やりたいことを盛りすぎて情報が飽和していますが頭を天槍にしてお楽しみ頂けると幸いです
…目が覚めると、酷く懐かしい天井だった。
『頭痛い…』
跳ね起きた勢いで頭をぶつける。ガレージ内の居住区にある寝室よりも天井が近いのは、この部屋が狭いからではなく2段ベッドの上部分だからだ。
ACVIの世界に転生し中央氷原で惑星封鎖機構をシバき回していたはずの俺、独立傭兵オルクスはどういう訳か転生前の実家…現代日本に戻ってきている。
…転生が夢だった?いや、例えあれが夢だったとしても俺は大学に通うために県外まで出たのだから実家で目が覚めるはずがない。頭をぶつけて意識を失ったのだから、目覚めるとしたら病院の為ベッドの筈だ。一体何が起きて………
「お兄ちゃーん!起きないと遅刻しちゃうよー?」
酷く懐かしい声が、俺を呼ぶ。
『あ、あぁ…起きてるけど…』
「お兄ちゃんがこの時間に起きてるなんて珍しい…でも、どうせ二度寝する気だったんでしょ?」
前世(この状況だと今世?)における俺の実妹。文武両道でしっかり者、創作に出てくるような可愛らしくてよく出来た妹だ。俺が大学2年生で20歳、彼女は中学3年生で15歳なので俺とは5歳差になる。
「起きてるなら早く下降りて朝ごはん食べて制服に着替えちゃいなよ」
『わ、分かった…』
制服…?妹は前世からそのままなのに今の俺は高校生なのか?訳が分からない状況だが、とりあえず今は言われた通りにするしかないだろう。
両親は共働きだから、朝食は自分で用意することになる。
食パンにケチャップを塗ってハムとチーズを載せ、トースターで5分。簡易的なピザトーストにアロエヨーグルトとヤ◯ルトという食い合わせがアレな当たり前の…しかしルビコン基準では贅沢な朝食を腹に入れる。当たり前だった筈の朝食が、随分と美味しく感じた。
朝食を済ませた後は顔を洗い、寝癖を直し、歯を磨く。鏡に映る自分の顔は大学生の頃よりも僅かに幼い。整っていたアクスくんの顔と比べると平凡だ…
身だしなみを整えたあと自分の部屋に戻ってブレザーに着替えるが…こんなデザインだったっけ…?そういえば、珠利の制服も記憶と違ったような…
………待ってくれ。授業で使う学校指定のタブレットPCの裏に、オールマインドのエンブレムがついてるんだが…!?
ここ現代日本じゃないの!?まだ転生は続いてる感じ?それともやっぱり夢なのか!?というか何やってるのオールマインド!?某林檎企業ポジにでもなったのか!?
「お兄ちゃん、そろそろ登校するよー」
『あぁ、今行くわ…』
本当に何が起きてるんだ…?訳が分からないが珠利に呼ばれるまま家を出て玄関を施錠。
「あ、
…レイヴン先輩が街路樹から落ちた葉っぱを掃除してる!?なんかイメージと違くない!?というかレイヴン先輩もいるの!?俺の記憶が正しければお隣さんはお爺さんとお婆さんの2人暮らしだった筈…
『おはようございます、
「…おはよう」
レイヴン先輩が喋った!!!!?挨拶どころか「うん」とかの返事すらしたことなかったのに!?やっぱりよく似た他人か俺の夢なのか…?でも頭ぶつけた時痛かったし…
「そういえば
『そうなんだ…それはすごいな』
レイヴン先輩?はプロゲーマーなのか…少なくとも、道を掃除してるお姉さんよりかはしっくりくるな…失礼だけど普通に会社員とかやってる姿は想像出来ない。
そんなことを考えながら歩いていると
「おはようございます、折戸です。エノメナちゃん居ますか?」
珠利は友達らしき子の名前を呼んでいる。エノメナちゃん…聞き覚えのない名前だけれど外国の子かハーフだろうか…少なくとも、レイヴン先輩同様お隣さんにそんな名前の人は居なかった筈だ。
「おはよう、珠利ちゃん」
「おはよう!エノメナちゃん!」
お隣さんの玄関が開き珠利と同じ制服を着た少女が出てくる。金髪碧眼…正統派美少女な物語のヒロインって感じだ。当然、そんな子に見覚えはない。
「お兄さんもおはようございます」
『あぁ、おはよう』
