唐突に投げかけられた言葉に、サイレンススズカは、忌々しそうに唇を噛んでいた。
混沌極まる最終盤――
それまで、影も形もなかったはずの『彼女』は。
今や、自分のすぐ傍を、走っている――
「――っ」
セイちゃん急便?
そんなの、頼んだ覚えはない――と。
「――
「まぁまぁ、」
しかし、そんな声に。
芦毛のショートカットは、冗談めいた笑みを浮かべ。
「そう言わずに――さッ!!」
声と共に、スズカを追い抜いていた。
↑UP! 2nd セイウンスカイ
↓DOWN… 3rd サイレンススズカ
「――!」
その姿は、なおも前進を続け。
トップを走る、テイオーの姿を捉える。
→KEEP 1st トウカイテイオー
→KEEP 1st セイウンスカイ
「――あぁーもう面倒臭いなこれだから
「何も頭ごなしに逃げるだけが――『逃げ』じゃないってね」
「改名したら!? 『追込』ウマ娘に!」
「あれ? 言葉通じなかったかな。おかしいなぁ」
しかし、そんな彼女らを――
他出走者が、放置するはずもない。
特に――彼女は。
『栗毛の怪物』は。
「――っ」
混沌を呈した状況に、冷静に便乗する。
「!」
↑UP! 3rd サファイアミザール
↓DOWN… 4th サイレンススズカ
そのまま――3コーナーの終端にて。
前方の二人に、追い付く。
→KEEP 1st トウカイテイオー
→KEEP 1st セイウンスカイ
→KEEP 1st サファイアミザール
「お――っほほほほ!」
それに、スカイは奇妙な笑い声を上げていた。
「いいね! 怪物さんはまだ元気そうだ!」
「すみませんね……軽口に応じる余裕ないもんで」
「え~? みんな釣れないなぁ。お魚の方がまだかわいげあるよ?」
そんな彼女らに――更に。
「――!」
追い縋る、赤みがかった髪。
→KEEP 1st トウカイテイオー
→KEEP 1st セイウンスカイ
→KEEP 1st サファイアミザール
→KEEP 1st サクラチヨノオー
「――おー! 白熱だねー! この熱視線はセイちゃんもびっくりだ!」
「……」
「え、ガン無視?」
しょぼくれるセイウンスカイなぞ、チヨノオーの眼中にない。
彼女は一心に、ミザールを捉え続けている。その瞳は――
未だ絶えぬ闘志の炎で、燃えている。
それを受けて、ミザールもまた――
息を入れ直す。
負けられない。
こんなところで、負けるわけにはいかない――と。
少しでも前へ、半歩でも先へ、出ようとする。
そんな先団に――
「――追いつきましたよっ……」
更に、
「逃がさないわ……」
別の、
「ははっ、いいな、いい
影が、
介入する――
→KEEP 1st トウカイテイオー
→KEEP 1st セイウンスカイ
→KEEP 1st サファイアミザール
→KEEP 1st サクラチヨノオー
→KEEP 1st サイレンススズカ
→KEEP 1st ヒスイレグルス
→KEEP 1st ガーネットカペラ
「っ……!!」
七人。
それだけのウマ娘が、ほぼ一直線に並べば、それはもう立派な『壁』だ。
ひとたび置いてきぼりにされれば――もう、リカバリーは難しくなる。
とにかく、とにかく脚を動かし続けろ――
ミザールは、自身をそう必死に鞭打ちながら――
「っつーか疲れたんなら休憩していいんだぜ!? 別に死ぬわけじゃねぇんだし!」
「黙ってなさい……」
「先頭は、譲らないと言ってるでしょう……!」
「え~!? ごめんごめん、セイちゃんそれ初耳だー!!」
「あぁもううっさいな黙ってボクに前譲れっての!!」
混沌とした戦況に――
死に物狂いで、着いていく。
「――、」
そんな彼女らの背後。
レースは間もなく、4コーナー――
控えていたツインターボは。
にやり、と鋸歯を見せていた。
――
それから、心の中で。
――
呪文のように。
――
それを、唱えると――
「――ッ」
力強く。
足を踏み込んでいた。
「エンジンッ、点火ぁぁぁぁッ!!」
絶叫と共に。
彼女の速度が、一気に、上がる。
「――!?」
その光景に――
先団の全員が、一斉に反応する。
そのままの勢いで――
↑UP! 9th ツインターボ
↓DOWN… 10th アグネスタキオン
彼女は、タキオンを抜き。
一瞬は――そのまま、コハクダブルスターを追い抜くが。
「――っ」
その姿に。
先の言葉に。
煽られた、彼女は。
「――ひっ、ははははははっ!!」
哄笑しながら。
その俊足に、着いていく。
→KEEP 8th ツインターボ
→KEEP 8th コハクダブルスター