任務の説明を聞くため、通信でよくない?という一言を飲み込んでスネイルの執務室にいる俺だが、間の悪いことに通信が入ったらしい。俺に一言断ってから通信を始めるスネイルだが…
「また貴方ですか?駄犬の飼い主と違って暇ではないのですよ」
〔ーーーーー〕
「何が言いたい?」
〔ーーーーー〕
「…なるほど、浅ましくも涙ぐましい営業努力です。いいでしょう、貴方の駄犬も戦力として計算に…」
〔ーーーーー〕
スネイルの発言から察するにこの通信は旧宇宙港襲撃前の会話だろう。つまり、「駄犬呼ばわりは止めてもらおう」「旧世代型にも尊厳はある」という訳だ。俺も聞きたかったなぁ…
「……………」
バァン!!!
『…!?』
突然スネイルが台パン!?キチゲ発散タイムか?
「身の程を弁えない駄犬とその飼い主の分際で…!それが人に物を頼む態度か…?旧世代型の駄犬を駄犬と呼ぶことの何が悪い…!私を誰だと…!」
はいはい企業企業。ただでさえピリピリしてる所にあんな通信されたら苛立つのも仕方ないよな。こればっかりは少しスネイルが不憫だぁ…でもそれはそれとして本人達の前で駄犬呼びはどうかと思う…
「…すみません、取り乱しました」
『…心労、お察しします』
「本題に入りましょう」
「これは惑星封鎖機構の2拠点に対して同時刻秘密裏に行われる急襲作戦です」
「襲撃目標のひとつは敵の部隊間通信を中継するハーロフ通信基地。もうひとつは 強襲艦隊の母港として接収された バートラム旧宇宙港です」
「旧宇宙港の方は第4隊長が受け持つ予定でしたが、彼は別の作戦に回して独立傭兵レイヴンを使うことにします」
「貴方は通信基地の襲撃で封鎖機構の通信網を混乱に陥れ、精鋭部隊による増援を妨害して下さい。その間に独立傭兵レイヴンが停泊中の強襲艦を破壊します』
『了解しました、第2隊長閣下』
予想通り旧宇宙港襲撃だったな。ラスティを621のポジションに置いていたことを考えるとやはりラスティを警戒し始めているのだろうか…?少なくともアーキバスがシュナイダーによる空力汚染を受ける可能性を危惧している訳ではないだろう。
ひとまず今は621の救援に向かう建前を探しておかなければ。正直行かなくても良い気もするが…「壁」防衛戦では助けられたし、恩を返しておくに越したことはない。
『こちらV.IXオルクス。現在通信基地近傍で待機している。そちらの状況を見て仕掛けるから、回線を繋いでおいてくれ』
ハーロフ通信基地に到着し621に連絡。ひとまず621が一隻目を破壊するまでは潜伏して待機だ。今のうちに敵の配置を把握してマルチロックを済ませておく。
621が一隻目に接近したことを封鎖機構の通信から察知し、アンテナの根本に向けてレーザーキャノンを発射。目標は土台から崩れ落ちる。
「奇襲!?コード15」
『中継アンテナを破壊した、これで連中はしばらく外部との通信ができない筈だが…通信網の混乱は一時的なものになるだろう。今のうちに作戦を進めてくれ』
さぁ、さっさと残りを殲滅しよう。プラズマミサイルを汎用兵器が固まっている地点に発射し纏めて撃破。チャージしたプラズマライフルでMTを一掃。
「復旧急げ!」
『そちらは順調なようだな、レイヴン。俺も攪乱を続けているが復旧対応が速い…この通信妨害は長くは持たないと思ってくれ』
621が2隻目を破壊したのを確認して通信を入れてから残りの敵を見据える。あとはLCだけか。プラズマミサイルで回避を誘発してから武装を斉射。レーザーキャノンでスタッガーさせてブーストキックからの再度斉射で一気に撃破。同様に残りの2機も仕留めていくが…
「復旧完了。旧宇宙港も襲撃を受けている、増援を向かわせろ」
…間に合わなかったか。
『レイヴン、封鎖機構の外部通信が復旧した。応援要請を受けた強襲艦がそちらに向かっている。俺が着くまで持ちこたえてくれ』
少なくともこの拠点の戦力は掃討したので、アサルトブーストでバートラム旧宇宙港を目指す。シュナイダーの巡航ブースターに変更しておいて正解だったな。ENが足りなかったからスネイルには黙ってファーロンのFCSに変えておいたが。アーキバスのFCSはコストの割にクセが強すぎ…
〔オルクス、何をしているのです。貴方の目標は通信基地の破壊…達成したのなら帰投して構いません〕
『封鎖機構は新型HCとLCの改修型を出撃させたようです。戦闘データの回収と可能であれば鹵獲をしておこうかと』
〔…良いでしょう、交戦を許可します〕
621は既に俺と協働してHC2機を撃破しているのだから、この作戦が徒労に終わるよりも封鎖機構の技術を手に入れる方がアーキバスにとって有益であるとスネイルは判断してくれると思っていた。期待通りで助かるよ。
『レイヴン、封鎖機構の外部通信が復旧した。応援要請を受けた強襲艦がそちらに向かっている。俺が着くまで持ちこたえてくれ』
〔止むを得ん。621補給をしておけ〕
アーキバスからウォルターが持ってきた旧宇宙港襲撃の仕事。しかし、わたしと協働して作戦に参加したのはラスティではなくオルクスだった。
《敵性反応!上から狙われています!》
「コード5 排除対象が接近」
「対処しろ、本隊到着まで持たせる」
彼はアーキバスの命令に忠実であるという評価を受けていたから、ラスティのように加勢には来てくれないかもしれない…そんな考えは杞憂だったみたい。例え所属が変わったとしてもオルクスはわたしを助けてくれるんだ…!
