東方狂奏夏【~Phantasy “Hot” Orchestra~】 作:トカゲの妖怪
「今こそ幻想郷を手中に収める時である!」
正邪が拳を高々と掲げ、大声で叫ぶ。
しかし百々世も私も、そんな事に興味はない。
あの異変解決から二日、太陽は相変わらず空に輝いている。霊夢が何をしているか分からないが、大方異変解決の傷を癒しているのだろう。
「一応聞くけど、何で?」
「太陽はこの二日間沈まなかった! そのせいで妖怪達は力を失い、弱体化している! 強者達が弱っている今こそ、幻想郷を狙う好機である!」
「そう。でも私達含めて全員弱体化してるから、強さ自体は変わらないんじゃないの?」
「くぁ……」
百々世は床に寝転がりながら、大きな欠伸をする。
正邪はそんな百々世の様子を見て、ゆっくりと拳を下ろした。
「俺を使いたきゃ、俺を倒してみろってんだ」
「今の所正邪全敗だもんね」
「全敗って言うな! まだ5勝0敗だ!」
「逆ね、0勝5敗」
「不意打ち含むも付け足しとけよ」
「むきー!」
正邪はナイフを取り出し百々世に投げつけるが、百々世は一切視線を向ける事なくナイフを指で掴む。
そしてそのナイフで自分の爪を削り出した。
「殺気がダダ漏れなんだよ……あ〜あ〜! なんか面白いことねぇかなぁ!」
「じゃあ一緒にこの異変解決しに行く?」
「ん〜それはパス」
「どうして?」
「……この声の主は、俺みたいな荒くれ者じゃダメだ」
「声?」
「あぁ、異変が始まった時からずっとうるせぇんだよ」
「……そういえば蝶の妖精もそんな事言ってたよね」
私が思い出しながらそう呟いた瞬間、輝針城が大きく跳ね上がった。
私は咄嗟に正邪にしがみつくが、何かが輝針城の壁をぶち抜いて私達のいる部屋に踏み込んでくる。
「あぁ、いたいた。お邪魔するわよ」
「な……風見幽香!? まさか私の首を!」
「いやあんまり興味ないわ、そちらの小人と蜈蚣に用があってきたのよ」
幽香の鋭い視線で射抜かれ、私は正邪に掴んだまま縮み上がる。
しかし百々世はすぐにピッケルとシャベルを握り、戦闘体制に入っていた。
「何だぁ……テメェ?」
「あら怖いわ、挨拶がわりにどうぞ」
幽香は日傘を畳み、その先端を百々世に向けた。
次の瞬間、巨大なビームが傘の先端から放たれる。百々世はスレスレで回避するが、幽香は日傘を動かしてビームが百々世を追いかける。
「な、何でこんなことするのさ!」
「針妙丸! 私から離れるなよ!」
正邪は私を引っ付けたまま、百々世を追いかけて向かってくるビームに飛び込む。
「【身代わり地蔵】!」
ビームを潜り抜ける一瞬、正邪の懐から小さな地蔵が飛び出し光り輝いた。
ビームはその地蔵を狙う様に狙いが逸れ、私達は無傷でビームを潜り抜ける。
「クソ! 弱者はこうやって強者に理由もなく蹂躙される、だから私は下克上が必要だと言ったんだ!」
「あら、理由ならあるわよ」
「あぁ?」
幽香はビームの照射を止め、床に日傘を立てた。
随分と風通しが良くなった輝針城の中心で、幽香は私達に微笑みかける。
「あなた達、私の畑を荒らしたじゃない」
「あぁ? どういう事だ針妙丸、輝針城は畑に被らないようにしてるって言ったたよな」
「いえ、それじゃなくって。三日ほど前に荒らしたでしょう?」
「三日前……?」
三日前といえば、私と百々世で異変解決に出た日だ。
だが花畑を荒らした覚えなど、心当たりが一切ない。
その様子に呆れたようにため息を吐き、幽香は蝶の羽を取り出した。
