無貌の少年は何を想う   作:月ノ蛇

20 / 22
今日も投稿できているので初投稿です。

今回はいつにもまして短いです。
あとがきの怪文書もありません。


思い出の味

無貌は今アビドスへと来ていた。

仕事や作業の為ではない。

自分の考えを整理する為に来ていた。

 

無貌がウルカであると言うことがホシノにバレた。

ホシノが黒服に連れ去られた。

この二つの事柄が無関係だとは思えなかった。

 

そして、ビナーの復活までの時間が減っている。

本来の復活まであと何週間もあるはずだった。

そう、黒服が結論づけていた。

しかし、復活は早まった。

その時間に合わせるしかなくなった。

 

色々な出来事が重なり、無貌の頭の中はショート寸前だった。

 

「柴関、ラーメンか」

 

無貌は無意識にこの場所へと来ていた。

無貌はウルカであった時代。いいことがあるとよくホシノとユメ先輩と来ていた思い出の店。

今でもアビドス高等学校のメンバーがよく来ているその店が目の前にある。

 

ガラガラガラ

 

柴関ラーメンのドアが開かれる。

 

「いらっしゃい!!好きな席に座ってくれ」

 

今日はバイトがいないのか柴大将が接客をしていた。

無貌はカウンターへと座る。

 

「注文は?」

 

「それじゃあ、柴関ラーメンを1つ」

 

「あいよ」

 

柴大将の声が響く。

厨房でラーメンを作る音が無謀の耳に入ってくる。

昔3人で来ていた時と同じ音、匂い。それらが無貌の過去を思い出させる。

あの日々に戻れないことを理解しつつも無貌はあの日々をもっと過ごしたいと感じてしまう。

 

悲観的になっていた無貌の前にラーメンが置かれる。

頼んだはずのラーメンより少し大盛りになっている。

 

「あれ、こんなに頼んだはずじゃないんですけど」

 

「悲しそうな顔をしていたからな。昔よく来てくれただろう?サービスだ」

 

「………ありがとうございます」

 

無貌は仮面を外してラーメンを啜る。

柴大将はその顔に驚くことなくラーメンを作る作業へと戻っていく。

 

ガラガラガラ

 

とドアの開く音がする。

 

「アル社長!本当に食べてもいいんですよね!?」

 

「ええ!臨時収入が入ったからね。少しはみんなに楽をして欲しいのよ!!」

 

「アルちゃん、太っ腹〜〜」

 

「はぁ〜、それもこれも無貌が株式投資を教えてくれたからじゃない」

 

聞き覚えのある声が無貌の耳に入ってくる。

無貌は食べていたラーメンをそのままに仮面をつけ直す。

 

「大将!!ラーメンを4つくださる?」

 

「あいよ!好きなところに座って待っていてくれ」

 

ムツキが店内をぐるりと見渡す。

そして、無貌を見つける。

 

「あ〜!!無貌じゃん!!」

 

その声に反応して他の3人も無貌のことを見る。

ムツキはそのまま無貌の座っている席の隣に座る。

 

「無貌もここのラーメンを食べに来てるんだ〜」

 

「まぁな」

 

「ここのラーメンおいしいよね〜。ほら、アルちゃんもこっちに来て!!」

 

ムツキが誘い、アルたちもカウンターへと座る。

無貌を中心にアルとムツキが隣に座り、さらにその隣にハルカとカヨコが座る。

 

「無貌もここのラーメン屋を知っているのね!」

 

「あぁ。それよりもアル。お金はあるのか?」

 

無貌はごもっともな質問をする。

アルが普段から仕事で手に入った報酬をすぐに使ってしまい殆ど残らないことを無貌は知っていた。

そのせいで、よく無貌の事務所兼家に凸ってきて朝昼晩飯を作ってもらっている。

 

「大丈夫よ!!ちゃんとお金はあるから!!」

 

「ふふふ〜、無貌が教えてくれた株式投資がね。上手くいったんだ〜」

 

「あぁ、それは良かったな」

 

どれだけ報酬を手に入れてもすぐに使ってしまうことに頭を悩ませた無貌が自分もやっている株式投資を教えたことがあった。

それを実践したのだろう。

 

「お待たせ!!柴関ラーメン4人前だ」

 

それぞれの前にラーメンが置かれる。

 

「はわわ、本当にこれを食べてもいいんですよね!?」

 

