戦え!超ロボット生命体ユメパイセン   作:クソザコぎつね

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☆8評価、お気に入り。ありがとうございます。
アニメのop凄いですね、めちゃくちゃ透き通ってますよ。
この小説の世界線、こんな美しいカットインにAC混ざるんですか?



手伝い

 

 

『ホシノ先輩の位置、確認できました!あそこです、あのバンカーの地下に!』

 

風紀委員会、トリ……ファウスト。そして便利屋68の支援もあり、私たち対策委員会によるホシノ先輩の救出作戦は無事に最終段階に入っていた。

 

汗をマフラーで拭い、砂の入った目を擦る。

ここまで大分長い道のりだったけど、もうすぐだと考えればむしろ更に気力が湧いてくるものだ。

ロードバイクでのツーリングにおいても似たような事はいえる。

 

……砂漠地帯なのにマフラーを付けていくのは変だと思われるだろうけど、これはただのマフラーではない。

 

ギラギラした鋭さではなく、暖かくスッキリした感触が私を守ってくれる。

 

「……行こう」

 

「はい、急ぎましょう……!」

 

アヤネの操作するドローンの指した方角に視線を向けるも────

 

「──何処に行くつもりだ……!」

 

目的のバンカーの前で仁王立ちしながら、カイザーPMC理事が私達の道を遮っていた。

さっきの便利屋との戦闘に巻き込まれているものだと思ってたけど。

 

『カイザーの理事……!?』

 

「しつこい……」

 

「ああもう、どこまで邪魔すれば気が済むのよ!」

 

「どいてください!さもないと……」

 

一人でここまで来たのだろうか?後ろにはお仲間の歩兵や戦車。アパッチなども見当たりはしない。

着ている服にも幾つか損傷が見受けられるし、所々焦げた箇所もある事から、プランではなく意地でここに来たという事実が予測される。

 

みっともない姿だ。

 

「対策委員会……ずっとお前たちが目障りだった」

 

砂を踏み、半歩前に踏み出しながら叫ばれる言葉には既にいつものメッキも剥がれ落ちている。

明らかな怒りだ。

 

「これまで、ありとあらゆる手段を講じてきた……!それでもお前たちは、滅びかけの学校に最後まで残り、しつこく粘って、どうにか借金を返済しようとして!あれほど懲らしめたのに、徹底的に苦しめたのに、毎日毎日楽しそうに!!!」

 

私達に向けられる視線には、それはそれは酷い色が混じっていた。

妬み、憎しみ、それとも羨望?目の前の相手が苦しむ姿を日々観察するのは、さぞ気分が良かっただろう。

 

サソリでも飼ったらどうだろうか。

 

「お前たちのせいで、計画がっ!!!私の計画があぁぁっ!!!!」

 

半狂乱に陥っている気がしないでもないが、大人がこうして一人で自分のことばかり叫ぶ様子は滑稽だ。

でも事態は一刻を争うし、手早く済ませることにしよう。下手に増援を呼ばれても面倒だから。

 

「ホシノ先輩を、返してもらうよ」

 

「ふん、あんたみたいな下劣で浅はかなやつが何をしようと、私達の心は折れたりしないわよ!!!」

 

「はい!あなたみたいな情けない大人に、私達は負けません!絶対に!」

 

啖呵を切って睨み返すと、理事は懐から通信機らしきものを取り出した。

咄嗟に撃ち抜こうと引き金を引くが、流石に標的が小さすぎた為か銃弾は外れてしまい、理事の腕に着弾する。

 

「───舐めるなよ。貴様らが相手しているのは企業だということをその身をもって思い知るがいい!!!」

 

強化された軍用戦車に、歩兵群。軍事ドローンとゴリアテが左右の砂地や廃屋からぞろぞろと這い出てきた。

私たちを取り囲んで配置された陣形には、ここを通す訳には行かないという意思が伝わってくる。

だが意志の強さでこちらが負けるなんて事は無い。

 

上等だ。

 

チャージングハンドルを少し引いてチャンバーに弾が入っているのを確認し改めて銃を構える。

 

砂が大きく舞い、最後の戦闘への移行を告げようとし───

 

 

『ちょっと、仲間はずれは良くないなぁ。オレも入れてくれないと』

 

 

あの時のPMC基地で聞いた声が……再度響いた。

 

「その声……なんなんだ!貴様何をする気だ!」

 

手元に握りしめた通信機からの音声に狼狽える理事の反応を見る限り、やはりこの声の主はカイザーと敵対しているのは間違い無いだろう。

だが前回の規模が規模だ。場合によってはこの場に更に瓦礫が増える事になるけど。

 

