16年度の卒業生   作:Ray May

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勝利の鼓動 p15

-◆◇◆-

 

 

 

 唐突に投げかけられた言葉に、サイレンススズカは、忌々しそうに唇を噛んでいた。

 混沌極まる最終盤――

 それまで、影も形もなかったはずの『彼女』は。

 今や、自分のすぐ傍を、走っている――

 

「――っ」

 

 セイちゃん急便?

 そんなの、頼んだ覚えはない――と。

 

「――『返品』(クーリングオフ)で、お願いするわッ……!!」

「まぁまぁ、」

 

 しかし、そんな声に。

 芦毛のショートカットは、冗談めいた笑みを浮かべ。

 

「そう言わずに――さッ!!」

 

 声と共に、スズカを追い抜いていた。

 

 

↑UP! 2nd セイウンスカイ

↓DOWN… 3rd サイレンススズカ

 

 

「――!」

 

 その姿は、なおも前進を続け。

 トップを走る、テイオーの姿を捉える。

 

 

→KEEP 1st トウカイテイオー

→KEEP 1st セイウンスカイ

 

 

「――あぁーもう面倒臭いなこれだから『道化師』(トリックスター)は!」

「何も頭ごなしに逃げるだけが――『逃げ』じゃないってね」

「改名したら!? 『追込』ウマ娘に!」

「あれ? 言葉通じなかったかな。おかしいなぁ」

 

 しかし、そんな彼女らを――

 他出走者が、放置するはずもない。

 特に――彼女は。

『栗毛の怪物』は。

 

「――っ」

 

 混沌を呈した状況に、冷静に便乗する。

 

「!」

 

 

↑UP! 3rd サファイアミザール

↓DOWN… 4th サイレンススズカ

 

 

 そのまま――3コーナーの終端にて。

 前方の二人に、追い付く。

 

 

→KEEP 1st トウカイテイオー

→KEEP 1st セイウンスカイ

→KEEP 1st サファイアミザール

 

 

「お――っほほほほ!」

 

 それに、スカイは奇妙な笑い声を上げていた。

 

「いいね! 怪物さんはまだ元気そうだ!」

「すみませんね……軽口に応じる余裕ないもんで」

「え~? みんな釣れないなぁ。お魚の方がまだかわいげあるよ?」

 

 そんな彼女らに――更に。

 

「――!」

 

 追い縋る、赤みがかった髪。

 

 

→KEEP 1st トウカイテイオー

→KEEP 1st セイウンスカイ

→KEEP 1st サファイアミザール

→KEEP 1st サクラチヨノオー

 

 

「――おー! 白熱だねー! この熱視線はセイちゃんもびっくりだ!」

「……」

「え、ガン無視?」

 

 しょぼくれるセイウンスカイなぞ、チヨノオーの眼中にない。

 彼女は一心に、ミザールを捉え続けている。その瞳は――

 未だ絶えぬ闘志の炎で、燃えている。

 それを受けて、ミザールもまた――

 息を入れ直す。

 負けられない。

 こんなところで、負けるわけにはいかない――と。

 少しでも前へ、半歩でも先へ、出ようとする。

 そんな先団に――

 

「――追いつきましたよっ……」

 

 更に、

 

「逃がさないわ……」

 

 別の、

 

「ははっ、いいな、いい混沌(カオス)だッ!!」

 

 影が、

 介入する――

 

 

→KEEP 1st トウカイテイオー

→KEEP 1st セイウンスカイ

→KEEP 1st サファイアミザール

→KEEP 1st サクラチヨノオー

→KEEP 1st サイレンススズカ

→KEEP 1st ヒスイレグルス

→KEEP 1st ガーネットカペラ

 

 

「っ……!!」

 

 七人。

 それだけのウマ娘が、ほぼ一直線に並べば、それはもう立派な『壁』だ。

 ひとたび置いてきぼりにされれば――もう、リカバリーは難しくなる。

 とにかく、とにかく脚を動かし続けろ――

 ミザールは、自身をそう必死に鞭打ちながら――

 

「っつーか疲れたんなら休憩していいんだぜ!? 別に死ぬわけじゃねぇんだし!」

「黙ってなさい……」

「先頭は、譲らないと言ってるでしょう……!」

「え~!? ごめんごめん、セイちゃんそれ初耳だー!!」

「あぁもううっさいな黙ってボクに前譲れっての!!」

 

 混沌とした戦況に――

 死に物狂いで、着いていく。

 

「――、」

 

 そんな彼女らの背後。

 レースは間もなく、4コーナー――

 控えていたツインターボは。

 にやり、と鋸歯を見せていた。

 

 ――『道』(コース)、よし、

 

 それから、心の中で。

 

 ――『出走者』(メンバー)、よし。

 

 呪文のように。

 

 ――『自分』(コンディション)――よし!!

 

 それを、唱えると――

 

「――ッ」

 

 力強く。

 足を踏み込んでいた。

 

 

「エンジンッ、点火ぁぁぁぁッ!!」

 

 

 絶叫と共に。

 彼女の速度が、一気に、上がる。

 

「――!?」

 

 その光景に――

 先団の全員が、一斉に反応する。

 そのままの勢いで――

 

 

↑UP! 9th ツインターボ

↓DOWN… 10th アグネスタキオン

 

 

 彼女は、タキオンを抜き。

 一瞬は――そのまま、コハクダブルスターを追い抜くが。

 

「――っ」

 

 その姿に。

 先の言葉に。

 煽られた、彼女は。

 

「――ひっ、ははははははっ!!」

 

 哄笑しながら。

 その俊足に、着いていく。

 

 

→KEEP 8th ツインターボ

→KEEP 8th コハクダブルスター

 

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