「エタニティ・ラルバと戦ったでしょう? その時に花畑が巻き込まれてたのよ」
「……あ」
「おい針妙丸!? 『……あ』ってなんだ!? 私は何かとんでもない事に巻き込まれてないか!?」
「どうやら覚えはある様ね。あなた達は悪くないかもだけど、ある程度の罰は受けてもらわないといけないから」
幽香は日傘を床から引き抜き、先端を私と正邪に向ける。
正邪は私をむしり取って、明後日の方向に投げ飛ばした。
「はぁ!?」
「道具もないのに巻き込まれてやるもんか! 死ぬなら一人で死ね!」
「じゃあ遠慮なく」
幽香の日傘が私に向く。
高密度の魔力が一点に集まり、眩く煌めく。
「【蠱毒『スカイペンドラ』】! 俺がいる事忘れてんじゃねぇぞ!」
「えぇ、そんなに殺気がダダ漏れだとね」
幽香の背後から百々世が飛び出す。
しかし幽香はスカートをひらりと舞わせ回転し、日傘の先端を百々世に向けた。
「【⬛︎⬛︎『マスタースパーク』】」
「百々世!」
魔力のビームが発射され、百々世は跡形もなく消し飛ぶ。
私はあまりの呆気なさに、その場に膝をついて眺めていた。
そして幽香が私の目の前に歩いてきて、日傘の先端を頭に突きつけた。
「何か遺言は?」
「……」
「おい風見幽香!」
「なにかしら?」
私と幽香が同時に正邪の方を見る。
その手の上には、小さな蜈蚣が乗っていた。
「……その子は?」
「下克上タイムって事だ」
「はぁ?」
幽香が顔を顰めた瞬間、正邪が蜈蚣を投げつける。
幽香は一瞬怯むが、すぐに蜈蚣を手で払いのける。
「【逆符『天下転覆』】!」
「不意打ちにもなってないけど」
正邪がスペルカードを放ち、弾幕が周囲に生成される。
しかしその弾幕は幽香には一つも当たらずに、輝針城を破壊し始める。
その時、私の目の前に払い除けられた蜈蚣がやってきた。
「え、これ……!」
「今だ! 【隙間の折りたたみ傘】!」
正邪が大きく叫び、折り畳み傘を振る。その瞬間八雲紫と同じスキマが出現し、蜈蚣の持ってきたアンカーポイントに通じた。
私はすぐにスキマを通り、正邪の手の上に着地する。
「な、何でさっき捨てたのに助けるの!?」
「あぁ!? ……まぁ、何となくだ! ちょうど下克上チャンスでもあるしな!」
「あら、ということは私の敵でいいのね」
「……上等だ! 行くぞ針妙丸!」
「う、うん!」
私は正邪の肩によじ登り、針の剣を構える。
幽香は日傘を剣の様に構え、魔力を纏わせる。
「【逆転『チェンジエアブレイブ』】!」
「【大漁『空中大回転漁法』】!」
正邪が空間の上下を回し、幽香の体制が崩れる。
その瞬間を狙って私針を投げ飛ばし、幽香の服の端に引っ掛ける。
「その小さな体じゃ釣り上げられないわよ」
「回転!」
「うっせぇ!」
私の合図と共に、正邪がもう一度上下を回す。それと同時に私が竿を引っ張り上げると、上下が逆転した影響で幽香は簡単に釣り上げられる。
天井に勢いよく叩きつけ、細かく糸を動かし針が外れない様にする。
「もう一回!」
「分かってるっての!」
「このっ……!」
幽香は私に日傘の狙いを定めるが、その瞬間正邪が上下を連続で回転させる。
幽香の放ったビームは全て外れ、回転に慣れている私は幽香を振り回し壁や天井に叩きつける。
日傘が音を立てて空を切ると同時に、私が手繰っていた糸が切られ幽香が自由の身になる。
「大したダメージになってないわよ!」
「正邪! あれ出して!」
「少し待て!」
「【『フラワーシューティング』】!」
