戦え!超ロボット生命体ユメパイセン   作:クソザコぎつね

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多数の評価、お気に入り登録、ありがとうございます。
アニメを見ていると思ったより皆ネクストの動きだったので、以降の戦闘シーンに取り入れますね。


すばらしい新世界より

 

 

(ほえ〜~、おっきい……)

 

無事廃墟の工場から脱出した私達はミレニアムサイエンススクールへと辿り着いた。

隣に立つAL-1Sちゃんも興味深そうにガラス張りの校舎を眺めている。

 

この子が居た場所から帰るのにはちょっと苦労したな。

 

一応、方法としては私が部屋に落ちていた手頃な釘を持ったまま壁に突き刺し、登山用アイスピックの要領で入ってきた落とし穴から上階に到達した後、手持ちのパラコードを垂らしてから、それを伝ってもらって全員が抜け出す形になった。

まあまあの高さだったし特に先生の体力が心配ではあったけど、落ちることなく完遂できたのでなにより。

先生がやけに張り切っていたのが印象に残っている。

 

それと、帰り道ではあのロボット達は姿を現さなかった。妙である。

もしかしたらこの子と何か関係が……。

 

「?」

 

そう思い一瞥すると、首を傾げてこちらを見てくるAL-1Sちゃん。中々愛くるしいな。

私についてくるバイクを見た時も、小動物みたいな仕草を行うものだから庇護心がくすぐられたぞ。

 

『行こっか』

 

小さく頷いたのを確認し、私はその小さな手を軽く繋ぎながら先生達に続いて校舎内へと足を踏み入れた。

今考えても仕方ないことだろうし、詳しい事はそのうち分かるはずだ。

 

自動ドアを抜けると、流石はキヴォトス最新鋭の学園と言うべきか、様々な機械だったりホログラフィックだったり……かなり未来を感じさせる雰囲気が辺りに充満している。

白と青で統一された内装群や何十mあるか分からない位に高い天井も、その印象に寄与しているだろう。

 

校内を見渡した時もそうだったが、かなり文明の違いを実感している。

私の中でのビルの高さランキングが秒速で更新され続けるのを皮切りに、学園内に配置されたモノレール駅や発電所、果てにはフィットネスセンターまで。

昔読んだ小説の登場人物も、こんな気分だったのかな?

生憎、私は彼みたいに戯曲からの引用など出来そうにないけど。

 

まあ、研究好きな子達にとってはユートピアに違いなさそうな環境だ。

 

(………)

 

ミレニアムの制服を着せて貰ったAL-1Sちゃんと違って、いつものジャケット姿のままで来た私はかなり目立ってしまう。例としては、さっきまでタブレットで何やら作業していたそこの子も、私を一目見るなり興味の視線でじっと刺してきている。

 

一瞬目線を返してやると、驚いた表情の後すぐさまタブレットに頭を隠してしまった。

 

前にも似たような事があったけど、今回はなんだかちょっと恥ずかしいな。

相手がちゃんとしたミレニアムの生徒だからだろうか。

もしまた他の学園に来る機会があるなら目立たない服装にしよう。絶対ね。

 

「こっちこっち!」

 

声のした方向を見ると、複数ある内一つの階段を進んだ先でこちらに手を振るモモイちゃんの姿が。

こんなに広いんだし、絶対迷うに決まってる。大人しくついて行くとしよう。

 

陽の光をよく取り込むホールの構造に感心しながら幅の広い階段を早足で上がって行くと、エレベーター前で皆が待っていた。

 

『凄い学園だね。私驚いちゃったよ』

 

「ふふん、でしょでしょ?」

 

「お姉ちゃんが誇ることじゃないよ……。まあ、ここはキヴォトスで最も発展してる場所だからね」

 

そう言うミドリちゃんであるが、どこか嬉しそうな表情を隠せていない。

私の感想は本心からのものだ。純粋に探検したい気分である。

 

 

──────

 

 

道中の色々な景色を反芻し、その衝撃に打ち震えていると、いつの間にか私達は廊下の先で一つの無機質なドアに辿り着いていた。

 

横には小さく、ゲーム開発部と書かれた札が掛かっている。

 

「ふっふっふ、良くぞここまで来───」

 

「はいはい」

 

モモイの歓迎虚しく、王国の扉は呆気なく開かれてしまった。

 

(お邪魔しま~す……)

 

