16年度の卒業生   作:Ray May

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異次元の逃亡者 p4

-◆◇◆-

 

 

 

『こちらミザール!! 対象は東、ライオンズタワー方面に逃走開始!! 追跡しますッ!!』

「――チームタマ!! 聞こえてるか!!」

 

 

 その逼迫した通信を。

 担当は、即座に中継する。

 

 

 

-◆◇◆-

 

 

 

『対象はそっち側に行った!! 対応しろ!!』

「おーけー!! オグリ!! ウチらの方にあいつが――」

「あぁ、今確認した!」

 

 

 通信を受けたタマモクロスは、それをオグリキャップに共有しようとする。が、それとほぼ同時に、『彼女』は現れていた。

 その特徴的な芦毛を揺らしながら、彼女らの方へと迫ってくる。

 

 

「っ!」

 

 

 応じて。

 二人は、前へ出る。

 まずはオグリキャップが飛び込み、

 

 

「初めまして」

 

 

 その両腕で、捕獲を試みる。

 

 

「手合わせ願う!」

「――ッ」

 

 

 それを、コハクダブルスターは、下側にすり抜けることで躱す。それを見たタマモクロスは、荒々しく踏み込み、

 

 

「上が駄目なら――!!」

 

 

 文字通り――

 

 

「下ぁ!!」

 

 

 彼女の腰辺り目がけて、飛び込む。

 ――が、それをもコハクは、軽快に跳躍することで回避し、ついでタマモクロスの背中を緩く踏み台にし、逃走を続ける。

 

 

「あぁーもう! すばしっこいな……!!」

「お二人とも!!」

「おぉ、世間話は後や! 行くで!!」

「はい!」

「あぁ!」

 

 

 そこにミザールも合流し、遠ざかる芦毛を追跡する。

 コハクダブルスターもそれを感じると、唐突に進路を変更する。

 

 路地裏へと突入し――程なく、タマモクロスたちもそこへ到達した。

 ――が。

 

 

「――!?」

 

 

 コハクは、ビルとビルの間、室外機等の設備を伝い。

 上へと――逃走する。

 

 

「な――なんて身体能力だ」

「――こちらチームタマ! 対象はビルの間を縫って上に逃げたで! どないする!」

 

 

 慌てるも――

 タマモクロスは、それを出来るだけ素早く、報告する。

 

 

 

-◆◇◆-

 

 

 

「焦るな! 想定内だ! お前たちは遊撃に回ってくれ!」

 通信を受けた担当は、彼女らに呼びかけ、また別の通信を行う。

「ボブ!! そっちに行った! 頼むぞ!!」

 

 

 

-◆◇◆-

 

 

 

 コハクダブルスターは――

 やがてビルの屋上へと辿り着く。

 そこから再び、逃走を開始しようと――

 

 

「――!」

 

 

 したが。

 その目の前に立ちはだかったのは――

 一人の、黒い肌の巨漢。

 

 

「――オマチシテマシタ」

 

 

 片言の日本語を話した彼は、その太い両腕でコハクを捕えようとするも――

 

 

「――っ!!」

 

 

 オグリキャップの時と同じように、下へとすり抜けて回避する。

 そしてそのまま、彼をしり目に、逃走を続けた。

 

 

「――ヘイ、コンドハwestイッタ。オウ」

『あぁ、可能な範囲で大丈夫だ、そっちにはちょうどあいつらがいる!』

 

 

 巨漢の追跡を振り切り――

 コハクは、ビルから飛び降りる。

 

 

 

-◆◇◆-

 

 

 

 だがそれも、担当にとっては、織り込み済みであった。

 

 

「そっちに行った以上、下に降りるしかないはずだ!」

 

 

 だから、言う。伝える――

 

 

「――シリウスチーム! 挟み撃ちだ!!」

 

 

 

-◆◇◆-

 

 

 

 平然と地上へと降り立ったコハクダブルスターを

 

 

「――!」

 

 

 シリウスとナカヤマは、その言葉の通り、挟み撃ちにした。

 

 

「お――りゃああぁぁぁぁッ!!」

「――……」

 

 

 前後から、二人が、男勝りの絶叫と共に、飛び込んでくる中――

 

 

「ッ!!」

 

 

 コハクは、飽くまで冷静にその場に飛びあがり。

 

 

「――!?」

 

 

 二人が、額をぶつけ合う場面を見届けながら――

 着地し、再度、地上を逃走する。

 

 

「っ……クソッ! おいナカヤマ! 平気か!」

「あぁ、大丈夫だ。行くぞ!」

「おぉ!!」

 

 

 確認や謝罪もほどほどに――

 二人は、走り出す芦毛を追う。

 

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