「当たり前よ!!なんたってお金があるんだからね!!」

 

「久々の雑草じゃないご飯……最高です…」

 

「あの1週間は辛かった。社長に無貌のとこに行けばいいんじゃ。と言っても一切聞かなかったから」

 

「そんなの、無貌に負担になるからよ!!」

 

「はぁ、お前ら。雑草食ってる暇あるなら家に来てちゃんとした飯を食えばいいのに」

 

「いやよ。それをしたら貸しができちゃうじゃない!!」

 

「アルちゃん。もう十分できてるよ」

 

会話をしながらもアルたちは目の前のラーメンを美味しそうに食べる。

無貌はこの場で仮面を外すわけにもいかずただアルたちの食べっぷりを観察しているだけだった。

 

「いい食べっぷりだな。替え玉もあるからジャンジャン頼みな」

 

「うえぇ…最高ですぅ……」

 

ふと、店の外から轟音が鳴り響く。

 

「ふえ?なにこの音」

 

ドゴゴゴゴゴーン!!!

 

88mmの戦車砲が柴関ラーメンへと突き刺さる。

咄嗟に無貌はカウンターの向こうの柴大将を庇う。

辺りが煙に巻かれる。

 

「ゴホッ、ゴホッ。なんなの?!」

 

煙が晴れた頃にはあったはずの柴関ラーメンの建物は跡形もなく壊れていた。

後に残ったのは建物であっただろう廃材のみだった。

 

「社長!あれ見て!!奴らが来やがった!!」

 

カヨコが指差す先には2台の戦車と銃火器を持った生徒が20数名いた。

全員、腕に風紀委員の腕章をつけている。

 

「なんですってー!?みんな、急いで逃げないと!!」

 

「アルちゃん待って〜!!無貌がどこにもいない!!」

 

ムツキが辺りを見渡しても無貌の影も形も見当たらない。

元々無貌が居たであろうところは建物の柱が倒れ込んでいる。

 

「この柱の下敷き!?」

 

「ええ!?…大変です!早く助けないと……でも風紀委員も来てますし……どうすれば」

 

柱が大きく揺れる。

そして、その柱をどかすように無貌が起き上がる。

 

「ぐあぁ、ぐっ、はぁ。なにがあった!?」

 

無貌の下には柴大将がおり、無貌が間一髪で助けられたことがわかった。

無貌は壊れている辺りを見渡しながら質問をする。

 

「風紀委員よ!!うちの風紀委員がきたの!!それより、大丈夫なの!?」

 

アルが指すのは無貌の背中、柱が倒れ込んできた衝撃なのか背中からは大量に血が滲んでいる。

白衣がその血を吸って背中部分は真っ赤に染まっている。

 

「問題ない。それより、柴大将を安全なところに避難させてくれ。あとお前らもさっさと逃げろ」

 

「へ?無貌はどうするの?」

 

「ちょっとな」

 

無貌はそういうと懐から拳銃を取り出す。

一般的な量産型のデザートイーグル。使い込まれているのかところどころ傷がついている。

しかし、手入れが完璧であり機能が失われることはない。

無貌は足に力を込め爆発的にスピードを上げる。

数秒で数十m離れていた風紀委員との距離を縮めていく。

風紀委員無貌に気がついたのか声を上げる。

 

「無貌だと!?何故あいつがここに!?まさか、便利屋と手を組むつもりか。構わない!!射撃をしろ!!」

 

イオリがそう告げると風紀委員の生徒たちは一斉に銃火器を放射する。

無貌の足元、頬、脇腹を掠めながら通り過ぎる弾丸。

無貌はジグザグに移動することでその銃撃の被弾を最低限に抑えている。

 

「くそっ、当たらないか。それなら……戦車砲撃て!!」

 

2台の戦車から同時に戦車砲が放たれる。

それらは一寸の狂いもなく無貌へと直撃する。

普通であればヘイロー持ちでさえ傷を負い気絶に持ち込まれる戦車砲。

それが2弾当たったことで安堵していた風紀委員会。

しかし、煙の中から現れる人影にその安堵の雰囲気は打ち壊される。

 

下半分が真っ赤に染まった白衣を着た無貌が拳銃を持ったまま突撃してきたのだ。




作者は現在群馬に旅行に来ており深夜0:00を過ぎた中、明日朝7:00起きのために急いで小説を書いているのです。
読者の皆さんは文句を言いませんよね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。