立ち止まる事なく、カリキュラムは進み続ける。
当たり前のように新しい事を学んでいく日々が続き、知識や技術を貪欲に吸収していく毎日。
当初、75名もいた4期生の子供たちも今では随分と少なくなった。
現在の生き残り数はたったの5人。
難度が跳ね上がり、複雑化したカリキュラムに耐えきれず、脱落していく子供たちが増えていったのだ。
そして今ではたった5人しかいない同期だが……残念な事にまた一人、間引かれる者が出てしまった。
「―――お前は失格だ」
テスト用紙が回収され、採点が終わった後の出来事だ。
教官から放たれた言葉がその部屋に重く響き渡る。
言い渡されたその子供―――雪は震えながら口を開く。
「そ、そんな……」
どうやら雪は合格基準点には満たなかったらしい。
例え1点差であろうと、基準を満たせなかった者は容赦なく脱落。
救済措置などは一切行われない。
それがここのルールだ。
「立て」
「い、嫌です……!」
教官の言葉に雪は抵抗を見せる。
脱落が決定した子供たちの中には、今の雪のように抵抗する者も一定数いるため、その行動自体は何度も見た光景だ。
「チャンスを、ください……! 次までに勉強します! ぜ、絶対に合格できるようになります……だ、だから―――」
「もう一度言う、立て」
雪の言葉を途中で遮り、教官は無表情で宣告する。
「ホワイトルームではこれまで多くの育成を行ってきた。一度でも合格ラインに到達できなかった者は、総じてその後の学習能力も低いとデータで出ている。足手まといは育成の邪魔になるだけだ」
チャンスなどある筈がないのは、これまでの経験から分かっていた事だ。
だから雪がどれほど懇願しようが、脱落という結果は変わらない。
「い、嫌……嫌っ!!」
教官が雪の手を掴もうとしたが、雪は全力でその手を払いのける。
そして彼女は席を立ち、取り乱したまま俺の元へと駆け寄ってきた。
「眞哉助けて! 私、消えたくない! まだ眞哉と一緒にいたい!!」
あふれ出る涙をこぼしながら、俺に懇願する雪。
「お願い! 次は絶対に頑張るから! 絶対に! だからっ……」
ホワイトルームのルールは雪だってよく分かっている筈だ。
なのに雪は何故、こんなにも取り乱しているのだろうか。
……分からない。
そして雪の泣き声を聞いていると、心をかき乱されるような感覚に陥る。
何故だ?
今までも泣き叫ぶ子供たちなら何度も見てきたじゃないか。
なのに何故、俺は―――雪に脱落してほしくないと思っているのだろう?
大粒の涙を流す雪の目と、視線が合う。
「―――――」
瞬間、いつぞやの時のように―――俺の脳内で記憶にない謎の光景がフラッシュバックする。
『嫌、嫌! お兄ちゃん助けて!』
『痛い、痛いよぉ……』
『今度は良い子にするから……頑張るから、だから許してお父さん』
それらを認識した瞬間、気付けば俺は―――雪の手に伸ばされた教官の腕を掴み上げていた。
「……何のつもりだ。眞哉」
教官が訝しげに俺に問いかけてくるが、そんなの俺が一番聞きたい。
頭で考えるよりも勝手に身体が動いてしまった。
正体不明の苛立ちが沸き上がってくる。
その事に戸惑いを覚えつつも俺の手が緩む事はない。
「……雪の脱落の件ですが、少し待ってください」
「誰が喋っていいと言った? 貴様に発言の許可を与えた覚えはない。それからいい加減腕を放せ。これ以上はタダでは済まんぞ」
「別に構いません。それよりも雪の件ですが、彼女は昼前から体調が―――」
俺の言葉はそこで止まる。
俺に掴まれていない別の方の腕で、教官が俺の顔面を思いっきり殴ったからだ。
さらに彼はそのまま俺の胸倉を掴み、俺の身体を持ち上げる。
「タダでは済まんと言った筈だ。これ以上命令が聞けないのなら、貴様も脱落させるぞ?」
鉄の味が口内に広がるのを感じながらも、俺は教官の腕を放さない。
……俺は何をやっている。
何故俺は雪を庇う真似をしている?
