グリーンランドの地球軍司令本部の、海中に面した会議室に軍の首脳達が集められていた。
会議室の巨大モニターにはとあるデータが映し出されており、皆が一様にその内容を見上げて目を通していく。
「
自身に浴びせられる賞賛の言葉に、この会議を開いた側として参加していたジブリールは得意げに顔を輝かせる。
「しかし─────」
それもすぐに、賞賛を掛けた首脳の一人が躊躇い、隣の者の顔を窺うのに気付き怪訝な顔へと変わる。
ジブリールが周囲を見回す中で、隣から向けられた視線で意見を求められているのだと察した首脳が口を開く。
「うむ…核で総攻撃、というのはな…」
言葉を濁しながら、弱々しく発せられた意見に賛同する言が次々に挙げられていく。
「それよりも、深刻になっている地上のエネルギー問題を解消する事が先決なのではないかね?」
「このままではユーラシアのみならず、我が国も冬には凍死者を─────」
何だ、それは─────!
まるで問題を先送りにするように、ぼそぼそと議論を続けている彼らに対して燃え上がる怒りに逆らいもせず、ジブリールは両手で激しく机を打った。
直後、ハッキリしない様子で意見を言い合っていた彼らは一瞬体を震わせてから音のした方─────ジブリールの方へと恐る恐る視線を向ける。
「この期に及んで何を仰るかと思えば…!撃たなきゃ勝てないでしょう!?敵はコーディネイターなんです!徹底的にやらねば!」
何を躊躇っているのか。人間同士が戦っているというならともかく、相手は
それを撃つ事に何故躊躇う?どこに躊躇う必要がある?
「核は持ってりゃ嬉しいただのコレクションじゃない。強力な兵器なんです。高い金をかけて造ったのは飾る為ですか?否、使う為でしょう!」
いつもそうだ。何かがある毎にこの愚かな老人達は、他の者のせいにして問題を躱そうとする。こいつらに任せておいては、いつまで経っても戦争なんて終わりはしない。
その点、かつてのアズラエルは違った─────自分を見下すあの態度こそこの上なく気に入らなかったが、徹底的にコーディネイターを叩くその姿勢は見事だった。
それがいつしかアズラエルもまた、この老害共と同じになってしまった。宙に浮かぶ動く廃棄物をいつまでものさばらせ、好き放題に動き回らせている─────ふざけるな!
どこの誰に唆されたかは知らないが、自分はそうはならない。あんな百害あって一利なしのごみ共はキチンと掃除しなければならない。ごみを放置し、庭を汚いままにしておくというだらしない真似を、このロード・ジブリールは犯さない。
だから、撃たねばならないのだ。
「だが、この設計図を送って来たという
「だから我々の方でもすでに検証はしていると申したでしょう!正真正銘、我々は勝つ為の切り札を手に入れたのですよ!」
ジブリールにとっては愚鈍な老害共だが、今挙げられた意見に関してのみその気持ちは分からないでもなかった。
彼とて同じ立場であれば、顔も名前も知らない何者かから送られてきたデータなど、信用出来る筈もないだろう。
しかしだからこそ、慎重に検証を重ね、そうして問題ないという結論を得たのだ。
仮にあのスポンサーに何かしらの企みがあったとしても、問題はない。核という絶対的な力を手に入れた今、敵など存在しない。
こちらを利用するというのなら、逆に利用してやろう。こちらへ牙を剥くというのなら、他愛もなく蹴散らしてやろう。
そう─────何者にも汚させてなるものか。この清浄な大地を─────自分の庭を汚す者は、皆等しく滅ぼしを与えてやる。
「さぁ、早く終わらせてやりましょう。こんな下らない戦争を」
無造作に下される決定に、誰も反対意見を口にはしなかった。
「ボアズへの進攻が始まっただと!?」
ざわつくブリーフィングルームへ、イザークとディアッカが飛び込む。
