ゲヘナ学園風紀委員副長、レイジです。   作:QAAM_M1911

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ヴェスパー

「ブリーフィングを開始します。今回の作戦はアビドスの対策委員会との合同……ではありますが、第一目的を設けます。それを達成するのであれば好きに暴れなさい。」

「まず前提条件から。今回の主目標は小鳥遊ホシノの救出。これは対策委員会がやるから、特段気にしなくていい。」

「そして我々の目的は、カイザーPMCの兵力を殲滅する……そして、LC及びHCの実戦テストです。皆さんには既にLCを装着して貰っていますが、もう一度装備の確認をしておきましょう。」

 

俺はHCを装備し、右肩部レーザーキャノン。左肩にはシールド発振器。右手にはレーザーマシンガンを握る。左手はレーザーランスを装備した。残りの連中のLCもそれぞれの装備を付けているんだが……うん、Ⅴ.Ⅸ。どこから滑空砲なぞ手に入れて来た。左肩のミニガンはなんで付けられた。両手の火炎放射器は一体なんだ。

 

「……さて、そろそろ作戦を開始しましょう。Ⅴ.Ⅷはチナツと共に後方支援を。Ⅴ.Ⅶはそれの護衛に当たりなさい。」

「了解しました。」

「Ⅴ.Ⅵ、馬鹿(Ⅴ.Ⅸ)の御守をお願いします。」

「り、了解……」

「Ⅴ.Ⅸ、好きに動きなさい。」

「そうさせて貰う。」

「最後に……Ⅴ.Ⅰ。私と共に広域制圧を担当します。よろしいですか?」

「うん、任せて。」

「それでは、作戦を始めましょう……各員、派手にぶちかませ!!」

 

大型車のドアが跳ね上がり、LCが次々と飛び立った。

 


 

ヴェスパーの6番手に命じられています、夜辺シキと言います。副長から無理難題を仰せつかるのはいつもの事ですが、慣れてますし、ああ見えて能力的に出来ない事を押し付ける人ではないので大丈夫です。……いつもなら。

 

「ぁあつい熱い!?」

「あのバカ来やがった!何なんだアイツは!?」

「……安い。期待外れね?やはりやり合うなら生徒に限るわ。」

「あくまでも任務ですよ、ココロ先輩。」

「分かってる。」

 

鍵屋(かぎや)ココロ。強さで言えばヒナ委員長の次点に入る超の付く実力者。だが、ゲヘナ……いや、キヴォトスでもその噂を聞くことは殆どない。何故なのか?

 

まぁ先の発言を考えていただければわかりますが、この先輩ろくに仕事しないんです。強い人と戦う為だけに生きてるみたいなので……あぁ、二年生で風紀委員会に入ったのも委員長と訓練で戦えるからだそうです。

 

こんな戦闘狂がなぜヴェスパーに入ったか、と言えばまぁ発端は副長です。面白い玩具を開発してるから、操ってみないかと聞かされて目を輝かせてヴェスパーへと入ってきました。ヴェスパー設立と同時の事ですから、しばらくの間はⅦとⅧが空席になっていました。

 

……え?なんでⅦにしなかったのかって?副長に聞いて下さい。

 

ともかく、この先輩の相手は本当に疲れるんです。FCSをマニュアル操作にして無理矢理全部の武器動かしてます。通常ならFF(フレンドリーファイア)を避ける為にロックされるFCSが機能しないので巻き込まれない様に逃げてます。いくらLCとて、搭乗者に熱を与える火炎放射には弱いんですってば。

 

「先輩、片付きましたか?」

「次。」

「え。」

「もっと良いのが居る筈よ。行くわよ……!」

「あの!待って、って何でブースターの安全装置解除してるんですか!?ジェネレーター爆発しますよ死にたいんですかあなた!!?」

 

副長、本当にお願いします。先輩関連の事以外なら何でもします。先輩の目付け役から外してください。頼むから私以外になんか対策してくれ。

 


 