幽香の手から、花形の弾幕が放たれる。輝針城を崩しながら視界いっぱいに広がった弾幕が、私達に迫る。
その弾幕の中を何かが通り抜け、正邪の手の中にあるものが現れた。
「来た! 【呪いのデコイ人形】!」
「なに!?」
正邪が人形を空高く放り投げると、弾幕はその人形に吸い込まれる様に誘導される。
すっきりとした視界の中、幽香がぽっかりと空いた輝針城の外を眺めている。
「……少し加減し過ぎたようね」
幽香が体を逸らすと同時に、百々世のシャベルが飛んでくる。
正邪はそれを受け取り、剣の様に構えた。
「百々世の……!」
「この蜈蚣があっての連携だな」
正邪の指の間を、さっきの蜈蚣が楽しそうに動き回る。
その様子を見て、幽香は顔を顰めた。
「蜈蚣で遠隔の意思疎通、そして遠距離からの補助道具の投擲……三対一は不公平じゃなくって?」
「バーカ! これで実力差はトントンだよ!」
「ならあの大蜈蚣が帰ってくる前に、あなた達を倒しておこうかしら!」
日傘の先が私達に向き、巨大なビームが放たれる。
正邪がシャベルを振ってビームの軌道を曲げ、輝針城のど真ん中に巨大な穴が開く。
「【『幻想春花』】」
幽香が床に日傘を突き刺すと、輝針城の床から一瞬で花々が咲き乱れる。
花は全て正邪を狙い、魔力を込めた弾幕を放ち始める。
「布!」
「……来た!」
正邪が大声でリクエストをすると、遠くから丸まった布が飛んで正邪の手に収まる。
正邪はすぐにその布を広げ、私ごと自分の身を包んだ。
「【ひらり布】!」
「小癪……!」
布で視界が塞がる直前、幽香が日傘をこちらに向けたのが見えた。
ビームが放たれる音が聞こえると同時に、私達を包む布が赤熱し発火する。
「あつっ!」
「やりきれない……」
幽香の冷たい声が響くと同時に、正邪がひらり布を脱ぎ捨てる。
捨てられたひらり布は日傘の斬撃によって真っ二つに裂かれ、幽香と目が合う。
「【逆符『イビルインザミラー』】!」
幽香が行動を起こす前に正邪がスペルカードを発動し、弾幕で幽香との間に壁を作る。
しかし弾幕の壁をものともせず、幽香は一歩を踏み出した。
「針妙丸!」
大きく振り上げられた日傘が、弾幕の壁ごと正邪を切り裂く。
正邪は斬られる直前で私をスキマの中に押し込め、一定の距離を取らせた。
正邪は床に横たわり、目の前の幽香を睨みつける。
「下克上失敗ね」
「……知ってたさ。私じゃ強者に勝てないことはな」
正邪は幽香に向けて中指を立てる。
そんな正邪の目の前に、幽香の日傘が突きつけられる。
「だから私の目的は最初っから一つだ!」
「【『蠱毒のグルメ』】!」
幽香の背後から大量の弾幕が展開され、それを突き破りながら百々世が飛び出す。
不意を突かれた幽香は対応が遅れ、百々世の体当たりで吹き飛ばされた。
「く……いつの間に……!」
「お前のアドバイス、役に立ったぜ。殺気を抑えれば不意打ちもこの通りだ」
「おせぇぞ大蜈蚣……おかげで酷い目にあった」
「あぁそうかよ、これ以上酷い目に遭わない様に寝てなクソ天邪鬼」
百々世の言葉に従う様に正邪は床に大の字で寝転がり、床にスキマを展開し姿を消した。
百々世は私を拾い上げ、慣れた動作で肩に乗せる。
「ほらよ、お姫様。アイツの倉庫に飾られてたやつだ、使ってやれ」
「これ……小槌のレプリカだ」
百々世は私に小槌のレプリカを手渡す。
正邪が指名手配されて幻想郷から追われていた時に使っていた、形だけの小槌。
