16年度の卒業生   作:Ray May

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叙情、旅路の果てに p3

-◆◇◆-

 

 

 

「――!!」

 

 ……やばい。

 やばい、やばい、やばい……!!

 恐れていたことが起きた、起きてしまった……!!

 

 差し返された――!!

 

 やばいやばいやばい! どうするどうするどーする!!

 このタイミングで抜かれるのはまずい!! なんとか差し返し返す!? いや、駄目だ、今こうして抜かれたってことは、完全に地力でこちらが下ってことだ。抜いたところで、また抜かれ返されるのが関の山……!!

 でも、でも気を抜いたら背後には、ゴールドシップさんとタマちゃん先輩がいる! しかも二人とも、追い込みを得意としてるんだ! 絶対、私が疲弊したタイミングを狙って抜いてくるに決まってる……!!

 

 ……どうしよう。

 どうしようどうしようどうしよう……!!

 

 もう諦めるしかないのか。私には無理なのか。所詮二年目でしかない私には、歴戦の猛者たちには、その歯牙にかかることさえ――

 ……

 

「――っ」

 

 いや。

 ふざけるな、終わってたまるか。

 まだ負けられない、終われない! 落ち着け、最後まで勝負を捨てるな。

 まだ、まだレースは1,000m近くある。

 諦めるな。

 見極め続けろ。

 そうすればきっと。

 

 そうすればきっと――!!

 活路は――開ける――!!

 

「――ッ!!」

 

 だから。

 気を入れ直し、努めて冷静になる。

 とにかく、これ以上差を開かせないようにと。

 ライスシャワーさんの背中を、注視した――

 

 

 

「――退()け」

 

 

 

 その。

 時だった。

 

 

 

「私が通る――!!」

 

 

 

 背後から。

『ソレ』がやって来たのは――……!!」

 

 

『――!?』

 

 

 その場に居合わせた全員が。

 一斉にそちらに振り向いた。

 示し合わせたように――だって、その時感じた威圧感は。

 明らかに無視できないほど――

 尋常ではないものだったからだ。

 

「ちょ――はぁ!?」

 

 タマちゃん先輩が。

 

「お、おいおいおいおい……!!」

 

 ゴールドシップさんが。

 

「……!!」

 

 ライスシャワーさんが。

 

「――……」

 

 そして私が。

 誰もが、目を見開く。

 だってその走りは。

 突如追い上げてきた、ヒスイちゃんの走りは。

 あまりにも――常識破りだったからだ。

 ……彼女は。

 

「……」

 

 迫ってくる。

 

「……っ」

 

 迫ってくる。

 

「……!!」

 

 迫ってくる――!!

 

 私たち目がけて、大外を走るでもなく、避けるでもなく――

 

 一直線に。

 こちらに、

 ()()

 ()()()()()――!!

 

「――ま」

 

 待て。

 ちょっと待て。

 ちょっと待てちょっと待てちょっと待て!!

 

 た――確かに。確かにさっき、テイオーさんとタマちゃん先輩が、似たようなことをやった。

 似たように、私たちの間を縫って、見事に前方に出てきていた。それは前に出るための最適解ではあるけどさ。

 

 でもそれは。

 でもそれは。

 でもそれは――あの子たちの体格が、小さかったから出来たのであって。

 彼女らよりも、一回り近く体格の大きいあなたが、

 

「……、」

 

 ヒスイちゃんが。

 

「……!!」

 

 それ、やったら――!

 

「――ッ!!」

 

 ――避けるしか。

 ない――じゃんッ!!

 

 

↑UP! 8th ヒスイレグルス

↓DOWN… 9th ライスシャワー

↓DOWN… 10th サファイアミザール

↓DOWN… 11th ゴールドシップ

↓DOWN… 11th タマモクロス

 

 

「――っはぁっ!」

 

 ……あわや接触。

 あわや大事故――にも関わらず、ヒスイちゃんは止まらない。

 そのままの勢いで、前方へと、邁進していく。

 

「な、なんだよあの滅茶苦茶な走り方ッ……!!」

 

 背後のゴールドシップさんは、怒ったように言うけれど。

 同時にその声色は――

 心底、面白がっているようにも感じられた。

 

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