うつ病の女の子VSそいつが好きな俺   作:小卒のフリーレン

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サヨリって可愛いよな。
なんで二次創作でサヨリ救済もの少ないんだろ。






初めての詩。

 

 

 

 次の日。

 

 

 俺はあの夢の通りにサヨリと街路で出会い、学校へ行き、文芸部へと赴いた。

 

 多少俺の言葉遣いに差異はあっただろうが、概ね予知夢通りに事が進んでいる。

 

 

 文芸部の人間との顔合わせも済ませ、今はナツキが作ってくれたパンケーキを頬張っている最中だ。

 

 割と美味しいパンケーキを食いながら、視界に写る女の子たちのことを考える。

 

 

 モニカ、ユリ、ナツキ。

 

 

 3人のうち2人がキチガイとはナツキも可哀想だな。いや、ユリも元々は少しだけ自傷癖があるだけでまともなんだったか……? いや自傷癖がある時点であまりまともではない。

 

 イカレ女ことモニカは論外だ。

 

 

 本来、俺は可愛い彼女らにドギマギし、ユリとナツキどちらかを攻略するはめになるんだろうが……

 

 生憎全てを知ってしまった以上、俺は全力でサヨリの幼馴染みを遂行する。

 

 

 改めて決意を表明したところで、モニカが話を始めた。

 

 テーブルを囲みながら、文化祭に向けて熱意を露わにしているようだ。

 

 

 会話を続けていると、ユリからシュールレアリスムホラーという単語が飛び出てきた。

 

 考えてみればわかりやすい単語だ。架空が現実に侵食するホラー。プレイヤーからすれば察してあまりある単語だな。

 

 ……俺をプレイヤーが操作しているとは欠片も思わないが、もし操作していたとしても何も問題はない。何故なら俺はサヨリを救おうとし、そしてそのプレイヤーが操作した結果が今の俺ならば、プレイヤーの意思もサヨリを救おうとしているに違いないからである。

 

 言ってしまえば意思の一致。同志だ。

 

 

 話は続いていき、俺は特に引っかかることもなく文芸部に入部することを彼女たちに伝えた。

 

 するとモニカの提案で明日詩をそれぞれ書いて、持ってくることとなった。

 

 

 予知夢通りの展開だ。

 

 

 部活が終了し、俺はサヨリと共に帰宅することになった。

 

 

 隣でルンルンと気分上々のサヨリが歩いている。

 

 

「いや〜、まさかレンがあそこまで文芸部に積極的だったなんてね! えへへ〜、なんか嬉しい!」

 

 

 元気満面の笑みだ。昨日のメッセージの文面と同じような印象を受ける。

 

 しかし電話の時の口調とはやはり乖離していた。

 

 

 サヨリを後目に俺は思考を回す。

 

 俺は休み時間もスマホで情報収集を欠かさなかった。どうやら予知夢や夜と今の態度の乖離を考えるに、サヨリは微笑みうつ病という特殊なうつ病になっているように思える。

 

 周りには明るく振る舞い、陰では本来のうつ病が顔を出す。精神科医の言葉で表現するなら過剰適応と言ったところか?

 

 躁鬱にも少し似ている気がするが……感覚的に少し違う気もする。

 

 今のうちに何か手を打っておきたいが……。

 

 

「昨日……今日かな。電話しただろ? お前が頑張ってる文芸部がどんなもんなのか、知りたくなってな」

 

「えへへ〜! どうだったー? ねーどうだったの〜?」

 

 

 にこやかに文芸部の是非を尋ねるサヨリ。

 

 

 推定うつ病なのにここまで明るく振る舞って居るのは、多分俺のせいなんだろうな。

 

 相手するなら明るい方がいいと考えて、そしてその通りに笑顔を見せている。

 

 本当は鬱で暗い自分と、周りに見せる明るい自分。そりゃ心が乖離するわけだ。

 

 本来の自分通りに振る舞って欲しいが……今まで押さえ込んで、バレないようにしてきたサヨリの本心をさらけ出させるには少し危険すぎる。

 

 脳裏にフラッシュバックする首吊りのサヨリ。

 

 期を逃せばそうなるし、詰めすぎてもそうなるだろう。

 

 

 しかし俺は何か手を打てるのか? 何をすればいい。

 

 うつ病には寄り添うことが必要だとか、励ましも時には良くないとか、そういった事は学んだ。だが……予知夢の通りであれば、俺から関心を寄せられることそのものが苦痛であるし……。

 

 俺がされて嬉しいことをしてやる、か?