俺をお兄さんと呼ぶエノメナに挨拶を返し再び学校の方へ歩き始める。2人は世間話をしていて手持ち無沙汰なので周囲を見回すが、やはり俺が知っている街並みだ。もしかしたら住んでいる人はレイヴン先輩やエノメナのように入れ替わっているのかもしれないが。
「あ、レイヴンちゃんとエアちゃんだ!」
「お父さんと一緒にもう外で待ってるみたい」
珠利とエノメナが指す方向には、何度か見たことのある621とウォルター、そして見慣れない少女の3人が立っている。まぁ、エアに関しては見慣れないだけでイメージ通りって感じではあるが。
「おはようレイヴンちゃん、エアちゃん!」
「ウォルターさんもおはようございます」
「おはようございます、皆さん」
2人の挨拶にウォルターは会釈で、エアは丁寧に返す。そんな中621は無言のようだ。気になって目を向けると、彼女と目が合った。
「…オルクス?」
オルクス。彼女が俺をそう呼ぶこと自体はいつものことだ。だが…
「おるくす?新しいあだ名?」
「………斬新なあだ名だね」
珠利とエノメナが疑問に感じているように、今の俺はあの世界のオルクスとは顔も名前も違う。
それが現在の俺の名前だ。それなのに、彼女は俺をオルクスと呼んだ。もしかしたら、彼女はこの状況について何か知っているかもしれない。
「行ってこい、レイヴン。学校の時間だ」
「それでは行きましょうか、レイヴン」
「…いってきます、ウォルター」
621と呼ばない以外、ウォルターの態度はいつも通りみたいだな。エアもウォルターの養子になっているようだが。621の幼馴染だとか転校生とかのポジションの方が似合いそうだ。
…彼女が珠利の友人で毎朝会うような仲なら、メッセージアプリのアカウントを交換しているだろう。スマホを取り出してレイヴンの名前を探す…あった。現在の俺の名前はアカウント名まんまだから良いとして、放課後に話せるように連絡しておけば、すぐに返信が返ってきた。
ひとまず今は学生としての役目を果たすとしよう。交差点を真っ直ぐ進もうとする中学生組と別れて高校へ…
「…どこ行くの?お兄ちゃんもこっちでしょ?」
…俺も中学生だった!?慌てて胸ポケットから学生手帳を取り出して学生証を確認。そこに書かれていたのは…
【ルビコン第三学園 高等部 普通科 折戸 久】
俺の知らない学校だった。この学校名…流石に認めざるを得ない。今俺がいるのはACVIのいわゆる学パロ時空というものだろう。分かったからといって謎は深まるばかりだが。とりあえず高等部ということは中高一貫か?
『あ、あぁ…寝ぼけて間違えたみたいだ…ごめんごめん』
「全く…お兄ちゃんは私が居ないとダメなんだから!」
このやりとりも懐かしい。珠利から見た俺はこんなんだから、県外へ進学すると言った時は反対されて兄妹喧嘩になったものだ。当時はブラコンか?などと揶揄して対抗したものだが…まぁ、風呂場で転んでそのまま死んだというギャグみたいな死因を考えると珠利が正しかったみたいだな。
そんなことを考えているうちに学校に到着したようだ。校門に立っている先生は…なるほど。なんとなく察してはいたが…できる限り大きな声を出せるように準備しておく。
『おはようございます!ミシガン先生!』
「悪くない挨拶だ!時間に余裕を持っての登校とは殊勝だな!その時間を有意義に使ってみせろ!」
皆んなと息を合わせてミシガンへ挨拶。どうやら満足のいく出来だったようだ。校門前に立たされている生徒達は声が小さいとか挨拶してないとか言われて立ち当番に巻き込まれたのだろう。
「ケッ…挨拶なんかになんの意味が…」
「イグアス!まだ挨拶がし足らないようだな!」
「文句は仕事を増やすだけだ…イグアス」
イグアスとヴォルタがこんな状態だから間違いない。彼らに絡まれる前にさっさと…
「おはようございます、ご友人」
『ッ…!?』
「挨拶をすれば多くのご友人との縁が得られる…素敵だ…新しいご友人…楽しい青春を過ごしましょう」
お前もいるのかよ!?絶対お前は自主的に立ってるよな!?妖怪縁結びじゃねぇんだから…!もう手遅れな気がするが逃げるぞ…!
