

 

「ブチ抜け! スマイル!」

「今度こそお前の力を見せてやれ、アロニウム!」

 

 雷と葉が舞い、愛護団体を右に左にブチのめしていく。

 この程度、相手にならん。

 そう思っていた矢先に。

 

 テレン!

 と、危険を知らせるアラートが俺の視界に表示される。

 『犯罪レベル×2』。

 ……? なんだっけ、これ。

 

 見ればぞろぞろと、黒い装備を纏った自警団がやってきた。

 

「マーカス自警団!」

 

「指名手配者だ。始末しろ」

「民間人への暴力は禁止されている」

 

 は?

 

「民間人じゃなかったろ! よく見ろ! 武装してんじゃねーか!」

「問答無用」

「あ、これ話になんねーやつだ」

 

 密漁団や愛護団体と違い、明確に人間の倒し方を心得ている動き。

 距離を開け、ハンドガンを構えてくる。

 

「厄介ね」

「自警団とやり合ったことは?」

「あるわ。でも、戦う旨味がないから基本、逃げてた」

「そりゃそうだよな。しゃーねぇ。半分任せた」

 

 俺はアロニウムから降りて、弓を構える。

 撃ってくんだから、仕方ねぇ。

 相手は銃でこっちは弓だ。正当防衛だろ。

 

 『犯罪レベル×4』。

 

 いやなんでだよ。

 まずいな。どんどん指名手配レベルが上がっていく。

 これ、上げてくの絶対よくないよな。

 

 だが、橋は一本道だ。突破するしかねぇ。

 

「ゾーイ! 戦えば戦うほど不利になる! 多少の被弾は堪えて、突っ切るぞ!」

「仕方ないわね……っ! がんばってね、スマイル!」

 

 アロニウムにライドし、被弾覚悟で強行突破する。

 ありったけの銃弾を身に受け、アロニウムがどんどん傷ついていく。

 まずいぞ。ゾーイのほうはもつだろうが、こっちがもたねぇ。

 だが、戦い続けて勝てる相手でもない。

 

「根性見せろよ、アロニウム……!」

「あんた、バカ!? あたしの後ろにつきなさい!」

「ゾーイ?」

「こんくらい、スマイルならへっちゃらよ! ひとりで戦わないで!」

 

 頼もしいスマイルとゾーイの後ろ姿を見守りながら、双騎士の大橋を突っ切り、彩蝶の森へと足を踏み入れた。

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