アーキバスも、ベイラムも、ルビコン解放戦線も終わらせた以上、最早俺の計画を止められる者はいない。いるとしたらそれこそ621くらいなものだろう。最後の最後に裏切ったAMちゃんはさぁ…そういうところだぞ。
超高出力レーザー防壁の稼働を停止して未踏領域の探査を開始。大穴を降下していく。
《生体内部からコーラル反応…!?危険です!》
普段なら無視して通るルビコニアンふつうワームだが、今回は非戦闘員もいるので安全確保として一掃していく。
「…こいつらもコーラルの味を覚えたようだな」
誰もいない地中で平穏に暮らしていたところ申し訳ないが…ひとまずセンサーに表示されたミールワームは殲滅完了だ。
『先に進もうか』
「うん」
「ミールワームの養育ポッドか 以前は稼働していたのだろうが・・・」
ラスティと戦闘する広場まで到着…後は大穴を降下していけば…
[追いついたぞ…野良犬…!]
声を聞いて俺と621は左右に飛び退く。621のいた場所を紫電のレーザーが貫いた。
[イグアス 深度3の部隊を先に奇襲する計画は…]
[引き受けてやるよ…野良犬を消した後でな…!]
襲撃者はオールマインドとそれに統合されたイグアス。彼らの機体はマインドベータとエフェメラの混成という異形のフレームに、右腕をベイラム製マシンガン、左腕にKRSV、右背部にオーロラミサ、左背部に月光という構成だ。恐らく「技研パーツを使ったおびただしい数の作例」のひとつだろうが…
というか既にイグアスの手綱を握り切れて無いじゃん。
[オルクス上尉 強化人間C4-621
…貴方達は計画における異物なのです]
[野良犬…てめえを消すため…俺はこいつらの一部となった]
アーキバスは撤退、もはやバスキュラープラントを宇宙まで延伸する者はいない以上今更オールマインドに出来ることは無いと思っていたが…結局本体の位置が特定出来なかったのが響いているな…
『オールマインド…リリース計画が漏れた時点で泣き寝入りしたかと思っていたが…』
[貴方達さえ排除すれば計画は再起可能です]
[ここでコーラルを焼却される訳にはいきません]
元がアーキバス頼みの計画だ。再起とはいってもその進行途中でコーラルは破綻するだろう。どれだけ足掻いた所で最早無意味だ。
[…御託はどうでもいい。こいつを消せれば俺はそれが全てだ。今度こそ…死んでもらう]
イグアスの目には621しか映っていないらしい。月光から放たれた2つの光波を621は容易く回避し、2連グレネードで反撃している。
[野良犬…てめえには何度もやられたなあ…俺ん中にも大勢いるぜ…てめえにやられた残りカスが…教えてくれよどれだけ殺すつもりだ…?]
爆炎を突き抜けイグアスがブーストキックを621に喰らわせる。怯んだ所にKRSVを構えるが、その無防備な背中に向けて俺がフルチャージを撃ち込んでスタッガー。すかさず621がパルスブレードで追撃。
[Cパルス変異波形エア…]
[このまま貴方の同胞が消えてゆくことを
見届けるのは貴方にとって本意ではないはず]
《ッ…》
エアを取り込むつもりか…ここで向こうに回られても俺にその選択を否定する権利はない。それだけの仕打ちを俺は彼女にしてきたし、そうなった時の為にコーラルジェネレータを載せている。
[あなたの同胞は我々を受け入れるでしょう]
[我々と共に人類とコーラルの可能性を…!]
《………私は選択しました》
《レイヴンの隣にいることを…!》
彼女の決断は揺らがないのか…本当に苦しい選択をさせてしまったな…
『すまない…エア…』
《負い目を感じているのなら責任をとって下さい》
『…ああ』
最初からそのつもりだ。俺が全てを背負う。
[てめえか…耳鳴りの正体は…俺の側で叫ぶんじゃねぇ…!消えろ…!野良犬とまとめてな!]
