覇王転生~西楚の覇王のセカンドライフ~   作:けもっち

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投稿遅くなってすいませんm(__)m
今後も亀更新の場合もありますが完結まで頑張りますのでよろしくお願いします♪


項羽拾われる

「こ、ここは……」

 

 

太陽が沈もうとしている頃、その男は目覚めた。

 

「私は生きているのか……」

 

元は美しかったであろう銀の鎧は血に塗れ、純白の外套も朱に染まっている。

 

全身に感じる鈍い痛みに耐えながら彼は重い身体を起こし、ふと確かめるように自らの首筋に手をやった。

 

「傷がない…。」

 

おかしい…。

 

私は自ら首を斬り、命を絶ったはず

 

というよりも……

 

「ここは何処だ?垓下ではないようだが……」

 

見渡せば辺り一面荒野が広がっていて、ずっと向こうに街があるのが見えた。

 

「とりあえず、街のほうに……」

 

「キャーッ!」

 

項羽は立ち上がり歩を進めようとすると耳をつんざくような声が聞こえた。

 

振り返ると岩の物陰に四つの人影があるのを確認した。

 

「………。」

 

どうやら賊らしき三人の男が一人の若い女の子を囲み下卑た笑みを浮かべているようだった。

 

そこに不穏な空気を感じた項羽は重い身体に鞭を打ち三人の背後から近寄ることにした。

 

 

 

「それを返して!!」

 

「やーなこった。おいデブ!そいつを抑えとけよ」

 

「なぁアニキ、その剣よく見せてくれよ。」

 

「まぁ慌てるなチビ。先にその女をくれてやばばばばばばばばば」 

 

「「アニキ!!」」

 

項羽はリーダーらしき背の高い男の首を掴み身体ごと持ち上げたのだ。

 

「お前ら、いったい何をしているのだ?」

 

彼は鬼の形相で睨み付けると二人の男は蛇に睨まれた蛙の如く、体を震わせるばかりでまったく動かせずにいた。

 

「お、おばえら……びでだいで…だ、だずげ…」

 

「「………」」

 

リーダー格の男が苦しそうに助けを求めるが二人は顔を真っ青にして応じなかった。

 

いや、応じることができなかったのだ。

 

「どうした。お前らの仲間が苦しそうにしているぞ。」

 

ニヤリと笑いながら問いかけると二人は自らの首をさわさわと手で触れ、息苦しそうに口をパクパクし始めたのだ。

 

それはまるで首を掴まれた男の感覚を二人が共有しているかのようであった。

 

「ふん……」

 

その様子に項羽は興味が失せるとその手に掴んでいた男を放り投げると同時に手下らしき二人の男も苦しみから解放されたかのように息をしていた。

 

「これに懲りたら二度とつまらんことをするな!今度またこのようなことをしていたら殺すからな」

 

「「は、はぃ~……」」

 

二人は気絶していた男を担ぎ上げ何処かへと足早に去っていった。

 

「大事ないか?」

 

「は、はい!ありがとうございました!おかげさまで大事なものもこうして取り返すことができました。」

 

「そうか。と、ところで…お、おぬしに……き……きたい…こと……」

 

「しょ、将軍さま!大丈夫ですか!」

 

項羽は薄れゆく意識のなか、将軍さまと叫び、あたふたしている少女を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ~ん、そんなことがあったのね」

 

「はい、この方が助けて頂いたおかげで無事にここまで来れました。」

 

「それでこの人の名前何て言うの?」

 

「いえ、それが……聞く前に倒れてしまったので」

 

「まぁ無理もないわね、あんなに血だらけだったもの。それにしてもあの鎧見たこともないわね。型は古いものみたいだったけど錆びなんてないぐらいキレイだったし」

 

「孫堅さま、彼が目を醒ましました。」

 

「はいは~い♪今行くわよ。」

 

「あっ!待って下さ~い!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………。」

 

重い目蓋を開けると知らない天井がそこに広がっていた。

 

どうやら私は気を失ったらしい……。

 

「おはよ~♪……大丈夫?」

 

褐色の肌に紫のキレイな髪をした女性が、笑顔で小さく手を振っていた。

 

「………。」

 

「ちょっと~、聴こえてる?」

 

「…ああ、すまない。ところでここは」

 

「ここか?ここは江東にある私の屋敷だ。」

 

瞬間、私の全身にのし掛かっているような気だるさは吹き飛んだ!

 

「……江東だと!?」

 

「ひゃっ!」

 

「こらっ!いきなり大声出さないの!」

 

「ここは江東で間違いないのだな!?」

 

「ええ、そうよ。」

 

そうか…何の因果か知らんが私は生きて江東の地にいるのだな

 

「貴方、なぜ泣いてるの?」

 

言われて気付き妙な気恥ずかしさを感じたが、ごまかすかのように痛みが激しくなっていく。

 

「ほらほら無理しないで」

 

「これ…くらい大丈夫だ」

 

「あ、あの…将軍さま!」

 

聞いたことのある声がしたので見てみると後ろの方に私が助けた少女がいた。

 

「お前は先ほどの…」

 

「はい!私は張勲と申します。賊から助けていただいてありがとうございます。」

 

「私からも礼を言うわ。この子を助けてくれてありがと。私は孫堅、字は文台よ。よろしくね♪」

 

「そうか。無事でよかった。孫堅殿、私も助けて頂いた身ゆえ礼など不要です。」

 

「分かったわ。ここはお互い様ってことね。…ところで貴方って何者なの?」

 

孫堅と名乗った女性は私を見定めるような視線で私を見る。

 

張勲はともかく先ほどから全く隙を見せない彼女はおそらく只者ではないのだろう。

 

「これは、私とあろう者が礼を失するところであったな。……私の名は項籍、字を羽という者だ。」

 

 

「「…………。」」

 

なぜ黙る

 

そうか、世に私を知らぬ者はいない。

 

私のことを知れば殺しにかかるか、また王に担ぎ上げるのどちらかだろう。

 

ここが真に江東であれば殺されるようなことは無いと信じたいが、それも分からない。

 

とりあえず言えることは、また争いの日々に戻るということ。

 

迂闊だった。

 

私は相変わらずのこの性格を心から呪った。

 

「あははははっ!」

 

こいつは予想外だった

 

まさか笑われるとは思ってもみなかった。

 

しかし振り返れば私は数々の愚行をしてきた。

 

叔父上や范増、部下たちの忠言をことごとく無視し、私は圧倒的優位に立っていながら劉邦の奴に最後はやられたのだ。

 

笑われても仕方がない…そう思い屈辱に耐えていると一振りの剣がつき出された。

 

「項羽は剣で負けたことが無いと聴く。この剣で私に勝ってみせよ。なればお前の言うことを信じてやる。」

 

「……よかろう。もし私が負けたらこの頸を孫堅殿に差し出そう。」

 

 

 

 

こうして明後日の朝、私と孫堅殿の手合わせが決まった。

 

 

 

 




今回は孫堅と七乃の初登場回でした
次回もよろしくお願いします♪
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