Chapter2の砲台破壊すらままなりません
俺はどこから撃たれてるんだ…!?
(…確かエアとか言ったか?どこから通信しているのかは知らないが力を貸してくれないか)
《…私の交信が届いて!?》
ウォルター以外で621に大きな影響を与えた存在といえばやはりエアだろう。ウォッチポイント襲撃以降常に621の側にいたエアからなら何か情報を得られるかもしれない。まずはこちら側の経緯をエアに共有しておく。
《そちらの事情は分かりました。つまり貴方は、ルビコン解放戦線との内通者で、レイヴンを戦力に加えるために行動していて、レイヴンがこうなってしまったのは予想外ということですね》
(ああ、だから…)
《私は貴方に何度も再教育をやめて欲しいと言いました…聞こえていながらそれを無視して…手遅れになってから私に助けて下さいというのは虫が良すぎではありませんか?》
…耳が痛いな。621がああなってしまった原因が全て俺にあるのは間違いない。だが621がウォルターよりも俺を優先するほどに屈するとは思えない…言葉で正気に戻せなかった以上原因を探るしかないだろう。
(…君の言う通り、俺の見通しが甘かったばかりに彼女の心を酷く傷つけてしまった。だからこそ、俺は彼女をあるべき姿に戻してやる義務がある)
《それもレイヴンを計画に利用する為でしょう?これまで貴方がレイヴンに向けてきた好意も、全て打算あってのものですよね?》
…本当に、痛い所ばかりをついてくれるな。
(そうだな…俺は最初から彼女を利用するために恩を売るような行動を続けてきた。だが…本当に彼女を利用するだけが目的なら彼女を元に戻す必要もない)
認めたくないが、今の621は冗談抜きで俺の命令をなんでも聞くだろう。俺たちの目的にとって都合が良過ぎる。だから、彼女を元に戻したいというのは打算でもなんでもない本心だ。
(頼む、俺だけでは手詰まりなんだ…!)
《貴方の考えは分かりました…レイヴンをこのままにはしておけません》
(…ありがとう)
ひとまずエアの協力は得られた。彼女の知識があればきっと621も元に戻ってくれる筈だ。
「アーキバスめ…!」
ウォッチポイント・アルファで孤立したG6、消息不明のG5、壁越えで戦死したG4、アーキバスに鞍替えしG13に殺害されたG3、汚染都市でG13に殺害されたG2、そしてV.IVによって殺害されたG1。
番号付きが実質的に全滅し星外へ退避しようとしているベイラムの残存勢力を、アーキバス標準フレームのACが殲滅していく。
プラズマミサイルが降り注ぎ、レーザーライフルに貫かれ、レーザーブレードによる回転斬りがまとめて一掃。瞬く間にMT部隊が蹂躙されていく。
「G13…!」
レッドガンのラッキーナンバー、G13を与えられた独立傭兵。ハンドラーの猟犬であったレイヴンはその首輪を取り替えられ、アーキバスの…いや、V.IXの走狗となっていた。
…要するに俺とエアは未だ621を正気に戻すことが出来ずにいる訳だ。
アーキバスは再教育されたレイヴンの忠誠心と能力を測るためにベイラム撤退阻止作戦を指示。上司である俺は621の監視役として彼女が作戦を遂行していくさまを眺めている。もはやベイラムにアーキバスの障害となる要素は無い以上、死体蹴りと変わらない無意味な作戦だ。
「死神め…」
621は無慈悲にも死に体のベイラムMT部隊を鏖殺し作戦を完了した。G13はまさしくレッドガンに対しての死神になってしまった訳だ。
『…ミッション完了だ、レイヴン。帰投するぞ』
621と合流してアーキバスのガレージまで戻り、強化手術の代償で下半身に障害を抱えている彼女がコックピットから降りてくるのを補助する。
「おるくす、ACにさえのればわたしはやれるよ、なんでもいうこときくよ。だから…」
『…お前の次の仕事は機体申請だ。アーキバスの標準フレームより自分に合わせた機体を用意しろ。慣れない機体で何度も出撃すべきじゃない』
俺に縋るような眼をみれば、「だから…」の先に続く言葉は容易に想像が付く。621の言葉を遮って無理をしないように伝えた。
「…わたしにきをつかってるの?そんなのいらないからもっとわたしをつかって…そうだ、さいしんのきょうかしゅじゅつをすればもっとおるくすのちからになれるよね?」
《レイヴン!?それでは私との交信が…!》
エアを蔑ろにするのは駄目だろう…!
