突然だが、今から俺の出す質問を真剣に考えてみてほしい。
問・入学式での校長の話す内容は重要であるか否か。
俺はこれまで生まれてから14歳になるまで、ホワイトルームでずっと過ごしてきた。
そのため、入学式というものを知らない。
普通なら小学校・中学校で経験する筈だった式典。だが俺にとっては当然ながら初の体験だ。だからどういったプログラムで進行されるのか、またその内容は如何なるものなのか一切不明。何一つ分からないからこそ入学式というのを少し楽しみにしていた部分もあった。
だが、そんな俺の期待は長くは続かなかった。
蓋を開けてみれば、入学式はひどく退屈なものであったからだ。
特に校長からのありがたいお言葉。
入学おめでとうから始まった俺たち新入生に対する祝辞。それだけで終わるのならともかく、そこから入学式を無事に迎えられた校長の個人的な感想やら学校の教育方針、これから社会に出て必要となる人材像や生徒に対する将来像など、それわざわざ今語る必要ある? といった内容ばかりが続く。
小難しく堅苦しい言葉で塗り固められたその祝辞は、とても長く、立ちっぱなしの状態で黙って耳を傾け続けるのは辛いものがあった。それこそ新手の拷問なのではないだろうか。
既に生徒会長から似たような祝辞を受けた後だから余計にそう感じるのかもしれない。
あまりに退屈な時間が続く。話す内容は当然しっかりとしているのだが、しっかりとし過ぎて逆に興味が全く湧かない内容となっている。
現に一部の生徒たちなど、欠伸を零したり髪を弄ったりと明らかに集中力が低下している姿が見受けられる。特に顕著なのはDクラスの生徒だろうか。中には立ちながら寝ようとする猛者までいるほどだ。
勿論真剣に話を聞いている者も中にはいるのだろう。
だが、それでも大多数の生徒は顔や態度に出ていないだけで、物凄く退屈な時間だと認識している筈だ。
いずれは校長の言っている内容を心の底から理解できる時が来るのかもしれないが、少なくとも今この瞬間ではあり得ない。
高校に上がったばかりの若者が、そんないつ来るか分からない未来での話に興味を持つ方が不自然だ。彼らにとっては校長のありがたいお言葉よりもこの限られた3年間をどれほど有意義に過ごすかの方がよっぽど重要だろう。
つまり、答えは否だ。
校長の話す内容は現状俺たち生徒にとっては、そこまで重要度は高くなく、また真剣に話を聞くほどのものでもないと。
うむ、これで結論は出たな。
また一つ、ホワイトルームでは学習できない事を学んだ。
……さて、結論も出た事だし、そろそろ本格的に壇上で気持ちよく話している校長へと言いたい。
――早く終われよ、この野郎。と。
まだまだ話し終わる気配がない
だが俺のそんな懇願も空しく、校長はその後もマイペースにいつまでも話し続けるのであった。
◇
地獄の入学式を終えた後、俺たちは指定のクラスへとそれぞれ足を運んだ。
教員の指示に従いAクラスから退場していき、B・C・Dといった順番で体育館から各教室へと移動する生徒たち。
校長の
……と、そんな話はともかく。
俺たちBクラスは当然、体育館から退場した後は『1-B』と表記された教室へと入室する事になる。
教室内には40人分の座席があり、机の上にそれぞれの名前が記されたネームプレートが置かれている。
また黒板にはそれぞれ生徒たちの座席が記された紙が貼られており、現在生徒たちの多くは教卓近くに集まり、自分の座席を確認していた。
「あ、私窓際の席だ」
「やった! 席近いね私たち」
「ゲッ、真ん中の一番前じゃねぇか!」
「廊下側の前列か……後ろが良かったな」
一喜一憂しながら座席表を確認する生徒たち。
そんな生徒たちが少なくなったタイミングを見計らい、俺も黒板に貼られた座席表を確認して自分の名前を探す。
俺の名前があったのは窓際の一番後ろの席。
基本こういう席順というのは五十音順で決まるのが普通らしいのだが、この学校はどうやらそんな既存の決め方をしていないらしい。そのせいで自分の席を見つけるのに少し苦労した。
