イグアス…確かに君にはどんどん近接を振り回して欲しいとは言ったよ?
「さっさと始めるぞ…ランク1!」
重ショットガンとデトネーティングミサイルで衝撃値を補助しつつ、レーザーランスのブレードキャンセルで敵機まで接近。チャージでぶち抜いた後にレーザーブレードで一刀両断と言う訳か。フレームもカスタムではないメランダーに切り替えて耐久面を底上げしているらしい。
『一皮剥けたようだな…その力、見せてもらうぞ』
なんにせよ、期待以上の成長は喜ぶべきだ。楽しませてくれよ?
レーザーランスをキャンセルしながら間合いを詰めて来るイグアスをバズーカで迎撃。
「チッ…!」
『流石に安直だ、見え透いている』
ブレードキャンセルは速度こそ出るが、回避をほぼ捨てることになるのが難点だ。迫り来る爆導索を警戒しつつイグアスの真上を取り、ハンドガンで衝撃を一気に蓄積させる。
『まだまだ鈍いな』
レーザーランスのチャージを開始したタイミングでブーストキック。チャージをキャンセルさせてからリロードを終えたバズーカでスタッガー。レーザーダガーによる3連撃からアサルトアーマー。さらにチャージしたレーザーダガーで一閃してトドメだ。
『自分から突っ込めるようになった点は評価したいが…回避を疎かにし過ぎだな。しっかり慣らしておけ』
AMイグアス最終形態時が露骨だが、これまで盾頼みだったイグアスは回避が甘くなりがちだ。俺の使っているハンドガンもハンドガンというカテゴリの中では回避が簡単な部類なので今のうちに克服しておいてもらいたい。
「…ならもう一回付き合えよ」
『もちろんだ』
連続でのブレードキャンセルは真人間である俺には耐えられない。諦めるしかなかった戦術を扱えるイグアスが少し羨ましい。
イグアスは殻を破り、621とエアも協力者として加わった。リリース計画は万全の体制と言えるだろうと報告するオールマインドの声も露骨にニチャニチャしている。
イグアスのレーザーランスをあしらいながら、これからの立ち回りについて思考を巡らせていく。そろそろ潮時、かな?
アイスワームを撃破した621は地中探査を開始。強敵達との戦いを乗り越えて深度3のレーザー障壁を解除した。
[オルクス…レイヴンがアリーナの全ランク帯を踏破しました]
[仮想戦闘シミュレーションとはいえレイヴンは登録傭兵の頂点…即ち貴方に勝利しています]
ついに、か。
[貴方の言う通りレイヴンは我々の脅威でした]
[貴方もオールマインドと統合する用意を…]
オールマインドは本編の筋書きにおけるイグアスのポジションに俺を置くつもりだろう。だが…
『俺はリリース計画を降りる』
[…!?オルクス…一体何を考えて…?]
『コーラルを焼く。俺を排除しない限りコーラルリリースは果たせないものと思え』
俺が居なくなれば、オールマインドは621とイグアスに頼らざるを得ない。俺を排除する為にどちらかを寄越すことだろう。
『621とイグアスを上手く使ってみせろよ、AIサマ』
《オールマインドから依頼が届いています。例によって管理者権限かつ高度に暗号化された形式です。コーラルリリースに関するものと見て間違いないでしょう》
ーーーーーーーーーー
強化人間C4-621 レイヴン
計画の実現に向け排除してほしい人間がいます
目標は独立傭兵オルクス
彼は…土壇場で翻意しコーラルを焼いて
我々の計画を阻止すると宣言しました
彼はG1ミシガン V.IIスネイル ミドル・フラットウェル
という3勢力の統率者たちを殺害した後
単騎で未踏領域へ突入しようとしています
貴方にはイグアスと共に彼を排除して頂きたい
強化人間C4-621 レイヴン
オールマインドは貴方に期待しています
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誰か知らないけどイグアスが邪魔。ようやくオルクスと再戦できると思ったのに。
《レイヴン…オルクスからも連絡が来ています。アリーナの踏破祝いだそうです》
踏破祝い?確認してみるとショップの品揃えが増えていた。これは…ラスティの使っていた近接武器に…実弾オービット?技研製の武装もあるみたい。今から発注してもオルクスとの戦闘には間に合わないのが残念だ…ひとまずめぼしいものを予め購入しておく。
《ミッション開始、オルクスを排除します》
