イクノディクタスの場合
Scene
トレセン学園 チームカノープス チーム室 放課後
Actor
イクノディクタス:イクノ
ツインターボ:ターボ
マチカネタンホイザ:マチタン
ナイスネイチャ:ネイチャ
イクノ「由々しき事態です!!」
-チームカノープスのチーム室にて、唐突にイクノが宣言する。
イクノ「どれくらい由々しいかというと、頼んだカツ丼に追加のソースがかけられないとわかった時の絶望くらいの由々しさです!!」
ネイチャ「絶妙に伝わらない例えをありがとう」
マチタン「落ち着くのですイクノさん! 一体何があったのですか!?」
イクノ「……皆さんもご存じの通り、この間我が校に入学したミザールさんのお仲間が、我々のチームに入ることになりました」
ターボ「ん? そうなのか? でもそれの何が駄目なんだ? 嬉しいことじゃないか!」
イクノ「えぇそうです……本当なら喜ぶべきことですが……そう手放しでも喜べないのです」
マチタン「詳しく聞かせてもらえますか!?」
イクノ「……彼女は眼鏡キャラであり。そして私も眼鏡キャラです」
-イクノ、指で眼鏡を押し上げる。
イクノ「――キャラが被ります!!」
ターボ「――!!」
マチタン「――!!」
ネイチャ「……一応私も驚いとくね。――!!」
イクノ「危機感が薄いですよネイチャさん。この狭苦しい場所に私が二人もいたら困るでしょう」
ネイチャ「や、別に困りはしないし……言うほどキャラ被ってもなくない?」
-イクノ、やれやれ、とばかりに肩を竦める。
イクノ「……私は彼女に、可能性を感じています。そう、アクセルベタ踏みでハンドルぶん回す素質を。あれは逸材ですよ。何なら私の後を継げる可能性すらあります」
ネイチャ「卑下してんのか自惚れてんのかどっちなの?」
イクノ「であるからして! 何とかしてお互いを区別する方法を整備しておく必要があるのです! さぁ考えなさい! 私と彼女とを差別化する素晴らしい方法を!」
ネイチャ(あ、私らが考えるのね)
イクノ「シンキングタイムは30分!!」
ネイチャ(無駄に長いな!!)
マチタン「はい! イクノ先生!!」
イクノ「はいマチタン女史!!」
マチタン「語尾を替えることにしましょう! それもだいぶんに違うやつ! にゃんとわんわんおくらいに!」
イクノ「素晴らしいアイデア! しかしお互いのアイデンティティを著しく損なう恐れがあります! 却下です!」
ターボ「はいはい! 次はターボだ!」
イクノ「はいターボ女史!! どうぞ!!」
ターボ「コンタクトにするんだどっちか! 眼鏡をかけてなかったら、さすがに見分けがつくぞ!」
イクノ「凄まじいアイデア!! しかし眼鏡キャラには一定の需要があります!! 却下です!!」
ネイチャ(どこに向かって話してんだろさっきから)
-イクノ、ターボ、マチタン、そこで、ネイチャに期待の眼差しを向ける。
ネイチャ(あ。これ私も言わなきゃいけないやつだ)
イクノ「ふふふ……こういう時のネイチャさんは強いですよ。きっと私たちには及びもつかないような、奇抜な案を考え付いてくださるに決まっています……!」
ネイチャ(無意味にハードル上げないでくんない!?)
ネイチャ「……えーっと、じゃあ」
イクノ「うんうん」
ターボ「うんうん!」
マチタン「うんうん!!」
ネイチャ(帰りたい……)
ネイチャ「……えと」
-ネイチャ、しばし黙り込む。
ネイチャ「……あ。仇名とか付けたらどうかなー……って」
イクノ「仇名?」
ネイチャ「うん。例えば……」
ネイチャ「……いっくん、みたいな……」
イクノ「……」
-イクノ、しばし黙り込む。
ネイチャ「……? イクノ?」
イクノ「ぐっはぁ!!!」
-イクノ、絶叫し、その場に倒れ込む。
ターボ「し、しまった!! ネイチャのあまりの可愛さに、イクノが失神してしまった!!」
マチタン「くっ……これがネイチャの底力……!! 私たちじゃあ太刀打ちできない!! 起きてイクノ! 起きて世界を救って!! イクノー!!」
イクノ「マチタン……イクノ……」
-イクノ、傍に寄りそうターボと手を握る。
イクノ「ごふっ……大丈夫です……世界はきっと……」
イクノ「ネイチャが……救って……」
イクノ「……」
ターボ「……!! イッ、」
ターボ「イクノオォォォォォォォ!!」
マチタン「うわぁぁぁぁぁっ!!」
ネイチャ「……」
ネイチャ「え、なにこれ?」
その後。近所の眼鏡店にしばらくチームカノープスの面々が来店し。
多様な形の眼鏡を試着しては、ああでもないこうでもないと唸ってたとか、唸ってないとか。