先ほど脳内にチラついたあの少女のせいか?
自問自答するが答えは出ない。
あれを認識してから冷静でいられてない。
気付けば俺は教官の警告を無視し、喋り始めていた。
「雪は昼前から体調が悪そうでした。試験中も落ち着きがなく、いつもの実力を発揮できなかったと思われ―――」
再び拳が飛んできたため、言葉はまた遮られてしまった。
「コンディションを整えるのも実力のうちだ。そんな言い訳が今更通用するとでも? 眞哉、今日の貴様はどこかおかしいぞ。何故そこまで雪に拘る?」
確かにそうだ。今の俺はどこかおかしい。
雪の成績は年々下降していた。筆記試験も格闘技もそれ以外の分野でも。ここが雪の限界なのだろう。ならば雪からはもう何も学ぶべきモノはない。
なら、俺がここまで身を挺して雪を庇う理由などない筈だ。
……冷静にそう結論付ける自分に、何故か苛立ちと嫌悪を感じている自分がいる。
感情が、コントロールできていない。
「おい、新入り。いつまで時間を掛けている。時間は限られているんだぞ」
「イヤ! イヤ! 私、ここから離れたく、ない!」
いつまでも退室しない雪に状況を見かねたのか、新しく二人の大人が入室してきて、それぞれが雪の腕を拘束し引きずるような形で無理やり部屋の外へと連れ出そうとする。
引きずられていく雪を視界の端に捉えながら、俺は教官へと真っすぐ視線を向けて口を開く。
「……確かにコンディションを整えきれなかったのは、雪の落ち度でしょう。ですがそれは通常の場合。雪の体調不良が予期せぬものであったなら、また話は変わってきます」
「何だと? それはどういう意味だ?」
「雪は出血をしていました。とはいえどこか怪我をしていたという訳ではなく、少し前から頭痛や腹痛を訴えており、明らかに集中力がいつも以上に低下していました」
「出血……それに頭痛や腹痛だと? ……そういう事か。すぐに雪を医務室へ」
どうやら雪の症状に思い至ったらしい。雪を退室させる大人たちに教官がそう指示を出す。
正直に言えば、雪が本当に出血しているかは知らないため、少し誇張表現をした感は否めないが……女性特有のあの現象なら出血していてもおかしくはないだろう。
泣きながら退室していく雪を見送りながら、俺は自分の中で燻る感情が少しずつ薄れていくのを感じる。
これで失格が取り消されるかは分からない。
だが、まだ可能性はあるだろう。
もうこれ以上、俺のやるべき事はない。後は教官たちがどう判断するかだ。
「雪の不調を良く見抜いた……と言いたいところだが、今指摘せずとも我々はこの後すぐに気付いただろう。お前の許可なき発言や行動はやはり問題だ」
「……そうですね。冷静でなかった事は認めます」
「ふん、まさかお前が雪にそのような情を抱いているとはな。驚きだ。お前の罰則はまた後ほど伝える。次のカリキュラムが控えているため、これで解散とする」
教官は俺を一瞥した後、各席で事の成り行きを見守っていた4期生たちにそう告げて出て行った。
残された4人の子供たち。
だが、俺たちの中に会話はない。いつも話しかけてくる雪がいないため無言の時間が過ぎるだけだ。
「…………」
雪の泣き顔が脳裏から離れない。
雪が泣いている姿を見ると、何故か『不安』と『怒り』に包まれ、逆に笑顔の彼女を見ると、『安心』と『喜び』を覚える。
その事から俺は漸く、雪に対して特別な感情を抱いているという事を悟った。
その感情が恋心なのか、それとも友愛なのかは分からないが。
―――今度は、俺から雪に話しかけてみるのもいいかもしれないな。
