アーククレイジーナイツ   作:カマクラカスタ

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文章力も語彙力皆無だなとしみじみ思います。


右往左往

 

 

――何処からか、悲鳴が聞こえる。

 

誰かの怒号と暴力に止めてと叫ぶ声だ。いつもの通りの日常ならこんな度が過ぎた行為は誰かが制止するだろう。しかし、もうここにはその誰かしらはいない。ここにあるのは追い詰められた恐怖と食糧の不足から来る饑渇そしてそれ等を紛らわす暴力だけだ。

 

「ひぃいっ!!」

 

「今日も、また誰かが襲われてる!!」

 

響いてくる悲鳴と怒号に教室内にいる生徒は恐怖に縮み上がり各々、蹲ったり頭を抱えるなどしてその音から逃避を図る。

 

「⋯⋯いつ、この地獄は終わるのでしょうか」

 

教室の端に凭れ座っているウルサスの少女は、小説のページを捲りながら誰にも聞こえない声量で小さくそう呟いた。

 

――チェルノボーグ ペテルへイム高等学校

 

チェルノボーグ内で突如として起こった感染者組織レユニオン・ムーブメントの暴動により都市は阿鼻叫喚の地獄へと塗りつぶされた。

 

都市は悉く破壊され、鉱石病に感染していない非感染者を蹂躙し女子供見境なく切り捨てる。そんな暴動の中を逃げ惑う一部の学生達はレユニオンの悪辣な行動によって各学園内に収容されていた。

 

「平気かよ、アンナ」

 

「⋯⋯聞こえてしまってましたかソニア」

 

小説の文章から目を離しウルサスの少女――アンナは顔を上げる。誰にも聞こえない声量で呟いた筈がまさか聞こえていたなんて思ってもみなくソニア少し目を泳がせた。

 

「平気か。ってアタシは聞いてんだ」

 

教室に配置してある教卓。そこに堂々と座るのは屈強なウルサスの少女――ソニアだ。

 

「ええ、平気ですよソニア。ただ少し愚痴を言っただけです」

 

「⋯⋯そうかい。まっ、愚痴言えんなら心配要らねぇか」

 

彼女はこの教室のグループリーダーであり、他グループを一人で相手取るほど腕っ節が強く皆の頼りになる存在だ。

 

「アタシはそろそろ食料を探しに行くから、ソニア。私がいない間此奴らを見ていてくれ」

 

「了解です」

 

――しかし彼女の粗暴な面に信頼を置けていないメンバーも多くはない。

 

教卓から降りソニアはアンナに役割を言い渡すと教室の端にある扉へと向かう。手に自身の獲物である消火斧持ちながら。

 

食料の奪い合いが頻発している学園内で身を守るには綺麗事など言ってはいられない例え相手の命を奪うことになってもそれは仕方の無いことだ。

 

「行ってくる」

 

「はい⋯⋯」

 

ーー今はただ生き延びなくては、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ▽

 

「⋯⋯っ」

 

チカチカと明滅する視界の中、仗助は後頭部から伝わる固い感触の違和感に気づき意識を覚醒させた。

 

「ん?なんでコンクリートを枕にして寝てんだ、俺は。それにここは、どこだ?」

 

仰向けになっていた上体を起こし辺りを見渡すが視界がまだハッキリとしないため情報が入ってこない。脳も回っておらず記憶も朧げだ。

 

「俺は確か、ゲームをしようとしてそれで⋯⋯」

 

 記憶の掘り起こしに神経を集中させそれを声に出すことで反芻する。掘り起こされていく記憶の断片は、綺麗なゲーム画面、不気味な注意喚起、そして、

 

「違うッ!スタンドだ!俺はスタンド攻撃を受けたんだッ!!」

 

――吸い込み。朧げだった記憶が繋がり鮮明となって漸く仗助は自身が置かれている状況を理解した。瞬間、心臓の鼓動が早くなった事によるアドレナリンの過剰分泌によりボヤけていた視界が空けていく。

 

スタンド攻撃がまだ続いていると思い仗助は辺りを警戒するが、そんな警戒心を吹き飛ばしてしまう程の光景が目に映る。

 

「なんなんだここはよォ!戦争でもしてんのか!?」

 

視界一杯に広がるのは崩落し辛うじて原型を留めている建物。それも戦火に巻かれ燃え上がっているものが何ヶ所もあり、そして道端には石ころのように転がる人の死体が何個もあった。

 

確実に何らかの抗争が起こっているのは明白だ。

 

「うっ⋯!なんたってこんな惨いことを。もしかして精神攻撃を加えてくる系のスタンドなのか!?」

 

ブラックホールのようなものに吸い込まれいきなりこの光景が来たと考えるとこれは敵スタンドが生み出した幻覚かテリトリーというのが一番納得いくものだ。

 

しかしそれならもっと精神に負担が掛かるもの、例えば仗助自身のトラウマや直接的な死を感じさせるような精神攻撃が妥当なはずだ。

 

