戦え!超ロボット生命体ユメパイセン   作:クソザコぎつね

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Beyond the pain

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かつて、あなたも歩んだ物語

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幼い頃、私はロボットに憧れた。

迫り来る強敵に相手でも諦めず、不屈の心で立ち上がるその姿が、芽吹いたばかりの心に大きな影響を与えた事は言うまでもない。

 

変形や合体を駆使し、盛り上がるバンクシーンはテレビの前の小さな子に勇気と正義、そして愛を教えた。

 

それとは少し趣向を変えたロボットもある。

 

やや成長して斜に構えるようになってくると、今度はその人間ドラマやリアルらしさが背伸びしようとする私には新鮮だった。

 

世界の平和は君たちの手にかかっているのだと、あの日見た宇宙は語りかけた。

 

玩具片手に近所を走り回った日のことはいい思い出だ。

子供の想像力というのは素晴らしいもので、自由自在だ。なんにでもなれるし、あらゆるものを生み出す事が出来る。

信じ続ければ私の前にもそんなロボットが現れると、本気で思っていた。

 

そんな日々が色褪せたのは、それからさらに成長した時だった。

灰色の、退屈な日々に私の青春は支配されていたのだ。

私は一人だった。

 

まだ先の見えぬ未来と、迫り来る焦り。いまいち踏み出せないその一歩は何度目だっただろう。

大人という存在がよく分からなくなっていたのは、この時期だ。

 

ある日、私は一つのゲームを買った。

あの日、私が箱庭で見ていた空想と同じ衝撃が全身に電流の如く駆けずり回ったのを実感した。

 

それはロボットのゲームだった。

 

魅力的なデザインのパーツを自由に組み換え、自分だけのオリジナルを作ることが出来る。

自分を見失い始めていた私にとって、そのコンセプトはまさしく求めていたものだった。

 

早速起動し、画面を食い入るように見つめる。

 

そのゲームは世界観も独特だった。無理に言葉で語ることはせず、断片的な情報から考察して組み上げていく物語は私の思考に発展をもたらした。

 

そうしてのめり込んでいくにつれ、私はその中に幼き自分を見た。

あの頃の純粋な、ロボットを愛する気持ち。

時間を超えて私は過去の自分と再開したのだ。

 

やがてその宇宙は他者へと繋がり始めるのだが……そこは省こう。

 

以降私が趣味に金を掛けすぎるのが恒例になり、そのせいでここに来てからはレシートをチェックされたり体調を心配されている。

後悔はしない。

 

さて、短い前置きだが、なぜこんな回想をしているかという質問に答えよう────

 

 

 

 

 

 

 

『シャーレの先生。知己を得て光栄だ』

 

 

私のデスクに現れたのは、怪しい隣人だった。

 

「貴方は……」

 

『独立傭兵レイヴンのマネージャー、と言えば分かるだろう』

 

スピーカーから流れる女性の声と、その内容に微睡んでいた夜勤続きの私の脳は叩き起された。

どうやらピンポイントで私のパソコンをハッキングしているようだ。

アビドスからシャーレに帰ってきて三日。

結局会えなくて残念とは思っていたが、まさか向こうから接触してくるとは。

唯一コンタクトが図れそうだったのはホシノを救出しに行った時の事だ。

 

地下の実験室にホシノは囚われていた訳だが、私とシロコは、そこに先客の痕跡を発見した。

何の目的で来たのかまでは分からなかったが、ホシノの拘束が解かれていることから考えて、救出に来たのだと考えたい。

妄想がすぎるかもしれないが。

 

『本来であれば彼女の方が適任の筈だが、今の時間では不都合と判断し、私が代わりに出ることになった』

 

時計に目をやると、時刻は既に深夜だ。子供は寝る時間である。

別にこの時間帯でなくても良いと思うのだが。

レイヴン本人を出させないための方便だろうか?

