『こちらミザール!! 対象は東、ライオンズタワー方面に逃走開始!! 追跡しますッ!!』
「――チームタマ!! 聞こえてるか!!」
その逼迫した通信を。
担当は、即座に中継する。
『対象はそっち側に行った!! 対応しろ!!』
「おーけー!! オグリ!! ウチらの方にあいつが――」
「あぁ、今確認した!」
通信を受けたタマモクロスは、それをオグリキャップに共有しようとする。が、それとほぼ同時に、『彼女』は現れていた。
その特徴的な芦毛を揺らしながら、彼女らの方へと迫ってくる。
「っ!」
応じて。
二人は、前へ出る。
まずはオグリキャップが飛び込み、
「初めまして」
その両腕で、捕獲を試みる。
「手合わせ願う!」
「――ッ」
それを、コハクダブルスターは、下側にすり抜けることで躱す。それを見たタマモクロスは、荒々しく踏み込み、
「上が駄目なら――!!」
文字通り――
「下ぁ!!」
彼女の腰辺り目がけて、飛び込む。
――が、それをもコハクは、軽快に跳躍することで回避し、ついでタマモクロスの背中を緩く踏み台にし、逃走を続ける。
「あぁーもう! すばしっこいな……!!」
「お二人とも!!」
「おぉ、世間話は後や! 行くで!!」
「はい!」
「あぁ!」
そこにミザールも合流し、遠ざかる芦毛を追跡する。
コハクダブルスターもそれを感じると、唐突に進路を変更する。
路地裏へと突入し――程なく、タマモクロスたちもそこへ到達した。
――が。
「――!?」
コハクは、ビルとビルの間、室外機等の設備を伝い。
上へと――逃走する。
「な――なんて身体能力だ」
「――こちらチームタマ! 対象はビルの間を縫って上に逃げたで! どないする!」
慌てるも――
タマモクロスは、それを出来るだけ素早く、報告する。
「焦るな! 想定内だ! お前たちは遊撃に回ってくれ!」
通信を受けた担当は、彼女らに呼びかけ、また別の通信を行う。
「ボブ!! そっちに行った! 頼むぞ!!」
コハクダブルスターは――
やがてビルの屋上へと辿り着く。
そこから再び、逃走を開始しようと――
「――!」
したが。
その目の前に立ちはだかったのは――
一人の、黒い肌の巨漢。
「――オマチシテマシタ」
片言の日本語を話した彼は、その太い両腕でコハクを捕えようとするも――
「――っ!!」
オグリキャップの時と同じように、下へとすり抜けて回避する。
そしてそのまま、彼をしり目に、逃走を続けた。
「――ヘイ、コンドハwestイッタ。オウ」
『あぁ、可能な範囲で大丈夫だ、そっちにはちょうどあいつらがいる!』
巨漢の追跡を振り切り――
コハクは、ビルから飛び降りる。
だがそれも、担当にとっては、織り込み済みであった。
「そっちに行った以上、下に降りるしかないはずだ!」
だから、言う。伝える――
「――シリウスチーム! 挟み撃ちだ!!」
平然と地上へと降り立ったコハクダブルスターを
「――!」
シリウスとナカヤマは、その言葉の通り、挟み撃ちにした。
「お――りゃああぁぁぁぁッ!!」
「――……」
前後から、二人が、男勝りの絶叫と共に、飛び込んでくる中――
「ッ!!」
コハクは、飽くまで冷静にその場に飛びあがり。
「――!?」
二人が、額をぶつけ合う場面を見届けながら――
着地し、再度、地上を逃走する。
「っ……クソッ! おいナカヤマ! 平気か!」
「あぁ、大丈夫だ。行くぞ!」
「おぉ!!」
確認や謝罪もほどほどに――
二人は、走り出す芦毛を追う。