ただ、そうじゃなくともこの光景は生々し過ぎて仗助の心に大分と刻まれたが。

 

「ビビっててもしょうがねぇ、ここが本当に敵スタンドのテリトリーかどうか検証してみねぇと。マジに紛争地域飛ばされたんじゃあ無いかって確かめるためにもな」

 

このリアリティの有り様は本当に紛争地域にワープさせられたという可能性も浮かび上がる程のスゴ味がある。仗助はその可能性を検証するため切り捨てられ道端に放置されている男性の方へと近づく。

 

「『クレイジーダイヤモンド』」

 

クレイジーDを顕現させるとスタンドの掌を男性へと宛てがうと能力を発動させ傷を治していく。

 

「スタンドでは問題なく触れられる。問題は俺が触れられるかだが⋯⋯」

 

倒れている男性の肩を目掛けて手を伸ばす。辿り着いた時、男性の肩は実体である仗助の手をすり抜けることは無くピタリと手を触れさせた。

 

「グレート。この人、スタンドが生み出した幻覚なんかじゃあねぇ!やはり実体がある正真正銘の人間だ。頭になんで獣耳があるのかは分からねぇけど」

 

傷は治したが起き上がらないところを見るにもう死んでしまったのだろう。仗助はその男性に両手を合わせ弔うと思考を整理する。

 

「ますますややこしくなって来たぞ。ここは本当にこの光景がスタンドのテリトリーで、道端に倒れている人達は俺と同じでここに引き込まれて殺されたのか、マジに俺が紛争地域に来ちまったのか。どっちなんだ」

 

可能性が完全に二分され仗助は思考をグルグルと回転させるが、判断材料がなくどちらが真実なのか悩んでしまう。二つの問題を解決するために今最も必要何かと仗助は思考を回すと、ある一つのことが脳裏に浮かんだ。

 

「情報⋯⋯そうだ生きている人から情報収集しよう。聞けば前者も後者も納得のいく答えが得られるはずだ」

 

行動が明確化したお陰で思考がスムーズになった仗助は生きている人を見つけるため街中へと歩を進める。が、立ち止まり死体の転がる場に一言宣言する。

 

「俺が⋯⋯っ俺が絶対あんた達をこんな目に合わせた奴を必ずぶちのめしてやりますよッ」

 

 ▽

 

街中を駆けるが中々人が見つからず風景から出来るだけ情報を集めているとますます自身が紛争地域にワープさせられたという可能性に信憑性が帯びてきた。

 

目に入る店の看板や街の雰囲気などから外国、それも多分ロシアかロシアにルーツのある何処かだろう。余り詳しくはないが特徴のあるロシア語がそこら中に散らばっているのならそれぐらい分かる。

 

しかしこんな民間人を巻き込んだ大規模な戦争なら日本でも確実にニュースになっているはずなのだがなっていない。

 

やはりスタンドの空間なのかと仗助は進みながら脳内で推理していると、ある建物が目に止まった。その建物には自分にも親しみがある。

 

「学校か⋯⋯ん?」

 

校舎の塀の外から学校を見つめていると数メートル先から塀に沿って歩いてくる人影が複数視界に入った。こちらに進んで行くにつれ徐々にその人影が鮮明になってきたが、その人達は何処か可笑しな格好をしていた。

 

白い仮面をつけまた同じく白い衣類を纏っている。そんな人間が4人、こちらに近づいてきたがどうも友好的には見えない。なぜなら、

 

「あんまり近付いて来るんじゃあねぇぞテメェらッ!凶器ブラブラ垂らしながらよォ〜!!」

 

見た目だけならまだ、ただ可笑しな奴らという認識でいいが、武器晒しながら持っているのでは普通でない集団というのは明白。此奴らからは情報を聞き出すことはできないだろう。

 

「――?――――!!」

 

集団の一人が何か言っているがロシア語で発音しているため何も聞き取れない。ただ、自身を見て興奮しているのは語調や仕草で察知出来る。

 

「なんでこんな怒ってんだこいつ!?なっ?!4人ともこっち向かってくるぞッ!」

 

一人が怒りを露にし武器を振り上げながら向かってくると、それにつられ他の3人も武器を構え向かって来る。

 

「訳分からねぇがやるしかねぇ!『クレイジーダイヤモンド』ッ!!」

 

スタンドの有効射程範囲は2メートル。しかし距離にして集団とは5メートル離れているためまだ引き付けなくてはいけない。

 

脚を走らせ近付いてくる。残り3メートル。先頭の白仮面が更に武器を振り上げ2メートルのとこまで踏み込んだ瞬間、

 

 ――ドラァッ!

