アーククレイジーナイツ   作:カマクラカスタ

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やべぇ、シリアス路線にしっかりシフトチェンジしたいのに恋愛路線が書いているうちに入ってきやがるッ!!

例えると!苦手な食べ物を食べた瞬間味の濃いもので即上書きするあの壮快さつっーーんですかァーー!?重すぎるシリアスに対するその場しのぎつっーーんですかァーーー!!?


これからのこと

 

「夜ご飯ができたよー!」

 

 料理を作り終えたラーダは意気揚々と教室のドアを開ける。そして教室の奥に目をやるとそこには、

 

「うっ⋯⋯グス」

 

 涙目で何度も目元を拭いているアンナとその隣で手で顔を覆い隠している仗助の姿があった。何かただならぬ事が起きてしまっていることは一目で分かった。

 

「え?えぇー!?アンナお姉ちゃんなんで泣いてるの

 ?!⋯⋯もしかしてジョウスケお兄ちゃんまた何か騒ぎ起こしたの!!?」

 

 夜ご飯(缶詰トマトを使った全員分のスープとパン)を教室に入ってすぐの机に置くとラーダは仗助に駆け寄り、手に覆われている顔を覗き込むようにして言葉をぶつける。

 

 ラーダとて仗助を疑いたくはない。ただ仗助にトラブルメーカー気質な部分があるのは先の件で分かっている。それに悲痛に泣いているアンナを仗助の性格なら慰めるはずだ。

 

 何の見返りを求めず皆を助けてくれた仗助の人間性をラーダは高く評価している。なんならもう信頼だって置いているのだ。

 

 しかし、当の本人は質問に答えず「⋯ハァ」と手の隙間からただ吐息を漏らすだけである。その痛々しい姿にラーダは仗助も被害者なのではないかと勘ぐっていると、

 

「私は大丈夫ですよラーダ。ジョウスケさんの言葉に感銘を受けて勝手に泣いていただけです」

 

 少し上擦った涙声でアンナはラーダに説明する。嘘を言っている感じは和らいだ表情からして全くしない。

 

 それなら何故仗助は沈んでいるのかとラーダが思っていると未だ顔を手で覆っている仗助が細々と喋り出した。

 

「教室の奴らが雰囲気に便乗して俺を捲し立てたんだよ。マジに怪我治したの後悔したぜ」

 

「捲し立てた?何を捲し立てたの?」

 

 手で覆っていた顔を解放し正面を睨む仗助。その視線に誘導されラーダもその方向を見るとニマニマと笑っているヴィカがいた。

 

「だって仕方ないじゃない。あんな猛烈なアプ――」

 

「*極東スラング!!*やめろって言ってんだろがッ!!それ以上言ったら俺もう何すっか分かんねぇからな!逆恨みすんなよ」

 

 ダンッと椅子から立ち上がりヴィカに思い切り指を指す仗助だが、威勢のいい言葉とは裏腹に表情は羞恥を孕んでいる。

 

「ヴィカその辺にして下さい。限度というものがあるでしょう。私もそろそろ看過できません」

 

「あら、アンナはこういう戯言に首を突っ込むタイプじゃないと思っていたけど、もしかして――」

 

 アンナの方を見ながら微笑むヴィカ。なぜアンナを見て微笑んでいるのかとラーダは疑問に思うと顔を横に向けアンナに視線を移そうとするが横に立っている仗助が邪魔で駄目だった。

 

「ヴィカ」

 

「⋯⋯そうね悪かったわ。ラーダ、ご飯の準備手伝うわ」

 

「えっ?う、うんありがとう⋯⋯」

 

 教室の入口近くに置いた料理をヴィカが教室の中央に運ぶ光景を呆然としながらラーダは見つめる。

 

「うーん、モヤモヤするぅ」

 

 結局のところ事件の概要が分からず、アンナにも仗助にも聴ける雰囲気ではない。

 

「気にしなくていいラーダ。ただの茶番だ」

 

「ソニアお姉ちゃんがそう言うなら、分かったよ⋯⋯」

 

 思うところはあるが、この胸の内のモヤモヤは食事で晴らそうと決意するラーダ。食べ物は足りないものを満たしてくれる。

 

 空腹も、すり減らして喪っていくモノも全て――

 

 

 

 ▽

 

 

 

 

 

「じゃ〜ん!ラーダの特製料理だよ!」

 

 鍋の蓋が開かれムワリとした蒸気が上がると鍋の中身は煮えたぎった真っ赤なスープだった。日が沈むにつれ、かなり寒くなってきているので仗助自身温かい料理が来てホッとしていた。

 