門を潜ればその先には俺が知るよりも立派な校舎が並んでいる。本来中学校だけだったはずの学校に高校が追加されたのだから当然ではあるか。
珠利達と別れて高等部の下駄箱へ。靴を出し入れして履き替え、地図を見てから教室へ向かう。俺のクラスは2年1組、3階か。階段に近い教室なのは何かとありがたい。
ガラガラと音を立てて扉を開け教室に入った後、教卓の上にある座席表を確認。席替えしたばかりなのか、誰も俺の様子には疑問を抱いていないようだ。窓際から2列目の最後尾、創作なら隣に転校生でも来そうな席だな。
席についてスクールバッグを机の横に掛け、スマホを見る。調べるのはこのルビコン第三学園についてだ。めぼしい情報は…国立で創立27年、教職員も見たことある名前ばかりで…オールマインドが運営してるの?いろいろ大丈夫か?学校としての特色は………
「おはよう、久」
「おはよう、久君!」
「………おはよう。アクスにソフィー」
俺に声をかけて来たのは転生した時に憑依した相手…アクスとその幼馴染であるソフィーだ。2人は俺の前列で隣どうしらしい。
「何か調べものしてるの?」
『あーうん、ゲームの攻略とか』
「なんのゲームだ?」
『あーっと…最近始めたソシャゲなんだけど』
この感じだと調べ物は中断せざるを得ないか…アクス達と他愛の無い雑談をしているうちに時間が過ぎていった。
「…もうSHRの時間か」
「また後で話そうね!」
『ああ、また後で』
さて、担任を調べるのを忘れていたが…
「高等部第2学年主任のスネイルです。本日出張があるフラットウェルの代理として連絡事項を報告します。一字一句書き漏らしのないように」
スネイル!?お前教頭とかじゃないのかよ陰険オールバック眼鏡!?校長に対抗心燃やして私こそが学園だ!とか言いそうなのに!
「やぁ戦友、私の隣で良ければ空いているがどうだ?」
『…ラスティか、助かるよ』
そんなこんなで授業を4つ受けて昼休み。食堂は満席のようだったので購買でパンでも買おうかと悩んでいるとタイミングよくラスティから声をかけられた。流石はイケメンだ。にしても、現代日本で戦友呼びはクセが強すぎるだろ…
ラスティに席をキープして貰っているうちに唐揚げ定食を注文し、トレイを持って着席。流石高校男児、大学生の俺が見たら注文ミスったかと焦る量すら物足りないぐらい余裕で完食だ。
にしてもラスティ。席を空けといてくれたのはありがたいが、食事中に女性関係のトラブルの話をされても困る…俺は中2以来彼女無しなんだ。
『席ありがとう、ラスティ』
「あぁ、また戦場で会おう」
…戦場で?ゲームの話か?
「久、次は移動教室だぞ。学生証は持ったか?」
『あぁ、持ってるけど…どこ行くんだっけ?』
「シミュレーター室H-Dだよ?いつもあんなに楽しみにしてるのに体調悪い?」
現代日本では聞き慣れないワードだ…アクスとソフィーに連れられて教室へ入る。扉の向こうには、ACVIの世界で散々使ったシミュレーターがずらりと並んでいた。この時点で嫌な予感が頭を過ぎる。もしかしてこれ…
「静粛に、本日の作戦目標を説明します。私の立案した作戦行動に臨めること、光栄に思いなさい」
スネイルが説明していくのは2年3組…ベイラム派からエルカノの工廠防衛。どうやらこの学園では、ACを使ったによるコーラル争奪戦シミュレーションがカリキュラムに組み込まれているらしい。学パロにしてはアーマードコア要素が強いな。某ホビーアニメみたいに機体破壊されたら退学になりそう。
1組は解放戦線、2組はアーキバス、3組はベイラムのようだ。要するに…超大規模なACVDってこと?ラスティが俺を戦友と呼んだのは恐らく過去に共闘してベイラムを叩いたとかそんな感じだろう。
ここまで説明しておいてなんだが戦闘は割愛。本場のルビコンで殺しあって来た俺の前に学生など無力なのだ。俺に勝ちたいなら621を連れてこい。などとイキっておく。
ところでオールマインド、本当に疑問なんだがこのカリキュラムにはなんの意味が…?