彼の部下の一人、二人と同じ赤服を身に纏った少女兵─────シホ・ハーネンフースが振り返り、「隊長」と近付いてきた。
ボアズとヤキン・ドゥーエ、プラントの前面にはこの二か所の防衛拠点が築かれている。地球軍艦隊はこの一方、ボアズに向かっていた。
エターナル追撃の任を解かれたイザークは軍司令本部に配属され、部下を与えられて自分の隊を持つようになった。
同じく同時期に任を離れたディアッカを副隊長とし、更にシホ・ハーネンフースを初めとした部下達を集めてジュール隊を結成。
かつて夢見た隊長という立場に立つ事が出来たイザークだが、それを喜ぶ心のゆとりは今の彼にはなかった。
「随分と動きが早ぇな」
「…あぁ」
隣に立つディアッカが思案顔で呟いたのに対し、イザークも同調して頷いた。
地球連合軍のプラント本国への進攻は兼ねてより予測されていたが、まだその機ではないというのが大方の見方だった。
それだけに此度の進攻を受け、ブリーフィングルームに集まった兵士達の顔には混乱と緊張が浮かんでいる。
「くそっ、ナチュラル共め!」
「状況は…敵の規模はどのくらいなんだ…?」
口々に罵りや疑問を口にする隊員の中から一人、イザークへと問い掛ける者がいた。
「隊長、我々も出撃ですか?」
「落ち着け。命令が出るまでは待機だ。まだ状況も分からないのだからな」
現状、ジュール隊へボアズへの支援に向かえという命令は下されていない。現状彼らに出来るのは、この場で待機をする事のみなのだが─────。
「しかし万が一、ボアズが陥とされたら…」
「ボアズが陥ちる筈がないだろう!」
入隊したばかりの新兵が不安そうに言い掛け、イザークは思わず怒鳴りつけた。
新兵が縮み上がりながら身体を震わせたのを見て、イザークは自身の短気を少し後悔する。
「落ち着けよ、イザーク」
「…分かっている」
「第一、待機するだけ無駄かもしれないぞ。ボアズの方から、俺達の助けなどいらないって言うだろうしな」
ただでさえ浮足立っている新入りを脅しつけてどうするのだと、自分を責めるイザークの横ではディアッカが軽い調子で言う。
他人に配慮をするという事が苦手なイザークに対して、ディアッカは意外にも他人をよく見ている。それに元々持ち合わせている社交的な性格と、ディアッカには本当に助けられている。本人には死んでも口にはしないが…。
隊長に任命されこそしたが、こうして彼の所作を見ていると自分は人の上に立つのに向いていないのではないかと思えてしまう。こんな不愛想な自分ではなく、明るく他人を思いやられるディアッカの方がよっぽど─────
「おい、隊長からも何か言ってやれよ」
「─────あぁ。ディアッカの言う通りだ。俺達の助けなどなくとも大丈夫だ。ボアズには奴もいるしな…」
ただ一人、ディアッカのみ口元に微笑みを浮かべるだけだった。
「ホント、お前って素直じゃねぇのな」
「うるさい!とにかくボアズは大丈夫だ」
ボアズには奴が─────
アカデミー時代からずっと、イザークはアスラン・ザラという存在を見続けて来た。同じ隊に配属され、長い間戦場を共にしてきた。今でこそ互いに別の隊を率いる身として離れてはいるが、アスランの強さをイザークは誰よりも知っているという自負がある。
─────そう、ボアズが陥ちる筈がない。
ボアズの防衛力は知っている。それに加えてアスランがいるのだから、あれが陥落するなど夢物語でしかない。
─────なぜこうも早く、地球軍は本国への進攻に踏み切った?それに…。
イザークの懸念は地球軍だけではない。二か月前─────メンデルで再会したミゲル、彼らの動向も気になる。
彼の中では未だに迷いが渦巻いていた。
