それはそれとして、評価バーに遂に色が着きました!いぇーい!
今回は短めです。いつもの事ですが。
『ヘルメット団が性懲りも無くまたアビドス高等学校に襲撃をかけてきた。奴らが目標地点に到達する迄に戦力を出来るだけ削いでおきたい。今回は敵に戦車等の兵器類は確認できなかった。いつもより楽な任務の筈だ、頼むぞ。以上』
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「おい、そこのアンタ。ようやく目が覚めたか」
ぼんやりした意識の中、私は目の前に座る仲間からの声で目覚めた。眠い目を擦ろうと手を動かすが、ヘルメットにコツンと当たって阻まれる。どうやら輸送トラックの荷台に乗ったまま寝てしまっていたらしい。
「ん?……あぁ。ここんとこ寝れてなくてな」
「分かるよ。リーダーも人使いが荒いよなぁ」
最近、ほんとに忙しい日々だった。目立たないよう少人数で取引を行い、痕跡を消しながら物資を輸送する毎日。リーダーが言うには、そうでもしないとどこかから情報が漏れてレイヴンという傭兵に見つかるのだと。
ヘルメットのシールドを開け、少し乾いた指で目を擦る。どこからか砂も入ってきたようで口の中は不快な感触だった。
「へへ、その様子だとどうやらお前さん、新入りらしいな」
「らしいって……」
「ここの連中は皆基本的に顔を隠してるからな。だがお前は不慣れな様子だ」
「ああそうだよ」
「やっぱり。そう怖い目で見るな……別に過去の事なんか知ったこっちゃねえよ」
ふむ、知らず知らずの内に険しい顔をしていたみたいだ。
「そうかい。そっちはどのくらいいるんだ?」
「一年ってとこかな……」
「んじゃかなり経験を積んでるんだろ?なんでこんな作戦に?」
見た限り装備も私の様なツギハギじゃなく、きちんと手入れもされているみたいだ。
「数ヶ月前にやらかしちまってな。最近は矯正局にいた」
自嘲気味に言うと、彼女はどこか遠い所を見つめながら話し始めた。
「新入り、レイヴンの噂は知ってるか?」
「いや……あんまり。凄腕の傭兵なんだろ?」
「ああその通り、奴は凄腕さ。私達みたいなチンピラの集まりが挑んだ所で勝てやしない」
「でも、たった1人だろ。数で押し切ればなんとかなるって」
「それは雑魚の思考だ」
突き放す様に言い放つと、さっきよりも姿勢を前傾にしこちらの顔を覗きながら語りかけてくる。
「私は以前……奴と戦った事がある。やらかしたってのはつまり、レイヴンに邪魔されたって事だ」
「……」
「あの時私は小隊を指揮して輸送トラックの強奪をしていた……。護衛もなしに動いていたもんだから楽勝だったよ。でも積荷を運んでいる時、銃声が響き渡ったんだ」
ヘルメット越しで顔はよく見えないが、顔色が段々と悪くなっているようだ。
「最初はお前みたいな新入りがネズミに発砲したんだと思って見逃していた。だがその銃声はだんだんこっちに近づいてくるんだ……」
まるで怪談話をしているようで気味が悪い。
「私はすかさず仲間を連れて逃げようと思ったが、既に自分達のトラックは破壊され、逃げ場は無くなった。決死の覚悟で震える中……一人、また一人とやられていくんだ……!」
もうそれは幽霊の類いだろ。
「そして仲間が全員やられた時、私は視界の隅に黒い人影を見たんだ。思わず乱射したが、そこにはもう……誰もいなかった。いてもたってもいられずその人影を探したさ。でも結局……」
「やられた?」
「そうさ。物音に振り向いた途端、奴はいつの間にか立っていたんだ。そこから撃たれて覚えてるのは……9って数字だけだ」
「9?」
「やつのジャケットに書いてあったんだよ。9って数字が……。分かるか?」
「ああ……うん」
なんか話す程ボロボロになってないか?涙声になってきてるぞ。
「それ以来私は9って数字をみると……うっ」
「おい落ち着けよ……」
私は背中を軽くさすって落ち着かせようとする。めんどくさい人と当たったものだ。
「ああ……ありがとう。その日から二ヶ月後位だったか?レイヴンの噂が世に出回り始めたのは。特徴を聞いた時私は驚いたよ、あの9の傭兵と同じだったんだからな……」
「そんなに怖かったのか?」
「ああ怖いさ!正直この作戦に出たくなかったさ!」
「……?待て待て、そのレイヴンとこれから行く先に何の関係があるんだ」
なんか嫌な予感がしてきたぞ……。
「まさか知らされてないのか!?」
突然立ち上がり慌てながら私の肩をこれでもかと揺さぶってくる。
「えっ、何を」
その瞬間だった。
カチンという金属音がした後。私の体は宙を舞い、激しく天井に頭を打ち付ける。突然の衝撃に驚きながらも、着けていたヘルメットのお陰か意識は刈り取られる事無く、しかし私の視界はスローモーションへと移行する。
(まさか……地雷……ッ!)
鉄で出来た床はひしゃげ、他にも座っていた仲間はあちこちピンボールみたいに跳ね回る。私の体も言うことを聞かず、打ち付けた箇所が鈍い痛みを発する。
あまりにもそれは突然の事だった。
(一体……誰が……!)
やがて輸送トラックの動きが収まったのか視界の回転が落ち着くと、今度は煙が車内いっぱいに充満した。恐らくこの車は間もなく爆発するだろう。
別にそれくらいで死ぬわけじゃないが、これ以上怪我をするのは御免だ。重たい体を引き摺り、腕で這いつくばりながら脱出を試みる。
「げほっ、げほっ、……」
煙をなるべく吸い込まないよう注意してはいるが、それでもいくらか入ってきてしまう。まるで肺を焼くような痛みに悶絶していると、視界に誰かの足が映った。
「な、なあアンタ……けほっ、た、助け……ッ!」
私は相手を見上げる。
脳震盪で上手く認識出来ない……だが目の前の人物の特徴には心当たりしかなかった。特に、その9という数字には。
(……9……ナイン……ははっ……)
私の意識はそこで途切れた。
ドレスサオリ……うぅ…素晴らしいビジュアルだ……!