指定された席へと移動して机の上にスクールバッグを置く。
これで漸く一息つけるな。
周囲を俯瞰してみるにはちょうどいい席という事もあり、一息つきがてらまずは教室内を軽く見回してみる。
「…………」
まず視界に入ったのは、既に数人の生徒で集まって仲良く談笑している女子のグループ。
そのグループの中心人物はストロベリーブロンドの髪が特徴的な女子っぽいな。
派手な髪色に加え、容姿も可愛らしいという事もあり、男子にすごく人気が出そうだ。陽キャな雰囲気も醸し出しているし、おそらく俺と関わる事はほぼないだろう。
続いて視線がいったのは、男子のグループ。
活発そうな男子たちで集まって出来上がったその集団は、全体的に爽やかな印象を受ける者たちで構成されているように感じる。こいつらも何と言うか陽キャな雰囲気がビシビシと伝わってくるため、おそらく俺と深く関わっていく事はないんだろうなと思われる。
さらに視線を別の場所へと移すと、今度はなんと男女混合のグループを見つけた。入学早々に異性と仲良く談笑している事から、もしかしたら中学からの知り合いで構成されているグループなのかもしれない。だとしたら既に完成されたグループと言ってもいい。今更よそ者が入り込む余地はないだろう。そうなると彼らとは一生関わる事はないかもしれない。
と、ここまで周囲を観察してみるとこのクラス、一人でいる者の方が圧倒的に少ないな。
どこを見ても複数で固まっている者で溢れている。
おまけにクラスの雰囲気としては全体的に明るく、フレンドリーな印象だ。そんなクラスメイトたちを視界に入れながら、俺は思う。
こいつら本当に俺と同じ人間か? と。
いくら何でも仲良くなるのが早過ぎる。
元々中学からの知り合い同士もいるのかもしれないが、それでも今グループを作っている者たち全員が以前からの知り合いという事はないだろう。ほとんどが初対面の筈だ。なのに彼らは何故こんなにも簡単に人の輪を広げられるのだろうか。
どれだけ想像力を働かせても、俺が彼らの輪の中に入って仲良く談笑している姿は残念ながら想像できず、正直このクラスでやっていけるか早速不安が募る。
もしかしたら俺はとんでもないクラスに配属されてしまったのではなかろうか?
一応、入学式前に仲良くなった渡辺と藍原の二人はいる。そのため、彼らに無理やりくっついていれば、孤立する事はないだろう。
だが、問題がない訳でもない。
その問題というのが、彼らの話す内容だ。
先ほど体育館からこの教室へと移動する最中も、二人と話す機会はあったが、俺は基本的に聞き役に徹してしまった。
というのもその語られた内容が好きなアニメやゲームの話になってしまったからだ。
ゲーム内やアニメ内特有の専門用語の羅列が出てきた時は、頭の中に大量の疑問符が浮かび、盛り上がる二人をしり目に俺は寂しい時間を過ごした。
そういったサブカルチャーに関して何一つ知らないため、彼らがその話題で盛り上がり続ける限り、俺が彼らの輪に加わる事はほぼないだろう。
現に彼らは今、先ほど同様アニメやゲームの話題で盛り上がっており、俺の入り込む隙はない。
しかも厄介な事に彼らが今話している内容は先ほど聞いていた内容と180度異なるジャンルについて語り合っている。
一体彼らの引き出しはいくつあるのだろうか。
それでも無理やり入り込む事はできなくはないが、そのせいで会話が盛り下がってしまっては本末転倒だ。
せっかく仲良くなったのに、それが原因で「アイツがいると会話が盛り下がるし、アイツとつるむのやめようぜ」みたいな展開になる可能性もある。
そうなってしまえば俺はこのクラスで完全に孤立するため、その展開だけは避けなければならない。
つまり、アレだ。
彼らとの会話をスムーズに行うためにも、まずは会話デッキの補充を行う必要がある。
世間一般の者が今、何に興味がありどういったモノを求めているのか、それを知るために未知のジャンルを開拓しなければならない。