いつもは雪の言葉に相槌を打ったり、質問に答えたりと事務的で不愛想な態度しか取っていなかった。その事に少し後悔が湧く。
だから今度は積極的になってみようと、素直にそう思うのだった。
だが結局、その日を境に雪が戻ってくる事はなかった。
脱落を回避できるかもしれないと、淡い期待を抱いていたが、そんな俺の思いは泡のように消えていった。
分かりきっていた事だ。
だがそれでもショックは隠せない。
居なくなって初めて、雪の存在が自分にとって大きかったのだと自覚する。
―――雪にもう会えないのなら、いっその事俺も脱落してしまおうか。
そんな考えが、ふと頭の中に過る。
だがすぐにその愚かな考えを捨てる。
脱落したところで雪に会える保障などないし、それにこれまで頑張ってきた事をここで全て捨て去る覚悟は俺にはない。
その選択を選んでしまっては、おそらく俺はまた別の意味で後悔するだろう。
「…………」
なら、切り替えるしかない。
過ぎてしまったものは仕方ないのだから。
脱落したとして死ぬ訳ではない。
必ず会うチャンスはある。
ホワイトルームのカリキュラムを全て終え、外に出た時に雪に会いに行こう。
教官たちもそれなら文句は言わないだろう。
俺は決意を新たにし、最後まで生き残る選択を選ぶ。
その胸の奥に仄暗い感情を灯しながら。
◇
雪が脱落し数ヶ月。
もう一人の4期生も消え、今では俺と清隆と志朗の3人だけとなった。
時が経つにつれて学ぶべきカリキュラムも増え、求められる水準も高くなるが、俺たちはそれを難なくクリアしていく。
そして数日ぶりに柔道のカリキュラムが回ってきた日。
俺と対峙している志朗が話しかけてきた。
「少しいいか、眞哉」
志朗から話しかけてくるのはかなり珍しい。
というかだ、雪が脱落して以来、俺たちの中に会話など一切なかった。
そういえばこんな声をしていたなと、数ヶ月ぶりに聞く志朗の声を聞き、そのような事を思った。
「眞哉は外の世界に興味はあるか?」
いきなりなんだと思いつつも、俺は素直に自分の気持ちを口にする。
「まぁそうだな、興味はそれなりにある。VRでの体験も面白いが、いつかは本物の外の世界をこの眼で見てみたいという思いはある」
「そうか。ならさ、俺と一緒に外に出ないか?」
「……なに?」
互いに組み合いながら、小声で会話をする俺たち。
審判の教官は呼び出しを受けて室内に戻り、未だ帰ってきていない。そのため、会話を続ける俺たちを注意する者はいない。
「まさか自分から脱落する気か?」
「ああ、そのまさかだ。脱落者の傾向とその対応に追われる大人を見ていれば、どんな道を辿るのかも想像がつく。俺は自由が欲しい。自由になりたい。だから俺は脱落してこの施設を出ようと思う。こんなところであと10年以上も苦痛を味わうなんて真っ平だからな」
志朗の思いが初めて吐き出される。彼がそんな事を思い抱いていたとは気付かなかった。
だが、それが普通の考えなのかもしれない。
そう思うと、やはり俺は普通ではないのだろう。
「志朗の気持ちは分かった。だが悪いな。俺は脱落する気はない」
「……何故だ? お前も外の世界には興味があるんだろう?」
「ああ、だけどまだ時期じゃないと思っている。このホワイトルームで俺は確実に成長していると自覚しているが、それでも俺はまだ未熟だ。知識も身体能力も技術も……まだ俺が理想としているレベルに到達していない。そんな状態で外に出ても俺はきっと後悔するだろう」
これは俺が赤児の頃から燻り続けている思いだ。
何れ外に出る事は確定している。ならば、ここでしか学べない事を全力で学び自身の血肉として取り入れろ。
