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日常あるいは非日常
そのオフィスには2人の人影があった。
「先生、なんですか、この出費は!?」
「何ってプラモとフィギュアだけど」
1人は草臥れたワイシャツを着用し、目元には大きな隈ができている。髪の毛は手入れを怠っているのがボサボサである。
それ以上に目を向けてしまうのはその胸元。シャツがはち切れんばかりの大きさの胸を持つ先生と呼ばれる女性は何食わぬ顔でいった。
「なんでそれに50万もかけてるんですか!?バカなんですか?」
もう1人は紫色の長髪をサイドで結び、制服を気崩すことなく着用した少女。
領収書の束を先生と呼んだ女性に向けている。
「バカとはなんだ、バカとは。ユウカ、わかる?このフィギュアはプレミアがついているから高いのは当然なんだよ」
やれやれと言わんばかりに先生は言い返す。
「それがバカなんです!!もう、私が先生の財布を握ってないといけないじゃないですか!!」
「ふぇ〜!?それだけは、それだけはご勘弁を〜ユウカ様〜」
「ダメです!!」
先生はショボけた様子で椅子に体育座りになると机にのの字を書く。
ユウカはそんな先生の様子に頭を痛くしながら話しかける。
「ほら、書類がまだまだ残っているんですよ?やってください」
「うえ〜、こんなの終わるわけないよ〜」
「そんなこと言わないでください!!手伝いますから」
ユウカは先生の机の上の大量の書類から半分ほど取ると空いている机に座る。
机の上に書類を置き、1枚1枚手に取る。
「そういえば、今日遅れたけどどうしたの?」
書類を点検し判子を押しながら先生は聞く。
話を振られたユウカは手を止め話し出す。
「あ〜、それはですね。ちょっとヴェリタスに呼ばれまして」
「なにかあったの?」
ヴェリタスというとミレニアムのハッキング集団である。
非公認部活で表向きはホワイトハッカー集団を標榜していると聞いている。
「あ〜、それでですね」
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「なんなんですか!私を呼び出して!!」
ユウカがヴェリタスの部室の扉を乱暴に開ける。
扉の先には死屍累々としたヴェリタスの面々がいた。
「なんなのよ、これ」
ユウカが呆れながらそう言うと、1人の少女がユウカの方を向いた。
「ユウカさん。きたんですね」
ボサボサの髪に濃い隈、光のない目をしたヴェリタスの副部長、各務チヒロであった。
「なにがあったの?」
「それはですね」
ボサボサの髪をそのままにチヒロは語り出す。
「その日はいつもと同じでした。ハレが映画会社をクラッキングしてコタマが盗聴をしてマキは黙々とゲームをしていました。それはコタマが一つの盗聴器を発見したことで唐突に変化しました」
「あれ?」
「コタマ先輩?どうしたの?」
「マキ、ここ盗聴されてるよ」
「うえっ!?ほんと?」
「うん。これ」
コタマは部屋の隅へといくと1つの小型の機械を手に取る。
それは野球ボール程の大きさ。コタマが触るまで分からなかったため、光学迷彩でも付けられているのかもしれない。
「あれ、ハッキングされた形跡がある」
パソコンを弄っていたハレがそう呟く。
「うえぇ!?ハレ先輩、それ本当!?」
「うん。よく調べないとだけど、変なとこからのアクセスがある」
「それって、こっちからハッキング出来ない?」
「できるけど……ん?ハッキングされやすいようになってる?いや、そんなわけ」
ハレが手際よくハッキング先を特定しようとする。
特定は思いのほか簡単に終わる。
「ここだね。さ、誰がこんなことを………あれ、キーが聞かない」
ハレの手が止まる。
言葉に焦りが現れる。
「ハレ先輩!どうしたの?」
「ハレ、どうしたんですか?」
コタマやマキが心配そうに聞く。
「やられた。これ、ハッキングを前提にしてる」
その言葉と同時に部屋の中のパソコンの画面が一斉に点灯する。
『warning warning warning』
画面が赤く染まり警告の文字が流れる。
「マキ!コタマ!手伝って。マキは重要データの保護、コタマはセキュリティチェックお願い」
「はい!」
「うん!」
ハレの画面を覗き込んでいた2人がまだ生き残っているパソコンに向かう。
「あっ、昨日保存したゲームデータ飛んでる!!」
「チヒロさんのセキュリティが全部入られてます」
「誰?ここまでできるの?」