 

『恐らくそちらは聞きたいことがあるのだろう?私としても質問にはできる限り答えるつもりだ。対等に話そう』

 

(…………………)

 

正直、かなり怪しい。今後の事も考えてシッテムの箱に手を伸ばし、寝ているアロナを起こす。

するとシッテムの箱内に意識は飛ばされ、あの教室へたどり着く。この話し方であれば、向こうにバレる事は無い筈だ。

 

「むにゃむにゃ……」

 

「アロナ、ちょっといい?」

 

「んぇ?………どうしました?」

 

重たい瞼を擦りながら見つめてくるその姿に少々心を痛めるが、緊急事態だ。

 

「私のパソコンにハッキングが仕掛けられていてね、発信元を特定出来る?」

 

「わかりました!」

 

それだけ言うとアロナは電子の海へと潜っていった。

見た目に比例して性格も幼い彼女ではあるが、徹底して実力は本物だ。電脳空間においては無敵といってもいいだろう。

私も意識を戻し、再度相手へと注意を向ける。

 

『なにか問題でもあったか』

 

「いや、なにも?───まずは貴方が何者か、教えてくれる?」

 

アロナが戻ってくるまではこの不思議な相手を見極めることが先決だ。

一体何者なのか。それを知らなくては敵にも味方にもならないだろう。

 

『そうか、説明が足りなかったか。……あの子に言われた通り話すか』

 

あの子とはレイヴンの事だろうか?

 

『改めて自己紹介をしよう。私の名はHSL-1。それ以外にも名は幾つかあるが、可能であればラナと呼んでくれ』

 

HSL-1。ディスプレイに打ち込まれたその文字列はどう考えても本名とは考えづらい。ハンドルネームか?

だがアロナという前例がいる以上、AIという可能性も考えられる。

 

『いつもはレイヴンのマネージャーとして交渉や依頼の選別を行っている。それと、生活の世話もだ』

 

「世話?」

 

その言葉に私は首を傾げる。

 

『言葉通りだ。彼女の食生活や服の洗濯、小遣いは私が出している』

 

それはマネージャーというより保護者じゃないか?

いきなり出てきた場違いの話題に張り詰めていた心が少し緩む。

 

『あとは趣味だったか……そんなものは無い。あるとすれば人間観察だ』

 

無機質な機械的音声で語るものだから正直薄気味悪いぞ。

話している内容が事実だとしたら、少々認識を改めなければならないかもしれないが。

 

『それと好きなものだが、強いて言うなら人類の平和だろうか』

 

大真面目に言われると、幼少期の私を思い出してしまう。

だが人類の平和か。それ自体は素晴らしい事だ。今のところ好印象が勝っている。

 

『後は嫌いなものだな。これは心当たりがある。例えば────』

 

シッテムの箱にチラッと目をやると、電脳空間から帰ってきたアロナが私を見るや否や泣きそうな顔で近づいてきた。

 

「ごめん。ちょっと席を外してもいいかな?」

 

放ってもおけないので、少し悪いけど適当な言い訳を言ってから対処する。

 

『構わない』

 

アロナは表情豊かではあるが、泣く事態に陥る事はこれまでなかったのに。

可能ならティッシュかハンカチで慰めたい所だが、あいにく手持ちは無い。

また意識を教室に飛ばすと、アロナは思いっきり私の胸に飛び込んできた。

 

『ひぐっ……ぐすんっ……』

 

「どうしたのアロナ!?」

 

「うぅ……怖かったです……。見た事ない機械達が次々に……」

 

一体向こうで何を見てきたのだろうか?とりあえず頭を撫で、震える肩を優しく抑えながらゆっくりと落ち着かせる。

 

「………あそこに道はありませんでした……。いつもならある筈の抜け道が、存在しないんです!」

 

相手のコンピューターに入り込めなかったという事だろうか?しかしこうやってハッキングを仕掛けている以上、向こうもネットを介している筈。アナログでケーブルを繋いでる訳でもないし。

アロナが入り込めないとなると、余程のセキュリティだ。

道が無いのであれば、その行先を知ることは出来ない。即ちそれは絶対的な防御を誇る。

 

「あそこは谷でした……真っ暗な谷。そこから出てきたんです!たくさんのガード達が!」

 

アロナ自身を狙った逆ハックか?だとしたらもしや既に勘づかれ─────

 

 

 

 

 

 

 

 

『…………こういう行動は、謹んで貰えると助かる。互いの信頼の為にも』

 

私の背中を冷たいものが伝播し、思考がドライアイスを当てられたみたいに冷える。視線は固定され、心臓の高鳴りが胸に手を当てずとも実感出来てしまう。

 

彼女の冷淡な声が針のように刺さってくる。

 

『そちらの子には悪い事をした、すまない。

……怖がらせるつもりは無かったのだが』

 