《強襲艦来ます!》
[…システムより承認。強制排除執行]
邪魔なLCや強襲艦を叩き落としながらオルクスが来るのを待っていると、封鎖機構の執行部隊接近を確認。
「コード15 排除目標を確認」
「消えてもらおう」
環流型ジェネレータの青い噴射炎が見える。4脚AC…前の頭のおかしい機体とは違う普通の機体に乗ったオルクスだ。
『LCの改修型…いい土産になりそうだ。待たせて悪いな、レイヴン。俺がサポートするから好きに暴れてくれ』
隣に降り立った彼はわたしの為に動いてくれるみたい。「壁」で共闘した時よりも声色が明るい。元気になって良かった。
「コード44 排除対象2機の情報を回してくれ」
[システムより回答。企業所属 V.IXオルクス 独立傭兵 識別名 レイヴン。後者については登録情報との誤差を再照合中]
「妙な組み合わせだ」
「企業も傭兵に頼らざるを得ないということだろう」
《敵機を解析します。封鎖機構の執行機…LC高機動型およびHC型、それぞれ機動力と火力が脅威です》
エアが敵機について説明して注意を促してくれるが、わたしとオルクスが手を組んだ以上負ける筈がない。
わたしに張り付かれて手一杯の高機動型LCの背後からオルクスのレーザーキャノンが突き刺さる。ACS負荷限界に陥った相手をパルスブレードで切り裂き、ニードルランチャーでトドメを刺した。
「この…状況は…コード78E…送信…」
『やるな、このまま前衛は任せたぞ!』
HCも先程同様に挟撃を仕掛け、オルクスはわたしの手が緩むタイミングを補いながら的確に射撃を行い、HCを封殺して撃破した。
「システム…報告を…コード78…脅威レベルE…」
[システムの判断を通達します。コード78Eを承認。惑星封鎖に対する脅威現出と見なしIA-02の起動を許可します]
『あっさり終わったな。君のお陰で動きやすかったよ、レイヴン』
…やっぱり、わたしが1番彼の力を引き出せる…!わたしこそが彼の隣に立つに相応しいんだ…!
『こちらV.IXオルクス。HC、LC共に状態は良好。輸送ヘリを手配してくれ』
オルクスは崖の上にHCとLCを運んでいる。崖の上にいればアイスワームの攻撃も受けないから丁度良いけど…彼はわたしを助けにきたんじゃなくて封鎖機構の執行機体を鹵獲しに来たのかと思うと少し複雑だ。
《この反応は…!?マーカー情報を送信、そちらの方角から何かが…地中から…来ます!》
〔これは…!〕
『大きい…!コイツは…!?』
地面を揺らしながら現れたアイスワームに、オルクスが立ち向かって行く。
『コイツも…封鎖機構の兵器…!?攻撃が通らない…ここは退くしかないか…?』
武装が通用せずおろおろしているオルクスがちょっとかわいいな…と思っているうちにアイスワームは集積コーラルの防衛に向かっていく。これで今回の仕事は完了だ。
『…お疲れ様、レイヴン。君とはまた共に戦いたいものだな』
◯621
オルクスに近接持たせるの推奨委員会副会長
オルクスは接近戦が得意なんだから近接武器を持つべき!
◯スネイル
オルクスに近接持たせるの止めよう委員会副会長
EN武器の射程で一方的に圧倒することこそ彼に相応しい…
◯オルクス
好きなアセンはWエツジン赤月光レーザーオービット
オルクスに蔑称を付けたい(他に案があれば活動報告にコメント頂けると助かります)
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オルクズ
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オルカス