フラガとか聞いてない   作:もう何も辛くない

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PHASE104 天帝の摂理

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 分離式統合制御高速機動兵装群ネットワーク・システム─────通称ドラグーンは、プロヴィデンスを象徴する武装といっていい。

 操るには人並外れた空間認識能力を求められるこの武装を、クルーゼは手足を扱う様に操ってみせる。

 

 九門のビーム砲を備えた大型タイプが三基、二門のビーム砲を装備した小型タイプが八基。周囲を飛び交う全端末、合わせて計四十三門にもなる砲門がゼノスへと波状攻撃を仕掛けてくる。

 

 視線を巡らせ、限界にまで張り詰めた神経で周囲の空気を察知し、機体を細かく動かしていく─────全周囲からのオールレンジ攻撃を抜け出し、ビームライフルでプロヴィデンス本体へと牽制を掛けながらドラグーンの群れから一旦距離を取る。

 

『ほぉ?初見でこの攻撃を躱し切るとは、流石と言っておこうか!』

 

「このっ…!」

 

 クルーゼの哄笑が不意に耳朶を打つ。それに明確な答えを返さないまま、機体を操って反撃に出る。

 

 ビームサーベルを振り翳し、斬り掛かる。ゼノスの斬撃を掻い潜る様にしてプロヴィデンスが躱すと、兵装システムからゼノスを上回る出力を誇るビームサーベルを展開して振り下ろす。

 斬撃をガントレットで受け流し、直後にプロヴィデンスが構えたビームライフルの銃撃を後退する事で回避しながら、今度は銃撃と同時に分離したドラグーンの対応に追われる。

 

『見たまえ、ユウ。見事な光景とは思わないか?』

 

「何がっ…!」

 

『今、我々がいるこの場所だよ。この宇宙を覆う憎しみの渦!正にこの場所こそ、その中心点だ!』

 

「ふざけた事を抜かしてんじゃねぇッ!」

 

 ゼノスの機動力を以て包囲網を振り切ると、今度は前方から十一基のドラグーンが一斉にビームを斉射する。

 機体を後退、ビームの間を縫いながら反撃の機会を窺うゼノスへドラグーンのビームに加えてプロヴィデンスのビームライフル、防盾兵装に備わったビーム砲の射撃が撃ち掛けられる。

 

 機体を飛び回るドラグーンの群れに向き直らせ、スキュラを放つが、ビームを撃ち込んだ途端にそれらは散開してゼノスのビームを避ける動きを取る。

 

「っ─────!」

 

 俺の意識が僅かにドラグーンの動きへと逸れた時だった。

 

 プロヴィデンスが背後に回り込む─────一閃を辛うじて避け、しかし直後に迫る蹴りを受けて機体が後方へと吹き飛ばされる。

 

 そこに待つのは、すでに配置が完了したドラグーンの包囲網だった─────。

 

 ビームが一斉に放たれる寸前、スラスターを吹かして離脱を試みる。結果は功を奏し、放たれたビームの内一条が、ゼノスの左脚を灼くのみにダメージを留める事が出来た。

 

『ナチュラル如きと見下し、コーディネイターが羨ましいと妬み、初めは小さな渦だった憎しみは、全てを巻き込み渦を巻き続けた!その果てが今、この状況だ!』

 

 ジョージ・グレンの独白によって刻まれた歪は、クルーゼの言う通り最初はほんの小さなものだったに違いない。

 それが次第に形を変え、大きくなり、いつしか世界中の人達を巻き込む今の戦争へと発展してしまった。

 

 それは紛れもなく、クルーゼの言う通り人の底知れない憎悪によって引き起こされたもの。

 

 クルーゼは常に人の業を見続け、人の闇に触れ続けて来た。彼が人という生き物に絶望するのも、仕方がないのかもしれないと俺自身、考えてしまう部分はある。

 だが、クルーゼはソレ()()を見つめ、ソレこそが人の本質だと決めつけてしまった。

 

