駆け巡る。
「リーダー! テイオーたちもそっち行った方がいい!?」
『いや! お前らもその周辺で捜索を――』
駆け巡る。
「こちらチームエル! ビンゴデース! 芦毛のウマ娘が、西に行ったって話がありマシたー!!」
情報は。
駆け巡る――
「ウオッカ! スカーレット! もうなんでもいい! お前らも行ってこい! 但し決して無理はすんな!」
「おし! 行こうぜスカーレット!」
「えぇ!!」
それに応じて。
「こちらチームシービー、似たような情報はこっちには無いね。そっちに加勢した方がいいかな?」
彼女らも、動く。
「おーい! ターボたちの方も特にじょーほーないぞ! そっち行こうか!?」
動く。
「ゴルシさん、こっちです!」
「ったく、このアタシの技術をもってしても尻尾がつかめんかー!」
「ですが逆に考えれば、これは……」
動く――
「いや、ウチらはずっとこの辺を捜してた。見間違いっちゅうこともないやろ」
「タマ、思った通りだ。こっちに目撃情報はない」
「こちらチームタマ! 南西の辺にも情報はないで!」
そして。
そうして、集められた情報を。
「……」
『彼女』は。
収集し。
整理し。
分析する。
『――おい、どうだ!』
そんな彼女に。
担当は、呼び掛ける。
『何かわかったことは――』
「黙ってて。今集中してる」
『お、おぉ……すまん』
果たして――
彼らは、確認する。
「――シリウスチームからの情報が数十分前」
東側。
「そこからのエルチームからの情報が、もう少し後」
そこから、南へ。
「更にもう少し経ってから、チームスペ……」
西へ。
「そして最新の情報が……」
「北、か」
「ということは……」
西崎が、南坂が、そしてルドルフが、担当の言葉を紡ぎあげる。
本部に居合わせた全員が。
『そこに居合わせていない者』までもが。
総括し。
吟味し。
導出した。
最終的な、
結論――
「
それは。
「……」
『彼女』は。
その女性は、ペンを叩き。
締めとばかりに、言っていた。
「――府中駅」
「――……」
それを聞き。
サファイアミザールは、唖然とする。
なぜなら、彼らが導き出した、その場所は。
今まさに――自分がいる場所だったからだ。
「……っ」
見回す。
捜す。
『総員、聞け! 今からそれぞれの配置を伝達する! まずシリウスチーム――』
逼迫した通信を聞きながら。
目を皿にして、見渡す。
「……」
記憶の中の映像を。
目の前に投影する。
「…………」
彼女の髪は。
ひときわ目を引く、白色だった。
綺麗で、曇り一つない。
見る者を否応なく引き付ける、純粋な白。
それはそのまま――『彼女』の性質を、指し示しているようにすら思う。
わからないはずがない。
見つけられないはずがない。
何度も見た姿。何度も見た色。
何度だって、追い求めた、存在――
『――、――……』
『――! ……』
目の前が。
『――? ――』
『……、――』
スローモーションになる。
『――、――!』
『――! ――!』
音も。
映像も。
肌に触れる感覚すらも。
全てが、ぼやけて、不確かになり――
極限の、集中した世界の中。
――行き交う。
人ごみの中に――
「――」
彼女は。
確かに。
見た。
「……ぇ」
とぼとぼと。
ボロボロの衣服で。
どこへともなく、歩いている。
長い、白髪を。
「……」
それに。
彼女は。
「……」
口を、ゆっくりと、動かし。
「…………、」
それを。
紡いでいた。
「……コハク、ちゃん……?」
それは、消え入りそうな声で。
実際、瞬時に、周囲の喧騒に飲み込まれる。
それでも、不思議と、それは、彼女の元に、届いたようで――
「――……」
それは。
振り向いていた。
彼女は。
振り返っていた。
サファイアミザールと。
コハクダブルスターの視線とが。
確かに。
合致していた。
「……」
ミザールは。
通信機器に、手を伸ばし。言う。
「……こちら、ミザール」
呆然と。
目を離さずに。
「……いました」
言った。
――刹那だった。
「――!!」
コハクダブルスターが。
一目散に、走り出していた。
サファイアミザールは。
強く足を踏み込み、それを追い始めた。