キヴォトスの実力者になりたくて!   作:誰か続き書いてくれ

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最初はオリ主視点、途中から先生視点。




キヴォトスの実力者になりたくて!

 ──それに憧れたのは何時からだっただろう

 

 幼い頃の記憶。たまたまテレビでやってたペロロ様のアニメ。そこに出て来た謎の人物。

 彼ないし彼女は突如として現れて敵を瞬く間に殲滅。そしてペロロ様に意味深な事を言い消えていった。

 その姿が目に焼き付いて離れない

 

 ──正体不明

 ──実力は未知数

 ──ただ一つの強い信念

 

 ──そんな陰の実力者に私は憧れたのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ」

 

「あら? 失礼、前が見えていなかったもので」

 

「いや「何か?」……なんでもありません」

 

 

 時は流れ十数年。廊下を歩く少女がお嬢様とぶつかり持っていた教科書を床に落としてしまった。落とした少女は鈍臭い手つきでそれらを拾う。

 クスクスと聴こえる嘲笑の声に少女は相手を睨みつけるが気が弱い少女は睨み返されてしまいすぐさま謝りそそくさとその場から離れる。少女を馬鹿にするような会話に耳を背けながら。

 

 

 やったー! 今日もお嬢様ポイントゲット! 

 

 少女、いや私は人目のつかないところまで走った後我慢していた表情筋を解放する。

 

 この学園、トリニティは素晴らしい。大半の生徒がお嬢様。言葉の裏を読み合い自分の本音を隠している。

 その学園に田舎出身でいかにも純粋で素直な少女が入学したらどう思うか? 

 

 そう、絶好のカモ(いじめの対象)である。

 

 陰の実力者になる為にはモブである事が必要不可欠。明らかに鈍臭いいじめられっ子が陰の実力者だとは誰も気づくことは出来ないだろう。

 トリニティに入学させてくれた両親にはかんしゃーである。

 

「大丈夫ですか。リサさん」

 

「あっ、いえ大丈夫です」

 

 とはいえこの学園にも優しいお人好しはいる。私を心配そうに見ている目の前の阿慈谷ヒフミなどがそうである。

 

 彼女は一見モブの様に思えるがその見た目に騙されてはいけない。

 彼女は自称普通のイカレポンチ(ペロロ狂い)なのだ。

 

 入学した当初はモブ仲間として声を掛けたが後となって判明したこの事実により私は距離をとっていたが彼女は何かと私に構ってくるのだ。

 

 すぐさま緩んでいた表情を怯えた小動物のようなものに変え少し震えた声返答しながらで彼女から逃げる。主要人物にはあまり関わらないのがモブなのだ。

 

 

 ヒャッハー! 

 

 キヴォトスのブラックマーケット。あらゆる犯罪が横行する危険地帯で年頃の少女が出してはいけないような声で暴れる不審人物がいた。というか私だった。

 

 漆黒の羽と角を生やし某喰種の様な仮面を着け私は今日も賞金稼ぎに勤しむ。

 

「なっ! なんだコイツ! 銃弾が当たらねぇ!」

 

「相手は一人だ! 囲んで弾幕を張れば絶対に当たるはずだ!」

 

 飛び交う銃弾を最小の動きで避けながら相手を一人は一人気絶させていく。恐らく彼女達には銃弾が私を避けているかのように見えているのだろう。

 

 とはいえ流石の私も弾幕を張られたら何発かは当たってしまうだろう。

 

「3、2、1、打て!」

 

 何人かで時間稼ぎをしながら残りの奴らでの一斉射撃。手慣れた連携。今回の賞金首は少々強いらしい。

 

「いい実験台だ」

 

 話は変わるが私たちキヴォトス人は皆神秘をその身に宿している。神秘には様々な性質があり純度の違いもある。まさに千差万別。

 

 私は陰の実力者になる為これに目を付けた。だが、神秘というのは酷く曖昧なもので自らの意思で操作出来るのは上澄みの上澄み。たった一摘みの人物だけだという。

 

 だから私は()()()()()()()に力を借り少々強引な手段で神秘を自覚、運用できるよう身体を改造した。

 

「今宵は月が綺麗だ……」

 

 両手を広げ一見すると無防備な格好になる。ヘルメット団からの困惑が伝わるが迫り来る弾丸が私の身体を穿つ……ことは無かった。

 

「……は?」

 

 全ての銃弾が私の身体から弾かれる。彼女たちは何が起きているか理解していないようだが私がしたのは簡単に言うと神秘バリアーである。

 身体に薄い神秘を纏わせる事で一時的だが、威力の低い銃弾を弾く事を可能にしたのだ。

 