一歩踏み出すと、ここまでの合理的で均一な光景からは打って代わって、温かみと生活感溢れる部室が広がっていた。

可愛らしい色のカーテンや、乱雑に積まれたゲームソフト。今どき珍しいレトロゲーム機やブラウン管テレビ等が特に目につく。

ゲーム開発部の名に恥じない内装だろう。

 

………足の踏み場が無いのはちょっとアレだけど。

 

「さ、好きなとこに座って!」

 

え、どうしよう。取り敢えず……隙間から見えた適当なクッションに腰掛けるか。

ベールと化したゲームソフト達を剥がしていくと、ちょっぴりホシノちゃんとの倉庫内の探索を思い出す。

ここに羽毛のマットは無いだろうけどね。

 

積まれていたゲームソフトは多種多様で、私の知っているような名作もあれば、明らかに怪しいタイトルの物まで。

二人は全部プレイ済みなのだろうか……もしそうだとしたら、誇っていいと思う位にはある。

 

「???」

 

おや、AL-1Sちゃんは未だ戸惑っている様子だ。

無理もないか、特に説明してもらってないし。というか成り行きだし。

 

(こっちこっち)

 

手招いて横に座らせ、先生も腰を下ろした所で、ようやく話は先に進む事になった。

 

「……ねえ、ちょっと!結局この子を部室まで連れてきてどうするの!」

 

ここまで抑えていたものが爆発したのか、ミドリちゃんはしたり顔のモモイちゃんの首へと手を伸ばし、グラグラと頭を前後に揺らしながら訴える。

 

「うっ、首絞めないでって!苦しっ、ゲホッ、ゲホッ!」

 

涙目で嫌がるモモイちゃんから咄嗟に手を離し、ミドリちゃんはこの事態に頭を抱えてうずくまった。

 

「し、仕方ないじゃん。そもそもあんな恐ろしいロボットたちがいる場所に置いていくわけにも……」

 

(ん?……ちょっと、それはダメだって!?食べ物じゃないよ、絶対!)

 

妙な音がし、ふと隣に目を向けると、なんとAL-1Sちゃんがなにか棒状の物を頬張っているではないか。

 

「ああっ、私のWeeリモコンを口に入れないで!ペってして!ぺって!」

 

『ほら、良い子だから。吐き出そ、ねっ!?』

 

私が取り押さえ、慌ててミドリちゃんが口からそのリモコンを引き抜くも……なんてことだ、ヨダレまみれだぞ。

その事に気づき、急いでティッシュで拭きとるミドリちゃん。

リモコン、壊れてないといいけど。

 

「……やっぱり放っておくわけにはいかないでしょ」

 

モモイちゃんの言う通りかも。これでは危なっかしくてしょうがないし、目を離すべきじゃなさそう。

AL-1Sちゃんを抱き寄せ、口元から垂れたヨダレを受け取ったティッシュで拭きながら私はそう思った。

 

「……今からでも、連邦生徒会かヴァルキューレ辺りに連絡した方が良くない?」

 

「それはそうだけど……それはまだ。私たちのやるべき事が終わった後にね」

 

「やるべきこと?」

 

そういえば……部員が足りないっていうのと、実績が必要って話だったね。

 

まさか────そういう理由なのかな?

 

「さて、とりあえず名前は必要だよね。【アリス】って呼ぼうかな」

 

……ちょっと身構えたが、今度は別に問題は無かった。目眩や頭痛も無し。

それにしてもあの時のフラッシュバックは……綺麗であると同時に心の底から怖かった。出来ればもう見たくないね。

 

というか、アレは誰の声なのだろうか?

女性の声というのは辛うじて分かるけど……ノイズが多くて聞き取りづらかった。

 

「……本機の名称、【アリス】。確認をお願いします」

 

特に抵抗する様子も見せないし、どうやらこの少女は受け入れるようだ。

私個人としてもいい名前だと思うよ。可愛いし、似合ってる。

 

「ちょ、ちょっと待って!それお姉ちゃんが勝手に読んだ名前でしょ!?本当ならAL-1Sちゃんなんじゃないの?」

 

「そんなに長いと呼びにくいじゃん」

 

『その通り』

 

「ええ……レイヴンまで……」

 

「どう、アリス?気に入った?」

 

そう問いかけられ数秒の沈黙に浸ると、やがて無表情だった表情に柔和な笑みが宿り、ハッキリと宣言される。

 

「…………肯定。本機、アリス」

 

「あはは!ほら、見たか!私のネーミングセンス!」

 

「うーん……本人が気に入ってるならいいけど」

 

そういえば、最初の頃のラナは頑なにHSL-1と名乗っていた。

まるで、それが自分の本名かのように。

もしも……もしもこの、アリスという少女のように、彼女にラナと名付けた人が居たのなら……どんな想いを込めたのかな?