群がるPMCオートマトンを排除していく。ヒナは対歩兵を優先してもらい、俺は戦車やアパッチなどの重装甲を相手にする。レーザーキャノン、中々良い威力をしている。加熱は早いが、それでも一撃で戦車を葬れると考えれば十分過ぎる。

 

「さて、粗方片付けましたか。十分なデータが取れていますね。」

「どうする?」

「……続行です。折角の機会、ストレス発散に付き合って貰いましょう。」

「……」

 

ヒナが俺をジト目で見る。だって普段から仕事仕事で尻拭いばっかだもんね、今回はアコに全部投げられるから遠慮なくやれる。

 

「まぁ……付き合う。」

「ありがとうございます。さて……Ⅴ.Ⅵから通信?どうしました?」

『副長!Ⅴ.Ⅸが暴れ過ぎてて困ります!』

「一体何やらかしてるのですかアイツは!?」

『なんかブースター全開にして火炎放射器外して徒手空拳で戦ってます!何とかして下さい!!』

「あの馬鹿は……!何処まで手を煩わせれば気が済むのですか!Ⅴ.Ⅷ!」

『はいはーい!なんか用かな?(ぱりぱり)』

「Ⅴ.Ⅸの制御を奪って本部に帰投させなさい!あと精密機器ばかりの場所でスナック菓子を食べるな!!」

『おーけーおーけー。それじゃポチッと!』

 

ひとしきり怒鳴りつけ、大きく息を吸って、吐く。このマニピュレーターで殴るとかフレームやら装甲やら全部歪むぞ。あの馬鹿はどれだけの始末書を書かせるか……いやアイツは絶対書かないな。

 

「……Ⅴ.Ⅵ。」

『はっ!今し方Ⅴ.Ⅸは作戦区域を離脱しました!』

「よろしい。では私たちと合流しなさい。適当に潰して回りますよ。」

 

 

 

しばらく砂漠を駆け巡っていると、見えて来たのはカイザーPMC理事の率いる大軍隊。相対するはアビドス対策委員会、そして便利屋68。なるほど……

 

「ヒナ、Ⅴ.Ⅵ。あそこも平らげましょう。」

「分かった。」

「あの大軍隊を前に十人もいない数で耐え抜いた……先生は、一体何者なのでしょう。」

「それは二の次です。流石にあんな数を前に、しかも部隊は全くの別行動。無茶もいいところです。」

 

そう言うと、一気にブースターを吹かす。ヒナは俺の左肩部を掴んでMGを構えている。何故200km越えの風圧を生身で受けて全然平気なのだろうか。

 


 

『……先生及びアビドス対策委員会へ。あぁ、便利屋68にも一応通達しておきましょう。』

「え、何!?」

「ゲヘナの副長さんの声。」

『確か北部を担当していたはずですが……え!?』

“どうしたの?”

『……北部地区、PMC勢力完全に沈黙しています!』

 

その言葉だけで、風紀委員会が投入した戦力の強大さを思い知った。そう多くはない時間で、対策委員会の倒した数倍を殲滅しているのだから。

 

『我々はカイザーPMCの基地戦力を脅威と認定しました。Ⅴ.Ⅰ及びⅡ、Ⅵが強制排除を開始いたします。離れていなさい。』

「先生!大きいのが5体来ます……!」

「く……まだ終わらせんぞ!対策委員会ィィ!!」

『黙りなさい。』

“ッ皆下がって!!”

 

瞬間、青白い光がゴリアテの胸部に吸い込まれる。赤熱した機体装甲が、その威力を物語っている。

 

『流石に一撃でゴリアテを破壊には至りませんか。』

「え、何あれ……!?」

『強化型外骨格……?識別番号、“LC-06”及び“HC-02”?風紀委員会が独自開発しているものでしょうか?』

「そう。私はあまり関知してないけど。」

「ふ、風紀委員長!?」

「別に攻撃しに来たわけじゃない。レイジがアレのテストをしたいからって……先生?」

“……か”

「か?」

“カッコいい……!!”