私は少し大きなレプリカを構え、幽香に向き直る。レプリカは妙に暖かく、握れば勇気が湧いてくる。
「何だって出来そうだ」
「そりゃいいぜ。アイツの望み通りは癪だがせっかくだ……!」
「「「下克上の時間だぁ!」」」
三人の声が輝針城に響く。
百々世の髪の中から一斉に蜈蚣達が、正邪の道具を持って飛び出す。
幽香は素早くその蜈蚣達に日傘を向けたが、百々世がその日傘を蹴り上げた。
「【大蜈蚣『スネークイーター』】!」
「……【花符『幻想郷の開花』】!」
弾幕が激しくぶつかり合い、火花が散る。
その火花に照らされる様に、日傘が振り下ろされる。
「オラァ!」
「……チッ」
完全に背後からの不意打ち、しかし百々世と私のコンビネーションの前に不意打ちを無駄だ。
百々世はピッケルを使って日傘を背中で受け止め、ギラリと尖った歯でニヤリと笑った。
「背後からの攻撃、私がいる限りは通らないよ」
「って事だ! よっ!」
百々世は地面に落ちたままだったシャベルを拾い上げ、幽香を殴りつける。
日傘を剣の様にして防がれたが、幽香は大きく吹き飛ばされる。
輝針城の残り少なくなった壁に叩きつけられた幽香に向かって、百々世は這いずる様に近づく。
「【蠱毒『カニバリスティックインセクト』】!」
百々世と同じ様に、蜈蚣達が幽香に向かって走り出す。
しかし幽香は壁に叩きつけられた姿勢のまま、全く動かない。日傘も攻撃を防いだ時と同じ様に、先端はそっぽを向いている。
だが、私の背中には悪寒が走っていた。
「蜈蚣!」
私は蜈蚣達から予備のひらり布を受け取り、急いで広げる。
次の瞬間、幽香の手から巨大なビームが放たれた。
一斉に蜈蚣達は道具を持って逃げ出すが、私達は逃げきれない。ビームはひらり布で曲げられるが、布には大きな穴が空いてしまった。
「……完全に不意打ちだったんだけど?」
「……さ、殺気がダダ漏れだったからね」
その瞬間何の予感もなく、幽香の手から細いビームが放たれる。
百々世は何気ない動作でビームを弾くが、確実に私を狙った一撃だった。
冷や汗が、百々世の肩に落ちる。
「さて、〆にかかろうか。お姫様!」
「う、うん!」
「……あなた達の戦力じゃ、私には勝てない。それを理解出来ないほどの愚か者だとは思わないのだけれど?」
幽香は日傘を構え、私達にそう告げる。
だが私達のゴールはそこではない。私には何も告げられていないが、私には二人の考えが手に取るようにわかっていた。
「やっぱり二人共、よく似た同士だよ」
「あん? 変な事言うお姫様だな」
「【『七人の一寸法師』】!」
私は弾幕を放ち、幽香に向ける。
壁を背にした幽香は日傘を開き弾幕を防ぐが、その瞬間に百々世もスペルカードを発動した。
「【大蜈蚣『ドラゴンイーター』】!」
蜈蚣達が一斉に飛び上がり、幽香に向かって飛びかかる。
その蜈蚣達から道具を受け取り、私も小槌のレプリカを構える。幽香の日傘に弾かれ、蜈蚣達は周囲に散らばる。
私達は幽香の日傘に取り付き、ピッケルを突き立てる。
「硬ぇ!」
「くっ付いた!」
私の言葉を合図に、百々世が日傘を蹴って離れる。
幽香は魔力を日傘の先に集めて日傘を閉じ、狙いを百々世の心臓に定めた。
だがビームが放たれる前に、日傘の先にくっ付いたものに気付く。
「【隙間の折りたたみ傘】、正邪の忘形見さ」
私は日傘を大きく振り、スキマを幽香に向けて開いた。
日傘の先から放たれたビームはスキマを通り抜け、幽香に直撃した。
ビームは幽香を城の壁ごと吹き飛ばし、土煙は一瞬で周囲を支配した。
