Mimic:模倣能力不定形型魔偽禍   作:千歳 瑠為

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更新速度上げようとすると話がゴチャゴチャになってしまう



6.Gar-gar-bird

アパートを出て、ルースト、いや、お姉さんと呼ぶべきだろうか、お姉さんと別れた後、私は図書館を探すことにした。

近くの茂みに身体を隠して大量のスズメへと分裂していく。

そして、茂みから一斉にスズメ達が飛び立ち、四方八方に散らばって周囲を探し始めた。

 

ちなみに、魔力を知覚してから知ったことなのだが、私が分裂する際には、身体の体積が分けられている訳ではなく、私の保有する魔力が分けられているようだ。

なので、分裂をすると私が持つ魔力の総量は変わらないのだが、身体一つ一つの魔力量が低下し、それに伴いあらゆるスペックが低下することになる。

 

後は、前に鷹によって捕食された際、血に擬態していて取り残された身体などは、私の身体の大部分へと転移する形で戻ってくるという性質がある。

この大部分とは、今の私には魔力量のことだということがわかっている。

そして、もし魔力量が最も多い身体が複数存在する場合、その優先度は選択ができると均等に魔力を分割したスズメ達で今、なんとなく分かった。

 

つまり、この性質を利用すれば擬似的な転移が可能となる。

ある程度の魔力量の身体を離れた場所に移動させる、あるいは設置し、それ以下の魔力量で活動しているのならそのまま、それ以上の魔力量の身体は分裂して、一つ一つの持つ魔力量を下げれば良いのだ。

 

そして、今回は戦闘が目的ではなく探索が目的なので、魔力をかなり分割しているので、一つ一つはかなり弱くなる。

しかし、今回分かった性質を利用すれば、戦闘時には均等に魔力を分割しているスズメ達からいつも通りに戦えるということだ。

 

良いことを知れたと思いながら、図書館の捜索だけでなく、周辺のあらゆるものの模倣もする。

今までは生物の模倣ばかりしていたが、私が水や服に擬態出来たことを考えると、金属や人工物さえも模倣できる筈なのだ。

金属の材質や機械の機構を私に取り込めれば選択肢が広がる。

このことは今更思いついたのだが、もっと早く思いついてお姉さんのアパートに居た時にそういったものを模倣するべきだったと少し後悔していた。

 

私はスズメ達から得られた大量の模倣データなどを処理しながら一匹一匹に意識を向け、捜索を続けた。

 

あっ、一匹鷹に攫われた。

 

 

 

 

しばらく捜索と模倣を続けていると、目的の図書館を発見することが出来た。

ただ、私が見つけたものはそれだけではなかった。

 

魔偽禍(マギカ)が出たぞ!!逃げろ!」

『Gaaaa···Gaaaa···』

 

それはアヒルのおもちゃに魚の特徴を付け足したような、魔偽禍と呼ばれるらしい奇妙な怪物だ。

具体的には、アリゲーターガーのように鋭い牙が生えた長い口がくちばしに置き換わっており、目は魚のもの、羽もまた魚のヒレに、全身は羽毛の代わりに黄色い鱗に覆われている。

そして、その身体はカエルアンコウのような足の役割をしている4つのヒレに支えられている。

大きさは大体4m程度だ。

 

急に人々が逃げ出し始めたので何かと思えばこれが居たのだ。

今は、逃げ出した人々の集団をそれよりも少し遅いぐらいの速度で追い掛けている。

近くに居たスズメ達を集め、この奇妙な魔偽禍の監視に回す。

 

私が倒しに行っても良いのだが、魔法少女達に気づかれるというリスクもある。

全員が逃げ切ってくれれば、魔法少女が来るまで監視するだけに留めよう。

 

その様子を少しの間観察していると、魔偽禍がその長い口を開き、斜め上を向いた。

グツグツと水が激しく沸騰するような音が喉から聞こえる。

喉には魔力が集まっている。

 

魔力量的に人が即死することは無い筈だが、こんなことならさっさと様子見などせずに始末すれば良かった、と自分の保身的な行動を早々に後悔した。

 

そして、魔偽禍が下を向き、勢い良く大量の泡が吐き出される。

濁流のように押し寄せる泡に、逃げる集団の最後尾となってしまっていた、焦げ茶とミントグリーンの混じった髪の少女が巻き込まれてしまう。

 

「きゃっ!?」

 