皆殺し─────その一言を言われた当初、イザークには全く実感が湧かなかった。そこまでしなくとも戦争は終わると、地球軍が降伏をして、プラント陣営の勝利で終わるのだと信じていた。
しかしこの二か月で、イザークはこれまでに経験した戦場の数々を思い出していた。アラスカ、パナマ─────それ以前に立っていた戦場とは全く別物の空気と殺意。
そしてたった今行われているボアズへの進攻。
その何かの正体は分からない。戦争の終結─────それとは何かが違う。
イザークの中に渦巻く得体の知れない不安。それを拭いされないまま、されどイザークは命令通りにこの場で待ち続ける事しか出来ないでいた。
ボアズの前面に展開されていたザフト艦隊が、一斉にそれぞれの火器を噴かす。
宙域を覆い尽くすモビルスーツが、地球軍艦艇から吐き出されるストライクダガー隊と交戦する。
ボアズでの戦闘は激しく火花を散らしていた。ジンが、シグーが、新たに配備されたゲイツが、ダガー隊、メビウス隊とぶつかっていく。
飛び交うモビルアーマーが次々に撃ち落とされると、後方から現れたダガーがライフルを噴かせてジンを貫く。
モビルスーツが、艦艇が、散っていく際に広げる爆炎に照らされる真空の中、一機のストライクダガーが攻撃を掻い潜り、要塞へと迫ろうとした。
しかしその前に深紅の機体が立ちはだかり、巨大なビームハルバードで肩口から切り裂く。
『隊長!』
「余所見をするな!まだ来るぞ!」
陣営を抜かれたフォローをした上司へ声を掛ける部下へ、強く注意をするのはジャスティスを駆るアスラン・ザラだ。
続けてアスランはジャスティスのスラスターを吹かして戦場を飛び回る。
ストライクダガー、メビウスをハルバードで切り落としたかと思えば、遠くで味方機を押し込む敵機をフォルティスを放って貫く。
縦横無尽に駆け、敵機を落としていくジャスティスは味方に勇気を与え、敵には戦慄を与える。
しかし、目立てば当然多くの敵の目に留まる─────。
「っ!」
コックピットにアラートが鳴る。ロックされた事を悟ったアスランが機体を咄嗟に後退させる。
直後、砲撃の奔流がジャスティスのすぐ傍らを通り抜けていく。
すぐさま状況の把握をすべく、砲撃が撃たれた方へと視線を向ける。
「あれは!」
二対四枚の翼を広げた機体が両手にビームサーベルを構えて迫る。その機体を、アスランは映像で目にした事があった。二か月前のメンデルでの三陣営による戦闘、そこに出撃していた地球軍の最新鋭機だ。
地球軍の新型G─────リベルタスはジャスティスへと迫り、右手に握ったビームサーベルを振り下ろす。
シールドを掲げる。シールドバッシュで相手を押し返す事に成功し、すぐさまハルバードを一文字に振るう。
が、直後リベルタスの二対の翼が光を放つ。瞬間、アスランの目にはリベルタスの姿が消えたように映った。
「─────っ!!!」
咄嗟にジャスティスのスラスターを噴かせてこの場から離れる。殆ど勘に任せた機動だったが、それが功を奏した。一瞬前にジャスティスがいた場所を影が通り抜けていく。
それがリベルタスだと悟ったアスランは、その機影をしっかりと視界に収めつつ機体を翻す。
再度リベルタスの肉薄を躱し、急旋回をして三度迫る敵機とジャスティスは激突。
『ムカつく色してるわね、その機体…』
「なっ…、女!?」
両機が接触した事で開く通信回線。敵機から聞こえて来たその声にアスランは驚き、目を見開く。
その声が女のものだったのもそうだが、何より自身とそう変わりない年頃の少女の声が聞こえて来た事にアスランは驚愕を隠せなかった。
しかしいつまでも驚いている余裕は今のアスランにはない。何しろ、核動力を誇るジャスティスの馬力に負けじと、リベルタスから伝わって来る力量が更に増していっているからだ。