『…まだアーキバスが君を信頼して居ない以上裏切られた際のリスクは許容出来ない』
「…わかった。なにかあればいつでもつごうよくつかってね?わたしはあなたのいぬだから…」
「今犬って言った…?」
「言わせたんじゃないの…?」
「あの独立傭兵レイヴンにあそこまで言わせるなんて…」
「オルクス隊長は受けでしょ?鬼畜サドなんて解釈違い…」
「私も犬にされたい…」
「分かる…調教されたい…」
『…自分を犬と卑下するな』
言い方が最悪過ぎる…!!!621の爆弾発言でガレージに響めきが広がる。ここまで積み上げきた俺のイメージが…いや、この後どうせ裏切るんだけども。
それはそうと後ろの腐女子1人と隠れマゾ2人。メーテルリンクの同人誌事件以降のアーキバス社員は性癖に正直過ぎる…
自室に戻り、621から送られてきた機体データを確認…
これまた随分とピーキーな機体だな。分裂ミサイルとキックでスタッガーを取りレーザーダガーからの収束レーザーでぶち抜くのだろうが…この装甲と安定性能で突っ込むのは中々に命知らずだ。こんなアセンを組んだのも俺のせいなのだろうか。まぁ、ヴェスパー部隊員としての体裁は保てているしスネイルのお眼鏡にも叶うだろう。彼女が自分で組んだ機体である以上口出しは無用か。
621の機体構成を承認しパーツを購入。会計担当は俺だからその辺りがさくっと終わるのはありがたい。その後は621の戦闘データについて報告書を纏めて再教育センターの長官であるスネイルに送信しておく。
これで本日の俺の業務は終了だが…
(エア、レイヴンの様子はどうだ?)
《手応え無しです…話は聞いてくれるのですが反応は薄くて…》
ここからはエアとの脳内会議だ。ようやく自分と交信出来る人を見つけたのに殆どコミュニケーションがとれなくなってしまった所か繋がりまで断ち切られかけたってのはしんどいよな。どうしたものか…
ハンドラーウォルターの名前を出しても無関心、エアの言葉も響かず、口を開けば俺に依存しきった言葉…全く良い手が思いつかない。結局今日もほとんど進展が無く終わってしまうのだろうか…
《そういえば、レイヴンがああなってしまう直前にひとつ引っかかった言葉があります》
(…聞かせてくれ)
《「たすけて…おるくす…」と、今目の前で再教育を行っている相手に助けを求めるというのは不自然ではありませんか?》
…なるほど?
…これまで俺の推理は621が周回している事を前提として立ててきた。それは例えば再教育センターからはウォルターの手配した機体とカーラが助けてくれるだとか、ウォルターの生存が絶望的だとかの内容だ。
それなら、前の周において俺は何をしていた?
前の周に俺が居ないとは考え難い。本来ラスティが収まっている筈のランク9にして存在しない筈のV.IX。前の周に俺がいなかったのなら警戒する筈だが、621は俺のことをやけに信頼していた。協働の際には勝手知ったるといわんばかりのコンビネーションで俺の攻撃の合間を補ってくれている。
前回の周での俺は再教育センターから621の救出を成功させたのだろう。だからこそ、621は俺が味方についてくれないのならここから脱出は出来ないと考えて心が折れ、限界直前に俺へ助けを求めた…というのが俺の考えだ。
荒唐無稽だが、よく考えたら周回を前提に推理しているなら「前回の俺」も計算に入れるのは普通のことだ。原作知識が足を引っ張っていたらしい。
この情報は何かのきっかけになるかもしれないな。
◯エア
エアとオルクスがサシで話し合う場面では基本的にオルクスに負い目があるのでエアが主導権を握りがち
姉に勝る弟はいないので仕方ない
オルクスに蔑称を付けたい(他に案があれば活動報告にコメント頂けると助かります)
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オルクズ
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オルカス