 

近距離パワー型スタンドの拳による打撃は生半可なものでは無く、先頭を突っ走っていた白仮面は血を吹かしながら衝撃で武器を手離し後方へと吹き飛ぶ。

 

先頭がいきなり後方に吹っ飛んだことにより集団は急な衝撃を受け切れず瓦解し、全員が地面に伏せた。

 

「――――!!?」

 

「確信したぜ、これはスタンドの空間なんかじゃあねぇ。多分お前らみたい組織がこの惨劇を生み出したんだろ」

 

無惨に切り捨てられた死体の数々や戦火に巻かれた都市。考えればやはりあれはどれも一人のスタンド使いが出来る所業でも規模でもない。

 

間近まで詰め寄り仗助は集団を見下ろす。それに反応し白仮面達は尻餅をつき後ずさりしながら脅そうと武器を突き出す。これ見よがしに突き出された武器はしかし謎の力により空中へと持ち上げられグシャグシャにへし折られた。

 

「お前らは罪のない人達を殺した⋯⋯覚悟は出来てんだろうなッ!!!」

 

「――――!!」

 

 ――ドララララララララララララララララァッ!

 

クレイジーDの圧倒的なスピードによるラッシュで4人の白仮面全員を巻き込みダメージを叩き込む。辛うじて生きてはいるがもう二度と動けない程のダメージだ。

 

「はぁ、言語の壁は分厚いな。次この白仮面野郎共以外の人に合ったら英語で話しかけてみよう」

 

あまり自信はないが高校に入る以前から母親に英会話のレッスンを習わされていた。何せ父がイギリス人で来日した時に会話し易いようにと言われていたからだ。

 

外国に興味がなかったため無駄知恵だと思っていたがこんな状況に役に立つかもしれないと思うと学んで良かったと思えて来る。

 

昔のことを少し思い出しながらどうしようかと仗助は思案していると、突然近くから金属の擦れ合う音が鼓膜を鳴らした。

 

何の音かと思い音のした方を振り向くと校舎の正門がスライドされ開かれていた。先の戦闘では白仮面がかなり興奮し声を荒らげていたのでその声で仲間が気付いたのかもしれない。

 

 敵の可能性を考慮し仗助はクレイジーDを顕現させ、警戒を強める。ギギッと鈍い金属音が鳴り終わり正門が完全に開かれるとそこから小さな人影が一つ、姿を現した。

 

「こ、子供だッ!」

 

 敵かと思ったが、まさかの生きている子供だった。怪我や傷はなく、衣服も灰一つ無く綺麗で健康的な白髪の子供だ。

 

 紛争の最中にこれ程身なりが綺麗なのは不自然だがそれを考えているほどの精神的な余裕は仗助にはなかった。

 

「大丈夫か!小僧」

 

「――――!!!」

 

 敵から逃げてきたと思い仗助は子供の方に駆け寄るが、混乱しているのか倒れている白仮面達に指を刺し叫んでいる。

 

「大丈夫、大丈夫。えっと、英語通じてるかな?ここで何があったのか教えてくれ」

 

 落ち着かせるため仗助は姿勢を落とし子供の肩を持つと優しい声色で話しかける。すると子供は目を見開き正気を取り戻したようにハッとしたような表情をしたがどこか変で、肩に置いた手を不自然なほど凝視していた。

 

「――!!」

 

 手に軽い衝撃が走ったと思うと子供の肩から仗助の手は離れていた。手を弾かれたのだ。

 

「ごめん、触られるの嫌だったか」

 

 恐らく今は誰も信用出来ない状態なのだろうと思い仗助は手を引っ込め謝罪。少し距離を置き質問しようと仗助は子供の顔を見る。その顔を見た時仗助の頬に一筋の汗が流れた。

 

 異常だった。歯を音が鳴るまで食いしばり眉間には皺が何本も寄っている。体に触れられるのが嫌だというだけでこれ程まで睨まれることがあるだろうか。

 

 訳が分からず凄まじい形相で睨まれるため刺激しないよう仗助はその場から動かず留まっていると、

 

「――フフッ⋯⋯ハハハ!」

 

 何が可笑しいのか子供は甲高い声を上げ高笑いし始めた。激しい感情の変化を読み取れず仗助は困惑する。まるで何か嬉しいことが起こったように喜んでいるのだ。

 

「ハハッ――」

 

 笑い終わったのかふぅ、と子供は小さく息を吐くと仗助自身にも()()()()()を口角上げ口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「⋯⋯後ろ」

 

「後ろがなん――っ!!?」

 

 後ろと言われ振り向こうとした刹那、後頭部に強い衝撃が走った。体は前方に倒れ込み視界は眩み体の自由の一切が効かなくなる。

 

「再起不能に、した、はず⋯⋯」

 

 意識の最後、目に映ったのは自身の背後に立つ倒したはずの白仮面の姿だった。




ジョジョ第4部を振り返りたい人はぜひYouTubeで公開されているNeroさんのココロジョジョルを見てみて下さいね。

めちゃくちゃ面白いですから!(語彙力皆無)
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