戦え!超ロボット生命体ユメパイセン   作:クソザコぎつね

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Parabellum

 

 

「あの……いいんですか本当に」

 

『大丈夫だよ、お金ならあるし』

 

彼女が遠慮しながらもしっかりたい焼きを受け取った事を確認した後、私も自分の分にかぶりつく。中身はカスタードだ。

 

『ごめんね手伝ってもらっちゃって』

 

「お気になさらず。私も助けられましたし」

 

いい子だな、可愛いし。まさか生活品選びに同行してくれるとは思わなかった。

 

『そういえばまだ聞いてなかったんだけど、なんて言うの?名前』

 

「阿慈谷ヒフミです。今はトリニティの1年ですね」

 

ヒフミちゃんか〜。

 

『トリニティってあのマンモス校でしょ?凄いね』

 

「あはは…私はなにも」

 

謙遜してるみたいだけど、きっとこの子には素晴らしい資質がある。仲のいい友達も幾つか居るんだろうし、見ず知らずの他人ともすぐ打ち解ける事が出来るはずだ。私が言うんだから間違いない。

それにしてもこの店のたい焼きは美味しいな。隠れた名店って感じ?久しぶりに食べるからそう感じるのかもしれないけど。予め追加で2個買っておいて良かった。

 

「本当は今日買った限定のグッズ、その時に買おうと思ってたんですけど試験の日と重なっちゃって……。だから今度からはこっちを優先するつもりです」

 

(ん〜、それはどうなんだろう?)

 

どう返せばいいか分からない為、とりあえず微笑んでおく。そんなにモモフレンズが好きなのか。

あの不思議なキャラクターたちの事を考えながら口を動かしていると、あっという間に全て食べ終えてしまった。

 

「後はなにか必要な物はありますか?」

 

『銃だね』

 

「あれ、お姉さん持ってなかったんですか?見るからに強そうなのに」

 

『強そう?』

 

「はい!」

 

強そう、か。あまり慣れない言葉だな。ホシノちゃんの方が強いし。

 

『ありがとね。じゃ、買いに行こうか』

 

たい焼き屋のある外郭地区から中心部へと二人で歩みを進める。

本当は外郭地区にも銃を売っている店は幾らでもある筈だったのだが、どこかの探りが入ったようで今日は殆どの店がシャッターを閉めていた。

 

「ついてないですね。ハンドガン位なら手に入りそうなものですけど」

 

私の戦闘スタイルは盾を使ったタンクが主だったから拳銃が一番使い慣れているのだ。しかし傭兵の道を選ぶのであれば一人で任務をこなす事になる。なら戦法は基本一撃必殺。

 

『ヒフミちゃんって格闘訓練は受けたことある?』

 

「いえ、そこまで本格的なのは……。SRTの子達なんかは関節技とかを教えてるとかなら聞き覚えがありますけどね」

 

なにそれ、敵に回したくないな。

 

「あっ、ここならありそうじゃないですか?」

 

『ん?どれどれ』

 

立ち止まったところはレンガ造りの小綺麗な小屋だった。立てかけ看板には【ナーヴス・コンコード】と掠れた文字で書かれていた。

青い窓ガラスの奥には何やら様々な銃器がチラホラ見える。

 

『みたいだね、ヒフミちゃんも来る?』

 

「じゃあ見るだけ……」

 

少し重たい木のドアを開けると、埃臭い匂いと、所狭しと乱雑に並べられた銃達が歓迎してくれた。

アサルトライフルは勿論、ミニガンやスナイパーライフル。RPG-7なんかも見受けられる。

 

(ひぃん、すんごい金額)

 

タグを見てみると、どれも私の6ヶ月分の生活費レベルの金額がつけられていた。

 

(売る相手に学籍持ちが少ないからなのかな?私も持ってないけど)

 

どうやら銃だけでなくプレートキャリアやマグポーチ等の装備品も少ないながら売られているらしい。値段はまあ良心的である。

 

(んー、とりあえずはこのチェストリグにでもしておこっかな。一番つけやすい形してるし)

 

適当に見繕った品を左手にぶら下げて再度店内を見回っていると、店内の片隅に見覚えのある紙がくしゃくしゃに置かれていた。

 

(あ!これアビドス砂祭りのポスターだ!)