もう二度と後悔する事のないように。
「……そうか。残念だよ眞哉。一応この後、隙を見て清隆にも同じ事を尋ねるつもりだ。清隆が俺の提案に頷いたらお前は一人になるが、それでも本当にいいのか?」
「ああ、構わない」
清隆が志朗の発言に同意するとは思えないが、仮に清隆もこの施設から出る事を選んだとしても、俺の意思は変わらないだろう。
力強く頷く俺に志朗は暫く黙り込むが、次の瞬間には志朗から放たれる気迫が増し、攻撃の手が途端に鋭くなる。
志朗もここまで生き残っているだけあって手強い。それこそ中途半端な大人と戦うよりも倒すのは困難だろう。
だが、脱落する事を選んだ敗北者に負ける訳にはいかない。
俺は仕掛けてきた志朗の攻撃を的確にいなし、一本背負いを決める。
『そこまで。次は清隆と志朗だ。すぐに準備をしろ』
教官の声が聞こえる。
審判はまだ戻って来ていない。この音声は2階の部屋からだ。ミラーガラスの向こう側でこちらを監視している者の声だろう。
「結局、また俺の負けか」
畳に倒れる志朗の呟く声が聞こえる。
そちらに視線を向けると、志朗は悔しそうな表情で起き上がった。
「清隆にも勝ったのは最初だけで、それからずっと負けっぱなしだ。お前との対決ではそれこそ一度も勝った事がない。それが悔しくて努力するが、俺が成長する度にお前らは俺の倍以上の成長を見せる。きっと俺はこの場に留まり続けてもお前たちには絶対に勝てないと思ってしまったんだろうな……」
最後ぐらい勝ちたかったがと、志朗は小さく言葉を漏らす。
そんな志朗に視線を向けながら、俺は改めて口を開く。
「志朗、考え直す気はないんだな?」
「ああ、俺はここを出るよ」
「そうか……じゃあな志朗」
「ああ、さよなら眞哉。いつかまた会おう」
それから暫くし、志朗は脱落していった。
清隆は脱落せず残ったという事は、やはり志朗の提案を蹴ったのだろう。
これで生き残りは2人となった。
俺と清隆、果たして最後まで生き残るのはどちらだろうな。
◇
それから俺たちは互いを超えるために競い合い、敗北と勝利を重ねていった。
カリキュラムがより厳しくなり、求められる水準も高くなるが俺たちにとっては変わらない日々が続く。
そんな中、少し変化があった事があるとすれば、格闘術のカリキュラム全般だろうか。
格闘術のカリキュラムでは生き残りである清隆との対決は勿論だが、それ以外にも教官との対決がある。
しかしこれまで俺と清隆は互いを超える事を意識し成長し合っている。その結果、昔では手も足も出ずにただただ敗北を喫するしかなかったが、今ではそんな教官たちを逆に叩きのめす側に回っていた。
最早、教官たちでは俺たちの相手は務まらない。
そういう事もあり、今回から新たな相手が追加される事になったのだ。
「お前たちにはこれから、実戦形式でそれぞれ複数の者たちと戦ってもらう。これまで習った全ての集大成と言っていい。あらゆる手段を用いる事を認める」
教官の声が広い室内に響く。
すると、それと同時に室内の扉が開き、見知らぬ大人たちが入ってきた。
彼らは俺と清隆を見ると、目を丸くしながら驚く。
「おいおいおいマジかよ。冗談だと思ってたがマジでガキの相手をするのかよ。ははは、こんなまだ乳臭ぇガキ共を倒すだけでいいなんて。こんな儲け話があっていいのか!?」
男たちの中の一人が、こちらを見てテンション高めに言い放つ。
荒々しく気迫のある気配。他の者たちも僅かに殺気立っている事から、これまで格闘術を教授してきた教官たちとは異なる。明らかに異質な存在だ。
