マシンガン、リニアライフル、レーザーオービット。3種類の武装によって張られた弾幕の中を高速で潜り抜けていく。
相手がマシンガンを撃ち切った瞬間にハンドガンを連射してからブーストキック。吹き飛んだ所にバズーカで追撃しスタッガーを取った。
レーザーダガーで3連撃してアサルトアーマー。スタッガーから復帰して後退した敵機にクイックブーストで接近し、チャージレーザーダガーでトドメを刺す。戦闘終了だ。
『俺の勝ちだな』
「ケッ…少し待ってやがれ!」
さて、暇さえあればシミュレータでの戦闘を繰り返している俺とイグアスだが、少しずつ意識の改善が見られる。少し待て、と言った後に戻ってきたイグアスの機体は接近戦に弱かった双対ミサイルが、逆に接近戦に強い分裂ミサイルに換装されている。
強化人間じゃないフロイトは武装を気軽に変えたり出来ないからなぁ…そういう面でもイグアスとやり合う方が面白い。
「次は負けねぇ…さっさと準備しろ!」
これならブレードを持つ日も近いだろう。
『始めようか、イグアス』
その調子で、いずれ俺の上を行ってくれ。
コーラルを目指して中央氷原で依頼を受けていたわたしだったが、今回は多重ダムを防衛するためにベリウス地方まで戻って来ている。
わたしと解放戦線との間にそこまで繋がりがあった訳ではないけれど、上位ランカー二人からの襲撃ということで手札に乏しい彼らには厳しい状況なのだろう。
《アスタークラウンのパイロット…識別名キングの作戦成功率は89.6%…その極めて高い技量から完成された傭兵と称されています》
ウォッチポイントを襲撃し、コーラルの奔流を浴びてから聴こえるようになった幻聴?の友人、ルビコニアンのエアが敵機について調べたことを伝えてくれている。
《一方アンバーオックスのシャルトルーズは正面突破と火力集中では比肩する者なく「見つめ合うと死ぬ」 女性傭兵として恐れられています》
幻聴がわたしの知らない情報を知っている訳も調べることができる訳もないのだけれど、今の所エアの存在はわたしにとって有益で害意もなさそうなのでそれについて考える必要はないはず。
《アリーナの上位ランカー2名が相手です…気を引き締めて行きましょう レイヴン》
ウォッチポイントでのバルテウス、海越えでのシースパイダーとの戦いを経てわたしの機体も大きく強化された。機体の準備は万全と言えると思う。
フレームは近接武器の扱いと地上戦に長けるBAWS製の腕部、脚部に、内装はジェネレータをBAWSのYABAに変更。
武装はオルクスの勧めで右腕のランセツRFを長射程ショットガン、右肩のレーザーキャノンを2連装グレネードに換装している。
そういえば2連装グレネードについてはウォッチポイントの襲撃後の通信でオルクスが色々と語ってくれたなと輸送ヘリに揺られながら記憶を遡る。
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やっほーレイヴン、元気しているかい?
今回紹介するのはメリニットの2連装グレネードSONGBIRDS。コイツは曰くつきの代物でね…昔話をするとしよう。
メリニットが生まれた頃の話だ。メリニットは爆発が見たいと思っていた。だから炸薬の組成から自前で行った。
でも、弾数や射撃精度、リロードを妥協して爆発威力と範囲に特化した取り回しの悪いバズーカとグレネードはあまり良い評価を受けていなかったんだ。
このままでは会社が潰れてしまうと考えたメリニットは苦肉の策として中量機体オーナーから寄せられた要望に応え、爆発威力を連装化で補い、回転率と低負荷が売りのSONGBIRDSを開発した。
…SONGBIRDSは売れた。ルビコンだけでも解放戦線の男娼、G4、G1、そして「自由意志の表象」が愛用しているほどの人気だ。SONGBIRDSはメリニットの最高傑作とまで呼ばれたらしい。
メリニットは困惑した。人々は大きな爆発を求めていないのか、とな…
《回転率を犠牲にした火力はやり過ぎというだけではないでしょうか…?》
エアの言う通りかもしれないが、オルクスにエアの声は届かない。
でも、メリニットは爆発を求めた。だから、SONGBIRDSの炸薬を
SONGBIRDSは、鳥の囀りほどの火力しかない忌み子と呼ばれたらしい。
これは本当の話だ。ずっと昔、俺が傭兵として活動するさらに前の傭兵達が見た出来事。マジェスティック車椅子や突撃デブ、環境アセンが生まれる瞬間を見たんだ。
この話に何か感じるものがあったのなら、4脚にEARSHOTとDIZZYを載せて空爆をしてみてくれ。きっとメリニットは喜んでくれるだろう。
良き闘争を、レイヴン。
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…環境アセンってなんだったんだろう?とりあえず炸薬を減らされたらしい2連装グレネードはそれでも強かった。
[メインシステム 戦闘モード起動]
多重ダムに到着し、ミッション開始。
…?様子がおかしい、静か過ぎる。
《戦闘が…すでに終わって…!?》
…状況を確認しながら進んでいく。ダムには解放戦線のBAWS製MTの残骸が転がっている。これは…レーザーダガーとハンドガンの痕?まさか多重ダムを襲撃した上位ランカーというのは…!
