V.IX√の最終話が8+1…つまり⑨という偶然に幸せを感じながら生きていきたい
「ぇ…」
オルクスからの通信が途絶える。
《オルクスの機体反応が…消失…!?》
…失敗した。
また守れなかった。
こうなるって知っていたのに。
今度こそ助けるって決めたのに。
「…まだ終わりではないらしいな、戦友」
《ザイレムの撃墜を…急ぎましょう》
…いくら第9部隊が居るからってオルクスだけで行かせるべきじゃなかった。ラスティを同行させれば良かった。
手遅れになってから、彼を守る為にわたしに出来たことが溢れてくる。彼はルビコン解放戦線に与しておきながら真逆の使命を持つウォルターのことも助けようとしてくれていたのに、わたしはそんな彼に甘えてばかりで…
《レイヴン、時間がありません》
「…行くぞ、戦友」
そうだ…せめてやり遂げなきゃ…そうじゃないと彼のやってきたことが全部無意味になる…
《…レイヴン、あれがザイレムのラムジェットエンジンです。目標の破壊を…お願いします》
補給を済ませてラスティと共にザイレムの甲板に到着。既に左舷のラムジェットエンジンはオルクスによって破壊されているけれど…
「…621…そこにいるのは…お前なのか…?」
右舷チャンバーの前に真紅のAC…ウォルターが乗せられたアイビスシリーズが立ち尽くしている。
「V.IX…障害は…俺が排除しておいた…」
ザイレムのガラス貼りの甲板にはコーラルライフルの照射跡が残され、バーストマシンガンや朱色の装甲板に覆われた腕や脚パーツの残骸が転がっている。仮に脱出レバーを引くことが間に合っていても、熱圏に身ひとつで投げ出されていれば生存は絶望的だろう。
「後は…621…お前を…」
ウォルターが右腕に装備している大型コーラルライフルのチャージを開始したのを見て、わたしたちは臨戦体制に入る。
「…消さなければならない」
まるで悲鳴のような音を奏でながら照射されるコーラルの奔流を回避。オルクスの通信が途絶える直前にもこの音が聞こえていた。
守りたかった人の手で、守りたかった人が葬られたんだ。
《ウォルター…!?このACは…機体からコーラル反応…危険です!》
「企業の命令を…いや…友人たちの使命…障害を…排除する」
「ハンドラー・ウォルター…オルクスは彼に…応戦するぞ、戦友…!」
…オルクスが撃墜されるのもウォルターと戦うことも、これが2度目だから。一度成し遂げたのなら、今回も出来るはずなのに。
「…やらなければこちらがやられるぞ、戦友」
身体が動かせない。「前回」は理解が追いつかなくてがむしゃらに応戦するしかなかったけれど、今回は何が起きたのかを理解してしまったから。
ラスティがハンドラーの攻撃を切り抜けながら右舷チャンバーを破壊。
「レイヴン…!?ルビコンの大気圏内に突入します…!時間が…動いて下さい!」
「声が見える…621…お前の隣にいるのは…そうか…見つけたぞ…火種を」
動かないと………!ラスティがレーザースライサーで切り刻みウォルターを拘束している所に分裂ミサイルを放ち、スライサーを振り抜いた所にブーストキックで追撃を加える。
「一度生まれたものは…そう簡単には死なない。火種から消さなければ…!」
コーラルミサイルを張り切って再び分裂ミサイルを発射。アサルトブーストと同時に武装を持ち替えてからブーストキックでウォルターの動きを止め、分裂ミサイルが全弾命中。さらにレーザーダガーで3連撃。
このまま押し切る…!距離を取ろうとするウォルターに対してアサルトアーマーを…
焦り過ぎた…!わたしのアサルトアーマーはコーラルジェネレータによって威力が底上げされたウォルターのアサルトアーマーに掻き消された。
ACSが負荷限界に達し無防備になったわたしの機体を左腕の武装から照射されたコーラルが薙ぎ払う。
「621…仕事は…終わりだ…」
強烈な衝撃を受けて怯んだわたしに展開された紅い光を放つ右腕武装が向けられる。先程のアサルトアーマーとコーラル照射による薙ぎ払いで距離を取らされたラスティからの援護は期待出来ない。
「レイヴン!回避を!」
…オルクスと同じあの照射攻撃を受ければ彼と同じ所に行けるだろうか、なんて弱気なことを考えてしまいながら呆然とわたしに向けて放たれた紅い奔流を眺める。
………?衝撃が来ない…?
