戦え!超ロボット生命体ユメパイセン   作:クソザコぎつね

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セリカ・ユーティライネンです(大嘘)

 

 

『事態は一刻を争う、手短に説明するぞ。アビドス高等学校の生徒一名がヘルメット団に誘拐された。私の偵察ドローンがマーキングした位置を送る。そこまでの移動手段は用意しておいた。思う所はあるだろうがくれぐれも慎重にな、以上』

 

──────

 

(ラナ!本当にこのトラックで合ってるの!?)

 

『その筈だ。張り付いて回収しろ』

 

(どうやって!?)

 

頭の中で悪態をつきながら私はハンドルのグリップを捻り、バイクのスロットルを更に開ける。

まさか昔ホシノちゃんとふざけて乗り回した経験が役に立つとは思わなかったな。

 

ラナから連絡が来て起こされたのはいいけど、寝起き早々バイクで追跡させられるなんて。人使い荒いんじゃないかな?

でもまあ拙い運転だけど追いつけそうだ。タイヤがアスファルトに食いつきながら次第に目の前のトラックとの距離が縮まって来ている。

 

(ええっ!ちょっと待ってよ!)

 

なんとトラックの助手席からロケットランチャーを構えたヘルメット団が屋根に乗り出してきた。一発でもこちらに当たればまた長い長い追いかけっこの始まりだ。

 

(これって避けなきゃダメな奴だよね……)

 

嫌な未来を想像して背中に冷や汗をかくが、アクセル全開で風を浴びているからかすぐに乾いていく。

こんな遮蔽物も何も無い荒野の一本道でどう避けるか考えていると相手は躊躇わず照準をを合わせ、撃ってきた。

 

(待ってってば!)

 

半ばヤケクソで体を右に倒し、バイクを寝かせる事で位置をずらす。ギリギリ間に合ったようで、ロケット弾が左耳すれすれを飛んでいった。銃弾より遅いからか余計に怖い気もする。

 

「避けるんじゃない!」

 

(避けるに決まってるじゃん!)

 

なんてこと言うんだ、こっちだって今のでコケないか心配だったんだぞ。

倒していた体を起こし、ギアを一段上に上げスピードを高める。二発目を装填するまでに手間取っているようで、ようやくトラックの右横に並んだ。

 

スロットルを一瞬開け、その間に拳銃をホルスターから抜き、屋根の上の相手に構えて発砲。

 

「ぐっ!?」

 

2トリガーでダウンすると、立っている場所が悪かったのかトラックから落ちて行ってしまった。

 

(うわぁ……痛そ〜)

 

拳銃を左手に持ち替え、右手でグリップを捻り、速度をそのまま維持する。

 

(お願いだから事故らないでよ……)

 

今度は運転手へと発砲。青い弾丸は窓をいい音立てて破り、頭へと直撃する。

 

「グハッ!」

 

無事気絶は取れた。

だが、だからといって都合よくブレーキを踏んでくれるわけではない。運悪くアクセルに足を置いたまま気絶したようで、速度はそのままだ。

 

(ああ……どうしよう……。これってほんとに張り付かないとダメな奴じゃない?)

 

迷っている間にもトラックは突き進むばかりだ。いつこの荒野を出て市街地に突っ込むか知れたものでは無い。

私はバイクをギリギリまで寄せ、運転席近くの窓に手を伸ばす。

 

(あとちょいなのに……届かない…ッ!)

 

右手のみでは指先が触れるだけに留まり、窓枠に手を掛けられない。

 

(いちかバチか、飛んでみる……?)

 

バイクを踏み台にし、窓枠へ飛ぶしか道は無さそうだ。

しかしこれも可愛い後輩の為なら容易い筈。なぜなら私は先輩だからね!

 

(なんとでもなる筈!)

 

意を決して脚に力を貯め、勢いよく跳ねる。下を見るとスローモーションでアスファルトがスクロールしていく。一体何キロで走ってるの!?

