「そしてあなたはおそらく、私たちが呼び出した先生……のようですが。」
「……あぁ。推測形でお話したのは、私も先生がここに来た経緯を詳しく知らないからです。」
彼女、七神リンは困ったように眉を顰め、私の方を見る。
「まぁ…そうだよね。私もよくわかってないし…」
そう言って苦笑いをしたものの、私は前回の記憶を保持しているのでなんとも言えない気持ちになってしまった。
「……。」
「……。」
お互いしばらく沈黙が続き気まづかったが……。
「…うん、わかった。急ごう、被害が大きくなる前に。」
「……え?」
「あ、あぁ…話し方的にそういう感じの事態なのかなって…。」
「そうですか…。……ともかく、どうしても先生にやっていただかなくてはいけないことがあります。」
「…うん。わかってるよ、学園都市の命運をかけた大事なこと…でしょ?」
彼女は目を見開き、驚いたような顔をした。やはり前回と同じことを言うつもりだったらしい。
この後は恐らくユウカたちと会い、狐坂ワカモ率いるスケバン集団と対峙するはずだ。
…私は前回、囚人…しかも脱獄犯ということで彼女に強く当たってしまった。そのことを私は後悔している。
この世界で罪滅ぼしをしたいわけでは無い。ただ単純に、私がワカモに寄り添っていれば結果は変わったかもしれないからだ。
それはワカモに限った話では無い、他のことでも間違ってしまった。
だから私は、それも含めて正しい選択をしようと思っている。
「……先生、行きますよ。皆が待っていますので。」
「はーい、今行くよ。」
そう言ってソファーから降りようとした時、違和感に気づいた。というか、遅すぎるほどに。
なぜ今まで気が付かなかったのか、身長が前回よりも圧倒的に低いのだ。
「ご…ごめん、ちょっとだけ待ってくれる…?」
「…? わかりました、なるべく早くお願いします。」
リンにそう伝え、部屋の壁に設置されている姿見に近寄る。
するとそこには身長154cmくらいだろうか、小柄で黒髪のショートヘア、白のスーツに身を包んだ女性が立っていた。
というか、なぜ今まで気にならなかったのか、声も圧倒的に高いのだ。
鏡を見つめる私にリンは不思議そうな表情を浮かべ、こちらを見ているのが鏡越しに見えた。
「ご、ごめんね?ちょっと服が崩れている気がして…。あはは…」
そう言ってリンが待っているエレベーターへ乗り込む。
「左様ですか…。では、レセプションルームへと向かいます。」
「うん、お願いするよ。」
…正直、何故こうなってしまったのかは分からなかった。
とにかく今は、レセプションルームへ行くのが最優先だ。
しばらくして、いざレセプションルームに到着すると、視線が一気にこちらに向けられる。
その中でもひと際目立つ青髪の少女、早瀬ユウカがリンに詰め寄る。
「ちょっと待って!代行!見つけた、待ってたわよ!連邦生徒会長を呼んできて!……うん? 隣の大人の方は?」
「首席行政官。お待ちしておりました。」
自己紹介をしようとすると、後ろから黒いセーラー服に身を包んだ、黒髪ロングの女性、羽川ハスミが歩いてくる。
彼女はトリニティ総合学園の正義実現委員会所属の生徒である。かなりの長身で、今の私なら見上げるほどである。
……そしてかなりのナイスボディである。
「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が、今の状況について納得のいく回答を要求されています。」
彼女はゲヘナ学園風紀委員会救護担当の火宮チナツ。
実仕事も兼任しているなどかなり有能である。
言葉遣いは硬く冷たいが、動物好きで可愛い一面もある。
「あぁ……面倒な人たちに捕まってしまいましたね。」
そのあとは数分間質問攻めやそれに対する返答が続いた。
停学中の一部生徒が脱出したこと、不良による一般生徒への被害があり治安維持が難しいこと、さらに出どころ不明の戦車やヘリコプター、武器の不法流通の増加。
そして一番の問題、連邦生徒会長が行方不明になり、今の連邦生徒会は行政権を失ったことなどの話し合いが続いた。
正直言って最初に触れられはしたものの、その数分間私は空気だったので少々寂しかった。
「それでは、今は方法があるということですか、首席行政官。」
「はい、この先生こそが、フィクサーになってくれるはずです。」
顔にこそ出さなかったものの、内心「待ってました」と言わんばかりの心境だった。
それに、久々にみんなに会えたことが、何よりもうれしかった。
「この方が?」
「ちょっと待って、そういえばこの先生はいったいどなた?どうしてここにいるの?」
「キヴォトスではないところから来たようですが……先生だったのですね。」