「ヒヒヒ、マジでやり合うんだよなぁ? ならよぉ間違って殺しちまってもそれは事故だよなぁ。問題ねぇよなぁ!」
「……問題ない。許可は下りている。殺すつもりでやってもらいたい。例えそれで死んだとしてもそれであなた方の報酬が減る事もなければ、罪に問われる事もない」
男の言葉に教官がそう告げると、男たちの半数以上が歓声を上げる。
その様子からこの者たちは裏の世界で活躍する者たちなのだろうと予想する。
その大半が人を殺す事に何のためらいを持っていない様子から、そのほとんどが殺人中毒者。ろくでもない人種である事だけは確かだ。
「よし、まずは眞哉。お前からだ。今回からある程度の武器も与えられる。聞いての通り相手はお前を殺す気で来る。だからお前も全力で殺すつもりでやれ」
「そーそー! 何の抵抗もなく殺すんじゃあつまんねぇしな! 武器なら何でも使っていいから少しは楽しませてくれよぉ少年!」
教官から少し哀れみの籠った目を向けられ、対峙する男からはこちらを小馬鹿にしたような顔を向けられる。
そんな彼らの視線や殺気を受けながら、俺の心はどんどん冷え込んでいく。
「……了解」
俺は脳内で相手を壊すシミュレーションを行いつつ、
その光景を綾小路清隆は、ただ静かに見ていた。
男たちの怒号が響き渡るその部屋では、鈴懸眞哉が縦横無尽に駆け回る姿がその瞳に映っている。
予想以上のスピードで移動する眞哉。手に持っている警棒で相手の足首や膝を砕き、そのまま倒れ込んだ男の脳天に容赦なく警棒を叩き落とし、確実に相手の意識を断っていた。
無表情で一人ずつ確実に相手を壊していく眞哉を見て、清隆は思う。
(今の眞哉の動きは普段オレと戦っている時よりも数段上だ。となると、眞哉のやつ……あれは『入って』るな)
様々な格闘術のカリキュラムで学んだ歩法を組み合わせ、人間離れしたフットワークで武装した男たちに着実にダメージを与えていく眞哉。
その動きはいつもよりもキレがいい。
徐々に戦闘不能へと追いやられる屍の数が増えていく。
(元々異常な集中力ではあったが、まさかたった数秒で極限まで集中し、自らの意志で軽々とゾーンに入るとは。相変わらず『センス』の塊だな)
眞哉の今の状態を見て、清隆は冷静に分析する。
当初、男たちは完全に眞哉を嘗めていた。
特殊な教育を施されたと言っても所詮は子供。子供に自分たちが負ける筈がないと、そう高を括っていたのだろう。中にはどうやって殺してやろうかと、ワクワクしていた者もいたようだが、今では一人残らず眞哉に対して恐怖を感じている。
その結果に清隆は驚かない。
当然だと思っていた。
最大限のパフォーマンスを引き出しているあの状態の眞哉を止める事ができる者はいない。
これまでも清隆と眞哉は互いに競い合ってきた。
その中で清隆が勝利する確率は上がってきたが、それでもゾーンに入った眞哉と対峙する時は手も足も出ずに防戦一方となってしまうのだから。
あの程度の者たちに今の眞哉を止められる筈がない。
(お前からは学ぶべきものが多いな。本当にお前は最高の教材だよ眞哉。お前のおかげでオレもまだまだ成長ができると、そう自信をもって言える)
眞哉の蹂躙劇が幕を下ろし、清隆の番がやってきた。
特に不安も緊張もない。
自分には眞哉のようなセンスはない。
だが、清隆は己が勝つ事を確信している。
何故なら、これまで学んできた事をただ実践すればいいだけなのだから。
学習を続け、どこまでも成長する怪物は、己の次なる成長の糧となる男たちをただ静かに見据えていた。