…ウォッチポイント・アルファの深度3に到着。僚機は既に到着しているようだ。
「まさかてめえとオルクスの野郎に挑むことになるとはな…野良犬」
思い出した。グリッド086でコヨーテスに雇われていたG5だ。
「オルクスの野郎を潰したら次はてめえだ…野良犬」
「オルクスは、わたしがたおす。あなたはじゃま」
「あぁ!?」
《レイヴン…今は仲間と争っている場合ではありません。オルクスを排除しましょう》
「チッ…耳鳴りが…」
…不本意だがエアの言う通りだ。ここでイグアスを倒してから勝てる相手ではない。イグアスと共に未踏領域を進む。道中には何かの液体や肉片が散らばっている。
《これは…何かの養育ポットでしょうか?》
少し開けた場所に到着。正面にはオルクスの機体が待ち構えていた。
「見つけたぞ…オルクス…!」
「こんどこそは…かつ」
『上手く使えと言った筈だが…まさか両方投入するとはな…まぁ良い、早速始めようか』
彼の言葉と同時にわたしとイグアスが突撃。オルクスの機体はいつものバズーカが実弾オービットに変更されている。
レーザーランスを飛び越えて回避したオルクスはイグアスの背後に着地し、ハンドガンを連射。ACS負荷限界を迎えたイグアスにレーザーダガーで連撃をしている。
攻撃がひと段落したオルクスに向けてショットガンを発射。こちらにターゲットを切り替えたオルクスのハンドガンによる被弾を可能な限り減らすように動き回りながらショットガンとグレネードで攻撃。どちらも躱されてしまったが、垂直プラズマミサイルは流石に躱し切れないらしい。
『…完全勝利とはいかないだろうな』
「ケッ…!勝つのは当然ってか?」
上位ランカー2人に対して無傷だったオルクスが、ショットガンの弾を掠らせながらこちらに肉薄。わたしの周囲を高速で周回しながらハンドガンとオービットによる猛攻を仕掛けられ、わたしはACS負荷限界になってしまった。レーザーダガーに対して放ったアサルトアーマーは相手のアサルトアーマーに掻き消される。
「俺を忘れんじゃねえ!」
『…これは躱し切れないかなぁ』
アサルトアーマーを突き抜けながら向かってくるレーザーランスに対してオルクスが他人事のように呟いた直後、オルクスの機体は右腕を抉り取られた。わたしの知る限り始めての明確な被弾だが…
『…これだから1対多は厄介なんだ』
「嘘だろ…?」
…彼の機体から右腕を奪った張本人の機体は、頭部カメラをすれ違いざまに切り裂かれていた。被弾の瞬間に敵機の頭部が通る位置へダガーを構えていたらしい。
『本当は首を狙ったんだが…まぁ良い。肉を切らせて骨を断つってね?』
「クソっ!見えねぇ…!」
視界を失って動揺したところに片手のハンドガンとオービットの弾丸で追撃。再び持ち替えたレーザーダガーがイグアスの機体を戦闘不能に追い込んだ。
『即席チームにしては悪くない連携だったぞ、イグアス』
「チッ…まだ師匠面してやがるのかよ」
…敵機の特徴であるダブルトリガーでの連撃はもう出来ない。シミュレータとはいえ万全の彼にも既に勝利している。勝てる状況のはずだ。
敵機がハンドガンをパージ。レーザーダガーとオービットだけで戦うつもりらしい。
右腕を失ってバランスが悪くなっているにも関わらず先程以上の速度で動き回り、レーザーダガーによる一撃離脱でこちらのAPが削られていく。対するわたしはショットガンとプラズマミサイルが多少掠る程度で有効打を与えることが出来ない。
《レイヴン…!》
グレネードの回避で敵機のENが尽きた…!着地したところにパルスブレードで斬りかかる。
ブレードと地面の間を縫うような姿勢から薙ぎ払われたダガーに一閃された。
『…ここは撤退するしか無いな…また会おう』
オルクスは去っていった。彼に撤退を決断させたのはイグアスの攻撃で…わたしは初めて会った時と同じように、ダガーだけで無力化された。
悔しい。届かない。追いつけない。
彼に勝つ為には、一体何が足りない?
オルクスに蔑称を付けたい(他に案があれば活動報告にコメント頂けると助かります)
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オルクズ
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オルカス