『滅ぶべくして滅ぶのだ!こんな醜い世界など─────存在する価値もない!』

 

 オールレンジからの波状攻撃を抜け出したゼノスへと肉薄したプロヴィデンスが、ビームサーベルを出力し、ゼノスの肩口から袈裟斬りに斬撃を振り下ろす。

 

「お前にとっては()()でも─────俺達にとっては()()じゃないんだよ!」

 

 刃の切っ先がすぐそこまで迫ったその時、ユウの中で何かが弾けた。

 

 研ぎ澄まされる集中力、クリアになる視界─────跳ね上がった反応速度に導かれ、ゼノスがユウの意を受けてその身を動かす。

 

 持ち上がる左腕、同時に翻る機体。上手くプロヴィデンスから向けられる力を受け流し、斬撃を捌くと同時に敵の斬撃範囲からの離脱に成功する。

 

『チィッ!』

 

 ゼノスを仕留め損ね、悔恨に舌を打ちながらもクルーゼはドラグーンを飛ばしてゼノスを追う。

 

「大切な人達がいる!愛する人達がいる!俺にとっては価値ある世界なんだ!」

 

 ドラグーンから放たれるビームに対し、ユウはビームサーベルを振るって弾いていく。

 

「誰であっても壊させはしない─────お前の道連れにされるなんて、以ての外だ!」

 

 小型のドラグーンがビームの弾切れを起こし、バックパックへと戻る動作を取る。

 当然激しく撃ち掛けられたビームは勢いを落とし、その隙にユウはもう一方の手でビームライフルを取り、プロヴィデンスの元へと戻っていく端末を狙い撃つ。

 

『っ─────!』

 

 放ったのは四射、その内の二射は端末を貫き、残りの二射は寸での所で空を貫く。

 

『何と言おうと結果は出ている!人の末路はすでに決した!無駄な足掻きは止めて、大人しく死んでもらえると助かるのだがね!?ユウ!』

 

「結果?いつ、どこでそんなものが出てるっていうんだ!まだ俺はここに居るぞ、クルーゼ!」

 

 ゼノスの動きを追う毎に精度を増していくクルーゼの射撃と、ビームの嵐に晒されながらも次第に洗練されていくユウの機体捌き。

 

 砲火を交わし、時にぶつかり、かと思えば離れて再び砲火を交わす─────この二人の戦いに、最早誰も入り込む余地はなかった。

 ただ全てを置き去りにしながら、ゼノスとプロヴィデンスの二機は交錯を繰り返すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 連合の、ザフトの、同盟軍のモビルスーツが交錯して撃ち合う。そしてアークエンジェル、ドミニオンが先頭に立ち主に地球軍の艦隊と、エターナルとクサナギはヴェサリウス他二隻のザフト艦と激しく撃ち合い続ける。

 秩序も何もない、三勢力が混じり合った大混戦─────その様相をしばらくの間、黙って見つめていたラクスが口を開いた。

 

「バルトフェルド艦長。クサナギと共に、全ての火線をヴェサリウスに集中してください」

 

 ラクスの口から出た冷静な命令に目を瞠り、一部のクルーは思わずといった様子で振り返る者もいた。

 

「あの艦を突破して、現宙域を離脱しましょう」

 

「そんな!?あれに向かってったら、三隻からの集中砲火に晒されますよ!?」

 

 その言葉に驚き、声を上げたのはオペレーター席のダコスタだった。

 

「でも突破できれば、追撃される可能性は低いわね」

 

 ダコスタの反論に対し、ラクスの肩を持つ反論をしたのはアイシャだった。

 

「大体、ダコスタ君はあっちを突破できると思う?」

 

「それ、は…」

 

 ザフトの数を上回るモビルスーツと戦艦、アークエンジェルとドミニオンが奮闘しているが、未だ突破の余地は見られない。

 対してラクスの言うザフトの方はというと、言うまでもなくモビルスーツの数は地球軍に劣る。突破のしやすさであれば、まずこちらだろう。

 