「はい。こちらの■■先生は、キヴォトスの先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です。」
リンの言葉を聞いて皆の視線が私に集まった。さすがに前回と同じとは言え、恥ずかしいものだ。
さらに言えば性別が変わってしまったことは、自分が一番受け入れらていないので、慣れない身体をまじまじと見られるのは別の意味で恥ずかしさを覚えるものだ。
「行方不明になった連邦生徒会長が指名……? ますますこんがらがってきたじゃないの……。」
「初めまして、私は連邦生徒会長に指名されてきた■■だ。気軽に先生とでも呼んで欲しいな。」
「…は、初めまして、先生。私はーーー。」
「ミレニアムサイエンススクールの早瀬ユウカ…… で、あってるよね? よろしく。」
「ーー?!」
私が先にユウカの名前を言うと、信じられないと言わんばかりに目を見開く。さすがに出過ぎた真似をしたかと思い、少々反省すべきだと思った。
しばらくして、少々ためらいつつリンが話を続ける。
「……先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げた、ある部活の担当顧問としてこちらに来ることになりました。」
「……連邦捜査部『シャーレ』。」
「連邦捜査部…?」
ユウカや皆の問いかけに答えるためにリンは頷き説明を続ける。
「単なる部活ではなく、一種の超法規的機関。連邦組織のため、キヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを、制限なく加入させることすらも可能でーーー。」
そう言ってリンは説明を続けた。シャーレの部室は現在地から約30kmのところにあること、連邦生徒会長の指示で地下に「とある物」を持ち込んだこと。そしてシャーレの部室へ行くために必要な直行ヘリが必要なことを、連邦生徒会長所属の由良木モモカに伝えるとーーー。
「シャーレの部室?……あぁ、外郭地区の? そこ、今大騒ぎだけど?」
場の空気に緊張が走ったのを感じた。
ワカモだ、私はそう心の中で呟いた。前回の私の失態の一つ、今回こそはお互い後悔しないような結果にしたい。そのためにも、最善を尽くすと決めている。
「……うん?」
「矯正局を脱出した停学中の生徒がーーー。」
「…行こう、シャーレが占拠される。」
「ーーーえ?」
リンはなぜ分かったのかと言わんばかりに目を見開き、驚きの表情を私に向けているが、そんなのはお構い無しだ。
今はシャーレの奪還が最優先。
…そこにワカモもいるはずだ、今回こそは彼女をーーー。
「シャーレを取り返そう。ユウカ、ハスミ、スズミは現場に到着次第ユウカを先頭に敵を殲滅。チナツは後衛で3人の援護をお願い。」
「先生…!いきなり何をーーー。」
「学園の命運を掛けた大事なことなんだ。ここは大人として、先生として任せてくれないか?」
「ちょっと!なんで私たちが不良と戦わなきゃいけないの!!」
ユウカが詰め寄ってくる。正直たったいま会ったばかりの私にこんなことを言われればそう言いたくなる気持ちもわかる。
……だがーーー。
「……わかりました、ここは先生にお任せします。その代わり、必ずシャーレオフィスを奪還してください。」
「……わかった、約束するよ。ありがとう。」
「……という事なので、私はサンクトゥムタワーにて戦況の把握、及び分析を行います。先程先生が言われたように、ユウカさん、ハスミさん、スズミさんはユウカさんを先頭に敵を殲滅。チナツさんは3人の支援をお願い致します。」
4人は少し不満気な顔をしたが、「連邦生徒会の命令であれば仕方がない。」と同意してくれた。
だがユウカは少し恥ずかしそうにしつつ、「先生を信用したわけではないですかね!」と言われてしまった。
私はそんなユウカに微笑みつつ。
「ーーーみんな、ありがとう。それじゃあ、取り戻しに行こうか。」
こんにちは!
二次創作人生、2度目の投稿でございます。
今回はようやくユウカ、ハスミ、スズミ、チナツが出てきましたが戦闘は次回から…になってしまいます……申し訳ございません…
それに実際にシーンを書いてないとはいえブルアカ最推しであるワカモを悪く言ってしまったのは物凄く心が痛かったです……
できるだけ毎日投稿を心がけているので明日には完成させたいのですが…何せ平日ですから…やることがたんまりあるのです…
精神と体力をすり減らせば今日中に終わるのですが……
さすがにそんなことをしては続けられるじしんがございません。
なので、慣れてないうちは1日1投稿を心がけようと思っております。
次回はようやく戦闘編!
あまり書くことは無いと思いますが、感想などなどお待ちしております!