だが正直言えばアニメやゲームなど欠片も興味がないため、学習するためのモチベーションはあまりない。
しかし、渡辺と藍原はそういったサブカルチャーが好きなようだし、彼らとこれからも適切な関係を続けていくには、俺がそれを学習しなければ話にならない。
……なんか面倒くせぇな、人間関係って。
「あっ、」
俺が内心でそんな事を考えていた時、隣の席から突然そのような声が聞こえた。
視線を隣に向けると、そこには一人の女子がいる。
彼女の視線は俺の足元に向いており、俺も視線を足元に移すと消しゴムが転がってくるのが見えた。
それを認識した俺は、転がってきたその消しゴムを拾い、隣の席の女子へと手渡す。
「……ありがとう」
消しゴムを受け取った彼女は、軽いお礼の言葉を述べるとこちらからすぐに視線を外し、消しゴムを筆箱にしまう。
その後、彼女は周囲で談笑しているクラスメイトたちを一瞥するが、何かアクションを起こす事はない。自席に座りながら、どこかつまらなそうな、ダルそうな表情を浮かべている。
「…………」
そんな少女の様子が少し気になった。
俺と同じく一人でいるという事もあるが、明らかに周囲で談笑する女子たちとは雰囲気が違ったからだ。
大人しいタイプ……なのだろうが、ただそれだけじゃなくどこか冷めてるというか、他人にそこまで興味をもっていないというか、そんな雰囲気を感じる。
タイプとしては俺と少し似てる?
浮かれてる者の多いこの教室内ではやけに印象に残るため、つい視線が彼女に固定されてしまった。
「……ねぇさっきから何なの? 私に何か用?」
当然、隠しもせず少女を見つめていれば、少女もそんな俺の視線に気付き、不審そうな表情を浮かべる。
流石に不躾だったか。
「いや、すまない。少し気になってな。君は一人でいるみたいだが、周囲の女子と仲良くしなくていいのか?」
「は……? そんなのアンタには関係ないでしょ。ていうか、アンタだって一人でいるじゃん」
「このクラスの雰囲気が少し苦手でな。とてもじゃないが既に形成されたグループに入る勇気がもてないんだ。もしかしたら君も俺と同じなんじゃないのかと思ってな」
「……まぁ、このクラスの雰囲気が苦手って気持ちは分かるけど、それが何? まさか似た者同士だから仲良くなろうとか言う気?」
「ああ、そのまさかだ。席も隣同士だし、お互い名前くらいは予め知っておいた方がいいだろう。という訳で俺は鈴懸眞哉。よろしく」
渡辺や藍原たちのように仲良くなれるかは分からないが、二人と違いオタク系の会話を好んで行うタイプにも見えない。その分、少なくとも彼女とは気が合いそうな気配は感じる。
「はぁ……私は姫野ユキ。一応よろしく。でもアンタと仲良くなるかはまた別だから。お互い名前も知った事だし、もうこれで良いよね」
「え? 雪?」
知った固有名詞が出たため、思わず口から言葉が漏れる。
「そうだけど……なに?」
「……いや、悪い。少し驚いただけだ。俺の知り合いにも雪という名前の子がいてな。同じ名前でつい反応してしまっただけだから気にしないでくれ」
「……あっそ」
彼女、姫野はそれだけ言うとそっぽを向く。
どうやら俺とはこれ以上会話をする気はないようだ。同じ雪という名前でもこうも性格が違うのか。
ま、互いに軽い自己紹介もしたし隣人として最低限の関係は築けたかな。
俺がそんな事を思っていると、そこでちょうど始業開始のチャイムが鳴る。
鳴り終わると同時に一人の女性が教室へと入室してきた。タイミングからして、彼女がこのクラスの担任だろう。
「はーい、みんなー! 席について。これからホームルームを始めるよ!」
女性の登場に席を離れて談笑していた生徒たちが慌てて席へと戻っていく。
そんな生徒たちの姿をにっこりとした表情で見据えながら、全員が着席したのを確認した後、彼女は口を開いた。