「このまま馬鹿正直に戦い続けても、私達は消耗するばかりだわ」

 

「うっ…」

 

「…決まりだな」

 

 アイシャの追撃にただ言葉を詰まらせる事しか出来ないダコスタと、他のクルーから反論が出ない所を見たバルトフェルドが、ニヤリと笑みを浮かべながら口を開いた。

 

 他三隻と回線を繋ぎ、バルトフェルドの口からラクスが提示した作戦について提案する。

 三人の艦長が一様に驚愕の表情を浮かべるも、リスクを伴いながらも成功した時のリターンの大きさを同時に理解する。

 

「アークエンジェルとドミニオンはその場から離脱出来そうか?」

 

『可能です。ザフトの乱入で、こちらへ向けられる砲火の勢いは弱まっています。むしろ今こそ好機かと』

 

「それは好都合」

 

 バルトフェルドの問い掛けに間髪置かずにナタルが答え、かつて砂漠の虎と呼ばれた男は獰猛な笑みを浮かべる。

 

『信号弾はこちらで打ち上げます』

 

「任せる。モビルスーツの撤退が出来次第、突破を図るぞ!」

 

 艦長達が深く頷きを返したのを見て、バルトフェルドもまた同じように頷き、意識を目の前の戦闘に集中させる。

 

 一つの方向性が決まり、クルー達が心を一つにする中─────バルトフェルドの背後で、たった一人彼らとは別の方へと意識を向ける者がいた。

 

 純粋な憎悪と、破壊への衝動─────このどす黒い負の意志にラクスは覚えがあった。

 

 ─────ラウ・ル・クルーゼ…!

 

 そしてどす黒い気配の近くには、温かくも心地よい気配もまた同時に感じられた。

 二つの気配は激しくぶつかり合う。まるで魂を削り合うかの如く─────

 

「ユウッ!」

 

「なに?」

 

 咄嗟にラクスは叫び声を上げていた。背後からの突然の大声にバルトフェルドは振り返り、珍しいラクスの焦りの声に嫌な予感を覚えたのか、ダコスタに命じてゼノスの位置を探らせた。

 

 エターナルのモニターに光学映像が映し出される。

 そこには、白銀の機体と激しく交錯を繰り返しながら、周囲を取り囲む謎の兵器から逃れ続けるゼノスの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「速いっ…!」

 

 シールドを前面に構えながら、キラは必死にリベルタスのスピードに食らいついていた。

 

 ヴォワチュール・リュミエール展開時のリベルタスは、ゼノスの最高速度をも凌ぐ─────しかしそれを、世界に類を見ない反応速度を誇るキラは、的確に相手の攻撃を捌き続けていた。

 

 さしものキラも防戦一方だが、戦い続ける内に、光の翼を広げていられる時間は限られているのだとすぐに悟る。

 恐らく展開中は相当にバッテリーが削られるのだろうと結論付け、とにかく今は防御に徹して耐え続ける。

 

 やがて、バッテリーの消費を嫌い、光の翼を解除した時こそ反撃の好機─────その時はキラが思っていたよりも早く訪れた。

 

 フリーダムに斬撃を防がれたリベルタスは、速度を緩めないまま交錯─────フリーダムと距離を取ってから、遂に光の翼を解いた。

 それを見たキラは、即座に機体の両翼部、両腰のバラエーナとクスィフィアスを展開し、右手に握ったライフルと合わせて全五門の砲門をリベルタスへと向ける。

 

 トリガーに指を掛け、力を込め─────引く事が出来なかった。

 

「っ…」

 

 脳裏に過る友の顔。ヘリオポリスのキャンパスで、まるで大輪の花のように、艶やかに笑っていたフレイの顔が過り、キラの中で躊躇いが生まれる。

 

『もらった!」

 