ハレは変わらず、ハッキング先の特定をしている。
そして、1つのアカウントに到達する。
「『無貌』?そいつがやったの?」
パソコンの画面には『無貌』とだけ表示される。
それがこのヴェリタスをハッキングし、彼女らを混乱に落とし込んだ元凶であった。
ブツン、と部屋の電源が落ちる。
それと同時にハレの使っていたパソコンも落ちる。
「落とされたか……これなら形跡も消されたかな」
突如始まり、唐突に終わったハッキング。
それは彼女達に確実に傷跡を残していた。
「うえぇ〜〜!!やっぱりデータ吹っ飛んでる!!」
「本当?昨日やったやつも?」
「うん。てかここ最近のやつ全部飛んでる」
「そして、私が戻ってきた時にはもうこの調子です」
「大変だったのね……それでその『無貌』ってのはなんなの?」
「調べたところ、ブラックマーケットで名を馳せている情報屋だそうです。報酬によっては便利屋擬きもするらしいです」
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「と、いうことがありまして」
「へぇ〜、情報屋ねぇ〜」
先生はシッテムの箱を起動する。
『どうしたんですか?先生』
シッテムの箱に在住するメインOSである
先生にしか聞こえない声でアロナは話す。
「アロナ。『無貌』について調べてくれる?」
『はい!…………わかりました!本当に情報屋のようです。あと電話番号が手に入りました。でも、それ以外の顔、年齢といった素性はわかりません』
「それだけわかれば十分だよ。ありがとう」
先生はシッテムの箱から顔を上げ、ユウカに顔を向ける。
「よし、電話してみよう!!」
「えっ!?本当にバカなんですか!?」
「バカとはなんだね、バカとは。私はただ、この『無貌』って子に興味があるだけなんだよ」
先生はユウカの返答を聞かずにアロナの見つけた電話番号をかける。
Prrrrrrrrrrrrr……Prrrrrrrrrrrrr……ガチャッ
ブンッ
「えっ!?」
「はあ!?」
先生のスマホからいきなりホログラムが現れる。
ホログラムは真っ黒で相手の顔はわからない。
先生とユウカが驚いている中、ホログラムから声が聞こえる。
「もしもし。要件を言うといい。シャーレの先生?」
「っ!?」
先生は息を呑む。まだ、先生の方から名乗ってすらいない。それなのに相手は先生だと知っていた。
「あなたは?」
「変なことを聞くな。『無貌』だと知っていて電話したんだろ?」
「本当に君が『無貌』なんだね?」
「まぁ、そうだな。それで、要件は?キヴォトス内であればありとあらゆる情報を提供しよう。アビドスの借金額から新作プラモの在処、そこの早瀬ユウカの体重までなんでもあるぞ」
「え、ほんとにユウカの体重知ってるの?」
「100kgだろ」
ユウカの体重が暴露される。
この前の身体測定での結果だ。
先生は驚いた様子でユウカを見る。
「え?重くない?」
「ちーがーいまーす!!それヴェリタスの改竄です!!てか、『無貌』もヴェリタスハッキングしてるならわかるでしょ!!」
「ふっ、冗談だ。それで、早く要件を言ってくれ」
「えっ、何にしよう…ん〜、書類手伝ってくれない?」
先生は机の上の大量の書類を見てから言う。
「すまないがそれは無理だ。私もすることがあるのでシャーレに行けないんだ」
先生の返答を待たずに被せてさらに言う。
「そもそも、紙の書類は今時遅れているのではないか?電子化するといいと思うぞ。もし、データの漏洩が気になるとでも言うのなら、そのヴェリタスにでも頼めばいい。電子化すれば嵩張ることもなければいちいちシャーレに書類を持ってくることもないから楽になると思うぞ」
「うぐっ」
「それでは、私はこの辺で。あぁ、情報ならいつでもいいが、金は取るからな」
ブツリと電話が切られる。
先生とユウカは顔を見合わせ切られた電話の画面を見直す。
「先生!なんなんですかあの人は!!」
「しらないよ。でも、悪い人ではなさそう」
「何言ってるんですか!!私の体重で弄ってきたじゃないですか」
「やーい、体重100kg!」
「は?先生何言ってるんですか?」
ちな、先生は女先生です。
足ぺろハゲ野郎ではないのでご安心を。
ヴェリタスを出したけど口調はミリしらです。
感想にもいたけど『無貌』と聞くとアレを思い浮かべる人がいるらしい。なんのことだろ?(すっとぼけ)
俺はアレを見たらぶん殴りたくなります。
そうそう、オリ主くんにも沢山モチーフがあるので探してみてね。