 

何かを包む為に使われているようで、剥ぎ取って元の形にしてみると、思い出深いあのポスターだった。

 

(……奇跡が起きてくれればいいのになぁ。ま、今こうして生きていること自体が奇跡みたいなものだし、高望みし過ぎかな……)

 

「なんです?それ」

 

『昔アビドスにオアシスがあった頃、大規模な祭りが開催されていてね。これはその時のポスターだよ』

 

「昔?ということはもう…」

 

『そうだよ。みんな砂に埋もれちゃったからね』

 

「お姉さんはその祭りに参加した事あるんですか?」

 

『いや?私も見たことは無いよ』

 

「実際はどんな内容だったんでしょうかね」

 

『もうそれを知ってる人も居ないだろうけどさ。砂嵐が収まってくれれば、少しは人が来てくれるかな?』

 

「あれ、お姉さんってアビドスの人だったんですか?」

 

『え、まあ、部分的には……?多分』

 

言ってなかったな、そういえば。言っちゃいけないとは聞いてないけど、私の事だから知らぬ間に口から零しちゃいそう。

話題を変えようと、咄嗟にポスターをポケットに突っ込み、さっきまで包まれていた物を手に取る。

 

「あ、それにしますか?」

 

手に取ったのは鈍く光る暗い赤色をしたハンドガンだった。ベースはベレッタM93rだと想像出来るが、随所に実用的なカスタムが施されている。

強装弾対応の強化スライドや、ハイグリップでも握りやすいように細く加工されたグリップ。構えてみると、サイトシステムもオリジナルのトリチウムサイトだ。夜間の任務もそつ無くこなせるだろう。更にはセーフティの改良と大型のコンペンセイターに、拡張マガジンを用いる事で短所を克服している。

 

(ふむ……なんだかいいなこの銃。その気になってきちゃうぞ)

 

偶然の出会いではあるが、これも小さな奇跡だろうか?

 

『ヒフミちゃん、店員さん呼んできてくれる?』

 

「分かりました!」

 

小走りで店の奥に消えると、少しも経たずに杖をついた店主が不機嫌そうな顔でやってきた。

 

『すみません、これを頂くことって可能ですか?』

 

「ん?ああこれか。長らく買い手が見つからなかったんだ」

 

『見つからない?』

 

「そいつは【廃墟】からの掘り出し物だ。六点バーストに違法改造されているのが原因かは知らんが、ここらのガキ共にはまともに撃てなくてな」

 

『反動ならご心配なく』

 

「……そうかい。漬物石を拾ってくれた礼だ、割引してやる」

 

幸いと言っていいかは分からないけど、私の右腕は元の腕よりスペックは高い。さっさと会計を済ませた後、私達はブラックマーケットを後にした。

 

『それじゃ、私はここら辺で。無事に帰れそう?』

 

「大丈夫です。ありがとうございます、長い間」

 

『いいよいいよ〜』

 

「またここに来る時ってお願いできますか?」

 

『それは難しいかな。私スマホ持ってないし」

 

「そうですか……」

 

ああ、そんな悲しそうな表情しないで。

 

『もし心配なら、アビドスの子達を頼ってみて。きっと力になってくれるから』

 

「…分かりました!」

 

そうそう、笑顔が似合うよ。

 

『じゃあねヒフミちゃん』

 

「はい、お元気で!」

 

また長い間荒野を歩くのか……嫌になっちゃうよ、まったく。何か移動手段でもあればいいのに。

それからヒフミちゃんに自分の名を名乗っていないと気づくのはボロ小屋についた時だった。

 

(本名はダメだよなぁ……)




ユメ「わ〜い、ホシノちゃんとお揃っちだあ〜」

ホシノ「そうですね……」

ホシノのショットガンのモデルはベレッタ1301だそうで。
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