Mimic:模倣能力不定形型魔偽禍   作:千歳 瑠為

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体調崩してました(言い訳)


4.Don’t be too sure of yourself

ぺちゃり、と小さく音を立て、死んだスズメの身体が地面に叩きつけられた。

辺りには血や臓物が散乱する。

そして、死体は一切の動きを止めた。

 

つまり、私がやっているのは死んだフリである。

相手が私を死んだものとして見逃すことを期待してのものだ。

 

しかし、そんな甘い考えを否定するかのごとくもう一射がこちらに飛来する。

それに対してちょうど矢の当たる部分を液状化し、穴を開けてそれを躱すと、矢は地面に突き刺さり霧散した。

相手は何らかの手段で私が擬態していることに気づいているのかもしれない。

 

屋根の上を走りこちらに迫る存在に気づいた。

それは、この状況の対処に悩む私の身体を叩き潰そうとする。

私はすぐさま死んだふりをやめて後ろに下がり、それを紙一重で躱した。

叩きつけられた物によって道のアスファルトが叩き割られる。

 

「もう逃がさない」

 

その人物は、一度私が逃げ切ったメイド服の魔法少女であった。

手には鋭く尖った瓦礫達が縛って纏められ、丸い塊となったものが綱となった魔法の糸で繋がっている

まるでモーニングスターのようだった。

彼女の視線は鋭くこちらを突き刺している。

 

「逃げた■■(やつ)って■■■(こいつ)?ディステちゃん」

 

さらにもう一人、私を狙う魔法少女が現れた。

長い緑髪に琥珀色の瞳、金色の枝の意匠が施されたキトンを纏う神秘的な姿をしている。

こちらに対して気怠げな視線を向けた後、その視線はディステと呼ばれたメイド服の魔法少女に向けられた。

 

「そうです、アルバ■■(先輩)

 

二対一、擬態も何故かバレてしまったので逃げ切るのは難しい。

ひとまず、彼女らとの対話を試みることにした。

こちらとしては戦う理由など無い。

出来れば見逃して欲しいものなのだが。

一瞬、人間に擬態してから会話しようかと考えたが、余計な動きをすればより警戒を招くような気がしたので、そのまま流体の状態で話しかける。

 

『待ッテ、ソノ考エハ無イ』

 

自分が知っている語彙だけで話しているので、変な話し方になってしまっているが仕方ないと割り切る。

ここの言語で「戦う」は、なんて言うのだろうか。

 

「ん?」

「ッ!?■■■■(問答無用)!」

『ヤメテ』

 

アルバと呼ばれたキトンの魔法少女が反応を示し、こちらに視線を戻す。

ディステと呼ばれたメイド服の魔法少女は一瞬目を見開いた後、再びモーニングスターをこちらに叩きつけようとする。

 

すぐさまバランスボール程はあるであろう、巨大化されたダンゴムシの姿へと擬態しそれを防御する。

ゴッ!、と鈍い音を立てて丸まった身体が弾き飛ばされる。

私には物理攻撃は効かない筈だが、この攻撃によっても多少のダメージを受けた。

 

「『■■■■■(エルフ・ショット・レイン)』」

 

そこへアルバが何かをつぶやき、光の矢の雨が降り注ぐ。

ガガガガガ···とぶつかる度に音を立て、私の身体を削る。

 

『ヤメテ、ヤメテ』

 

とりあえずそんな声を上げてはみるものの、彼女達は聞く耳を持たない。

彼女らとのコミュニケーションを取るのは今の所不可能のようだ。

 

切り替えて矢の雨を浴びながら、攻撃が私に効く条件は何なのだろうか、と思考する。

初めてダメージを与えたのはあの光の矢、そしてあの即席モーニングスターだ。

光の矢はどう見ても魔法的なものだろう。

つまり、魔法攻撃は私に効くということだろう。

即席モーニングスターは何故だろうか。

魔法的なものというと魔法の糸を巻きつけているだけであった。

それでもダメージを与えられるとするならば、ファンタジーでよくあるように瓦礫そのものに魔力を纏わせている、という理由だろうか。

 

となると、私に効く攻撃はやはり魔法などの魔力を用いた攻撃だろう。

魔法的なものに殺されるかもしれないという私の懸念は合っていたようだ。

 

さらに、私の擬態の判別もまた魔力を利用している可能性がある。

しかし、私には魔力が知覚出来ていないので擬態で誤魔化しようがない。

 

彼女らを模倣すれば魔力の知覚が可能になるだろうか。

もし成功すれば、逃走が上手くいく可能性が高くなる。

幸い、ダメージを受けても再生が可能なので攻撃を耐えることが出来そうだ。

時間を稼ぎ、彼女らの模倣を試してみることにした。

 