泡に巻き込まれると、少女は足を滑らせて尻餅をつき、立とうとしても滑って立てないといった状態になってしまった。

そんな少女に魔偽禍が狙いを定めた。

 

「ま、待って!ねぇ!待って!置いてかないで!助けて!」

 

少女はそんな声を前を走る集団に向かって上げた。

それに気づいた人々は振り向き、足を止めるが、滑る泡とすぐそこまで迫って来ている魔偽禍への恐怖からか立ち往生している。

少女は身体を震わせて涙を流す。

その表情は絶望に染まっていた。

 

私の行動は決まった。

怪物を監視していたスズメの一匹が近くの茂みへと飛び込む。

そのスズメは自身の魔力量を増やしながら、その形を人型へと変えていく。

 

一瞬、少女の姿で力を抑えて助けに行けば、魔法少女に出くわしても気づかれることを防げるかと思ったが、そんなことをして人を死なせでもしたら目も当てられない。

 

前に魔法少女と戦った時のような姿へと変化する。

強さ的には大した魔力量でなく、私が戦えば瞬殺できるとは思うが油断は出来ない。

バッタの脚に鷹の翼、ダンゴムシの甲殻の上から魚の鱗が全身を覆い、頭部は渦巻くように生えた鱗の上から付いた鷹の目達が全方位を見つめている。

 

魔法少女に擬態するのもありかと思ったが、魔法少女の魔力の特徴がはっきりと掴めていないので、魔力面での擬態がまだ難しい。

それと、肉体の変形などを制限して戦う必要があるので、私の強みを活かしきれなくなる。

後は、魔法少女に何らかの資格が必要だった場合、それで犯罪者扱いされるのも面倒だからだ。

 

私は茂みから飛び上がると、少女を食らわんとする魔偽禍の頭へと狙いを定め急降下した。

さらに、使えるようになった魔法で風を起こし加速。

右手を魔偽禍の頭を鷲掴み出来るほどの大きさの鷹の足へと変える。

 

そして、勢い良く突き出された私の手が魔偽禍の頭を捉え───ブチッ!!

 

その瞬間、私が魔偽禍に突っ込んだ勢いにより、そのまま頭が引き千切られた。

さらに追撃を仕掛けるつもりだったが、拍子抜けといった感じだ。

 

魔偽禍はそのまま動き出すことなく塵となっていく。

この塵の正体は散っていく魔力のようで、それらは私の中へと吸い込まれていった。

 

私の持つ総魔力量が人間10人分ほど増加した。

それと、あの魔偽禍は身体を構成する魔力が設計図としての役割も果たしているようで、それを大量に取り込んだことでほぼ完全な模倣が可能となった。

 

ちなみに、私の身体を構成する魔力は能力の性質上なのか、特定の設計図となるものを持っていない。

なので、あの推定同族である魔偽禍の魔力がそのような性質を持っているとは知らなかった。

魔偽禍を倒すことは人を助ける為だけでなく、私も強くなれるという利点があるようだ。

 

そんなことを考えながら、私は泡が纏わり付いた状態でへたり込む少女に目を向ける。

 

「ひっ···」

 

少女は先程の魔偽禍よりも恐ろしいものから複数の目を一斉に向けられた恐怖からか、小さく悲鳴を上げた。

···悪いことをした。

心の中で少女に謝る。

 

それはさておき、私にはやらないといけないことがあった。

潤滑性の高い泡だらけで、今の彼女はまともに歩くことも出来ないだろう。

模倣した魔偽禍が足ヒレの部分で発動していた、自身が出した泡を消す能力を使い、少女とその周囲の泡を消滅させる。

 

「あっ···」

 

少女を含め周囲が唖然としている中、私は身体を霧のように分裂させて、私の中に集めないでおいたスズメ達にその魔力を分配することで、その場を速やかに去った。

 

今回、最初にした様子見については、最悪の場合人が死ぬ可能性もあったので、反省しなくてはならない。

 

さて、問題も解決した、早く図書館へ行こう。

私は図書館に最も近い場所にいるスズメに意識を向ける。

そのスズメが物陰に隠れてから少女の姿となり、図書館へと歩を進めた。




主人公の現在の戦闘形態の頭のイメージはブルアカのベアトリーチェの目を鱗っぽくしたのが頭全体を覆っているイメージですかね

皆さんのコメントが温かくて感動しました
返信が『ありがとうございます』だけなことがよくあると思いますが、しっかりと読ませていただいてます
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