ルビコンわくわく傭兵ライフ   作:おーるどあっくす

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解放者621がヤンデレないつもの展開のやつ

亜種解放者だったヴェスパールートの次にこれ出すの我ながら容赦無さすぎでは?


621(解放者)/灼けた空の下

『んぅ…?』

 

 ざぱーん…ざぱーん…という波の打ち付ける音で目を覚ます。

 

『…知らない天井だ』

 

 割れたモニターや機械類のある狭い空間。足元には水が溜まっており、正面に開いた大きな穴からは海が見える。これは…何かのコックピット…なのか?

 

 口の中がしょっぱい。服…というよりパイロットスーツがびしょ濡れで貼り付いてきて気持ち悪い。とりあえず外に出てさっきまで俺が居た空間の正体を確かめる。

 

 

 

『…AC?』

 

 

 

 中央が抉り取られたエフェメラコアにナハト腕、アーキバス量産脚部の頭部のないAC。この消耗具合でパイロットが無事とは到底思えないが…俺の身体にはほとんど傷がないにも関わらず、パイロットスーツの胸部は焼け落ちている。なんか胸元が空いててセクシーだな…この辺りに着替えがあると良いんだが。

 

 

 視線をACから周囲に移す。恐らくこのACは海に墜落した後この場所に漂着したのだろう。俺の膝辺りまで水没した都市には崩れ、灼け落ちたビルが並んでいる。初めて見る、しかし見覚えのある景色。

 

『無人洋上都市…いや、恒星間入植船ザイレムか』

 

 ザイレムのシンボルと言える制御タワーは無くなっている所をみるに、恐らくここは「ルビコンの解放者」ルート後の墜落したザイレムなのだろう。

 

 遠くに目を向ければ、天に向かってバスキュラープラントが聳え立っている。

 

 

 ひとまずザイレムを出てベリウス地方か中央氷原を目指さなければ。脱出艇かACがあると良いんだが…広大なザイレムを生身で探し歩くのは骨が折れるってレベルじゃない。

 

 

 

 

 

 ザイレムのガレージにエフェメラが配備されているのを発見。RaDのパーツも持ち込まれていた。コーラルジェネレータがあるなら大陸間移動も出来そうだな。幸いガレージのシステムも生きていたので、エフェメラにRaDのパーツを組み込んで機体構成を変更。

 

 システムのユーザー名が既にオルクスで登録されていたため、俺はオーバーシアー関連の人物のようだな。

 

 …あと無事に服も着替えられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さてさて、無事に巡航モードで海越えを終えまして特にトラブルもなくベリウス地方に到着…できたのは良いもののこれからどうしたものか。

 

 とりあえずACを適当な所に隠して集落を歩いてみる。何か仕事を探したいが、傭兵稼業は企業がいない以上需要がないだろう。

 

 そういえば…オールマインドは野放しなんだろうか?バスキュラープラントとコーラルが無事なら計画の再起を狙っているだろう。もしかしたらウォルターやラスティ達を失って傷心中の621に声を掛ける可能性も…人とコーラルの共存を目指すエアにとってもリリース計画は魅力的だから、621を止める者が居ない。

 

 621に会えたら忠告しておいた方が良いかもしれない。初対面の奴の話を聞いてくれるとは思えないし、そもそも会える可能性が低そうだが。

 

 

 

 

 

 そんなことを考えていると、どうも広場の方が騒がしい。誰かが喧嘩でもしているのだろうかと様子を見に行ったところ、どうやらこの場所にルビコンの解放者…621が訪れているらしい。

 

 凄まじい人気だ…なんとか人波を掻き分けて最前列まで行きたいところだがこの身体のフィジカル的に厳しそうだ。まぁルビコニアン達からすれば企業勢力を打ち払う契機を作った上で今尚ルビコンのために惑星封鎖機構と戦ってくれている英雄だ。

 

 折角の直接会える機会を逃してしまったのは残念だ。せめて今後見つけられるように彼の容姿だけは確認しておきたいが…身長が足りない!ジャンプしても見えず、辛うじて髪色だけは見えた。背は高そうだしやっぱり男性かな?

 

 まぁ最悪ドルマヤンが動いてくれるだろう。転生者が出しゃばるなってことかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …そう考えながらその場を後にする俺の手が、突然掴まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《レイヴン…そこに居るのは…オルクスではありませんか?》

 

 惑星封鎖機構の部隊を退けて帰投した私の元に群がるルビコニアン共に対して作業のように愛想を振り撒いていた私の意識が、エアの言葉で切り替わる。

 

 

 

 

 

 ウォルターの使命よりもエアの願いを選んだ私はカーラとチャティを殺し、オルクスとラスティと共にルビコンを守る為にザイレムを撃墜した。

 

 

 

 …オルクスとラスティという犠牲を払って。

 

 

 

 2人を撃墜したのはアーキバスによって殺害されたと思っていたウォルターで…彼を退けた私の側にはエアだけが残った。

 

 

 

 

 

 …最初の頃は良かった。エアが居てくれればウォルターの恐れた破綻を回避する方法が見つかると信じていたのだから。

 

 