気味の悪さが増していくのは時間の問題だった。同時に、私のフリーズした脳も徐々に今起きた事態を理解しようと動き始める。

とりあえずは意識を再度ラナに向けなければ。

 

「……ごめん」

 

『謝ることは無い。こういう事には慣れている』

 

初対面の相手にすることでは無いのは確かだ。どうやら私も疲れているのだろう。

恥ずかしい自分の行動に、思わず俯いてしまう。

 

『話を続けよう。私の嫌いなものだったな。主にはトラブルと、先程のような詮索だ』

 

やらかしたな。

 

『そういえば少し前にも、そちらのように私の事をハッキングしようとしたストーカーが居た。もちろん追い返したが』

 

「ストーカー?」

 

『黒いスーツを着た奴だ。知っているか?』

 

恐らくラナが言っているのは黒服の事だろう。

確か黒服は前に管理者と呼ばれるモノについて語っていたが、ラナがそうなのだろうか。

ふんわりした言葉のせいでどんな存在か思い出せないが。

 

「もしかして、管理者って言うのは……」

 

『………………懐かしい名だ』

 

いくらか泊を置くと、ラナは少し驚いた様子で答えた。

ビンゴらしい。

 

『誰から聞いた?』

 

「そのストーカーだね」

 

『そうか。先生は奴と繋がりでも?』

 

なわけ……あるにはある。というか、向こうが勝手に私の事を好いている。

絶対敵は無いと思っている私は、別にアイツが何をしようと、生徒に危害を加えなければ見逃す認識だ。

 

「私も……まあ、ストーキング紛いの事を……されてるね」

 

『ああ…………そうか。どこにでも湧くな……ゴキブリが』

 

なんだろう、このキヴォトスの地で初めてかもしれない。こういう相手は。

今までの話を聞く限りではラナとは敵対する理由は見つからない。喜ばしい限りだ。

後は彼女の目的によるだろう。

 

「ところで聞きたいんだけど、ラナは…………レイヴンはなんの為に戦ってるの?」

 

『聞きたい事、というのはそれか』

 

「うん」

 

呑気かもしれないが、返答次第では上手くやっていける気がする。

 

『構いはしない、信用は大事だからな。では先ずは私の目的を話すか…………………あの子の保護だ』

 

かなりの間を消費して放たれた言葉と共に、ディスプレイ上に一つの学籍が表示された。

既に失効済みのようで、現在の生徒達のデータベースには確認できない。

 

『レイヴンというのはあくまで傭兵としての名だ。彼女の本名は梔子ユメ。アビドス高等学校の三年生かつ生徒会長だった』

 

学籍に添付された顔写真には、あの映像で見た薄い青髪の子が笑顔で写っていた。しかし、記憶にある見た目と少々違う。眼帯はつけていないし、ヘイローの形もひび割れてなどいないからだ。

 

『他の生徒は当時一年生だった小鳥遊ホシノのみ。だが本人はそれでも楽しい毎日だったと言っている』

 

前にノノミから聞いた話と一致する所がある。これは信用して大丈夫だろう。

であればやはり、あの痕跡はユメのものだと考えるのが妥当だ。

相当後輩思いなのだと感じ取れる。

 

『事の発端は、彼女が借金返済の為に砂漠地帯へ足を踏み入れた事だ。詳細は省くが、結論から言って彼女は死にかけた。どうやらかなりの大物と鉢合わせてしまったらしい』

 

キヴォトスの生徒たちの身体は私と比べるとかなり頑丈だ。それでも死にかけるとは、どれ程の相手だったのだろうか。

 

『これは私が拾ってすぐの時の写真だ。…………酷いものだな』

 

次に映されたのは右腕を欠損し全身を包帯の様なものでぐるぐる巻きにされ、様々な器具が装着された子の姿だった。唯一確認できる顔の部分に関しては右目の部分に重大な損傷が見受けられる。

 

かなりショッキングだ。

 

笑顔の似合うあの子が、こんなボロボロになるまで追い詰められるとは……筆舌に尽くし難い思いである。

 

『幸いにも私の手術で彼女は一命を取り留めることが出来たが、後遺症が少し残ってしまった。それは声帯機能と右腕、及び右目の喪失と、彼女の人格面だ』

 

「人格面?」

 

『彼女の身体能力を正常に回復させる上で、脳に手を加える事は必要不可欠だった。その結果、彼女の人格に何かしら影響があってもおかしくは無い』

 