 

「さあ、それじゃ次のステップに行ってみよっか!」

 

「お姉ちゃん、いったいなにを考えてるの……?子猫を拾ってきたとか、そういうレベルじゃないんだからね!?」

 

子猫というよりは、赤ちゃんに近いと思うよ。ほら、今も私のジャケットに噛み付いてるし。

 

「ミドリの方こそ、よく考えてみてよ。そもそも、私たちが危険を冒してまでG.Bibleを探してた理由はなんだったっけ?」

 

「それは……良いゲームを作って、部活を廃部にさせないためでしょ?」

 

「そう、今一番大事な問題はそれ。良いゲームも作りたいけど、まずは部活の維持が最優先。それで、そのためには二つの条件のうち、どっちかをクリアする必要がある」

 

片手でピースの形に指を立て、モモイちゃんは説明を始めた。

 

「ミレニアムプライスで受賞を狙うのは、あくまでその内の一つに過ぎない」

 

「あくまでも何も、方法は実際のところ一つしか無いでしょ?お姉ちゃんがそう言ったんじゃん、だってこれ以上【部員を増やす】のは無理……」

 

見ろ。ふふん♪とでも言いたげな表情でニヤついてるぞ。確信犯だ。

 

「……あれ?お、お姉ちゃん、まさかとは思うけど……この子をミレニアムの生徒に偽装して、うちの部に入れようとしてるんじゃ……!?」

 

そこまで言ったところで、モモイちゃんは待ってましたとばかりにクワッと目を見開き、アリスちゃんに提案を投げる。

 

「アリス!私たちの仲間になって!」

 

────やっぱり、そうだった。

何も知らないままの状態で勧誘するのは気が引けるけど……見つけたのはこの二人だし、筋はある程度通ってるのかな?

 

さて、肝心のアリスちゃんはと言うと……。

 

「ああっ!それは私の【ゲームガールズアドバンスSP】!」

 

今は私が何とか抑えているが、またもや別のものを口に入れようとしていた。

腕を引っ張ってみると分かるが、この子……見た目に反してかなり力が強いぞ。まるで重機みたいにビクともしない。

 

「ダメだってば!8コア16スレッドカスタムCPUに8K解像度を誇る、キヴォトス唯一の16bitゲーム機なんだよ!?」

 

なんか専門用語が多くて分からないけど、食べ物じゃない事だけは確かだ。

モモイちゃんと二人がかりでなんとか再度引き剥がし、ヨダレ一つ付く事なく回収に成功した。

 

『ダメだよ、その辺のものを拾い食いしちゃ。お腹壊しちゃうよ?』

 

「そう言うことじゃないって!」

 

「うーん、やっぱり心配……。この子をうちの部員に偽装するなんて……本当に大丈夫?」

 

「【大丈夫】の意味を確認……【状況が悪くなく問題が発生していない状況】のことと推定、肯定します」

 

「……いやいや、肯定できないって!この口調じゃ絶対疑われるよ!やめておこう!?これは無理だって!」

 

これくらいなら案外何とかなったりしないだろうか。言葉自体は通じるんだし。

 

「今やめるって選択肢の方が無理だよ。何としても、私たちのゲーム開発部を守らなきゃ。そうしないと、ユズの居場所が……寮に戻るわけにはいかないし……」

 

「……そう、だったね……」

 

居場所を守る、か。

私にとってその言葉は、大事なものだ。

あの時とは状況も環境も違う。けど、そう語るモモイちゃんの姿に、私は、姿を重ねてしまう。

 

────乗りかかった船だ、私にも少しの権利はあるでしょ?