極度の集中の中手をいっぱいに広げ、窓枠へと腕を伸ばす。

鋭い衝撃と共に、両手になにか掴んだ感触が残った。どうやら張り付くことに成功したらしい。

 

あとは簡単だ。足元が地面で擦られないよう脚を畳み、懸垂の要領で運転席に乗り込む。ぐったりした様子の運転手を退け、ブレーキをかける。タイヤが絶叫し、体が慣性で前に押し出される。

 

(わぶっ!)

 

フロントガラスでカエルみたいに潰されるが、まあ想定の範囲内だ。キーを回してトラックのエンジンを切り、今度はちゃんとドアから降りる。

 

(ひぃん……もう二度とやりたくないよ……)

 

さっきまで結構切羽詰まってたから、疲れがどっと出てきた。もう暫くは駆り出されたくないな。ヘルメット団め。

 

(よいしょっと)

 

トラックの後部へ移動し、荷台の扉をこじ開ける。中は明かりが無いせいで真っ暗であまり見えない。懐からライトを取り出し、荷台の中へ向ける。

それにしても、まさか私の後輩に手をかけるとは……なにか黒いふつふつとしたものが鼓動を打つが、今は置いておくとしよう。

 

(この子だね)

 

唯一いた人影は猫耳をピクピク動かして何やら唸っている。まあクッションも何も無いし寝心地が悪いことには違いない。

来ている制服もアビドスの物だし、胸に付けられた所属もそれを表している。

 

(ここで寝かせててもあれだし、外に運ぼっか)

 

ひとまずは抱っこの姿勢で抱え、外に連れ出す。いきなり暗い所から陽のあたる場所に出たからちょっと目がやられる。瞼を閉じてはいるが、この子も同様らしい。

 

「う、うう……」

 

体をモゾモゾと動かしながらも起きようとしているみたいだ。

ここだと暑いし、どこかで休めそうな場所を探すかな。辺り一帯を見渡したはいいものの、コンビニどころかバス停すら見つからない。まあ砂漠地帯だし、仕方ないか。

 

(ラナに聞いてみようかな……)

 

「ん……?うわぁっ!」

 

(あ、起きた!)

 

「ちょ、ちょっと何よ、誰!?」

 

(うわわ、暴れないで)

 

手足をジタバタ動かし、私から抜け出そうともがき始めてしまう。このまま抱えてても私が疲れるだけだし、降ろすかな。慎重にね。

 

「あ、ありがとう……?ていうかホントに誰なの!?」

 

(ラナ、これって私の事言っていいの?)

 

『今回はあくまで傭兵として名乗っておけ、まだその時では無いからな。それから、ヘリを現在地に回す。その生徒は返してこい』

 

(分かった)

 

目の前の後輩ちゃんは警戒してはいるものの、肝心の武器や装備が無いことに気づくと猫みたいに大きな目を見開いた。

 

(この子の装備……トラックの中かな?)

 

「あんた!私の装備はどこ!?」

 

(それなら……)

 

「答えなさいよ!」

 

ああ、そういえば喋れないんだった。最近ラナとしか話してなかったものだから忘れちゃってたな。

端末を取り出そうとジャケットのポケットに手を入れると、シャー!とでも言いたげに後輩ちゃんはファイティングポーズを取り始めた。

 

「動かないで!」

 

(警戒心が強いタイプだね……)

 

どうしたものか。端末を使えないことには会話のしようがないぞ。

 

「……装備を捨てなさい、遠くにね!」

 

ここは信用が大事だろうね。言われるがまま拳銃と装備品を右に投げ捨てる。

 

「聞き分けがいいわね……ポケットの中は?」

 

刺激しないよう慎重にポケットに手を入れ、ゆっくりと端末を取り出す。端末を見ると後輩ちゃんは少し怪しい目線で睨んで来た。正直、こんなものを持ち歩く子は少ないしね。

 

「……それは何?」

 

私は端末を後輩ちゃんに投げ渡し、喉に手を当てて喋れない意味のジェスチャーを送る。

 

「……?」

 

(声が出せないの!お願い気づいて!)

 

人差し指でばってんを作り、喉に押し当てる。後輩ちゃんが端末に目を落とすと、なにか気づいたようで首を傾げながら話しかけてきた。

 

「もしかして……喋れないの?」

 

(そうそう!)

 

親指を立ててグッドポーズを送る。

 

「ふん……これで会話するってこと?」

 

(その通り、賢い子だね!)