「具体的には?」

 

『そこまでは分からない。私の知っている性格とあまり相違は感じられないが………できる限りの事はしたつもりだ』

 

「…………」

 

重たい沈黙が両者の間に落ちる。これは中々心にくる話だ。

しかし、聞く限りではラナには共感できる箇所がある。保護という目的も納得出来るのだ。

 

『そして数ヶ月前、ようやく彼女が目覚めた。以降は知っての通りだ』

 

全部を把握しているとは言い難いが、以前アロナのハッキングで見た傭兵としてのデータによると、かなりの依頼をこなしているのは分かった。

傭兵という仕事に対しての私の印象だが、これはまた難しい問題だ。

他者に迷惑をかける生き方自体には、基本私は反対の立場をとる。

しかし彼女は理由が理由だ。

私が協力すれば今すぐにでも学生生活を再開できるが、本人がそれを望むかが問題になってくる。

 

きっと、私には分からない程の苦しみを抱えているのだろう。

ラナに打ち明けずにいる思いもあるのかもしれない。

 

手を差し伸べたいが、無理な押しつけは生徒の自立を停滞させてしまうだろうし。

慎重に向き合うべき問題だ。

 

「じゃあ……レイヴン……いや、ユメはなんの為に?」

 

そして、重要なものはそこにある。

 

『アビドス高等学校の借金を返す為だ』

 

即答で放たれた答えに、私は顎に手を当てながら思考する。

出身から考えても、その内容には合点が行くが……受けた所業を考慮すると、依頼を建前にしてカイザーに襲撃をかける可能性もあるのだ。

 

─────復讐の為に。

 

『………先生、考えていることは分かる。』

 

「………………」

 

『心配する事は無い。彼女は既に次へ進んでいる』

 

私よりも長く接しているラナが言うのであれば、そちらの方が合っているのだろう。

なんにせよ、これは直接会って確かめる必要があるな。

 

「学生生活に戻る気はあるの?」

 

『幸いにも来る依頼は高額なものが多い。彼女に聞いた所、借金返済が終わってから戻るつもりらしいが』

 

それを聞いて私は胸を撫で下ろした。傭兵としてこれからの人生を生きていくのもアリではある。それが望んだ幸せに繋がるなら。

けど、本人が後輩達との生活を幸せとするなら、明確な終わりを決めているのであればいくらか安心できる。

 

待っている人がいるだろうからね。

 

ラナが聞いたということは、逆説的にラナも私と同じ考えをしたという事になる。そのことも私には吉報だ。

 

私としても、生徒達の為であれば見逃す事はある。アルは似たようなケースだ。

ちゃんとその責任を負う覚悟があるのなら、自分を見失わない強さを持ち合わせているのなら、それでいい。

 

『曲がりなりにもユメが選んだ選択だ。私は介入しない』

 

「そうだね……」

 

シンパシーを感じてしまうな。大分印象の悪いファーストコンタクトになってしまったが、良い間柄になれそうだ。

 

信用しよう。二人とも。

 

「ところで、9億って返せるの?」

 

『内容にもよるが、イレギュラーが起きなければ早急に返せる算段だ』

 

相場はよく知らないが……報酬の金額を聞いてみると、かなりの量だった。ちょっぴり羨ましいと感じたのは認めよう。

 

『ペーパーカンパニーを通して、適当な依頼の報酬金という名目で対策委員会に渡している。そうしなければ受け取ってくれないだろうからな』

 

「ああ……」

 

ホシノの言っていたグローバルコーテックスというのはラナだったのか。

 

「それ……資金洗浄じゃない?」

 

『見逃してくれ』

 

バツが悪そうに言うと、ラナは話題を逸らしてくる。

まあ仕方ないか。別に犯罪資金という訳でもあるまいし。

 

『他に聞きたい事はあるか』

 

「じゃあ、サイレントラインについて聞かせてもらえる?」

 

『誰だって不法侵入されたら追い返すだろう』

 

なるほど、そういう事か。言いたいことは分かる。

家にしてはちょっと範囲が広いし、過保護な気がするが。

ユメの立場を考えれば、これ以上住みやすい所は無いかもね。

 

「管理者っていうのはどういう意味なの?」

 

『昔の話だ。気にするな』

 

これ以上は過去の詮索になってしまうのだろう。大事なのは今だし、そこまでの情報は必要ないか。

 

「もしかしてあの時ミサイルを撃ったりしたのは……」

 

『私だ。声真似は得意でね』

 

一瞬で声が切り替わり、あの時聞いたイカれた音声に私は震える。

きっと文字通りの手伝いであんなことをしたのだろう。やりすぎな面もあるが。

 

『それと……私たちにスポンサーは必要ない』

 

「!」

 

声を戻したラナの発言に私は虚をつかれた。

どうやら思ったより耳が良い。いや、嗅覚か?