『私、赤が嫌いなのよね…。とっとと消えてくれると助かるんだけど!?』
「ふざけるな!そんなに気に入らないのなら、お前達が退けばいいだろう!」
『そうもいかないのよね。私達はあれの向こう側に用があるんだから!』
罵り合ってから、力比べは埒が明かないと両者は同時に離れる。それと同時に一度ビームハルバードを手から離したアスランは、機体肩部の武装をパージしてその手に取る。
ジャスティスから離れた直後のリベルタスへ狙いを定め、バッセルビームブーメランを投擲する。
正面から迫るブーメランをリベルタスは容易く回避するが、その動きの先に狙いを定めたアスランは、一度手放したハルバードを再度手に取りつつフォルティスを撃ち放つ。
機動の先を先読みされた砲撃に対し、リベルタスは防御の姿勢をとる。その間に先程ジャスティスが投擲したブーメランが弧を描き、今度はリベルタスの背後からその刃を迫らせる。
回避はすでに間に合わない。迎撃するならブーメランの軌道を見る為に背後へ意識を向けざるを得ない。アスランはフォルティスを撃ち止め、相手にブーメランの迎撃をする余裕を作りつつ、ハルバードを構えて自身が前から接近する。
前後の挟み撃ち─────ブーメランに接近によって回避は間に合わない。だがブーメランの迎撃をすれば、今度はアスラン自身の斬撃が待っている。
しかし相手は彼の思惑以上の動きを披露する。
リベルタスのカメラはジャスティスへと向いたまま、敵機はビームライフルを取り出すとブーメランの軌道に見向きもしないまま背後へと銃口を向け、ビームを放つ。
敵の胴体を切り裂かんと迫るブーメランは、リベルタスの放ったビームによって弾かれ軌道を大きく逸らした。
「なにっ!?」
ブーメランを迎撃するには軌道をその目で確認しなければなるまい、というアスランの大前提を根本から覆したリベルタスは迫るジャスティスへ向けてシールドを掲げる。
自身の斬撃を押し返され、機体が大きく後ろへ逸らされる。その隙を当然見逃す筈もなく、リベルタスはライフルからサーベルへ武装を持ち替えジャスティスへと斬りかかろうとする。
しかしアスランも負けてはいなかった。後方へと流れていくジャスティスの体勢を咄嗟に直そうとするのを止め、シールドを放り投げてライフルを手に取る。
揺れるコックピット内で狂いそうになる方向感覚を必死に繋ぎ止めながら、リベルタスへと銃口を向けて引き金を引く。
ジャスティスへ肉薄しようとしていたリベルタスは至近距離からの射撃に対して一度動きを止めるしかなく、シールドでビームを弾いてから動き出す。
しかしこの攻防の間にジャスティスは体勢を整えていた。後退しつつリベルタスとの距離を保ちながら、先程放り捨てたシールドをも回収し迎撃の態勢をとっている。
再び両者が衝突した。
『しつこいわね…!いい加減墜ちなさい!』
「貴様こそ─────プラントに仇なすならば、ここで討つ!」
譲れないのはお互い様だ。ジャスティスとリベルタス、両機は互いの刃を煌めかせながら、真空の宙で交錯を繰り返すのだった。
リベルタスとジャスティスが互角に戦闘を繰り広げながら、しかし全体の戦況を見ればザフトがやや有利で展開されていた。
その中でも例外なのが、ジブリールが乗り込むアガメムノン級戦艦ドゥーリットルの周辺──────カラミティとフォビドゥンがいる宙域だ。怒涛の勢いで僚機を撃墜するジャスティスを止めるべく、リベルタスが抜けたのも関係なく、カラミティとフォビドゥンはその圧倒的火力と性能で次々と敵を撃ち落としていく。
その様子を気分良さそうにジブリールは眺めていた。
オノゴロ島での初陣からこれまで、期待していた戦果を挙げる事が出来なかった新型のG─────特に二か月前での戦闘でレイダーを失った時はこの程度かと失望したのも記憶に新しい。