『…また犬を殺すつもりか?ンハンドラー・ウォルタァ…それも、お前自身の手で…』
わたしとウォルターの間に重装騎士のような機体が立ちはだかり、パルスシールドでコーラル照射の軌道を逸らしている。
「貴様…は…」
「…オル…クス?」
『なんとか間に合ったみたいだな、後輩。手を貸そう』
アーキバス鹵獲改修型HCに乗り込んだオルクスが、わたしを庇っていた。
「無事だったか、オルクス」
『あぁ、脱出レバーを引いた先にたまたま撤退中の第9部隊が通りかかってな。拾ってもらったんだ』
「道理で君の部下が静かだった訳だ…体は大丈夫なのか?」
『問題ない。ルビコンの恵みを全身でイッたせいでパチパチ弾けて脳みそがハイになってるが多分大丈夫…なハズだ』
《それは本当に大丈夫なのでしょうか…?》
オルクスがコーラル照射を凌ぎ切ったことで、ウォルターの武装がオーバーヒート。
『後輩、遅くなって悪かったな…まだ戦えるか?』
「うん…!」
オルクスが居てくれるのなら、わたしはまだやれる。折れかけていた心を持ち直してウォルターに向き合う。
「V.IX…脅威を…排除する…」
オルクスがプラズマミサイルを発射したのを合図に、わたしとラスティが飛び出した。わたしの分裂ミサイルでウォルターの回避を制限してラスティがACS負荷を蓄積。オルクスはプラズマライフルとミサイルでわたしたちをサポートしてくれる。
「コーラルを焼けば…俺たちの仕事は終わる…お前が稼いだ金だ…再手術をして…普通の人生を…」
「ごめんなさいウォルター。わたし、ふつうのじんせいにはもうもどれないかも…」
『えっ…いきなり何言ってんの…』
ウォルターは後方にいるオルクスを狙うことにしたのかわたしとラスティの間を強引にすり抜けてくるが、わたしたちを前にしてその判断は悠長過ぎる。分裂ミサイルとブーストキックで背中に攻撃。
「俺は…V.IX…お前を…消さなければならない…!」
「えっ…いや…そんなつもりじゃ…」
コーラルで形成したブレードを振り下ろすウォルターをオルクスがランス状に形成されたパルスシールドで迎撃してACS負荷限界。すかさずチャージしたプラズマライフルが放たれたことで、ウォルターの機体の耐久が限界を迎える。
アイビスシリーズは空中で爆発を繰り返し、一際大きい爆発を起こした後に甲板へ墜落した。
「使命を…友人たちの…遺志…を…」
煙を上げ、膝を折って尚立ち上がりこちらに右腕の武装を向けるウォルターと、パルスシールドを構えて消耗の激しいわたしとラスティを庇うオルクスが睨み合う。
「そうか…621…」
そんなわたしたちの姿を見て、ウォルターが武器を下ろした。
「お前にも…これほどの友人ができた…」
ザイレムの先端で爆発が起こり、ウォルターの機体が動きを止める。もはやザイレムの耐久は限界みたいだ。
「ウォル…」
『…逃がさないぞ、ハンドラー・ウォルター』
《オルクス…!》
オルクスがプラズマライフルを投げ捨て、ウォルターの方向へ向かっていく。
『あなたがこのまま死んだら、レイヴンはどうなる…彼女に普通の人生を取り戻させてやるんだろう…!』
彼はウォルターの機体の四肢をパルスシールドで素早く抉り取るとコアを抱えた。
『もうレイヴンを戻してやれるのはあなたぐらいなので生き残って助けて下さい…』
《…行きましょう、レイヴン、オルクス!》
…無事にザイレムから離脱したわたしたちは地上へ帰還し、アーキバスに「加工」されたウォルターと致死量を超えるコーラルを浴びたオルクスは医療施設に送られた。
オルクスは数日で万全の状態に戻り、ウォルターも身体に障害は残っているものの意識は混濁状態から回復。
混濁状態だったとはいえ一度わたしの選択を見届けると決めたウォルターは、ザイレムとアイビス…HAL826を失った以上火を点ける手段がなくなったことやCパルス変異波形であるエアの存在もあり今はコーラル破綻を防ぐ方法を探る手伝いをしてくれている。
ラスティはスパイ時代に同志を排除したという因縁はあれどルビコンを企業から解放した立役者としてある程度は受け入れられ、企業の残存勢力排除やいずれ訪れる惑星封鎖機構との争いに向けた準備をしており、忙しそうだ。
オルクスにエア、ウォルターとラスティがいれば、これからの戦いもコーラルの破綻もきっと乗り越えていける。だから…
「…わたしを壊した責任、取ってくれるよね?」
『はい……………』
◯オルクス
621を元に戻す起死回生の一手としてウォルターに狙いを定める…が、普通に裏切られた
621にプレイを強要され、第9部隊に逆セクハラされ、解放戦線に性的コンテンツ扱いされている
◯ウォルター
変わってしまった621に思うところはあれど、本人が幸せそうなので黙認することにした
◯621
ウォルターに許しを得たのでもう止まらない
オルクスにプレイを強要している
今後の方針について活動報告を用意しています
オルクスに蔑称を付けたい(他に案があれば活動報告にコメント頂けると助かります)
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オルクズ
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オルカス