私の名は愛清フウカ。ゲヘナ学園に通う2年生。
私を含め部員二人のブラック部活の部長を務めている──
なんて、下らない自己紹介はほどほどに、今は目の前にいる、この超が付くほどの問題児の話をしようと思う。
ハルナ?違う違う。あいつも確かに問題児だし私の頭を悩ませる存在ではあるけども…彼女は、もっとヤバイ。
銀髪金眼、誰もが羨みそうな美貌を備えておきながら、人々の注目を集めるのは
「フウカちゃ~ん!お味噌汁のおかわり、まだぁ?」
本来色白なはずの顔を紅潮させ、彼女は今日も
ある意味ゲヘナで一番の不良、その名も代銀ショウ先輩である。
「もう少し待って下さいね。」
わざとちょっと無愛想に、一言だけ返す。食堂の裏のごみ捨て場に同化し、野垂れ死にかけていたのを救出してからというもの、毎日のように来る常連の一人になった。本人曰く
『食堂のレベルこんなに上がってたんだねぇ!あーしが一年生の頃はね、味がするだけの段ボールみたいなのしか置いてなかったよぉ!』
…だそうだ。
迷惑行為は辛うじてまだ一度もしてなかったり、混んでる時間帯は避けてくれたりと、変なところで律儀な人である。
これで飲酒さえしなければ、理想の先輩なんだけどなぁ…
「お待たせしました、アサリの味噌汁です」コト
「ありがとおぉ~…いやぁ、二日酔いにはこれが一番だよねぇ!」サスサス
「呑みながら言われても説得力無いですよ。あとお尻触るのやめてください。風紀委員会呼びますよ。」
「ごめんねぇ、この手が勝手にぃ~…」
前言撤回、迷惑に手足が生えたような先輩だった。そう、この人はギリギリ営業妨害にならず、私が本気で嫌がらないくらいのセクハラの常習犯なのだ。特にお尻を狙ってくる卑劣漢(女)である。
私の身体なんて本人のその豊満なバストに比べたら何の面白味も無いだろうに…
いっそ、無くなるまでその駄肉を一人揉んでいれば良いのにと切実に思う。
くそ…私はまだ成長期なのだ。しかも巨乳は垂れるって言うし…だから羨ましくなどない。断じて無い。
「かんぱぁい!」
早くも酒瓶を一本空にしたらしい。勿論乾杯に応じる人など一人も居ないが、先輩はいつもその儀式を欠かさない。
無論、私だってゲヘナの一善良生徒として、彼女の行いを嗜めたりしたこともある。
『先輩、お酒呑むの辞めませんか?体に悪いですよ?』
『あ゛ー…ごめん、迷惑だったぁ?』
『いえ、私は良いんですけど…特に問題も起こしてないですし…』
『ならおっけー!あーし、長生きするつもり無いし!』
『OKじゃないですよ!?未成年飲酒ですし…』
『フウカちゃん、ここキヴォトス。んでゲヘナ。』
『……………そうですね。』
何度か言いくるめられるうちに、私もどうでも良くなってしまった。カツアゲ、誘拐、窃盗に裏取引、おまけに建造物爆破が日常的に起こるここゲヘナで良識を説こうとした私がバカだったのかもしれない。
(なんで私、ゲヘナに来たんだっけ…)
目の前の『終わった人』を眺めつつ、自らの人生を振り返る。
「んん~!このコロッケ、衣がサックサクだぁ!おいしいぃ~~!!!!感謝!感謝だよフウカちゃん!!」
味噌汁二杯、酒瓶一本を飲み干し満足したのか、ようやく主菜に箸を付けたらしい。
三角食べ習わなかったのかな?とか常に酔ってるのに油もの平気なんだ…とか、思うところは多々あるが…
「それは…良かったです。」
そう、嬉しいのだ。とても。
料理人として、「いただきます」「ごちそうさま」は勿論、自分の料理への素直な反応はとてもありがたいのだ。特にここ、ゲヘナでは。
食材に対する感謝を忘れ、反抗期の息子のように食事を終え去っていくのを見送るのがが私にとっての日常だったが、この人は「いただきます」から「ごちそうさま」まで全力で行ってくれる。リミッターが外れていることは、何も悪いことばかりではないのだ。
(あー、私、ちょろい女なのかなぁ…)
そういうわけで、私はこの人としてダメダメな先輩を嫌ってはいない。これは、そんなダメダメ先輩と私のほんのちょっとした日常…物語である。楽しんでもらえると幸いである。
代銀 ショウ(3年生)
所属 ゲヘナ学園
好きなもの お酒、フウカの料理
嫌いなもの 運動、正論、その他もろもろ
銀髪金眼、糸目のアルコール中毒者。
おっぱいが大きいき◯りさん。
運動は嫌いだが苦手なわけではない。むしろ戦闘は強い部類。
本来の役割はスナイパーだが、手が震えたり視界がブレたりするので精度は酷いものとなっている。(ふりをしているだけかもしれない)
普段からポケットが多いチョッキみたいなやつを着ている。ほとんどは酒とつまみが入っている。汚いドラえもん。
神秘の権能か何なのかは不明だが、吐いたゲロは虹色になる。