16年度の卒業生   作:Ray May

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異次元の逃亡者 p3

-◆◇◆-

 

 

 

 駆け巡る。

 

 

「リーダー! テイオーたちもそっち行った方がいい!?」

『いや! お前らもその周辺で捜索を――』

 

 

 駆け巡る。

 

 

「こちらチームエル! ビンゴデース! 芦毛のウマ娘が、西に行ったって話がありマシたー!!」

 

 

 情報は。

 駆け巡る――

 

 

「ウオッカ! スカーレット! もうなんでもいい! お前らも行ってこい! 但し決して無理はすんな!」

「おし! 行こうぜスカーレット!」

「えぇ!!」

 

 

 それに応じて。

 

 

「こちらチームシービー、似たような情報はこっちには無いね。そっちに加勢した方がいいかな?」

 

 

 彼女らも、動く。

 

 

「おーい! ターボたちの方も特にじょーほーないぞ! そっち行こうか!?」

 

 

 動く。

 

 

「ゴルシさん、こっちです!」

「ったく、このアタシの技術をもってしても尻尾がつかめんかー!」

「ですが逆に考えれば、これは……」

 

 

 動く――

 

 

「いや、ウチらはずっとこの辺を捜してた。見間違いっちゅうこともないやろ」

「タマ、思った通りだ。こっちに目撃情報はない」

「こちらチームタマ! 南西の辺にも情報はないで!」

 

 

 そして。

 そうして、集められた情報を。

 

 

「……」

 

 

『彼女』は。

 収集し。

 整理し。

 分析する。

 

 

『――おい、どうだ!』

 

 

 そんな彼女に。

 担当は、呼び掛ける。

 

 

『何かわかったことは――』

「黙ってて。今集中してる」

『お、おぉ……すまん』

 

 

 果たして――

 彼らは、確認する。

 

 

「――シリウスチームからの情報が数十分前」

 

 

 東側。

 

 

「そこからのエルチームからの情報が、もう少し後」

 

 

 そこから、南へ。

 

 

「更にもう少し経ってから、チームスペ……」

 

 

 西へ。

 

 

「そして最新の情報が……」

「北、か」

「ということは……」

 

 

 西崎が、南坂が、そしてルドルフが、担当の言葉を紡ぎあげる。

 本部に居合わせた全員が。

『そこに居合わせていない者』までもが。

 

 

 総括し。

 吟味し。

 導出した。

 最終的な、

 結論――

 

 

要注意領域(ホットゾーン)は――」

 

 

 それは。

 

 

 

-◆◇◆-

 

 

 

「……」

 

 

『彼女』は。

 その女性は、ペンを叩き。

 締めとばかりに、言っていた。

 

 

 

「――府中駅」

 

 

 

-◆◇◆-

 

 

 

「――……」

 

 

 それを聞き。

 サファイアミザールは、唖然とする。

 なぜなら、彼らが導き出した、その場所は。

 今まさに――自分がいる場所だったからだ。

 

 

「……っ」

 

 

 見回す。

 捜す。

 

 

『総員、聞け! 今からそれぞれの配置を伝達する! まずシリウスチーム――』

 

 

 逼迫した通信を聞きながら。

 目を皿にして、見渡す。

 

 

「……」

 

 

 記憶の中の映像を。

 目の前に投影する。

 

 

「…………」

 

 

 彼女の髪は。

 ひときわ目を引く、白色だった。

 

 綺麗で、曇り一つない。

 見る者を否応なく引き付ける、純粋な白。

 それはそのまま――『彼女』の性質を、指し示しているようにすら思う。

 

 わからないはずがない。

 

 見つけられないはずがない。

 

 何度も見た姿。何度も見た色。

 

 何度だって、追い求めた、存在――

 

 

『――、――……』

『――! ……』

 

 

 目の前が。

 

 

『――? ――』

『……、――』

 

 

 スローモーションになる。

 

 

『――、――!』

『――! ――!』

 

 

 音も。

 

 映像も。

 

 肌に触れる感覚すらも。

 

 全てが、ぼやけて、不確かになり――

 

 極限の、集中した世界の中。

 

 

 ――行き交う。

 

 人ごみの中に――

 

 

 

 

 

「――」

 

 

 

 

 

 彼女は。

 

 確かに。

 

 見た。

 

 

 

 

 

「……ぇ」

 

 

 

 

 

 とぼとぼと。

 

 ボロボロの衣服で。

 

 どこへともなく、歩いている。

 

 長い、白髪を。

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

 

 それに。

 

 彼女は。

 

 

「……」

 

 

 口を、ゆっくりと、動かし。

 

 

「…………、」

 

 

 それを。

 

 紡いでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……コハク、ちゃん……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、消え入りそうな声で。

 

 実際、瞬時に、周囲の喧騒に飲み込まれる。

 

 それでも、不思議と、それは、彼女の元に、届いたようで――

 

 

「――……」

 

 

 それは。

 

 振り向いていた。

 

 彼女は。

 

 振り返っていた。

 

 サファイアミザールと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 コハクダブルスターの視線とが。

 

 確かに。

 

 合致していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 ミザールは。

 

 通信機器に、手を伸ばし。言う。

 

 

「……こちら、ミザール」

 

 

 呆然と。

 

 目を離さずに。

 

 

 

 

「……いました」

 

 

 

 

 言った。

 

 

 

 

 

 

 ――刹那だった。

 

 

 

 

 

 

「――!!」

 

 

 

 

 

 コハクダブルスターが。

 

 

 一目散に、走り出していた。

 

 

 

 

-◆◇◆-

 

 

 

 

 サファイアミザールは。

 

 強く足を踏み込み、それを追い始めた。

 

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