「ふっふっふ…やっと会えましたね、折戸 久」
シミュレーションを終えて放課後、621との集合場所へ向かう途中で変な女に絡まれた。
「私はケイト・マークソン!未来からやってきたあなたの娘です」
『様子のおかしい人です』
「ま、待ってくださいお父様!話だけでも…!」
誰がお父様だ。やっぱりオールマインドの関係者にはロクなのが…いや、オキーフが居たか。まぁこういうのは無視に限る。
『お待たせレイヴン。いや…やあ後輩、と言うべきか?』
「やっぱり、オルクス…なんだね」
『あぁ、俺が分かるならこの際全部言ってしまうが…』
合流した621へ、前世云々の諸々を説明。
「…ここは、オルクス…のぜんせのきおくにそっくりってこと?」
『あぁ。一応聞きたいんだが、コーラルリリースのトリガーは引いたか?』
「…さんかいめでわたしはあなたをたおしてりりーすしたけれど…こんなおだやかなせかいじゃなかったよ」
『そうか…』
621はコーラルリリースを通過済み、だけど犯人ではないのか…俺は中央氷原で記憶が止まっているのに、621は重ショ重2のアンフォラに乗った俺と戦ってリリースを完遂した所まで記憶があるのは気になるな。
『俺はこの件について探ってみるつもりだ、良ければ力を貸してくれないか?』
「うん、まかせて!」
『ありがとう』
帰宅する前にお花摘みに行った621を待ちながら頭を整理していく。
…やはり、どう考えてもこの世界は異常だ。けれど…殺すか殺されるかの世界で精神を擦り減らすよりもこの世界を受け入れて、娯楽としてACを楽しみながら妹達と生きれば良いじゃないかと考えてしまう自分もいる。
結局のところ、現代日本人としての感覚が抜けきらない俺にとって、ACVIの世界は厳し過ぎる。だからこそ、普通の人生を手に入れる為に心を殺してルビコンで稼いできた訳だが…ここではそれも必要ないのだから、そう思ってしまうのも仕方ないだろう。
やっぱり、このままで良いんじゃないかと受け入れかけたその時、いつのまにか俺の前に女子生徒が立っていた。
『やあ後輩。君の良き先輩、シンシアだ。随分と悩んでいるようだね』
見知った町と見慣れない知り合い達で溢れた世界で目を覚ましたオルクスもとい
この世界に何が起こっているのか、誰がこの状況を引き起こしたのか…
621、そして謎の自称先輩シンシアと共に彼はこの世界を調査していく。
学園に隠された謎とこの世界の真実とは?
彼に想いを寄せる少女(と34歳)達の恋の行方は?
果たして黒幕に辿りつくことは出来るのか?
賽は投げられた。
しかし、
◯折戸 久/オルクス
オルクス→オル ク+ス→折 久→折戸久
常識改変モノに巻き込まれた気分
◯折戸 珠利
これまでも何度か名前が出ていたオルクスの妹
「都会の大学に行った兄が風呂場で転んで頭打って死んだという未来を変える為に頑張っていたが運命は変わらず兄は死亡、その行動によって兄の死因が変化した結果転生したオルクスの所属やタイミングが変わってIF√が発生」
という裏設定があったが、ACVIに関係ない所をややこしくし過ぎるのもな…とボツになった
◯烏鴉さん/真レイヴンさんじゅうよんさい
折戸家のお隣さん、プロゲーマー
折戸 久の顔を見るためだけに毎朝道路を掃除したり庭で雑草を抜いている
621を621呼びは現代的にアレなので名前を奪われた
不憫だ…
◯エノメナ
真レイヴンとは反対側のお隣さん
両親も健在で折戸家とは家族ぐるみの付き合い
◯エア
ウォルターの養子で珠利達の同級生
誕生日はレイヴンより早いので姉面をしている
◯ウォルター
レイヴンとエアの保護者をしている
◯621
目が覚めたらウォルターの養子で珠利達の同級生ということになっていた
彼女視点だとこの世界はコーラルリリースした後の4周目らしい
中等部はMTにしか乗れないので不満
◯ミシガン
体育教師で中等部3年の学年主任
◯イグアス
高等部2年3組
いつもミシガンに絡まれてる
◯ヴォルタ
高等部2年3組
イグアスの巻き添えをくらっている
◯ブルートゥ
今私を見ましたね?これで貴方とも縁が出来た…素敵だ…!
◯アクス
折戸久の友人
ソフィーとは付き合っている
◯ソフィー
折戸久の友人
アクスとは付き合っている
よかったね
◯スネイル
代理をすることになった高等部2年の学年主任
死んで平伏しろ!私こそが学園だ!
◯ラスティ
高等部2年2組
イケメン、当然モテる
◯ケイト・マークソン
高等部1年
自称、未来から来た折戸 久もとい久・マークソンの娘
◯シンシア
この世界の鍵を握る謎の先輩
黒幕はこの中に居ます
今後文字色とか使う可能性があるかもなので聞きたいのですが、ハーメルンは
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白背景で利用している
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黒背景(夜間モード)で利用している