「新入生の皆、改めて入学おめでとう! 私がこのBクラスの担任となる星之宮知恵です。この学校は学年ごとのクラス替えは存在しないから、卒業までの3年間、私が君たちの担任として一緒に学んでいく事になると思うからよろしくね、皆!」
随分とフレンドリーな先生だな。
政府主導という事でここに通う教師は全員お堅く厳しいイメージを抱いていたが、そうでもないらしい。その事実に生徒たちの何人かは少しホッとしたような安堵の表情を浮かべた。
……しかし、それよりもクラス替えは存在しないのか。そうなると雪と同じクラスになる事はもうないのか……それは残念だな。
「じゃあ次にこの学校に設けられた特殊なルールについて書かれた資料を配るね。これは以前入学案内と合わせて配布してるものと一緒だから内容はもう知ってるとは思うけど」
星之宮先生はそう言いながら、資料を配る。前から資料が渡されていき、受け取った資料をパラパラとめくる。
特別変化はない。全てを読み込んだ訳ではないため断言はできないが、書かれている内容も同じように思える。
資料が全員に行き渡ると、全員で資料の読み合わせが始まった。
内容を要約すると、以下の通りだ。
・生徒は必ず敷地内にある寮で生活しなければならない。
・敷地外への外出および連絡は一切禁止。
・ただし部活動の大会や血族の葬儀などは特例として外出が認められる。
ここまでは以前に配布された内容と全く同じもので、この学校へ入学する者なら既に把握している共通認識だ。
「それじゃあ続いて学生専用の端末を配布するので、名前を呼ばれたら取りにきてね。まずは藍原誠くん」
「はい」
藍原の名前が呼ばれ、彼はそのまま教卓へと向かう。
その後も一人一人生徒の名前が呼ばれていき、星之宮先生のもとまで端末を取りに行く。
この学校は先にも述べたように外部との連絡が許されていないという事もあり、今まで使っていた携帯などは当然のように持ち込み不可だ。資料にも持ち込み禁止リストに載っているし、敷地内で使える端末を一人一台支給すると記載もされている。それがこの端末だろう。
「鈴懸眞哉くん」
「はい」
名前が呼ばれたので、教卓まで行き自分の端末を受け取る。
見た目は通常のスマホと同じで、操作方法もおそらく同じだろう。
「これで全員に行き渡ったね。それじゃあ次はその端末について説明するから、まずは端末の電源を入れてくれるかな」
星之宮先生の言葉に俺たちは端末の電源を入れると、真っ暗だった画面から高度育成高等学校の校章が描かれたローディング画面が映し出される。
その暫く後に完全に端末が立ち上がった。
「端末が立ち上がったらまずは学生証アプリを起動して、自分の顔写真や名前、生年月日などが間違いなく記載されている事を確認してね。ないとは思うけど自分の顔写真じゃなかったり、名前や生年月日にミスがあった場合は速やかに挙手してくれるかな?」
指示の通りに学生証アプリを起動すると、自分の顔写真や氏名、生年月日、学籍番号、有効期限や発行日などが事細かに表示される。
記載されている内容に間違いがない事を確認した俺は、先生からの次の指示を待つ。
「……うん、どうやらいないみたいだね。それじゃあ次にその端末において一番重要な機能、Sシステムについて説明するよ。この端末は敷地内にある全ての施設での支払いに使用する事ができるようになっています。ただ当然、使用すればその額に応じてPPが差し引かれるから注意してね」
突然出てきたPPという単語に生徒たちは首を傾げる。
そんな中、ストロベリーブロンドの髪が特徴的なあの女子が挙手をした。
「すみません、先生。PPとは何でしょうか?」
「PPっていうのはプライベートポイントの略で、この敷地内で使えるお金。いわばクレジットカードのようなものかな。敷地内で買えないものはなく、また学校内でもそれは同様だよ。ポイントの価値は1ポイント1円で既に皆の端末にもポイントは振り込まれてるから、まずはSシステムのアプリを開いて、残高照会を確認しようか」
