きがつきました
わたしは なぜか いまに すわりこんでいました
どれくらいときがたったのかも わかりませんでした
でも おなかがすいてるかんじもなかったので
とりあえずねよう と そこからたちあがろうと てをゆかにつけました
べちゃっ
と
きみょうなかんしょくがして
わたしは じぶんのてをみつめました
そのては
あかく
そまっていました
「……え」
そのときわたしは
めのまえのじょうきょうを はじめて かくにんしました
「――……」
――そう。
コハクダブルスターの、目の前には。
身体のところどころを赤く染めた人々が。
何人も、痛みに呻きながら、横たわっていた。
サイレンの音が、遠くからやってきていた。
そのできごとが どんなふうになったのか いまでもよくわかりません
ただ わたしは それから いろんないえを てんてんとしました
さいしょは しんせきのおうちに あずけられたけど
しにがみ とか あくま とかいわれて すぐに べつのところに ひきわたされました
そこでは しばらく しずかにすごしていましたが
なにか なにかがきっかけで 『あの子』がそとにでてきて また ひとをきずつけてしまって
べつのばしょへ あずけられました
そんなことの くりかえしでした いくつ いえをわたったのか わかりません
さいしゅうてきに わたしは どこかのおうちの うすぐらい かんごく みたいなばしょにおしいれられて
そこで せいかつしていました
「こ、コハク様。ご、ご夕食、です……」
わたしが あくまみたいに みえたのでしょう
ごはんをもってくるひとも わたしと ともだちになってはくれません
ただ ほとんど そとにでることもなく ごらくといえば
ときおり もってきてもらえる ほん と てれび だけ
からだを うごかすのとは むえんのせいかつが つづきました
「……」
あるひ
てれびをみていると みたことのあるひとが うつっていました
『さぁレースは最後のコーナーに差し掛かり、未だ先頭をひた走るのは、3番、サクラチヨノオー!』
それが なんのれえすなのかは わかりませんでしたが
そこに たしかに うつっていました
『――あーっと!! 来た! 来ました!!』
それをみて
『6番、サファイアミザール! サクラチヨノオーの減速を見逃さず、冷徹に追い上げる!!』
「……」
わたしは
おもわず てれびに すがりついていました
みざーるちゃんが
とても とても ひろいひろばを はしっていました
すごく すごく たのしそうで
わたしは そのがめんを すっごくちかくからみて
てで ふれて
ひたいを つけていました
「…………」
そして
「……、っ……」
ないて いました
「~~~……」
はしりたい
はしりたいな って おもいました
かぺらちゃんと ひすいちゃんと みざーるちゃんと
また はしりたいって おもいました
どうして こんなことに なってるんだろう
どうして こうならなくちゃ いけなかったんだろう
わたしは いったい なにをしてしまったのでしょうか
わたしは いったい どうすればよかったのでしょうか
なにもしていなかったです ただ いわれたことを ぜんりょくで せいいっぱい がんばっていた だけなのに
なんで わたしは
こんなところに いるのでしょうか
「っ、ぅ……ぁ……」
こたえてくれるひとなんて いません
それをゆるしてもらえるとも おもいません
だって わたしは しっていたからです もはや
『あの子』がいるいじょうは
もう ふつうには なれないんだって
もう だれかとは かかわれないんだって
だって かかわってしまえば なにか きっかけがあれば
また そのひとを
こわしてしまうから
「……、……」
わたしは
ただ
ただ
なくしか
できませんでした ……
薄暗い、監獄のような部屋に。
申し訳程度の月明かりが、差し込んでいた。
またべつのひ
わたしは そとへとつれだされました
うれしくもなく たのしくもなく ただ だれもきずつけたくなくて
なにもきいていないふりを なにもきこえていないふりをしました
わたしはくるまにのって
どこかへとつれていかれます
どれくらい はしったかはわかりませんが
やがて くるまいすにしばられて
そのばしょへと たどりつきました
「――さぁ、コハク」
「ここが、君の新しいお家だよ……」
そこは
とっても とっても おおきな がっこうのよう でした
「……」
思い出したくもない回想の末に。
コハクダブルスターは、体育座りの体勢になる。
光のない瞳で、壁際の闇をしばらく見つめた彼女は、呆と考え始めていた。
自分がこれから。
どうすればいいのかを。