グレネードを連続で発射し、2発目でイグアスの回避を狩る。1発でも当たれば充分過ぎるほどのアドバンテージだ。強烈な衝撃を蓄積させられたイグアスに対して621がショットガンで追撃していく。
[さっきから鬱陶しい…!まずはてめえから消してやろうか…!]
高火力武装による横槍を厄介と感じたのか、イグアスのヘイトがこちらを向く。リロードに時間のかかるグレネードと8発撃っただけでオーバーヒートするKRSVにハンドガンという構成上、俺は迎撃手段に乏しい。
武装をフル活用して攻め立てるイグアスを逆関節の跳躍力で壁を蹴りながら捌いていく。確か過去作では壁を蹴ってブーストが出来たんだったか…プレイしたことはないがきっとこんな感じだろう。
[とっととくたばりやがれ…!]
一直線に突っ込んでくるイグアスにチャージを済ませたKRSVでスタッガー。621の方へブーストキックで蹴り飛ばす。621が重ショットガンで怯ませた後にブレードでトドメを刺した。
…かに思われたが、どうやら相手の機体にオールマインドはターミナルアーマーを仕込んでいたらしい。しつこい奴だ…
[イグアス 貴方はオールマインドと一体になった]
[もう誰も貴方を止めることはできない]
[…御託はいいと言ったはずだ]
[イグアス…!?何を…!]
[鬱陶しい声は消えた…透明だ 気分がいい…]
ターミナルアーマーで621の攻撃を凌いだイグアスはオールマインドを黙らせ、621に狙いを定める。オールマインドを蹴り出すまでのテンポが良過ぎるだろ…
[てめえはいつも…俺の上を行った…クソみてえな旧世代型…てめえと俺で…何が違った…?]
621に集中しているように見えるが、俺からの攻撃を確実に対処してくる。明らかに動きが良くなったな…月光が普通の近接武器であれば更なる脅威になっていただろう。
[取り込むべきでは…なかった…イレギュラー…]
光波攻撃の高い衝撃残留によって621が追い詰められていく。ダメ押しのマシンガンでスタッガー。
[…知ってるぜ てめえはここからが鬱陶しいんだ…]
グレネードはリロード中、KRSVのチャージは間に合わない…中断を狙うのは無理か。KRSVを構えるイグアスと動けない621の間に割って入り、俺の機体で攻撃を受け止めた。
[ケッ…本当に鬱陶しい…てめえも、その周りの連中も…!]
ターミナルアーマー発動と同時にチャージの完了したKRSVでイグアスをスタッガーさせる。
[対処を…イグアス…]
俺の背後から飛び出した621のパルスブレードが、今度こそイグアスにトドメを刺した。
[俺は…てめえが妬ましかった]
APを削り取られて尚、イグアスは立ち上がる。月光を展開し、光波ブレードを形成。
[イラつくぜ…野良犬に…憧れたんだ]
光波が霧散。執念よりも先に機体が限界を迎えた。
[我々の…計画が…人類と生命の…可能性が…]
『…その計画が実現されることはない、先に地獄で待っててくれ』
今度こそ、終わりだな。
〔ルビコン技研都市…
アイビスの火を引き起こした罪人たちの墓標だ〕
補給を済ませてから大穴を降り技研都市に突入。
〔ひとつ昔話をしよう〕
ウォルターの昔話に耳を傾けながら技研の防衛兵器を仕留め、安全を確保していく。
〔ある科学者がいた
家族を捨てコーラルの研究に没頭した男だ
狂った成果が山ほど生み出された
強化人間もそのひとつだ〕
〔善良な科学者もいた
男の罪を肩代わりし 全てに火を点け…
そして満足して死んだ〕
〔…この話には教訓がある
一度生まれたものは そう簡単には死なない〕
〔だからこそ…火種から消さなければ〕
『…その火は、俺がアイビスと共に継ごう』
火を継ぐ、だと会社は同じだが別の作品だな。
「オルクスは、このけいかくがおわったらなにするの?」
ヘリアンサスを破壊した621が問いかける。
『考えたことも無かったな…多分、執行尉官を続けると思う。君は?』
「さいしゅじゅつをして、みんなとふつうのじんせいをおくりたい」
『良いね…就職に困ったら惑星封鎖機構の内勤なら紹介できるが、それって普通の人生なのか…?少なくとも戦闘はないだろうけど』
「ふつうのじんせいってなんだろうね?」
『俺も…分からないな』
ルビコンに来てからすぐ執行尉官になったから、この世界の普通は良く分かっていない。惑星封鎖機構の内勤はエリート公務員っぽい雰囲気だけど。621の見た目年齢だと、学校とか行くんだろうか?