「なんなの…こいつ…話が違っ…!?」
「脱出しろ!シャルトルーズ!機体を捨てっ…!?」
『…もう終わりか?』
…白いACが傷ひとつない姿で、青い4脚ACのコアにレーザーダガーを突き立てた。近くには金色をした特殊な形状のタンクACの残骸が佇んでいる。
『少しずつ力を付けているとはいえ、新米相手に
レーザーダガーをウェポンハンガーに仕舞い、両手のハンドガンをリロードしたACがこちらを振り向く。
『…来たか、「レイヴン」』
《ランク1 オルクス ACアンギラス…無傷でランカー2人とMTを片付けたのですか…!?》
会うのは強制監査妨害以来…ついにリベンジの機会が来た。
「わたし、もつよく、なった…たたかって、ほしい…!」
『久しぶりだな、レイヴン。嬉しい誘いだが…君にはまだやるべきことがある。またの機会にしておこう』
「…!?まって…!」
っ…!逃げるつもり?それとも今のわたしに戦うほどの価値が無いと?
《!?待ってください 新たな機体反応!》
アサルトブーストの体勢に入ったオルクスを逃すまいと構えるわたしにエアが叫ぶ。その隙にオルクスは去っていった。
名残惜しいが彼の背中を追う余裕は無い。エアの指示する方角を見る。あれは…ローダー4と同じRaDの探査用AC…?
〔「レイヴン」通信は聞こえてる…?〕
女性がレイヴンと名を呼ぶが、恐らくわたしのことではないのだろう。
〔あのふたりを同時に相手にするなんて…あなたの偽物は相当やるようね〕
…それもわたしのことではない。
〔見せてもらいましょう、借り物の翼でどこまで飛べるか〕
「レイヴン」のACの頭部カメラがバイザーに覆い隠され、アサルトブーストでこちらに向かって来た。
〔強化人間 C4-621、「レイヴン」 の名を返せとは言いません。ただ…あなたにその資格があるか見極めさせてもらいます〕
《あなたのライセンス…その本来の持ち主ということでしょう…おそらく…偶然ではありません》
戦闘開始。こちらもアサルトブーストで敵機に向かっていく。
双対ミサイルの間を駆け抜け、ある程度近づいたところでショットガンからのキック…相手のキックの方が速かったが、ショットガンはクリーンヒットさせることが出来た。
〔あのふたりをすでに退けている…「レイヴン」注意してください〕
…だからそれはわたしのことではない。蹴られた後は自由落下してENを回復しつつ2連グレネードを回避。着地後ブースト移動で接近し、ショットガンを回避した「レイヴン」を2連グレネードで狩る。ACS負荷限界で停止した敵機にブレードを振るった。
〔「レイヴン」とは意思の表象。相応しいのは選び戦う者だけです〕
意志の表象…オルクスの言っていた2連装グレネード使いのひとりだ。
《…今は戦いに集中を、レイヴン》
ブレードの2撃目で吹き飛んだ敵機にアサルトブーストで接近し、ショットガンからの蹴りで追撃…!?
アサルトアーマー…!「レイヴン」の目の前でACS負荷限界。敵機はパイルバンカーを構えている…見よう見まねだけどやるしかない。復帰と同時にアサルトアーマーを発動。付け焼き刃ではあるがうまくいったみたいだ。2連グレネードで追撃。
〔…ええ「レイヴン」私も感じてるわ。この傭兵には可能性がある…〕
《…選び戦う…意思…》
アサルトブーストで接近して来た敵機はパイルで殴りかかる。回避してショットガンで反撃。後退した「レイヴン」にグレネードを発射。1発目は躱わされてしまったが時間差で2発目が命中。
プラズマミサイルの爆発から逃れようとクイックブーストを発動するレイヴンにチャージブレードで詰め寄って一閃。
〔「レイヴン」反撃を…!〕
爆発しながら吹き飛ぶ敵機が起き上がることはない。
〔…そう…見届けようと言うのね…この翼が…彼らをどこに運ぶのかを〕
戦闘は終わった。オルクスは…この展開を予見していたのだろうか…?
《コーラルリリースについて…ひとつ依頼が届いています。管理者権限による高度に暗号化された形式…履歴も残らないよう細工がしてあります。つまりこれは…ウォルターには知られるなという意思表示です…まずは内容を確認してみましょう》
コーラルリリース…ザイレムでドルマヤンと戦った後の文書データに記載されていた単語だ。いったいどんな案件だろう?
◯621
一周目にも関わらずALTミッションや2週目以降のミッションが混じっている
◯ガリア多重ダムMT部隊の皆様
621対真レイヴンの部隊を整えるために無力化されただけなので、脱出レバーを引く猶予はオルクスに与えられた
欠けることなく生存
オルクスに蔑称を付けたい(他に案があれば活動報告にコメント頂けると助かります)
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オルクズ
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オルカス