『いやいや、ちょっとお手伝いをね!』

 

増したノイズを掻き分けて聞き取ったその声には正気が感じ取れない。

 

『伏せて下さい!!』

 

アヤネの言葉を待つまでもなく私含めた三人共その場に伏せて衝撃に備える。

前回の事例から分かっていた事だが、この声が聞こえる時はろくな事が起きない。

 

「おあーっ!?」

 

伏せる迄の間際、どこからか飛んできた青い閃光が私たちの頭上を通過し……ゴリアテに着弾。

轟音に打たれた両耳を庇いながら身体を起こして見えたのは、直撃を食らった上体が跡形もなく消し飛び、残った下半身から炎と火花を撒き散らす無惨な鉄くず。

 

ミサイルに続いて今度はキャノンだろうか。圧倒的な威力に私は隔絶した壁とほんの少しの無力感を感じる。

 

聞こえた悲鳴は理事のもので、伏せていなかったからか、衝撃波で瓦礫の方に吹き飛ばされていた。

辺りの戦車や歩兵群もひっくり返るか打ち付けられているかで、立っている相手も少なくなっている。

 

「貴様ら……揃いも揃って私の計画を……私がこの地にいくらかけたと思っている!?これは私の人生……私そのものなのだ!!!」

 

『あ、そうなんだ。で?それが何か問題?』

 

言葉は通じても話は通じないとはこの事だろう。

ボロボロの姿で木材の柱やトタンを退けて再度立ち上がる理事に、ありったけの執念と怨嗟が湧き上がっているのが感じ取れる。

 

「よくも───よくもこんな仕打ちを……!」

 

深刻な傷を負った陣形を癒しながら集まるPMC達に向け私たちはついに攻勢へ打って出る。

 

私たちが負ける事はない。

 

『じゃあ、もうちょっと遊ぼうか』

 

今は仲間が……友達がいるから

成し遂げる使命があるから。

守りたいものがあるから。

 

───先生がいるから。

 

『戦闘に入ります……先生、お願いします!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『見せてみな、お前達の力をさ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

押しつぶされそうな程狭い換気ダクトの中を私は匍匐前進で移動する。

胸と装備品が当たる所為でたまに物音が鳴ってしまうが、ラナ曰くこの場所には警備用のオートマタやドローン等は配置されていないとの事だった。

 

(この部屋は……違う)

 

蛍光灯による薄い明かりが網を通じて薄暗いダクト内を照らす。

これで覗くのは三つ目だけど、目標の部屋では無い。

部屋の中にはいくつかの書類とパソコン。古びた分厚い本に、石版が並べられている。実験室というのは本当らしい。

私には何を研究しているかなんて皆目見当もつかないけど。

 

でもまさか私の古巣にこんなモノを建てるとは。皮肉かな?

会ったことは無いけど、その黒いスーツの人……苦手かも。

 

再び身体を動かし、道なりに突き進んでいく。これが道と呼べるかは難しい問題だ。多数決ならラナと私で引き分けだね。

 

(……間に合うといいけど……!)

 

とにかく今は目標だけが最優先。これまでの人生でこれ程焦った日もそうそう無い。

 

換気用ではあるがそもそも人が通ることを想定していない為空気の回りが悪い。それにここって地下だし、余計に息苦しく感じる。

 

視界が暗いのも拍車をかけているようだ。一応暗視モードはオンにしてあるけど、それとこれとは別だ。

 

(……!)

 

更に進んでいくと、視界の先に前の三部屋よりも一際暗い明かりが仄かに顔を出している。

 

直感で私は分かった。

 

ここが目標の場所だって。

 

一気にスピードを速めて近づき、部屋の中を覗き見る。

 

(間違いない……)

 

網をこじ開けて中に入るには鍵が必要みたいだけど、生憎私は持ち合わせていない。

銃なら破壊出来るけど、こんな狭い空間ではホルスターから抜けない。

 

でも私には力がある。文字通り。

 

網を右手で掴み、そのまま捻じる。大した耐久性も無いそれは、いとも容易く金切り声を上げる。

まるで張った輪ゴムみたいに柔らかく、意識して力を入れるだけでこの有様だ。

でも無理やりちぎった金属相手では普通に傷がつくので、手袋をしていて良かったと思う。

感覚が麻痺している気がするが、私は今金属を壊しているのだから。

 

次々とねじ切り、出口を押し広げていく。

やがて通れる位の広さになった所で、私は今いる場所から飛び降りた。

 

(……)

 

足から着地し、ダクト内でついた砂や汚れをはたいて落とす。

そして顔を上げると、私の視線の先にいる目標が……。

 

いや、私の可愛い後輩が───眠っていた。

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