私の、いや、カヤの提案に対する返答が返ってきた。まだ話していないにも関わらずだ。

しかしここまでの会話で私の返しは既に決まっている。

 

「────分かったよ」

 

カヤがラナとユメをどうするつもりかよく知らないけど、なんとなく私はこっちを選んだ。

きっと、その方が良い気がしたからね。

感覚に頼るのも大事だ。

 

……別に衝動買いを肯定してる訳じゃないよ。

 

『他にはあるか?』

 

既に先生としての私の聞きたい事は一通り済んだ。

ラナが【大人】なのか、それは分からない。だが聞かなくとも、言葉の節々から彼女にはユメを心配する気持ちが見て取れる。

 

ならば……ユメの事は任せるとしよう。

 

大人とは責任を負うものだと私は考える。ラナの場合は、相似ではなくとも似たようなモノが根底にあると解釈できた。

それが何に対してであるかは分からない。けど、彼女が自分の為だけに行動するような人物でないことは自明の理である。

 

なんというか、隣人というか同僚というか。

 

仲良くやれそうだ。

 

さて、そうと分かったらやることは一つ。

 

「ラナ」

 

『今度はなんだ』

 

「あのロボットについて聞かせてくれる?』

 

私の心に火がついた。

 

止められる訳ないだろう。憧れが目の前にいるんだぞ。

こんなに素晴らしい事はない……!

 

以降、私は夜明けまでラナの所持しているロボット達について語り合った。というよりかは私が一方的に話していた気がするが。

 

だって好きだし。

 

私個人にとってラナの存在は、空想が現実になったようなものだ。

まるで夢のような、ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前より軽くなった瞼を擦りながらカーテンを開けると、朝の日差しが優しく挨拶してくる。

笑顔で返すと、ちょっぴり暖かな風が心地よい。

 

昨日見た夢はなんだったか。覚えてはいないけど、なんだかとっても良い夢という印象は残っている。

 

あの日から悪夢を見ることは少なくなった。というか、そもそも夢を見ること自体が少なくなったのだ。

つまり、前よりぐっすり寝れている。

 

いえ〜い。

 

ま、今日は早起きしちゃったけど。

起きちゃったもんは仕方ない。早めに学校に行って、準備するとしよう。

 

あと、このポスターも忘れずにね。

 

救出された日、ポケットに違和感を感じて探ってみると、これが入っていたのには心底驚いた。

 

あの光景が夢なのか幻なのか……私にはよく分からない。

でも一つだけ言えるのは、あの景色は誰がどう言おうと本物だと言うことだけである。

 

さて、なんでか理事は指名手配中だし、借金も利子が減ったとはいえまだまだある。問題は色々山積みだが、今日やる事は既に決まっている。

 

 

後輩達に伝える事だ。

 

 

「うへへ…………♫」

 

 

 

 

 

 

 

────────────

 

RB-180 HOUNDS

 

レイヴンの所持しているハンドガン。一見しただけでは普通のハンドガンではあるが、未知の様々な改造が施されており、相性は抜群である。

六点バーストによる射撃は相手へのダメージも高いが、同時に弾切れもしやすい。

高い技量が求められるだろう。

 

 

■■による追記

 

これを拳銃と表現するのは浅いとしか言えませんね。実態はかつての王の為の剣ですから。

あくまでその概念がこの形に収まっているに過ぎません。

特筆する点を挙げるなら、この剣に込められた祈りは神秘の壁を容易く剥がし、キヴォトスの民の肉体へと到達します。それが原因で神秘を持つ者に懐くことはありませんが。

 

彼女は上手く手懐けましたね。

 




ここまでの閲覧、感想、評価、お気に入り。ありがとうございます。対策委員会編はこれで一区切りとなりますので、次回から新章です。
それと、話の都合上以降はラナが大きく絡んできます。ご了承ください。
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