 材料となった缶詰めの空き缶――銘柄はロシア語で読めないがトマトが描かれている――をサイクルし受け皿としてラーダがトマトスープを注ぎそれ等をヴィカが一切れのパンと共に配っていく。

 

「はい、どうぞ」

 

「おっ、サンキュー。ってあれ?」

 

 ヴィカからトマトスープとパンを受け取った仗助はスープを覗き込んだところであることに気づいた。

 

 スープ料理は数ある料理中でも栄養価が高いといわれている。あらゆる具材を無駄なく摂取できるからだ。だがこのトマトスープには肝である具材が一つもない。

 

 ただただ真っ赤なトマトスープだ。よくよく見れば量も少ない。

 

「ラーダ、具材が一つも入ってねーけどもしかして余裕ないのか?ここに閉じ込められて何日ぐらいになる?」

 

 白仮面に気絶させられる前塀の外からこの学校を眺めた時かなりの面積と大きさだったことを仗助は覚えている。

 

 この学校にどれ程の人が軟禁されているか把握できていないが、学校が大きければそれだけ学食などで食糧の消費も多い。つまり、食べ物を貯蔵している食糧庫が二つや三つあるだろうと予想できる。

 

 何十日も経っていなければここまで貧相な食事はしないだろうと思い仗助はラーダに問うと、返ってきたのは衝撃の日数だった。

 

「⋯⋯三日、かな」

 

「なにッ?!たったの三日だと!?たったの三日でこの質、避難所の炊き出しの方がまだマシだぜ」

 

 仗助の感覚ではここに収容されている学生はそこまで多くはない。仮に収容上限を超えるほど多ければこの教室に来る最中にもっと出会っているはずだ。

 

 人の数が少なければ消費も少なくなり料理にもゆとりが出るだろう。だが目の前にあるのはゆとりのゆの字もないトマトスープだけだ。

 

「ここに軟禁された初日、二つある内一個目の食糧庫が燃えた。残った最後の食糧庫は貴族のろくでなし共が占拠してる」

 

 量のないスープを啜りながらそう答えたのは教室の中央にいるソニアだ。

 

「⋯⋯極限状態の人間はどこまでも残酷になれんだな。一致団結してあの白仮面共から逃げ延びるとか考えねえのかよ」

 

「そんなこと、ろくでなし共は考えちゃいない。奴らは自分達の安心と安全しか目にない。それを強化するために強奪だってしてんだ奴等は」

 

 占拠や強奪という単語が耳に入る度、貴族に対する怒りのボルテージが仗助の中で上がっていく。

 

「⋯⋯でも貴族達が食糧を支配しているのは事実だわ。そして私達に下克上をする体力がないのも事実」

 

「何が言いてえ」

 

 会話に入ってきたヴィカの発言にソニアが声色を下げ圧迫的な声で反応する。ピリピリとした空気感が張り詰める中、ヴィカが口を開いた。

 

「前に話した提案のこと、少しは考慮して⋯⋯っ」

 

 前に話した提案というのが何なのか仗助には分からない。だが、ソニアの表情を見れば察しがつく。ヴィカの言葉を聞いたソニアは眉間に何本も皺を寄せ憤怒していた。ヴィカは彼女の逆鱗に触れてしまったのだ。

 

 

「貴族達に与するってか?ふざけるのも大概にしろ!あんな畜生共の下について待っているのは、ゴミ以下の扱いだ」

 

「でもこのままじゃ私達、衰弱してゆっくりと餓死していくだけだわ!ここにいるほとんどは貴方みたい強い訳じゃない⋯⋯」

 

「だからあんなクソ共の下に下るってのか!」

 

 立ち上がりズカズカとソニアはヴィカに近づいていく。

 

「ソニア!仲間割れはやめてください!提案が受け入れ難いものでもヴィカは皆のためを思って」

 

「ソニアお姉ちゃん!怒るのはやめて!」

 

 ヴィカの胸倉を掴み感情を昂らせるソニアにアンナとラーダが言葉で仲裁に入るがその言葉は続く怒号のような言葉の前に霧散する。

 

「貴方は私達のリーダーでしょ!!なら少しは私達のこと考えてよ!!!」

 

「ああ、そうだ!アタシは力が強い、このグループのリーダーだ!!だから力でお前達を守ってやってる!!それ以上を望むんなら貴族共の苦汁でも勝手に飲みにいけ!!」

 

「おいおい!ヒートアップしすぎだぜオメェら!」

 

 一触即発の雰囲気を感じ取った仗助は二人の間、ヴィカを庇うようにして物理的に割って入る。

 

「ちと冷静になれよ。ここで仲間割れ起しても何の得もないだろ。食糧の問題だって深刻化はしてねえ、まだ時間はあるんだ」

 