 

思わず漏れ出してしまった。まさかあんなパワードスーツをこの目で拝見できるとは!ゴテゴテしたゴリアテも良いが、ああいうスマートさがある機体こそがやはり至高!!

 

「先生。今のあなたの目的は?」

“うん、ホシノを探す事だよ。あのゴリアテは任せてもいい?”

「大丈夫。あの程度では絶対に負けない。」

「あんな目を輝かせてるのに忘れてないんだ……いや忘れてたら困るんだけど。」

 

見れば既にゴリアテの二機目が陥落しているところだ。早い、強い。最強と謳われるヒナがここで静観しているにも関わらず、あの戦闘力……いや、対重装甲だからこその戦闘力だろうか。事実、ヒナが仕留めているのは周辺の人型オートマトンだけだ。

 

「カイザーPMCはゴリアテを6機も……まぁ関係ないか。すぐ終わるわ。行きなさい、対策委員会。小鳥遊ホシノが今度こそ居なくなりかねない。」

「そ、そうね!ありがと、風紀委員長さん!」

「では、ホシノ先輩を探しに行きましょう!」

「もう邪魔はされない。集中しよう。」

 

対策委員会の皆の士気も高い。直ぐにホシノは見つけられる。理事の姿は見えないが、どこかに逃げおおせた……直ぐに指名手配はされるから、もう悪さは出来ないだろう。あのゴリアテも風紀委員会が相手してくれているし、便利屋68も……あの規模の風紀委員会を相手に大立ち回りしていたのだ。心配はない。

 

“……皆!そのコンテナの中!!”

 

アロナからの通知で、ホシノの居るコンテナを見つけ出す事は容易だった。やっと、終わったのだろうか。

 


 

「Ⅴ.Ⅵ、最後の二機です。あなたはターゲット:Fを。」

『了解、Eはお願いします。』

 

俺がシールドで弾を防いで弾幕を張り、後方からⅥが高火力のレーザーカノン砲を叩き込む。連携としては初歩中の初歩ではあるが、いざやられると面倒極まりない代物だ。そもそも、弾幕で避けさせる必要のないゴリアテ相手なのだからこんな連携など反復練習にしかなりえない。挟撃、連続攻撃、自由戦闘。各種戦闘評価を行って、最後のデザートとして各個撃破。

 

「HCの敵ではありませんね。」

 

マシンガンを連射し、各部ミニガンにそれぞれ致命打を与える。背部カノン砲を展開しようとしたならすぐさまブースターを一時開放してレーザーランスをその真ん中に叩き込む。やられる前にやる、当り前だが効果的だ。

 

崩れ落ちる体勢の中、ミサイルを発射するゴリアテ。

 

「悪あがきも度が過ぎているぞ。」

 

至近距離に居たため、近接信管が作動してゴリアテごと爆発するミサイル。しかし、一方の俺にダメージは全くない。

 

「パルスアーマーの試験にお付き合いいただき、ありがとうございます。死ね、害虫が。」

 

レーザーキャノンの最大火力が、ゴリアテを包み込んだ。

 

「Ⅴ.Ⅵ。終わりましたか?」

『今丁度。』

「了解しました。Ⅷ、周辺状況は?」

『クリアーだよ。』

「Ⅴ、馬鹿の状態はどうなっていますか?」

『鎮静剤と眠剤を打っておきました。ピンピンしてます。』

「どういう事ですか……まぁ暴れていないのなら良いでしょう。総員、帰投せよ。愉快な遠足は終わりだ、荷物を纏めて帰るぞ!」

 

集めたデータは……十分以上だ。今回の遠足は大成功と言えるだろう。あとⅨの再教育とどうやって武装自分ではっつけたか聞かないといかない。あとシャーレの方に便宜を図って、万魔殿のご機嫌取りに……!!

 

 

 

「……やることが、やる事が多い!!」

「あぁもう私の前で言わないでください……!!」

 

その後二日間ほど、書類仕事に追われるレイジとアコが見受けられたそうな。

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