16年度の卒業生   作:Ray May

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叙情、旅路の果てに p4

-◆◇◆-

 

 

 

 ヒスイレグルスは、止まらない。

 

「――!?」

 

 

↑UP! 7th ヒスイレグルス

↓DOWN… 8th ツインターボ

 

 

 ツインターボを。

 

 

「はぇ――!?」

 

 

↑UP! 6th ヒスイレグルス

↓DOWN… 7th マチカネタンホイザ

 

 

 マチカネタンホイザを――

 

 

「ケ――!?」

 

 

↑UP! 5th ヒスイレグルス

↓DOWN… 6th エルコンドルパサー

 

 

 エルコンドルパサーを。

 

 次々と、抜き去る。

 あっという間にその姿は。

 前方を走る四人を、捉えていた。

 

「――!?」

 

 それに真っ先に気が付いたガーネットカペラは。

 にやりと、楽しそうに笑った。

 

「――ったく」

 

 そこで彼女は。

 限界、とばかりに減速する。

 

「やる気あるんなら――最初(ハナ)からやってろ!」

 

 息を切らしながら――

 友人の邁進を、見送った。

 

 

↑UP! 4th ヒスイレグルス

↓DOWN… 5th ガーネットカペラ

 

 

「――っ」

 

 それを背後から見ていたツインターボは。

 既に息も絶え絶え、脚も震え始めていたが、

 

「――ターボはッ」

 

 引っ張られたように。

 絶叫する。

 

「ターボはッ!! 諦めなぁぁぁぁいッ!!」

 

 そして、最後、とばかりに、強く踏み出す。

 後続を寄せ付けまい、とする、そのラストスパートに――

 

「あはっ、その意気だよターボちゃんっ!」

「負けらんねぇよなぁ、このまんまじゃっ!!」

「こんな終わり、認めマセんッ!!」

「あーもう、滅茶苦茶だよっ!!」

 

 誰もが同調し――

 結果的に、全体の速度が、更に一段階、引き上げられる。

 

「――……」

 

 メジロマックイーンは。

 それを、驚愕の目で確認していた。

 その光景は、まるで。

 ヒスイレグルスが、後続全体を率いているかのようだった。

 

「――っ」

 

 ――ふざけるな。

 メジロマックイーンは、心の中で叫ぶ。

 

 ――ふざけるなっ――抜かせませんわよ!!

 

 なんだこいつは。なんなんだこいつは、と焦りながら、スパートをかけ始める。

 レースは終盤戦。

 各々が最後の力を振り絞る。

 それは、メジロマックイーン含む、先頭を走る三人に関しても同様だったが――

 彼女らが、そうしたのは。

 また、別の理由からだった。

 

「――、……」

 

 トウカイテイオーは感じる。

 背後から投げかけられる、尋常ではない威圧を。

 これまで何度も、威圧や気迫の類は受けてきたが――

 これほどのものを受けるのは、久々のことだ。

 

「……、……!!」

 

 サイレンススズカもまた、それを感じる。

 今自分はレースを走っているのか。それとも単純に逃げているのか。そんな風にすら考え始めていた。

 メジロマックイーンも、同じようにそれを感じる。

 もはやその気迫は、ウマ娘が発していいそれではない。

 殺意にも。

 敵意にも似た。

 その感情を、一切隠さず。

 前方へ。

 ただ目的へと。

 一心に邁進するその様は――まるで――

 

 

 ――『草食動物』(えもの)を追う、

 

 ――『肉食動物』(レグルス)――……!!

 

 

「――!!」

 

 ――だが、レースには限りがある。

 長いように感じられた終盤戦は、そのような追い立てにより、矢のごとく過ぎ去り――

 

『――終了ー!!』

 

 再びの空砲。

 そして、間髪入れない、メガホンを通じた西崎の声が。

 その終わりを、告げていた。

 

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