 でも、人とコーラルが共に生きる未来というのはそう簡単ではなかった。確かにアーキバスを退けたことでルビコニアン達は自由にコーラルを使えるようになり、飢える者は大幅に数を減らした。食料問題を解決した彼らは、コーラルを星外へ輸出することで外貨を得ようとし始めたのだ。帥父サム・ドルマヤンの助けもあってなんとかコーラルが星外に輸出する状況は防がれているが、彼らの不満はいずれ爆発するだろう。

 

 ラスティが生きていてくれれば、私もルビコンの未来を切り開く為に戦えたのかもしれない。だが、私にとってルビコニアン共を守るのはコーラルとルビコンを守る為のついででしかなくて…なんとか自分を納得させる為に、ルビコンの解放者として私はラスティを演じるようになった。

 

 

 破綻への備えも芳しくない。そもそも私はコーラルのことを最低限しか知らないのだ。エアが技研やオーバーシアーの資料を集めてくれているが、それらの資料を読んでなんとか出来る程度の問題ならばウォルター達が実行しているはずだ。

 

 

 ルビコンを再び封鎖しようとする惑星封鎖機構やコーラルを奪いにやってくる星外企業を迎撃し、コーラルを搾取しようとするルビコニアン共を警戒し続ける日々に精神が擦り減っていく。

 

 そんな私の心にエアは寄り添ってくれるが、身体的にエアと触れ合うことは出来ない。ウォルターやオルクスの温もりが恋しかった。

 

 

 

 

 

 エアの示した方向を見ると、人混みの向こう側にひょこひょこと頭が見え隠れしているのが見えた。一瞬見えた目元は、確かにオルクスに似ているようだ。生きていた…?でも、それならなんで容姿が変わっていないんだ?

 

 …やがて、彼の姿が見えなくなる。彼がここから離れていく。

 

 …何故諦める?私はこんなにも彼を必要としているのに、彼はそうではないのか?私に会いに来てくれたのだろう?

 

 ここで見失う訳にはいかない。ルビコニアン共を押し退けて人波を抜け、彼を追いかけて手を掴む。

 

 

「やあオルクス 君の良き後輩、レイヴンだ。会いに来てくれて嬉しいよ」

 

 違う、そんな格好つけた言い方をしたい訳じゃないのに…身体にラスティの振る舞いが染み付いてしまっている。

 

『え…あの…レイヴン…さん…?』

 

 …やっぱりオルクスからの反応は悪い。私の言動に困惑しているようだ。やはり以前のように…「わたし」は、オルクスとどう話していたのか思い出さなくては。

 

『えっと…その…オルクスって名前は借り物なので、人違いだと思います』

 

「…は?」 

 

 人違いな訳がない。声も、姿も、手の形も、香りも一致しているんだ。記憶喪失…なのか?

 

『あ、でもルビコンの解放者であるレイヴンさんには伝えておきたいことがあって…』

 

 伝えたいこと?もしかして…

 

 

 

『…オールマインドは何かを企んでいます。気をつけてください』

 

 

 

 …違うだろう?

 

 なんで今、傭兵支援システムの話をする必要があるんだ。

 

 …違うだろう。

 

 君と私はようやく再会出来たんだぞ。

 

「…違うだろう!」

 

 

 彼を壁に押し付け、逃げられないように脚の間へ膝をねじ込む。

 

『…!?』

 

「この時を何年待ったと思っているんだ…私が何年戦って来たと思っているんだ…!エア以外信じられなくて、コーラルの破綻を止める方法も見つからなくて、人とコーラルの共生なんて夢のまた夢で…!ずっと頑張ってきたんだ…!でも、もう頑張れないくらい疲れてしまったんだ…!そんな私に君が伝えるべきはそれじゃないだろう!ずっと寂しかったんだ!ひとりにしてごめんって抱きしめてくれよ!頑張ったって褒めてくれよ!やっと会えたのに…!それは違うだろう!ずっとわたしのそばにいるっていってよ!」

 

 オルクスは唖然とした表情で私のことを見ている。

 

 

「すまない、取り乱してしまったようだ」

 

 …いや、もう取り繕う必要はないか。

 

「…もういいや」

 

 彼を壁に押し付けていた手を離して、彼の首に触れる。

 

『んっ…!?』

 

 彼の唇を奪い、手に力を入れて首を絞める。

 

 抵抗も出来ずに意識の落ちた彼を連れて、私はその場を去ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「目が覚めたか、オルクス」 

 

 結局のところ、私が欲しかったのは灼けた空の向こうにある明日ではなく、友人と居られる今だったんだ。

 

「心配しなくていい、君のことは私が守る。君が側にいてくれるなら、私はまだ戦えるから」

 

 全てが終わったら再手術を受けて、彼と結婚して、普通の人生を送ろう。

 

「だから、あなたはわたしのそばにずっといてね」

 




◯ルビコニアン
レイヴンの強さに心酔する者とレイヴンからの制限に反発する者と中立派の3勢力に分かれる
人類は愚か

◯オルクス
死ぬと何故か確率でリスポーンする
学会では前世でも誰かが彼を救う為にループしてその度に転生している説が主流

◯621
エア以外信用出来ないし誰も側にいないし何も上手くいかない限界解放者
そこに死んだはずのオルクスが現れれば逃す筈もなく…

今後文字色とか使う可能性があるかもなので聞きたいのですが、ハーメルンは

  • 白背景で利用している
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