「!あぁっ…!?」

 

 躊躇いは思考を止め、脳裏を過ったフレイの笑顔は視界を狭め、結果リベルタスからの攻撃に対して反応が遅れる。

 背後に接近していたリベルタスがフォティアを放ち、ビームはフリーダムの背面に当たり左翼を吹き飛ばした。

 

 更に左翼が吹き飛んだ衝撃をまともに受けたフリーダムは大きく体勢を崩し、錐揉みしながら宙を彷徨う。

 今のフレイは、それを決して見逃そうとはしなかった。

 

『死になさい─────』

 

 フレイもまた、トリガーに指を掛けていた。照準はロックされ、後はトリガーを引けば憎きコーディネイターの一人の命が散る。

 これで復讐の成就へとまた一歩、前進する筈だった。

 

『─────?』

 

「…フレイ?」

 

 キラもまた、フレイに撃たれて身を灼かれる覚悟をしていた。しかし、いつまで経ってもその身を襲わない灼熱─────キラが視線を向けた先では、フォティアを構えたまま動かないリベルタスがあった。

 

『なんでよ…、なんで動かないの!?』

 

「フレイ…!」

 

 心の底から戸惑っている様子のフレイ。その様を見聞きしながら、キラは確信を持つ。

 

 自分の事を忘れ去った訳ではない─────頭で思い出す事は出来なくとも、フレイの心にはまだ自分達がいる。

 だからこそ今、彼女は自分を撃てないまま動けないのだ。

 

「思い出して!皆、フレイが帰ってくるのを待ってるよ!」

 

『みん、な─────?』

 

「サイも、ミリアリアも、トールも!私も─────ユウも!」

 

 自身の呼び掛けに呆けた声を漏らすフレイへ、キラは続けて仲間達の名前を叫ぶ。

 

 かつての婚約者と、友の名前と、そして多分、記憶を失う前は想いを向けていた人の名前。

 

 フレイにはどう聞こえたのか─────リベルタスは変わらず、フォティアを構えたまま動かない。

 

『何やってやがる!』

 

「『っ─────!」』

 

 二人の間に流れる沈黙を裂き、少年の声が割り込んでくる。

 同時にフリーダム目掛けて射し入る光に反応したキラは、フットペダルを踏んで機体を上昇。寸での所で、カラミティが放ったシュラークを回避する。

 

『キラッ!』

 

『チィッ…!』

 

 キラの危機に反応したのはカナードだった。更にフリーダムへ追撃を仕掛けようとするカラミティへ、ハイペリオンがフォルファントリーを撃ち放つ。

 

 カラミティは堪らずフリーダムへの追撃を止め、回避行動へと移り、今度はハイペリオンと撃ち合いを始める。

 

『ハァァァアアアアアアッ!』

 

「くっ…!」

 

 カラミティの次はフォビドゥンだった。バックパック先端部よりフレスベルグが放たれ、フリーダムを襲うもキラは上手く曲射するプラズマ砲をやり過ごし、ニーズヘグを構えながら迫るフォビドゥンと向かい合う。

 

 大鎌による斬撃をシールドで受け流し、同時に体勢が流れていくフォビドゥンへバラエーナを撃ち放つ。

 しかし素早く反転したフォビドゥンの装甲の展開が間に合い、ビーム砲は明後日の方向へと逸らされてしまう。

 

 フリーダムとハイペリオン、カラミティとフォビドゥン。そして、硬直から立ち直り動き出すリベルタス─────再び混戦が始まるかと思われたその時だった。

 

「!?」

 

『信号弾だと!?』

 

 二人はアークエンジェルから打ち上げられる信号弾を目にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アークエンジェルの艦橋から見る限り、作戦は順調に進んでいるように見えた。アークエンジェルとドミニオンの反転は成功し、エターナルとクサナギに続き、後は前方のヴェサリウスを突破するだけだ。

 