 

 

「ああ、いい人ばかりだったな。俺的にはモニカのナツキへのいじり方が少し気に食わなかったが……」

 

「あ、あはは……私もあれはちょっと嫌な弄り方だったなーって思うけど、でもでも本当はモニカちゃんは優しいんだよ!? 私にも優しくしてくれたし……!」

 

 

 あー、うーとどうにかモニカの印象を良くしようとしている。

 

 

 可愛い。

 

 

 いやそうじゃない。

 

 

「はは、俺の幼馴染みのサヨリが認めた部長なんだ。悪い人じゃないのはわかりきってるさ」

 

「……そ、そう? ふふん! そーだよ! モニカちゃんは良い人なんだから!」

 

 

 俺からの評価が高いことをサヨリに認識させる。これがどう出るかはわからないが……少なくとも悪い方向になるなら俺が止めてやる。

 

 

「あーでも、そっかー。明日、レンにも私が書いた詩を見せなきゃなんだね。なんだか恥ずかしい」

 

「ばか、いきなり文芸部入って初日で詩を書かせられる俺の身にもなってみろ。恥ずかしすぎて死ぬぞ」

 

「えー! 死んじゃダメだよ! 書き方教えてあげ……うーん、詩っていうのは自由なものだからね。私が書き方教えるのも良くないかー。うん、やっぱり自分で頑張って!」

 

「悪魔め!」

 

「えへへ〜、私もレンの詩を楽しみにしてるね〜!」

 

 

 楽しいなぁ。こんな毎日が何もしなくても続けば良かったのに。

 

 いや、それは違うか。

 

 辛い思いをして、耐えた上で俺が楽しいと思う毎日をサヨリが作ってくれてたんだな。

 

 

「ああ。精々書き殴ってやるさ。俺の思ったこと、全部な」

 

 

 そうだ。予知夢だと文芸部の部員たちは詩を通して自分を伝えてきたはずだ。

 

 ナツキはどうだったか忘れたが、サヨリはうつ病を暗示するシアワセの詩。ユリは秘められた自傷の衝動を動物に例えた詩。モニカは世界への気付きの詩。

 

 

 ならば俺も詩を通して自分を伝えよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜に沈む虹。

 

 俺は夜に浮かぶお月様へ手を伸ばした。どこか、月が泣いている気がしたから。

 

 掴み取ろうにも空を切り、手を掴もうにも遠すぎる。

 

 だから俺は夜の星空に虹をかけることにした。

 

 届かぬ月にまで届く虹の架け橋を掛けよう。

 

 いつか。俺が辿り着けるまで、夜の暗闇を歩み続ける。

 

 

 

 

 こんなもん……か? 夜食を食べ終え、早めに宿題を終わらせるべく書き終えた詩を眺めてみる。

 

 うんうん、こんなもんだろう。わからんけど。

 

 

 サヨリの心に触れる俺の道筋を書いたものだが……結構それっぽくなったんじゃないだろうか。

 

 

 明日に備えて寝る前に少しやることがある。

 

 

[サヨリ、明日お前ん家行くから宜しく]

 

 

 送信っと……。ベッドの上で嫌な笑顔を浮かべてみる。

 

 このメッセージのいやらしいところは時間を書いていないところだ。たしかサヨリは予知夢で朝起き上がる理由が見つからない的なことを言っていたはず。

 

 起こして欲しいとも俺は結構言われるし、これはやるしかない。

 

 

 俺は朝6時半にはサヨリの家に付いてやろうと考えさっさとベッドで目を瞑った。

 

 

 スマホが振動する。無視ッ!!!!

 

 

 すやぁ。

 

 

 

 








 詩って、むずかしいね。
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