しかし、これまで彼らが相手をしてきた敵が例外だったのだ。機体性能は当然従来のものとは一線を画し、強化を施されたパイロットも決してそこらのコーディネイターには劣らないとなれば、実際に蓋を開けてみればこうなるのは必然。
こうして上機嫌にジブリールが見ている間にも、カラミティとフォビドゥンは更なる敵を撃墜し、そして
「ジブリール様」
「あぁ。─────ピースメイカー隊を発進させろ」
無味乾燥な様子で伺いを立てて来たサザーランドへ、ジブリールは頷いてから簡潔に命じる。
旗艦ワシントン以下、ドゥーリットルを含む十数隻からモビルアーマーの編隊が発進し、二機のGが開いた道を一気に突き抜けて進み始めた。
ピースメイカー─────平和を作り出す者達を名付けられたメビウス隊は、いずれも巨大なミサイルを抱えている。
その異様な光景を目にした一機のゲイツが、ピースメイカー隊に追い縋ろうとする。が、それらを撃ち落とすより前にフォビドゥンのプラズマ砲が逆にそのゲイツを貫いていた。
カラミティとフォビドゥンはピースメイカー隊に近付こうとするモビルスーツを撃破していき、メビウスは更に敵陣の奥深くへと喰い込んでいく。
「ピースメイカー隊、目標まであと四百!」
ドゥーリットルの艦橋でオペレーターが上ずった声で報告する。
ジブリールの笑みが更に濃くなる間にも、ピースメイカー隊はどんどん目標へと近付いていき─────ボアズを射程距離に捉える。
そこまで大事に抱えて来たミサイルが続々と発射される。堅固な岩山のようにも見えるボアズへと吸い込まれていくミサイルを遮るものは何もなく、やがて最初のミサイルが爆発した。
光の奔流が広がっていき、視界を白く覆ってなおそれはボアズを呑み込んでいく。
司令本部を、そしてその中にある何もかもを包み込み、そして蒸発させる。
発射されたミサイルは爆発の炎によって誘爆していき、要塞のみならずその周囲に展開された守備隊をも巻き込んでいく。
地獄の業火に呑まれる前に離脱していく艦、モビルスーツも存在したがそれは飽くまでも例外でありごく少数。
彼らの前に広がる圧倒的破壊の光景に目を取られ、それらに意識を向ける必要すら感じられず─────そして光の本流から逃れた者達もまた、呆然と要塞を蒸発させる光を眺める事しか出来ない。
「クククッ…」
殆どの者が目の前の光景に圧倒される中、笑みを零す者がいた。
「アーッハッハッハッハッハッハッハ!アーーーーハッハッハッハッハッハッハ!!!」
ジブリールである。自身が齎した圧倒的破壊に、彼は酔いしれていた。
これだ─────これこそが自分が求めていたものだ。
圧倒的力、世界の覇者にこれほど相応しい力が果たしてあるだろうか?
臆病な老人共には勿体ない。アズラエルでは手を届かせる事が出来なかった。そしてあの宇宙を汚す汚物になど言語道断だ。
この光を生み出すのは、このロード・ジブリールにのみ許されるのだ─────。
「─────次は本国だ」
閃光が消え、今や砕かれた無数の岩くれと解けてねじ曲がった金属片が漂うだけの虚ろな空間と化した─────難攻不落とも謳われたボアズがあった場所はすでにジブリールの目には映っていなかった。
彼の目に、頭にあるのはその向こう側─────薄汚い目障りな砂時計のみ。
「終わらせる。そして取り戻す。この私が─────青き清浄なる世界をな!」
撤退していく数少ないザフト艦にも、デブリが散らばる空間にも目もくれず、地球軍艦隊は突き進む。
愉悦、恐怖、畏怖、様々な感情をそれぞれ抱きつつ、しかし頭に思い浮かべる未来は誰もが同じだった。
勝利─────この戦いの先に待つのは勝利による戦争の終結だと、誰もが疑いもせず、彼らは破滅の序章へと足を踏み入れるのだった─────。