「幾ら時間があっても食糧は日に日に減っていってる。だから貴族派のヤツらはアタシに持ち掛けて来たんだろうが!一人じゃ何もできねぇから!」

 

 仲間を軽蔑するソニアの発言に仗助の頭にピキリと怒りが迸る。眉間の皺が深まりソニアを睨む。

 

「オメェリーダーだろ、なんで仲間を突き放すんだ!そんなんだから仲間が不安に駆られてんじゃあねェーのか!」

 

「っ!!⋯⋯うっせぇッ!うっせぇッ!そんな単純じゃねえんだよ!!」

 

 仗助の責めてにソニアは動揺したのか一瞬息を詰まらせたが、やけになった様子で教室の扉に向かうとガタンッと大きな開閉音を立て教室を出ていった。

 

「ソニアお姉ちゃん!」

 

 出ていったソニアをラーダは引き留めようとドアを開き走り出そうと身を乗り出す。しかし、

 

「待てラーダ、一人にしてやろうぜ。アイツなら多分襲われる心配はないからよ」

 

 仗助がラーダの肩に手を置き阻止した。さっきは頭に血が上ったが、ソニアが出ていった所で少し冷静になり考えが改まった。

 

 仲間を軽蔑したソニアを睨んだあの時、その瞳が揺れているを仗助は見たのだ。それは仲間を何とも思っていないリーダーがする様な目ではない。仲間の為に葛藤し迷っているリーダーの目だった。

 

「本当に大丈夫なの?ソニアお姉ちゃん、見ててすごく苦しそうだったよ?」

 

「それは、俺達の為に苦しんでるんだと思うぜラーダ。何も考えてないリーダーはあんな顔をしない。だから少し一人の時間を過ごさせてやるんだ。そうすれば気持ちの整理もつく。あまりに遅いようだったら俺が探しに行くからよ、だから、なっ?」

 

 ここで追いかけてどう言葉を掛けてもそれは野暮に過ぎない。ソニアのことを思い、信じることが彼女の為にもなり自分の為にもなる。

 

「⋯うん、ソニアお姉ちゃんなら大丈夫だよね。よし!帰って時ご飯食べられるように残しておいてあげないと」

 

 憂いを帯びた表情から一変し溌剌とした動きで作業に取り掛かるラーダを横目に仗助は少し微笑むとアンナに小声で言葉を掛ける。

 

「アンナ、この状況どうやったら収集がつくと思う?」

 

 教室の端々でスープを啜る生徒達は皆ソニアの行動に対して一切の反応を示さず不満げにしているだけだった。集団として明らかに悪い兆候だが、生憎仗助はこうした経験は不足していた。

 

「⋯⋯このままじゃきっと不満が爆発してしまいます。効果は薄いかもしれませんが、意見をもう一度まとめ上げましょう。同時に問題点も明確になるはずです」

 

 不満を聞けばグループの溜飲が下がるというアンナの言い分は仗助も同感だった。が、その場しのぎにしかならない、策を講じる必要がある。

 

 策の一つとして貴族をぶちのめして食糧を奪うのは既に思いついているが、下策だろう。

 

「そうだな、分かったぜ」

 

 仗助は考えを振り払うとアンナの言葉に同意し、意見を聞くためパンッと手を叩き生徒の意識を注目させる。

 

「皆さん少し話し合いましょう」

 

 アンナの言葉を皮切りに意見の交換が始まるが、その内容は考え耽ける仗助の頭には入ってこなかった。

 

 

 

 

 ▽

 

 

 貴族派の意見が終わる頃には外は大分暗くなっていた。11時ぐらいだろうか。意見の内容はあまり頭に入ってこなかった。

 

 アンナが意見を捌いている最中、杜王町に帰還する方法や食糧問題が思考のほとんどを占めていた。

 

 しかし、杜王町への帰還は軟禁されている現状考えても仕方ないことだったので割り切り、食糧に関して思考を割いていた。

 

 一応クレイジー・Dの直す能力で半分食べたパンの復元を測ったが、食道を通って胃に入ったパンが逆流してきそうになりゲロを吐きかけた。

 

 やはり、この世から消失した物の復元はどうやってもダメだ。クレイジー・Dは物を新たに創造できる訳では無い。

 

「⋯⋯どうすれば」

 

 薄く埃を被った床に顔を向けながら仗助は小さく呟く。呟いた際白い息がハッキリ見えた。かなり冷え込んでいる。

 

「確かロシアって冬は-20度とか余裕でいくんだっけか⋯⋯」

 