 

こんなに賢い子がアビドスに入ってくれてて良かった……。私としても安心だ。

 

「じゃ、使いなさい」

 

そう言って端末を返してくれたので、私は気持ち早めにキーを叩いた。

 

『ありがとね、信じてくれて』

 

「別に信じた訳じゃないわよ、会話出来なきゃ何も出来ないじゃない」

 

『それもそうだね。君の装備はトラックの中にあるから取ってくるといいよ〜』

 

なんか面食らったみたいな表情をしながらトラックに装備を取りに行く後輩ちゃん。呼び名が後輩ちゃんなのもアレだし、自己紹介の言葉でも考えておこうかな……。

 

(う〜ん、独立傭兵?でもそれだと警戒されそうだし。OG……だとバレちゃうかも。地獄からの使者……はナシだね)

 

「戻ったわよ。いいわ、アンタの事は少し信用してあげる。私の名前は黒見セリカ。さっきはどうも。そっちは?」

 

ん〜いいのが思いつかないな。ラナも傭兵として名乗れって言ってたし、そうしようかな。

 

『私はしがない傭兵だよ。今回はセリカちゃんを助ける依頼があってね』

 

「私を……?ホシノ先輩かしら。でも傭兵を雇う程の余裕は無いはず」

 

私が居なくなった後もアビドスはやっぱり借金に悩まされてるらしいね。ラナが金を振り込んでくれてるらしいけど、それでも足りないのか。

 

『あ〜言っておくと、私を雇ったのはアビドス高等学校じゃないよ』

 

「…….依頼主は?」

 

『それは言えないね』

 

言ったらバレるし。そんならジト目で見られても私にはどうしようにもないよ。文句ならラナに言って欲しい。

 

「そう……傭兵だものね」

 

こればっかりは仕方ない。それと、事件とはいえ折角セリカちゃんに会えた事だし聞いておきたい事がある。

 

『ホシノちゃんは元気?』

 

「……なんで言う必要があるのよ。というかその言い草、ホシノ先輩と知り合いなの?」

 

『ん〜まあ少しね。で、元気なの?』

 

セリカちゃんは少しおでこに手を当てて悩んでいる様子だった。

 

(一体、どんな成長してるのかな……)

 

脳裏に浮かぶのはいつもあの時のホシノちゃんのままである。いつかは今のホシノちゃんに会いたいな。

 

「う〜ん。でも……」

 

セリカちゃんの様子から察するに、私が居ない時でも良くやってくれていたに違いない。やっぱりホシノちゃんが来てくれたのは奇跡だったね。

 

やがて踏ん切りが着いたのか。ややどもりながらもセリカちゃんはハッキリ答えてくれた。

 

「助けてくれたんだし、一応礼として教えるけど、まあ先輩は元気よ。ただ……よく昼寝するのだけが欠点だけど」

 

(あのホシノちゃんが昼寝───!?)

 

まさか夜寝れていないのだろうか。だとしたら、やはり背負わせすぎたのかもしれない。不甲斐ないな……。ホシノちゃんにはのびのびと暮らしていて欲しいのに。

 

『ありがとう。聞けて嬉しかったよ』

 

「……そう」

 

そこまで話した所で銃声とヘリの音が左右から近づいて来た。片方はラナのヘリだね。もう片方は、多分ホシノちゃん達がセリカちゃんを取り返しに来たんだろう。

 

『じゃあ、私はそろそろ帰るね。皆と仲良くしてあげてね。後、私の事は秘密に!』

 

「分かったわよ。言わないでおくわ、傭兵さん」

 

それから私は装備を回収した後、左右別々にそれぞれの帰るべき場所へと帰って行った。因みにその後、ホシノちゃんについて質問した事でラナに少し怒られてしまった。ひぃん……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんかあの人、見た目は怖いのに誰かに似てたわね。……ノノミ先輩?いや……ホシノ先輩?」

 

 




お気に入り100突破、ありがとうございます。果たしてこの小説は傍からみたら面白いんだろうか……。日に日に自信がなくなってきてしまいます。
良かったらお気に入りや評価、感想待ってますね。
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