「ん〜、あんま■■■(効いて)ないみたいだね〜」

「そうですね、■■■■(物理攻撃)は効かないですし、■■■■(魔法耐性)も高いみたいです」

 

矢の雨が止むと、彼女らは何やら話し合っていた。

 

「はぁ~、じゃあ、強めにいこうかな〜」

 

アルバと呼ばれた魔法少女は、深くため息をつき、そういうと、唱える。

 

「『精霊の一撃(エルフ・ショット)』」

 

───次の瞬間、私の甲殻が光によって貫かれた。

大きく穴の開けられた私の身体が崩れる。

 

「ちゃんと効いたみたいだね〜」

 

私が散らばった破片を集めようとするが、すぐさまディステと呼ばれたメイド服の魔法少女が動き出す。

 

「消えなさい」

 

流体に戻った私の身体にモーニングスターが叩きつけられる。

再び私の身体は四散する。

そう簡単には元に戻ることを許してくれないようだ。

 

愚かなことに、私は完全に彼女らを見くびっていたようだ。

その結果、今までとは比にならないダメージを受けてしまっていた。

これは時間を稼ぐだとか、ただ逃走を狙うなどしている場合ではない、このままでは死ぬことになる。

本当は避けたかったのだが、相手を傷つける覚悟が必要なのだろう。

こちらからも仕掛けなければ。

 

バラバラになった身体をそれぞれ作り変える。

多少動きの精密性は下がるものの、こんなことも可能なのだ。

モーニングスターにこびりついた私の破片はムカデやクモ、ナメクジへ、その他の飛び散った身体はバッタへと擬態する。

モーニングスターにくっついた蟲たちは、それを登って少女の手元へとまっすぐ向かう。

 

「ッ!?」

 

それに対して動揺したのか、ディステは手とモーニングスターを繋ぐ綱を切り離した。

落としたモーニングスターへバッタとなった身体達がすぐさま集まる。

 

「うわ」

 

それを見てアルバは嫌そうに声を上げた。

どうやら上手くいきそうだ。

 

一度流体状に戻りモーニングスターと地面の接地面へと移動し、腕の形を成す。

そして、それをアルバに向かって投げつける。

 

■■■■■(気持ち悪い)なぁ〜もう」

 

投げつけたモーニングスターは、地面から生えてきた木の根に貫かれ、バラバラになり、ただの瓦礫へとその姿を戻す。

そして、それらの中から、彼女へと大量の小型ムカデが降り注ぐ。

 

「えっ!?うわぁぁぁぁぁ!?」

「先輩!?」

 

アルバは青ざめ叫び声を上げた。

やはり、これには彼女も恐怖を覚えるようだ。

 

先程、身体の一部を投げつけたモーニングスターの隙間へと潜り込ませておいたのだが、どうも彼女はこちらをあまり警戒していなかったのか、気づかれずに送りつけることができた。

 

アルバは身体についたムカデ達を振り払おうとするが、ムカデ達はしがみついたり、服の中へ入り込んだりしてなかなか離れない。

それを見たディステも動揺しているようだ。

 

その隙に身体を作りかえていく。

人間の身体をベースに、脚をバッタに、手を鷹の足へ、鷹の爪の先はムカデの牙へ変え、より厚い甲殻と鱗で全身を覆い、頭部に複数の鷹の目を取り付ける。

 

「うっ···」

 

ちょうどそのタイミングでうめき声を上げ、アルバが倒れた。

小型ムカデ達の牙から体内に私の身体の一部を送り込み、動きを封じたのだ。

直に彼女の全身を巡り、血中の酸素濃度を一時的に下げることで意識が失われるだろう。

案外簡単に無力化できて良かった、これで脅威はほとんどなくなった。

 

「お前!『■■■■(ホワイトブルーム)』!」

 

自分の先輩がムカデによって無力化されたことに動揺しつつも、ディステは、ぼんやりと光る玉のような物をこちらに向かって放つ。

そして、それは私に近づくと解け、糸が私を切り刻もうとするが、その前にバッタの脚で飛び跳ね、回避、ディステの後ろへと回り込み頭部を強めに殴る。

 

「ぐぁっ!?」

 

それによってしゃがみこんだ彼女の二の腕へ指先の牙を差し込み、同じように身体の一部を送り込む。

彼女は弱くもがき、抵抗するが、その力は鷹の握力から逃れる程ではなかった。

 

「な、何を···?」

『ソノ気ハ無カッタノニ、残念ダ』

 

すでに身体の一部を彼女らの体内に送り込み、遠隔でも模倣を進められるので、もはやここにいる必要はなくなった。

脚にも身体の一部を送り込み、動けなくした後、ばらまいた小型ムカデ達を回収してその場を立ち去った。




執筆力···たったの5か···ゴミめ···
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