 信号弾に従い、モビルスーツがそれぞれの乗艦へと戻っていく。

 地球軍のG兵器と激しく交戦をしていたフリーダムとハイペリオンも、相手を牽制しつつその位置から最も近かったアークエンジェルへと向かってくる。

 

 尚も追従してくるG三機だが、フリーダムが振り返りフルバーストモードへと移行─────全砲門が一斉に火を噴かし、追従するG三機を襲う。

 リベルタスは素早い機動で躱し、フォビドゥンは装甲を展開してビームを逸らすが、機動力にも防御力にも乏しいカラミティはそうはいかなかった。

 回避する事も防ぐ事も出来ず、右腕部を貫かれ、左脇を抉られる。それに気付いたリベルタスが、追撃を止めてカラミティを回収した。

 

 そのままリベルタスはカラミティを抱えて母艦へと戻っていく。フォビドゥンもそれ以上はキラ達を追わず、リベルタスとカラミティに続いて退いていった。

 

 フリーダムとハイペリオンがアークエンジェルの甲板に着き、いよいよ艦隊の砲門がヴェサリウスへと向けられようとした。

 

「ダメだ、マリュー!まだユウが離脱出来てない!」

 

 医務室で手当てを受けた後、じっとしていられずに艦橋へとやって来ていたムウが声を上げた。

 

『ゼノスはまだか!?』

 

 開かれた回線からは、バルトフェルドの焦る声が聞こえてくる。

 

 そう─────他のモビルスーツの撤退が終わった中で唯一、未だゼノスだけが撤退を完了していなかったのだ。

 

「クルーゼ…!」

 

「っ…、ゼノスの位置は!ユウ君に撤退を呼び掛けて!」

 

 焦燥に満ちた顔で、苦々しくムウが口にしたその名に悪寒を覚えながら、マリューがミリアリアへ命じる。

 

 機器を操作し、ミリアリアが必死にゼノスへと呼びかけを行う─────が、返って来る答えはない。

 

「ゼノス、敵モビルスーツと戦闘中です!しかし、これは─────っ、映像出します!」

 

 サイが艦橋のモニターに映像を読み起こす。

 

 画面には、激しく展開される戦闘が映し出された。

 

 白銀のモビルスーツと交錯を繰り返すゼノス─────瞬間、パッと白銀の機体から無数の何かが射出された。

 大型と小型の、何かの端末か─────皆の頭に疑問符が浮かぶ中、それはゼノス目掛けてビームを吐き出した。

 

 雨が降りしきるかの如く撃ち掛けられるビームを体勢を変え、位置を変え、まるで撃ってくる場所が分かっているかのようにゼノスは回避していく─────。

 一斉掃射、波状攻撃、様々なタイミングで迫るビームを躱し、弾き、そして隙を見つけてゼノスは射撃で端末の一基を撃ち落とす。

 

「ユウ…!」

 

「援護できる?」

 

「ダメだ…。あの展開の速さじゃあ、却ってユウの邪魔になっちまう…!」

 

 心配そうに映像を見上げるサイに問い掛けたマリューだったが、その問いに答えたのは傍らのムウだった。

 

 端末の一基を落とし、それを隙と見て離脱しようとするゼノスだったが、その前方を塞ぐようにビームが放たれ離脱に失敗する。

 

 再度繰り返される二機の交錯─────戦いは何もかもを置き去りにしてしまう程に凄まじく、それでも尚、次第に苛烈さを増していく。

 そこには最早、誰にも張り込める余地はないようにさえ思えた─────。

 

『私が行きます!』

 

『バルトフェルド艦長。ミーティアの照準を、私に任せて頂けますか』

 

 ただこの二人だけ、愛する人を引き摺ってでも連れて戻ると、諦めるつもりは毛頭なかったらしい。

 

 キラとラクスの揺るぎない意志に固まった声が、艦橋に確かに響き渡ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




信じられるか?これ最終決戦じゃないんだぜ?
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