エアはルビコンのことしか知らないだろうな…イアに聞いたら分かるだろうけどあいにく今は非戦闘員の護衛中だ。
最後のヘリアンサスにグレネードを撃ち込んで撃破。
〔コーラル集積反応 近いぞ〕
引き続き防衛兵器を撃破しながら市街を進む。
《これは…この湖の全てが…》
〔…辿り着いたか 621〕
コーラルを守るアイビスシリーズと会敵。
攻撃後の隙にKRSVを当ててグレネードを発射。621が追撃。これをもう一度繰り返して破壊。
再起動。攻撃は苛烈になったが、同じことをあと2回繰り返してアイビスを撃破。
「あっけない…」
俺の手に入るパーツの範囲でアイビスを手早く片付ける為のアセンブルだ。621がいなくても繰り返しの数が一回増えるだけで終わる。決められた動きしか出来ない無人機相手ならこんなものだろう。
しばらく時は経ち、惑星封鎖機構とオーバーシアーでバスキュラープラントの吸い上げ機構を復旧。限界までコーラルを吸い上げる。
回収したHAL826の調整も完了。俺がHALに搭乗してコーラルに点火、その爆発を利用してバスキュラープラントを崩落させることで技研都市を地表に露出させる。
これにより今後仮にコーラルの湧出が確認された時にはHC-Sやザイレムで直接コーラル集積地を焼くことが出来る。HC-Sの機動力ならば点火後でも余裕で撤退が可能だ。今回みたいにわざわざ技研都市まで潜って燃やすのは面倒だからな。
既に621達はザイレムに乗って安全圏まで離脱を終えた。ザイレムに通信を送る。
『こちらオルクス上尉、コーラル照射装置のチャージを開始』
コーラルに火をつけた後は「坑道破壊工作」のようにコーラルの影響でENが増幅される。
『10%…30%…50%…70%…90%…』
調整されたHALはこの環境において限りなく無限に近いENと、軽量機にBUERZELを載せた時以上のアサルトブースト推力を得られる。
『100%…リミッター解除、110…150…190…』
この速度で未踏領域とウォッチポイント・アルファを駆け抜け、火の影響外まで脱出すれば計画は達成だ。
『200%、コーラル発振装置による増幅を開始』
これで、全て終わりだ。621はウォルターもエアもカーラもチャティも生存した状態で普通の人生を送れる。
『250…300…350…400…450…500%』
あれだけ大きな的だ。外しはしない。
ッ!?突然鳴り響いたアラート音に反応し、背後からの攻撃をコーラルシールドでイニシャルガード。チャージがリセットされたことでコーラル照射装置と発振装置がオーバーヒートを起こす。
『HC-SERAPH…!』
《そのトリガーは 引かせません》
[貴方の計画は 私達が止めます]
「やらせないよ、オルクス」
『なんで…君たちが…このタイミングで…!?』
オルクスに蔑称を付けたい(他に案があれば活動報告にコメント頂けると助かります)
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オルクズ
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オルカス