「……少し油断したわね」
「まぁ……そうだろうな」
「嫌になるね……」
土煙の中、日傘を一振りしただけで幽香の体には傷一つなかった。
不死身かと疑う程の耐久性、圧倒的すぎる戦力差。何より膨大な魔力量。会敵し瞬間には分かっていた、風見幽香には勝てないと。
だからこそ、私達には勝機があった。
「でももう油断しないわ。次は本気で殺す」
「いいや。次はないよ」
「あぁその通りだ、掘削作業は計画的に行えよな。採掘屋からのアドバイスだ」
「はぁ? ……まさか!」
幽香は周囲を見渡す。
輝針城の最上階。逆さになっているから最下層が正しいだろうこのフロアは、そこに位置している。
幽香は全てを弱者と見切りを付けた、圧倒的な力でねじ伏せるだけの戦い方しかしなかった。細かな事には気にも止めず、このフロアの耐久性なんて目もくれず。
風通しの良くなり、夕日の差し込む輝針城。微かに繋がっていた壁が、自重によってミシミシと音を立てて千切れ始める。
「私達の狙いは最初から一つ!」
「圧倒的強者のお前の弱点を突く事!」
「風見幽香ァ! お前の弱点はズバリ花畑だ!」
「クソッ!」
幽香は城から飛び降る。この城の真下には、太陽の畑が広がっている。
その瞬間、輝針城が崩壊し落下し始める。
幽香は城を下から受け止めるが、城の勢いは止まらない。
「ぐぅ……!」
私達も城の外に飛び出し、幽香の状況を見る。
幽香は地上の花畑ギリギリで、城を受け止め切っている。
「お前達……許さないからな……!」
「取引だ! 私達を攻撃しないのなら、この城を何とかする! それが条件だ!」
「く……花を人質に取るなんて……!」
「汚い!? おいおい私ら弱者から最後の手段まで奪うつもりか!?」
正邪がウキウキとしながらやって来る。
必死に城を支える幽香を横から覗き込み、ニタニタと笑みを浮かべる。
「幻想郷侵略に手を貸せ、今なら妖怪達は弱体化している。日差しが差し続ける今なら……今なら……」
正邪が顔を顰めながら、沈んでいく太陽を見る。
呆然としている正邪を百々世が殴って気絶させ、蜈蚣達を城に放つ。
「幽香、私達は襲われて仕方なく戦ったんだ。花を傷つけるつもりはなかった」
「あぁ、直接やったのは俺だしこいつに責任はない」
「く……!」
「お詫びになるなら手伝う。どうかここは矛を納めてほしい」
「ぐ……! 分かった、分かったわよ!」
「よし! 蜈蚣衆、上から解体していけ!」
百々世の合図と共に、城の上部で蜈蚣達が木を齧って解体し始める。
木屑がパラパラと落ちる中、私達も微力ながら城を支える手伝いをする。
日は沈み、退屈な一日が終わりを告げた。
~その後~
解体作業は夜中には終わり、私達は花畑の世話の手伝いを一定期間請け負うことで手を打った。
もちろん正邪も協力してもらう。問答無用だ。
「悪いな、お姫様」
「なにが?」
「城、ぶっ壊しちまって」
「いいよ、別にそこまでお城に固執はなかったから」
木屑の山になった輝針城を眺めながら、百々世の肩の上で一息つく。
疲れ切った蜈蚣達は木屑の山の上で、丸まって眠っている。
「こんな風におもしれぇ日々が続けばいいのになぁ」
「それは無理だよ。異変は解決するし、日常は戻ってくる。日常には平和がつきものなんだよ」
「平和はつまんねぇよ。戦いもないし、命のやり取りもねぇ」
「違うよ。平和があるから、争いが際立つんだ」
百々世は驚いた様な顔をし、少し考える。
そして私に笑顔を向けた。
~END~