 ここで重要になるのが私の神秘の性質。それは無色透明。これによって彼女たちは私がした事を一切理解できない。

 

「ではレクイエムといこう」

 

 無色透明。本来は何でもない神秘。だが、私は何にでもなれるよう自らを改造した。

 

「ひぃ!」

 

「何か! ヤバい! 逃げるぞ!」

 

 私の身体から突如として溢れ出す大量の神秘。彼女たちは本来は感じる事の無いものだが異常が起こっていることを感覚で察しているのだろう。だがもう遅い。

 

親愛なる光線(ディア・レイ)

 

 その時ブラックマーケットは一瞬だが昼となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最近、キヴォトスが騒がしい。何やら連邦生徒会長が突如として失踪しその後任となる先生が来たらしいのだ。

 しかも先生は大人であり神秘を持たない、つまり銃弾一つで死んでしまうような存在。つまりは主人公だ。

 

 

 

 

 

 

 

「貴様が先生か?」

 

「っ!」

 

 キヴォトスでも最上位のセキュリティを誇るであろうサンクトゥムタワー。最近赴任してきた私でも分かる堅牢な建物。そんな中、彼女は突然に現れた。

 

「ふっ、そんな警戒することは無い」

 

 月光を浴びながら窓に腰掛け彼女は堂々と私に声をかける。あまりの存在感にまるでこちらが部屋の中の異物かのように錯覚してしまいそうになる。

 だが相手は生徒だ。取り敢えず落ち着こうと深く息をする。

 

「正直あまり期待はしていなかったが、私が生徒だと分かるとその変わり身。……あいつが言ってたのも存外間違いでは無いかもな……」

 

 あいつとは誰? 何を言ってたの? 

 色々彼女から聞きたいことがあったがそれよりも先に

 

「名前を教えてくれるかな?」

 

 その瞬間、彼女が少しだけ震える。

 

「クックックッ。やはり貴様は面白い」

 

 何かが彼女の琴線に触れたらしい。

 

「お気に召したようでなによりだよ」

 

「……ムメイ。今はこれで十分だろう」

 

 少し思案し彼女は名乗った。それと同時に発生する突風。反射的に目を閉じ開いた時には彼女の姿は無かった。

 明らかな偽名。恐らく彼女も偽名だと隠すつもりもないのだろう。

 

「ムメイ……か」

 

 まだ日が浅いがこれから大変な事になりそうだな。漠然とそう思った。

 

「……あっ! 書類が全部バラバラに!」

 

 後でムメイにお仕置きしないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生には補習部の顧問を担当してもらいます」

 

 そう言って桐藤ナギサは資料の入ったファイルを私に差し出す。

 阿慈谷ヒフミ、浦和ハナコ、下江コハル、白州アズサ。そして陰野リサ。

 それぞれの顔写真とプロフィールが簡潔に載せられている。

 

 ヒフミが覆面水着団の一員の可能性。浦和ハナコの唐突な奇行。下江コハルの人質としての利用価値。白州アズサの時期のおかしい転入。

 

 だが、一人だけは違った。陰野リサ。彼女のプロフィールにはいじめられているという事しか述べられていない。

 

「ナギサ、この陰野リサって子なんだけど……」

 

「ああ……彼女ですか」

 

 ナギサはたった今思い出したかのように彼女の名を口にする。

 

「彼女はこの一年間いじめられていますが反撃をしたという噂を聞いた事がありません。恐らくは我慢強い方なのでしょう。そんな人間がエデン条約という爆弾を目の前にしたらどんな暴挙にでるか……私には分かりません。つまり彼女もスパイとしての可能性があります」

 

 分かっている。補習部にいるということは全員そうなのだから。でも

 

「いじめられているのを知っているのに止めなかったの?」

 

 少し咎めるような声色になってしまったがナギサは一切表情を変えず静かに頷いた。

 

「先生はまだ知らないと思いますがここはトリニティです。誰も彼もが本音を隠している。信じられる者などいない。ここはそういう学園なのですよ」

 

 そう言い切ったナギサの表情は少し憂いを帯びていた。

 

「そういうことなので補習部の五人を頑張って合格させて下さい。先生」

 

 

 

 

 

エデン条約

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




裏話としてヒャッハーしてる時にユメ先輩は救出済みです。
シドーがアルファを助けた時みたいなもんだね。
面白かったら続き書いてね。
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