その指示のもと、俺は端末にインストールされているSシステムのアプリを開いて残高照会の項目をタップする。
それと時をほぼ同じくして、教室内がざわめき始めた。
無理もないだろう。
何故ならそこには『所持PP 100,000』と表示されているからだ。レートは1ポイント1円。つまり10万円を所持している事になる。
「ふふ、支給額の多さにびっくりした? でも何も不思議な事じゃないよ。この学校は実力で生徒を測るから、倍率の高い当校に入学した君たちにはそれだけの価値と可能性があると判断されたんだろうね。ポイントは毎月一日に自動的に振り込まれるから遠慮なく使ってね」
高校生に与えるにはあまりにも多すぎる小遣いに周囲のざわめきが大きくなる。
星之宮先生はそんな生徒たちを一瞥した後、さらに言葉を続ける。
「ちなみにポイントは卒業時に全て学校側が回収する事になっています。なのでどれだけポイントを貯めても現金化はできないからその点は注意してね。とはいえそのポイントをどう使ってもそれは君たちの自由。ポイントを貯めるも消費するも、誰かに譲渡するのも各個人の判断に任せます。だけど、無理やりカツアゲするような真似だけはご法度かな。そういった行動が判明した場合、学校側は厳粛に処罰しますので、絶対にしないようにね。じゃあここまでで何か質問がある人はいるかな?」
そこで言葉を区切り、星之宮先生は教室内を見渡す。
すると、先ほどの女子が再び挙手をする。
「はい、先生。質問いいでしょうか?」
「一之瀬さんだね。勿論いいよ。何かな?」
「これから私たちが生活していく中で発生する水道光熱費や寮費などはこの支給されたPPから毎月差し引かれるという認識でよろしいでしょうか?」
「いいえ、それに関しては学校側が毎月支払う事になっているので、その点は心配しなくても大丈夫よ。寮費や水道光熱費は勿論、先ほど配った端末の通信費なども全て学校持ちだから生徒たちの負担はゼロ! 基本的にPPは君たち生徒が好きに使っていいポイントだから安心して使用してね!」
おや、それは意外な返答だ。
10万もの大金を無償で配ったのだから、そこから日々の生活費をやり繰りしていくものだとばかり思ってた。全額を好きに使っていいとは随分と太っ腹だな。
「他に何か質問はあるかな?」
「いえ、それ以上は特にありません。ありがとうございます」
「それじゃあ一之瀬さん以外に何か質問のある人はいるかな~?」
星之宮先生は質問のある生徒の挙手を待つが、一之瀬と言われた女子以外誰も手を上げない様子に彼女は言葉を続ける。
「他には誰もいないみたいだね。よし、じゃあ最初のホームルームはこれで終了です。皆お疲れ様! あ、そうだ。鈴懸くん。悪いけどこれから私と一緒に職員室の方に来てくれるかな?」
「……? 分かりました」
突然の指名に疑問がわくが、入学式前に橘先輩が言っていた事を思い出す。
その件についてだろうか。
「……アンタ、入学早々なんかやらかしたの?」
隣の席の姫野がこちらに視線を向けてきた。
ぶっちゃけどのような要件なのかは俺もよく分かっていない。
だが橘先輩のあの反応から、そんな悪い話という訳でもないだろう。
「……さぁ、なんだろうな?」
姫野に軽くそう答え、星之宮先生の後を追い教室から退室した。
<おまけ・眞哉が姫野の方のユキちゃんと話している同時刻>
清隆くん:原作通り堀北さんと談話中。友達を欲してる。
「堀北、オレと友達に―――」
「断るわ」
雪ちゃん:隣の席の森下さんと仲良くなる。早く眞哉と会いたい。
「――でね、眞哉ってすごいんだよ!」(お目目キラキラ)
「鈴懸眞哉ですか。なるほど、個人的に少し興味が湧きました」
有栖ちゃん:クラスメイトたちを観察中。その際に雪ちゃんに既視感を感じる。
「はて? 彼女……どこかで見た事があるような?」
※記憶の中を辿るのに集中していたため、眞哉の名を聞き逃す。
龍園くん:まだ大人しい。退屈な学校だと思ってる。
「……クソつまんねぇ学校だな」