 

どうせ今は休暇中だし。好きに行動させてもらうよ。

 

「服装もある程度揃ったし、あとは武器と……学生登録をして、学生証を手に入れないと。学生証については私の方でなんとかするから、ミドリとレイヴンはユズと三人で、アリスに【話し方】を教えてあげて」

 

ユズ。確か、このゲーム開発部のもう一人のメンバーだったか。

部室内を見渡しても姿は確認出来ないけど、今は出かけているのだろうか。

 

「は、話し方?」

 

「今のままだとミドリが言った通り、疑われちゃうかもしれないから。ただでさえ【友達もいないあなたたちに、新しい部員の募集なんてできるはずないでしょ】って言われてるし……」

 

そうかな?この二人がそんなに他人とコミュニケーションをとるのに苦戦する様子が浮かばないけど。

私とも仲良くしてくれてるし。

 

「もし、何かの拍子にユウカに【本当にゲーム開発部なのか】って聞かれたとして……」

 

──────

 

肯定。あなたの質問に対し、アリスの回答を提示。私はゲーム開発部の部員。

 

──────

 

「……なんて言っちゃった暁には、全部台無しになりかねない」

 

言われてみれば……まあ、探ろうとするだろうね。

そしたら経歴が無いことがバレちゃうか。

 

「いや、それはそうだけど……」

 

『私もいるし。大丈夫だよ』

 

「……はぁ。仕方ない、やれるだけやってるよ」

 

「よし、じゃあ任せた!」

 

短く告げると、モモイちゃんは部屋を飛び出していってしまった。

偽造ならラナとかが適任なんだけど、今は留守だから無理か。

 

「うーん……」

 

「???」

 

アリスちゃんはさっきからじーっとこちら側の顔に視線を合わせ続けたままだ。

あまり長く見られるとちょっぴり恥ずかしいんだけど……。

 

「え、えっと……アリス、ちゃん?」

 

「肯定。本機の名称、アリスです」

 

「うん、じゃあアリスちゃんって呼ぶね。それにしても話し方かぁ……よく考えると、どうやって習得するんだろ。普段は動画を見たり、周りの言葉を真似していく内に自然に、って感じだと思うけど」

 

『基本はそうだろうね。幼少期の頃に聞いた言葉が話す言語に影響を与えるって聞くし』

 

「……うーん。子供用の教育プログラムって、インターネットに落ちてるかな……」

 

おや、またアリスちゃんが辺りを探索しているぞ。好奇心旺盛なのはいい事だ。

 

「?正体不明の物を発見、確認を行います」

 

棚の前で立ち止まると、アリスちゃんは押し込まれていたダンボール箱の中から一冊の雑誌を取り出した。

 

「あっ、そ、それは……っ!?」

 

どうやらゲーム関係の雑誌らしい。表紙を詳しく見てみると、【テイルズ・サガ・クロニクル】について大々的に取り上げてある。

アリスちゃんの様子を見るに、惹かれたのは雑誌ではなく、このゲームらしい。

 

「えっと……ちょっと恥ずかしいんだけど、実はそれ、私たちが作ったゲームなの。まあ、すごい酷評されちゃったやつなんだけどね」

 

だとしても雑誌に出てくるとは。話題性としてはかなりの力だぞ。

評価されないよりは全然マシだと思うけど。

 

「あ、そうだ!クソゲーランキングでは一位になっちゃったし、アリスちゃんがどう思うかは分からないけど……アリスちゃん、私たちのゲーム……やってみない?」

 

ふむ。雑誌をパラパラ捲ってみると、このゲームに対する簡単な評価がいくつか載せられている。

………厳しいものが多いな。

 

「【会話】をしながら進められるから、ゲームをやってみるのも勉強になるかも」

 

「……?」

 

『はいはい!私も賛成!』

 

手を挙げて意を表す私。内容にもよるけど、ゲームなら楽しく言葉を学べる気がするぞ。

 

「ここまでの言動の意図、完璧には把握しかねます。しかし……」

 

瞬きを数回して悩んだ後、アリスちゃんはそれを選択した。

 

「……肯定。アリスはゲームをします」

 

「ほ、本当に!?ちょ、ちょっと待ってて、すぐにセッティングするから!」

 

どこか興奮した様子でドタバタとあれやこれやを棚から引き出すミドリちゃん。

なんだか楽しい休暇になりそうだな。




灰被りのカセットテープ

思い出の詰まったカセットテープ。アナログは消えること無く、ただ存在していたという事実を後の者に気付かせる事が出来る。例えどんな事であっても。
聴くと若干のノイズが混じってしまってはいるが、それさえも彼女は愛していた。

使用すると、かつての記憶が背中を押してくれる。

収録されている曲は以下の通り。

・Cosmos New version
・Stargazer
・Day After Day
・thinker
・Mechanized Memories - in the end -
・Life in Ash
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