 食糧問題について思考を巡らそうにも寒さの影響でまともに脳が機能しない。生徒達は皆、破いたカーテンの布やダンボールなどで暖を取っていて仗助も持っているが全く効果はない。

 

 熊の特徴を持つ彼等は寒さに耐性があるのかもしれないが、仗助はその限りではなく普通の人間だ。

 

「⋯⋯っあぁ、寒い」

 

 カーテンの布に包まるが薄皮一枚で寒さを遮ることなどできず指先の感覚が鈍化し手を握ることすら困難になる。

 

 ――寒い寒い寒い寒い

 

「あの、ジョウスケさん」

 

 凛と耳に響いた声にゆっくり顔を上げると目の前に居たのはアンナだ。

 

「どう、したんだアンナ?」

 

 寒さに震える声で仗助はアンナの呼び掛けに答える。余裕がありそうな感じに仗助は答えたかったが取り繕うことは寒さの前では無理だった。

 

「寒いですか?」

 

「そう、だな。俺寒がり、だからよ、耐性ねえ、んだ」

 

 体が異常な程の震えを出して警告しているが仗助はそれを無視して強がる。暖を取られる方法が限られている中で弱音は言ってられないからだ。

 

 教室に火は焚けないし、防寒具も毛布もない。カーテン一つで寒さを耐えるしかないだろう。だが、この寒さで眠ってしまえば自分は明日には死ぬ可能性がある。

 

 なにか温もりが欲しい。

 

「ふむ⋯⋯ジョウスケさん、座ったままで手と足を大の字に広げてください」

 

「なん、でだ?」

 

「いいですから、早く」

 

 意味がわからず仗助は疑問を呟くがアンナは表情を変えず無表情のままで急かすのみだ。疑問が残ったまま言われた通り手と足を大の字に開いた、すると、

 

「失礼します」

 

「は?」

 

 アンナの行った行動に仗助は脳が真っ白になり素っ頓狂な声が漏れ出す。まるでそれは自分で引いた椅子に座るが如くスムーズな動作で仗助の懐に座り込んだ。

 

「なな、な、何してんだアンナ!」

 

 ショートしていた脳が回復し仗助は懐に目をやると、目と鼻の先にアンナがいることに気づく。

 

「ふむ⋯⋯なるほど、この犯人は仮死状態になって警察の目を欺いていたと、狡猾ですね」

 

「小説を読み解く前にこの状況を説明しろ!」

 

 自身の股下で平然と体育座りで小説に没頭しているアンナだが、仗助は女ではなく男だ気が気ではない。

 

「寒いんですよね?なら、こうやって身を寄せ合ったらいいんですよ。体温は上がって低体温症のリスクを相当に減らせます」

 

「医学的な説明じゃあなくて、なんで会って一日未満の男女が身を寄せ合ってるかの状況の説明だ!」

 

 アンナと完全に身は接触させていないが距離は数ミリぐらいの近さだ。服が擦れたり擦れなかったりする距離で確かに温もりは感じるが、倫理的なところが欠如している。

 

 まさか男女間の倫理観が抜けているのかと仗助が思っていると、

 

「い、言わせないでください。せっかく平常心を保とうとしていたのに、これでは台無しです」

 

 アンナは持っている小説に顔を埋め、首を少し回すとジト目でこちらを見つめて来た。少し耳が赤くなっているあたり、やはり羞恥心はあるようだ。

 

「アンナも恥ずかしいんじゃあねぇか。俺も恥ずいしよォ離れてくれって言いてんだけ⋯ど⋯⋯⋯いや、やっぱその、ありがとよ」

 

 上っ面を取り繕うと饒舌に仗助は口を動かすが、途中で言葉を切りストレートに感謝を伝える。

 

 凍えそうなこちらが本来頭を下げる立場なのに自身のメンツを保とうとする阿呆らしさに気づいたのだ。

 

「夕時のお返しですから構いません。しかし、この状況に便乗して変な所を触らないでくださいよジョウスケさん。もし触ったら軽蔑しますからね」

 

 ジト目でアンナは釘を刺すと、再び小説へと目を向ける。

 

「わ、分かってるっスよ。ハァ、こいつはグレートにへビーだぜ」

 

 最大に気を使うことや理性という名の神経がゴリゴリと削れていくであろう夜を仗助は覚悟しながら一人そう呟いた。

 

 





また変なシナリオになってしまった。プロットはそれなりにできているんです。だからこれは、楽の前借りなんです。これから始まるシリアスへの、だからどうか許して欲しい。

それと、プロットを組んでいる中でジョジョのキャラを二人ぐらい登場させるものを組んだんですがどうですかね?

ジョジョキャラを登場させるべき?

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